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50 図書館政策

図書館サービスの後退、「委託」を許さず、身近に使いやすい図書館を

2019年6月

 図書館は、皆さんの読書、〝知りたい、調べたい〟を保障することが役割です。生活、生業、学業のためには、資料、情報は欠かせません。図書館は「生存権の文化的側面である学習権を保障する機関」です。

 その機能を果たすために欠かせないことは、その管理運営の仕組みです。図書館は、自治体の首長から独立して教育行政を遂行する教育委員会の下でこそ、皆さんから求められた資料、情報を確実に提供することができます。

 そうした仕事を具体的に担うのは、専門職である司書です。司書には、資料・情報を自ら適切に選択できるよう利用者に協力、支援するなどの役割があります。

 また、図書館の「無料利用原則」は70年近くにわたって続き、最も利用者の多い公共施設のひとつになっています。

 ところが自公政権は、司書を削減し、資料費も激減させる政策を続けています。国の財政規模は拡大しているのに、地方財政を支える財源保障はせず、地方交付税も減らし続けていることも重大です。その結果、最近では図書館の利用者が減少するなどの前代未聞の事態を招いています。改善を求める声が広がっていますが、安倍政権はそれに応えるどころか、図書館の廃館や指定管理者制度など民間企業への委託など、図書館をいっそう疲弊させる政策を進めてきました。さらに今年5月には、図書館の所管を教育委員会ではなく、首長部局に委ねることを可能とする法律改定を行いました。図書館の中立性(資料収集・提供の自由、利用者のプライバシーの保護等)が侵され、その継続性も保障されず、図書館がさらに疲弊することを懸念する声が広がっています。図書館は教育委員会の管理運営を基本とすることを強く訴えます。

 こうした政治を転換して日本の図書館を元気にするため、日本共産党は以下の政策をかかげます。

図書館予算を増額し、資料費などを増やします

 図書館の資料費が年々減り続けていることは深刻で、「新刊本がない」「使いにくくなった」などの声が全国であがっています。図書館に関する国の地方財政措置(地方交付税交付金)を増額させ、図書館予算を増やします。とりわけ地方交付税交付金の積算内訳に資料費の内容・額などを明示しなくなったことも、自治体における予算措置に削減の影響をもたらしています。

 図書館資料の中心である図書等は地元書店から定価購入するなど、公立図書館が率先して再販売価格維持制度(再販制度)を守ることが重要です。また発行部数印刷部数の少ない図書や短期間で廃棄されてしまう雑誌を購入、保存し、後の利用者にも供することは出版文化の進展にもかかわる図書館の重要な役割です。こうした役割も果たせるように、各自治体で資料費増額をすすめるとともに、それを支えるため、国の地方交付税交付金の資料費措置額を明確にし、増額をすすめます。

 都道府県立図書館には、市町村の図書館が所蔵していない資料の提供ができるよう、少なくとも国内出版物のほとんどを購入収集できる規模の資料費増額を求めます。

安心して働きつづけられる図書館にします―非正規雇用職員の雇用安定、労働条件の抜本的改善

 「勤務して17年、東京都内図書館の正規採用はほとんどない。非常勤は好きで選んだ働き方でなく、図書館で働くための苦渋の選択なのである。正規職員に仕事を教えているのは私」――日本共産党の議員が国会でとりあげた現場の声です。

 非正規雇用は図書館員の3分の2を越え、非正規で働く職員が図書館の根幹の業務を支えているのが現状です。しかしその待遇は、低賃金で、雇用継続の保証もないなど、たいへん劣悪です。このことは、図書館を担う職員の専門性の向上の点からも見過ごせません。

 本来継続的な仕事は常勤職員でカバーすることが原則で、国も「常勤化などの検討が必要」と答弁せざるを得ませんでした。自治体職員の総定員数を見直し、常勤化をすすめるべきです。

 さらに直面している「会計年度任用職員制度」の具体化にあたっては、図書館職員の専門性の蓄積は必要、不可欠であることから、継続雇用を旨とする図書館職員制度の実現を図ることも求めます。

 当面、①自治体非常勤職員の場合、時間単価を2000円以上に引き上げ、雇止めをやめて安定雇用にする ②委託の労働者の場合、自治体が企業と委託契約する際に、雇用の安定的継続と非常勤職員かそれ以上の待遇が保障できるようにする、ことを求めます。

図書館サービスを向上させます――指定管理者制度導入反対、民間委託の見直し

 図書館は直営で、住民参加を大切にしてこそ、サービス向上ができます。

 管理運営を民間企業に「丸投げ」する指定管理者制度は、政府も認めたように図書館には適しません。実際、導入した図書館では、司書の専門性の蓄積、長期にわたるコレクション形成、読書の自由の保障などが危うくなっています。雑誌・文具の販売、喫茶などのスペースをかなり取り、子どものための場所を縮小させたなどの動きもあります。

 この間の市民の運動と日本共産党などの国会質問によって、国に図書館への指定管理者制度適用を推進するための「トップランナー方式」はあきらめさせました。こうした成果をふまえ、自治体での導入の反対、見直しを進めます。

 図書館の管理運営の一部を民間企業などに委託する民間委託も、利用者の声が図書館運営側に届かなくなるなどの問題が生まれています。しかし、総務省が進めている「公共施設等総合管理計画」、国土交通省の「コンパクトシティ」構想は、いずれも図書館については「民間活力活用」など、民間委託の推進を求めています。こうした国の姿勢を転換させ、民間委託を図書館サービスの向上の観点から見直します。

身近な生活圏域に公立図書館を整備させます

 総務省の公共施設削減を基調とする「公共施設等総合管理計画」のもとで、図書館の廃館がすすみ、新館設置は減少しています。この「計画」をやめ、図書館建設抑制の政策をあらためます。

 人口比でみると日本の図書館数は、世界の最低クラスです。サミット会議=主要国首脳会議参加のG7各国は10万人あたり平均5.5館ありますが、日本は2.5館と最低です。いわゆる「平成の大合併」を経た今日でも、公立図書館のない市町村が4分の1も残されています。政令指定都市でも、広い行政区に図書館が一つしかないところが多数であり、まったくない行政区もあります。日常生活で利用される図書館は広い自治体に1館あればよいものではありません。身近な生活圏域にある必要があります。そのことは、とりわけ子どもや高齢者、障がいのある人たちにとって重要です。

 図書館未設置の市町村をなくすことを急ぐとともに、中学校区単位での設置を目標とするなど生活圏域に根ざした図書館設置をすすめます。そのために「公共施設等総合管理計画」による図書館削減に反対し、図書館法に基づく図書館整備の国庫補助金事業の復活、過疎地域自立促進特別措置法や離島振興法などに基づく財源措置の拡充などを求めます。

専任の司書、司書資格のある館長の配置を求めます

 図書館サービスは図書館職員によって支えられています。司書が図書館業務に専念できる体制、豊かな経験を蓄積できることが図書館サービス充実のカナメです。利用者の調べたい、知りたいことについて的確に捉え、資料、情報を提供するなどのお手伝いをすること、資料相談、レファレンスサービスはますます求められています。読書や資料の利用に障害をもつ人たちに情報アクセス権を保障することも図書館の大事な役割です。図書館員には、こうした多様なサービスを支えるスキルが期待されます。

 しかし正規雇用の図書館員は図書館員の3分の1に過ぎず、そのうち司書有資格者は半分です。司書資格を要件としての採用は稀になり、定期的な人事異動を基本とする地方公務員の人事管理方針により、経験豊かな図書館員が極めて少なくなっている状況が続いています。図書館法の「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」については、司書配置をより明確にするよう改正するとともに、その裏付けとなる財政上の措置をおこない、司書の増員・正規化をすすめます。

 図書館長は、図書館事業を長期的視野に立ってすすめる責任者であり、地域の読書環境整備に中心的役割を果たすべき職です。司書資格をもつ館長を配置することを原則とし、その業務にふさわしく、安定的継続的に業務に専念できるようにします。

図書館協議会の拡充を図ります

 図書館は地域の拠点であり、その運営に地域住民が参加することは図書館の活性化にもつながります。しかし図書館法に規定されている図書館協議会は、図書館設置自治体の6割程度に過ぎません。すべての図書館設置自治体に置くことを求めます。政府は2016年度から市町村における図書館協議会経費の地方交付税措置をしました。長年にわたる運動の成果であり、それを確実に活かすようにします。

 図書館協議会は図書館長の諮問機関、意見具申機関ですが、その答申等は教育委員会も尊重する義務が課せられた附属機関です(文部省社会教育局長1965.9.6)ところが、今年5月の法改定により首長所管となった図書館では、図書館協議会委員も首長が任命することになります。図書館の自立性の維持、確保の劣化を招きかねないことが懸念されます。この点からも図書館は首長所管とすべきではありません。

読書の自由、図書館の自由を大切にします

 読書の自由は人間の精神的自由のひとつとして尊重され、守られるべきことです。

 資料収集の自由、資料提供の自由、利用者の秘密を守る、すべての検閲に反対する、図書館の自由が侵されるとき団結してあくまで自由を守る、という日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」は、人々の読書の自由を守るうえでも重要なものであり、これを基調とした図書館運営を大切にします。

 特定の資料を排除したり、図書館が教育機関として自立して判断した資料選定に対して、当局や外部から干渉する動きは絶えません。どのような立場の出版物であっても提供することは図書館の重要な役割です。読書の自由、図書館の自由をおびやかすことに強く反対します。そのためにも、教育委員会は教育の自主性を守る住民自治の組織として確立し、政治的介入を許さないことを重視します。

図書館の連携協力を進める措置を求めます

 求められた資料を確実に提供するためには、他の図書館との連携協力が不可欠です。とりわけ都道府県立図書館の役割は重要です。市町村の図書館が所蔵しない資料を収集し、求められたとき迅速に提供する仕組みは、図書館サービスの充実に合わせて進展してきました。しかし資料費の激減などを理由として、市町村の図書館から求められた資料の「貸し渋り」が見られるようになっています。都道府県内の図書館間の資料の相互貸借については、都道府県立図書館が協力の役割を果たすよう、地方交付税などの財政措置を求めます。

 利用者が求める資料は多様です。全国の図書館が所蔵する資料を国民的な財産として利用できるような仕組みがますます求められています。都道府県を越えた流通については政府が行うべき事業として、制度化を求めます。

 さらに図書館が所蔵する資料の目録は、国立国会図書館が作成した書誌データを活用することを進めます。書誌データは国立図書館が作成し、国内の図書館が活用することは国際的にも通例になっていることです。日本においては民間企業が作成した書誌データを購入する事例が多くありますが、これは国立国会図書館の役割を減じることに結びついています。超党派の国会議員による活字・文化議員連盟も改善を提起しています。これが進むことにより日本で出版された資料の全国書誌を形成することにもつながります。

図書館は教育委員会が管理運営することを基本にします

 個々の図書館利用者、住民の読書要求、資料要求に応えるためには、蔵書・資料の蓄積=コレクションの形成が欠かせません。一時的に利用、要求が集中する図書、資料の提供だけでなく、日常の生活や生業のなかで直面している課題の検討に資する多様な資料要求に応えることが基本です。現在の利用者だけでなく、将来、未来の利用者の要求にも応えることができるよう図書、資料などを選定し、コレクションを形成することが必要です。

 そのためには、自治体の長から独立して施策を実施する行政委員会である教育委員会のもとで管理運営することが欠かせません。首長の所管では、個別の図書、資料の選定は首長の政治的立場などを忖度することを招きかねません。長期にわたるコレクションの蓄積にも影響をもたらします。

 図書館は教育委員会のもとにある教育機関として位置づけられています。教育機関とは教育委員会の管理のもと「自らの意思をもって継続的に事業運営を行う機関」(文部省初等中等教育局長1957.6)です。資料の選定やサービスは自立して行うことを課しているのです。日本図書館協会は、「図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする」として、資料の収集、提供について図書館が自立して行うことを「図書館の自由に関する宣言」でうたっていますが、その具体的な現れです。

 わが党の畑野衆議院議員の求めに応えて文部科学省は、長所管の図書館について明らかにしました(2019.4.16)。長所管の図書館は「正式には図書館ではなくて図書館同種施設という扱いになります」と述べたうえで、指定管理の図書館が多いことも述べました。全国の指定管理図書館は15.6%であること、長所管の136館(2015年調査)のうち指定管理の図書館は55館と41.7%であることを明らかにしたのです。

 法改定されたもとで今後、各自治体において図書館など社会教育施設の所管問題が起きます。図書館の基礎、基本を踏まえた検討を重ね、教育委員会が所管すべきことを訴えます。

学校図書館に学校司書を配置します

 学校図書館に専任・専門・正規の学校司書を配置できるよう国の財政措置を充実させます。学校司書を委託する動きも顕著になっていますが、それを許さないためにも、財政措置は欠かせません。

 学校図書館は、子どもたちに豊かな読書、調べる楽しみ、知る喜びを保障し、教師には豊かな授業展開のための情報や資料を提供します。特定の資料を排除する動きや、読書を強制するような政治的介入は許しません。

 当面、自治体が任用する司書を一校一名専任で配置することを求めます。

 

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