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日本共産党

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赤旗

61、スポーツ

だれもがスポーツを楽しむために

―スポーツは「権利」、条件整備は国の責務―

2022年6月

 国連総会の「オリンピック休戦」決議を踏みにじったロシアのウクライナ侵略には、世界のスポーツ団体、選手から強い批判と「戦争やめよ」の声が広がっています。これらと連帯し、一日も早く国連憲章違反の無法な侵略を終わらせることは、スポーツを愛する人々の共通の願いです。

 スポーツは私たちの生活に欠かせないものです。スポーツ基本法は「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」と明記しています。私たちは、「スポーツの多面的な発展」(日本共産党綱領)とだれもがスポーツに親しめる社会のため、以下のことにとりくみます。

スポーツができる環境をつくります

①国民のスポーツ実施率(週1回以上スポーツする人の割合)は5割程度にとどまり、働く世代の低さが特徴です。「できない」理由のトップは「仕事や家事が忙しいから」(スポーツ庁調査)で4割に及びます。しかし、国は5年ごとの「スポーツ基本計画」(3月)でまともな対策を示せていません。大本には、国による労働の規制緩和があります。長時間労働やただ働き残業を放置し、不安定な非正規雇用を広げたことが、私たちからスポーツする時間とお金を奪っています。日本共産党が掲げる「8時間働けばふつうに暮らせる社会」の実現は、国民だれもがスポーツに親しみ、健康で文化的な生活を保障する確かな道筋です。

②スポーツは「全ての人々の権利」であり、条件整備は国の責務です。しかし現在、公共スポーツ施設は全国5万カ所余で、25年程前から約1万4千カ所も減少しています。総務省は全国の自治体に公共施設の統廃合を求め続け、減少を加速させる一方、スポーツ庁の施設整備費は年間約36億円だけで前年度からさらに約4億円も減少しています。国は条件整備を放棄しているのと同じです。施設整備費を抜本的に増額し、公共スポーツ施設は「誰もが気軽に使えるスポーツ施設」として増設・拡充します。施設利用料の適正化や指導員の増員、利用者や団体の声を行政に反映する仕組みをつくります。

③学校の施設は地域スポーツ活動の重要な拠点の一つです。学校開放をさらに進めるとともに、これを自治体の基本業務とし、適切な予算や人材の確保をめざします。利用する住民の声を大切にし、用器具の充実、シャワーや夜間照明の整備、スポーツ指導員の配置をはかります。

④トップ選手は競技を通じて人間の可能性を追求し、その魅力を広げる社会的な存在です。それだけに競技力向上には選手の人権と自主性を保障し、国の長期的な財政支援が必要です。しかし、現在のスポーツ予算(350億円)は十分でなく、GDP比で豪州の4分の1、フランスの5分の1にすぎません。国に増額を求めます。

⑤1年に1度もスポーツをしない障害者は4割(健常者18%)に及びます。施設のバリアフリー化をすすめ、障害者が利用できる多機能型スポーツ施設の増設、障害者に配慮した設備や指導者・ガイド・介添え者の配置促進など、身近でスポーツできる環境づくりに力を入れます。

危機的な地域クラブを支援し、条件整備をすすめます

 コロナ禍で地域クラブやスポーツ団体の活動が危機に瀕しています。大会が開けず、会員も大幅に減る危機的な事態です。地域の自主的なスポーツクラブは総合型かどうかにかかわらず、市民スポーツの拠点です。昨年、国は救済のため「スポーツ活動継続支援金」を創設しました。初めて法人格のない地域のスポーツクラブ、団体、指導者を対象にした貴重な事業でした。しかし、その存在が周知されず、支援時期は短く、手続きの煩雑さなどの課題がありました。クラブ等の厳しい運営実態を踏まえ、制度の再開と改善を強く求めます。折からの物価高騰とも相まって、スポーツ活動における経済的負担がさらに重くのしかかっています。消費税10%を5%に緊急減税し、負担軽減のために力を尽くします。

環境の持続可能性をもとにスポーツの発展をめざします

① 地球温暖化によりスポーツ活動が脅かされています。酷暑で熱中症の危険が高まり、雪不足により冬の競技の存続すら危ぶまれています。スポーツ界にとってもCO₂の大幅削減は切実な課題です。「気候危機を打開する日本共産党の2030戦略」の実施をすすめます。

② 自然と共生するスポーツのため環境アセスメントを遵守し、環境破壊を許しません。山岳自然を破壊するメガソーラーや大型風力発電に対し、環境を守る規制を強化し、乱開発をなくします。南アルプスにトンネルを空け、生態系に重大な影響を及ぼすリニア中央新幹線の建設に反対します。

③ 山岳や海の遭難救助ヘリの増設とパイロット養成の充実、登山リーダー養成をはかる国立登山研修所の機能拡充をはかります。遭難救助や自然保護の拠点となる山小屋への公的支援をすすめます。

④ 東京・神宮外苑の再開発では、約1,000本の樹木伐採など都心の貴重な自然が破壊され、都民に親しまれる草野球場、フットサル場など市民スポーツ施設が消滅します。一方、190㍍級の巨大ビルが建設されます。計画にはネット署名などの反対運動が広がっています。計画見直しを求めます。

競技者の人権を守り、ジェンダー平等を実現します

暴力やパワハラ、セクハラをなくします――「スポーツは、世界共通の人類の文化」(スポーツ基本法)です。その破壊行為である暴力やパワハラ、セクハラをなくすため、スポーツ団体や選手・指導者の自主的な取り組み、学ぶ活動を応援します。この問題で国、地方自治体が積極的な役割を果たすよう求めます。

ジェンダー平等をめざし、LGBTQ、障害者の環境づくりを―― 「体育・スポーツの実践はすべての人にとって基本的権利」(体育・スポーツ国際憲章)です。しかし、スポーツ界の男女格差は依然大きく、競技する女性やLGBTQ、障害者のスポーツ参加は十分ではありません。スポ―ツ界でのジェンダー平等の促進や多様性を認め尊重すること、障害者参加などについて、社会的な理解を広げることに力を尽くします。国には相談窓口の設置、啓発・学習活動など課題克服の積極的な取り組みを求めます。

「スポーツ賭博」解禁に反対します

 経産省が「スポーツ賭博」解禁の動きを強めています。日本共産党は2001年の「サッカーくじ」導入以来、スポーツをギャンブルの対象にすることには一貫して反対してきました。「スポーツ賭博」は「サッカーくじ」よりもギャンブル性が高く、広範な競技を対象にする可能性があります。世界ではすでに「スポーツ賭博」などが原因となり八百長が頻発しています。ギャンブル依存症を増やす懸念も広く指摘されています。また、「スポーツ賭博」の収益の一部を部活動の地域移行の財源とするとも報じられていますが、言語道断です。「スポーツ賭博」の解禁に強く反対します。

部活動の原点に立ち返った改革をすすめます

「56、教育 部活動――子どもを真ん中に部活動のあり方を検討し、必要な予算と体制を」

五輪・パラリンピックの検証と改革を

 昨夏、コロナ禍のもとで強行された東京五輪・パラリンピックは、国民の反対世論に耳を貸さず、健康・命より大会を優先させるなど、五輪史に大きな汚点を残しました。 2月の北京冬季大会では中国の人権侵害にたいし、国際オリンピック委員会(IOC)が五輪憲章に基づく適切な対応をとれず、世界から批判を浴びました。曲がり角にある五輪は、大会の肥大化や経費の増大、商業主義優先、 IOCのあり方など課題が山積しています。東京大会の経費を含めた総括・検証が必要です。五輪は憲章に則し、世界の草の根の議論を通じた民主的改革が求められています。

 東京大会の検証も十分でない中、札幌市は冬季五輪招致を進めています。日本共産党北海道委員会と札幌市議団は3月、声明「札幌冬季五輪の 2030年招致を取りやめ、市民のくらしを豊かにするやさしい札幌へ」を発表しました。市民の十分な賛同がない中、五輪を口実に巨大開発を進め市民生活に負担を負わせる札幌への招致に反対します。

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