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日本共産党

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49 教育

すべての子どもの権利、個人の尊厳を大切にする教育に

2019年6月

 教育の主人公は子どもです。教育は、子どもの学び成長する権利を満たすための社会の営みであり、そこでは子ども一人ひとりの個人の尊厳が何より大切にされなければなりません。政治の中心的な役割は、そうした教育が自主的に豊かに営まれるよう、条件整備で支えることです。

 ところが、日本の教育予算の水準(教育への公財政支出のGDP比)はOECD最下位クラスです。安倍政権は「お金は出さず、口は出す」と言わんばかりに、教育基本法に「愛国心」を加えるなど教育への権力的介入を繰り返してきました。それは、「戦争する国づくり」「弱肉強食の経済社会」という政権の「国策」に従う人づくりのために他なりません。

 それだけに日本の教育には、欧米諸国には見られないような多くの歪みがあります。例えば、国際人権規約では大学教育の段階的な無償化が定められているのに、日本の学費は上がり続け、国民の負担は限界です。また、学校では過度の管理と競争が押し付けられるもとで、子どもの人権が大切にされず、不登校の子どもも増え続けています。さらに、教員の異常な長時間労働が社会問題となりましたが、その根本には、定められた授業数に比して余りに教員が少ないという問題があります。

 日本共産党は、憲法と子どもの権利条約の立場から、こうした歪みをただし、自主的で豊かな教育が花開くように、教育政策を転換します。

幼稚園・保育園から大学まで、お金の心配なく学べる社会へ

 すべての学生を対象に、大学・短大・専門学校の授業料を、すみやかに半分に値下げし、段階的に無償化をはかります。……安倍政権は、「大学無償化」などと言いますが、学費値上げを抑えることもしません。授業料減免の対象になるのは、文科省の答弁でも、現在の大学・短大・専門学校の全学生の1割程度です。しかも、その財源は消費税増税です。政府案では、授業料等の減免対象は4人家族で年収270万円程度(住民税非課税世帯)が上限です。年収380万円未満の世帯も一部対象になりますが、3分の1または3分の2に減らされます。9割近い学生を対象にしない制度を「大学無償化」などと言うことは「看板に偽りあり」です。日本政府は、国際人権規約の大学、高校の学費を段階的に無償化する条項の「留保撤回」を2012年に閣議決定し、国連に通告しました。段階的無償化は、国際公約であり、国民への政治の責任です。

給付奨学金は、政府案の低所得者を対象にした制度に加えて、月額3万円(年額36万円)の給付奨学金制度をつくり、全体で70万人の学生が利用できるようにします

すべての奨学金を無利子にします――給付奨学金(国公立―自宅35万円、自宅外80万円 私立―自宅46万円、自宅外91万円)も対象になるのは「授業料減免」と同じく4人家族で年収270万円未満の世帯で、年収380万円未満の世帯は、これも3分の1または3分の2に減額されます。若者の人生の門出で、「奨学金」という名の多額の借金を背負わせる社会をあらためます。

高校教育の無償化を進めます――高校教育の無償化は、民主党政権時の公立授業料無償化によって始まりました。しかし、その後の安倍政権が所得制限をもちこみ、全ての高校生の学ぶ権利を保障するという理念が後退しました。また、私立高校の無償化が不十分で、授業料や施設設備費の負担が広範に残されています。①遅れている私立高校の施設設備費をふくむ学費無償化②全ての高校生を対象とする所得制限の撤廃③給付型奨学金の対象と金額を拡充の方向で、高校教育の無償化を進めます。

学校給食の無償化をはじめ、義務教育で残されている教育費負担をなくしていきます――憲法は、義務教育の無償を定めていますが、給食費や制服、副教材などさまざまな負担があります。憲法制定時には、政府も「(憲法の)義務教育の無償をできるだけ早く広範囲に実現したい」「学用品、学校給食費、できれば交通費と考えております」(1951年3月19日 参議院文部委員会 日本共産党岩間正男議員への答弁)などとしていましたが、70年たっても実現していません。歴代自民党政府が、憲法をないがしろにし、教育費負担の軽減に背を向けてきたことが、ここにも表れています。

就学援助を拡充します――就学援助制度は経済的な困難をかかえる子どもに義務教育を保障するための命綱です。ところが、「子どもの貧困」が深刻なときに、自公政権は制度への国庫負担を廃止し、各地で就学援助の縮小を引きおこしました。国庫負担制度をもとに戻し、対象を生活保護基準×1.5倍まで広げ、支給額も増額するとともに、利用しやすい制度にします。教育扶助の額も同様に引き上げます。

「幼児教育・保育の無償化」を消費税に頼らず実施します――消費税増税なしで、「幼児教育・保育の無償化」を実施します。認可保育園を30万人分増設し、認可保育園を希望しながら無認可施設や企業主導型保育所などで保育を受けている子どもを含めた待機児童を解消します。

「ブラック校則」や体罰の一掃、いじめ問題の解決、不登校の子どもの権利の尊重など、子どもの権利、個人の尊厳を何よりも大切にする学校に

学校のあり方を、基本的人権と子どもの権利の立場から見直します――子どもにも、憲法に規定されている基本的人権は広く保障されています。同時に子どもは、成長・発達途上にある特別な子ども期にある者として、保護される権利、教育・社会保障への権利、社会参加の権利などの多くの「子どもの権利」が認められています(「子どもの権利条約」)。ところが少なくない学校で、個人の尊厳や多様性からかけはなれた画一的な指導が横行し、時に子どもの人権を脅かし、成長・発達への障害となり、不登校の要因にもなっています。学校のあり方を、基本的人権と「子どもの権利」の視点から見直します。

「ブラック校則」や「ゼロトレランス(寛容ゼロ)」、体罰や「指導死」を学校からなくし、子どもの権利を守ります――下着の色のチェックや頭髪黒染め強要などの「ブラック校則」は、市民社会においてとうてい認められない人権侵害です。安倍政権が導入した、学校の「決まり」を問答無用に子どもに強要し違反者を罰し続ける「ゼロトレランス(寛容ゼロ)」は、子どもを深く傷つけ、学校に不可欠な温かな人間関係を破壊しています。「指導」の名のもとに暴力や暴言で子どもを追い詰め、死に至らしめる「指導死」も各地でおきています。こうしたことをなくし、子どもも教職員も、人間として大切にされる学校をめざします。

 肉体的な苦痛や恐怖で子どもを服従させることは、成長途上の子どもの体だけでなく、心に複雑で深い傷を残します。法律で明確に禁じられているにもかかわらず、少なくない学校で教員による暴言や暴力がいまだにあることは、日本の教育の大きな問題です。ところが自民党など政界の一部に体罰を容認する潮流があります。日本共産党はこうした風潮を許さず、なぜ体罰がいけないのかを多くの人々と根本から考えあい、学校から体罰をなくすために全力をつくします。

「いじめ」から子どもの命を守ります。いじめ問題の解決へ、条件整備で学校を応援します

子どもや保護者の訴えの無視や事実関係の隠ぺいを許しません――いじめは相手に恥辱や恐怖を与え、思い通りに支配しようとするもので、ときに子どもを死ぬまで追いつめます。多くのいじめ被害者は、その後の人生を変えてしまうような心の傷をうけます。いじめはいかなる形をとろうとも人権侵害であり、暴力です。そうしたいじめが全国の学校に広がっていることを社会全体の問題として重視し、以下の方向で学校関係者、国民と力をあわせます。

学校での対応として――①いじめへの対応をぜったいに後回しにしない命最優先の原則の確立(安全配慮義務)、②ささいなことでも様子見せずに対応するため、教職員・保護者の情報共有を重視する、③子どもの自主的活動の比重を高め、いじめをとめる人間関係をつくる、④被害者の安全を確保し、加害者にはいじめをやめるまでしっかり対応する、⑤被害者家族の真相を「知る権利」を尊重し、学校側がつかんだ情報をかくさない、を提案します。

行政側の条件整備や対応として――①教員の「多忙化」解消、少人数学級推進、養護教諭・カウンセラーの増員、いじめ問題の研修、②深刻なケースに対応できる全国的なセンターとして「いじめ防止センター」の設立、③厳罰主義などいじめ解決に逆行する方向でなく、子どもの安全に生きる権利を保障する方向で「いじめ対策法」を運用する、④いじめ解決に逆行する、「いじめ半減」などの数値目標化、教職員をバラバラにする上からの教員評価などの教育政策をあらためる、を提案します。

 なお、被害者側が訴えても無視したり、あとになって事実関係を隠ぺいするなど、被害者の尊厳を二重三重に傷つけることが残念ながらあとをたちません。関係者の意見もふまえ、再発させないための措置を検討します。

 いじめ増加は子どものストレスの増大を示し、その背景には教育や社会の歪みがあります。過度の競争と管理の教育をあらためるとともに、弱肉強食の社会のあり方をかえていくことを重視します。

 詳しくはこちらを→(「いじめ」のない学校と社会を 日本共産党の提案 2012年11月28日)

 (いじめ問題に関わる法制化についての日本共産党の見解 2013年6月3日)

学校の安全対策をすすめます――「学校災害給付」件数は年間100万件に増加し、学校での事故や犯罪から子ども、教職員らの生命を守る仕事は急務です。「安全配慮義務」を明記するなど、子どもの「安全に教育を受ける権利」を保障する「学校安全法」「学校安全条例」の制定を支持します。不審者対応を含めた安全対策のための専門職員配置や施設の改善をすすめるとともに、学校安全のための住民の自主的なとりくみを支援します。

不登校の子どもの権利を尊重し、公的支援を拡充します――不登校の子どもは、子どもの数が減っているのに増え続け、14万人を超えました(小中学校、2018年10月公表)。これは、学校が子どもにとっていかに息苦しい場となっているかを示しています。不登校を本人や家庭の責任とすることはまちがいです。

 子どもたちの、学校強制でない教育への権利、安心して休む権利、自分らしく生きられる権利などを保障する立場から、以下の政策を進めます。①子どもと親とが安心して相談できる窓口を拡充する。②子どもの居場所として、学校復帰を前提としない公的な施設を拡充する。③学校以外のさまざまな学びの場(フリースクール、フリースペースなど)をきちんと認め、公的支援をおこない、学校と同等の支援をめざす。④不登校の家庭の子育てを支えている親の会などへの公的支援をおこなう。⑤学校をすべての子どもにとって〝安心して休める学校〟にし、子どもを緊張感から解放する。⑥「不登校を三年で半減」「不登校ゼロ作戦」など学校復帰を前提とした、子どもや親をおいつめる施策を是正する。⑦「教育機会確保法」の運用を、子どもや親をさらに追い詰めないようにするとともに、不登校の子どもを支える多様な場への公的支援を拡充する方向で、見直しに取り組みます。

道徳教育を基本的人権と子どもの権利をふまえた市民道徳の教育に――安倍政権の道徳の教科化は、上から目線で「いい子になれ」「ルールに従え」と子どもに教え込むもので、市民道徳のあり方に反しています。教科化をやめ、学校生活全体が基本的人権と子どもの権利を大切にし、そのなかで子ども一人ひとりが自分らしい価値観形成をはかれるような市民道徳の教育にきりかえます。上からの「徳目」ではなく、憲法や子どもの権利条約、国際人権規約など国内外の人権の到達を伝えることを重視します。愛国心についての教育は、戦前の偏狭な愛国心をともなっておこなわれた植民地支配と侵略戦争の歴史の問題を伝えてこそ、世界の人々と共生できるものとなりえます。

性的マイノリティ(LGBT)の子どもへの配慮をすすめます――同性愛や性同一性障害などを含む性的マイノリティ(LGBT)の子どもへの適切な配慮を求める国の通知も生かし、「児童生徒が自認する性別の制服・体操着などの着用を認める」「標準より長い髪型を一定の範囲で認める(戸籍上男性)」「着替えの際に皆とは別に保健室の利用を認める」「修学旅行で1人部屋の使用を認め、入浴時間をずらす」などの配慮が実際におこなわれるようにするとともに、教職員や子どもたちの理解を進めるため、研修や授業での取り扱いをすすめます。

高校生などの子どもの政治活動の自由を尊重します――憲法はすべての国民に政治活動の自由を保障しており、高校生にもとうぜん政治活動の自由があります。じっさい高校生たちは、平和や環境問題など様々な政治課題について、多彩なとりくみに参加しています。ところが国は、高校生だけ政治活動を禁止・制限する通知(2016年10月)を出し、一部には集会参加や演説会を聞くことすら届け出制にしている高校まであります。このような憲法違反の制限に反対し、高校生などの政治活動の自由を一般市民と同様に保障します。

過度な競争や国家統制をやめ、自主的で創意あふれる豊かな教育を保障する

学力形成に有害な全国学力テストを中止し、授業づくりを大切にします――安倍政権が全国学力テストを導入してから、各地で学校・教員が平均点競争に走らされ、「平均点を上げるため先生が正解を教える」「テスト対策のドリルばかりでほんらいの授業がおろそかになる」などの問題が噴出しています。学力形成に有害な全国学力テストを廃止し、学力の全国的調査は以前のような抽出調査に戻します。そのかわりに面白く分かりやすい自主的な授業づくりを奨励したり、学習のおくれがちな子どもへのケアの体制を手厚くするなど、ほんらいの学力形成をすすめます。

子ども・保護者・教職員・住民による「参加と共同の学校」づくりをすすめます――学校は、国や教育委員会の顔色を見て運営するのでなく、何より子どもの実態や教育の条理に沿って運営することが大切です。そのため、子ども・教職員・保護者・住民らが話し合って学校を運営する「参加と共同の学校」づくりをすすめます。職員会議を教育方針についての合意形成の場として位置づけます。学校評議員制度や地域運営学校は教員や生徒の参加を保障し、改善します。行政の決めた数値目標に教育を従属させてゆがめる「PDCAサイクル」「数値目標」などの押しつけに反対します。

教育内容・方法への国家統制を改め、自主的で創造的な教育を保障します――現在の学習指導要領は国の強い関与のもとに一部の考えでつくられたうえ、「法的強制力」があると教員に強要されています。しかし、過密カリキュラムで「落ちこぼし」 をふやす、学習内容自体の科学性や系統性に欠けるなど多くの問題が生じています。学習指導要領を、広範な研究者や教職員、保護者など国民参加で抜本的に改善するとともに、戦後直後のように「試案」と明示し、強制性をなくして各学校が子どもの状況や地域の実情に即して教育課程を自主的につくれるようにします。なお、現在の「小学校英語」や2020年度正式導入の「小学校英語の教科化」は、体制なしに形だけ「英語」教育をすすめるもので、英語教育の専門家や教育現場から批判と疑問の声がおきています。豊かな英語教育へ国民の各分野の英知をあつめて再検討します。

 この間国は、「新学力観」から「アクティブ・ラーニング」まで、様々な教育方法を押しつけ、かえって授業を画一的で不自然なものにしてきました。こうした押しつけをやめ、すべての子どもが「わかった」と瞳をかがやかし、自然や社会の基本的なしくみや法則を理解し、深く考えることを共通の目標にしつつ、それに至る教育方法の多様さを保障するようにします。

教員を専門職として尊重し、教員評価制度、主幹制度、官製研修などの見直しをすすめます――教員は専門職であり、上意下達では責任をもった仕事をすることができません。このことは「ILOユネスコ・教員の地位に関する勧告」にも明記された世界のルールです。教員を教育の専門家として尊重し、学校運営のみならず教育政策の決定でも重要な役割を果たせるようにします。

 現在の「教員評価」制度は、教員の目を子どもではなく管理職や行政に向けさせるだけです。また行政が教員の優劣をきめ給与に差をつければ、教員どうしの協力や連携がこわされ、子どもの教育が劣化します。教員評価というなら、教員の努力を励ます、教育活動へのていねいな評価でなければなりません。

 新任の先生を長時間子どもから引き離す「初任者研修」をはじめとする増えすぎた官製研修を抜本的に見直します。そのかわり、法的にも認められている教員の研修権に基づく自主的研修(研究と人間的修養)を奨励します。

 なお、子どもを傷つける言動をおこなう教員には、子どもの安全と人間の尊厳を優先する立場から毅然と対処するとともに、問題をかかえる教員の人間的な立ち直りを促す支援を重視し、 そのための人員配置などの支援策をとります。「不適格教員」のレッテル貼りや「草むしり」「密室に座らせ続ける」などの「指導力改善研修」は、教員を人間として追いつめるだけであり、抜本的に見直します。

教科書制度を改善します――もともと教科書検定は、検閲的な様相がつよく教科書を画一的で魅力のないものにしてきました。しかも安倍政権は「社会科教科書は閣議決定の内容を書け」などと教科書をますます政府言いなりのものにしようしています。こうした検定をやめさせます。将来的には、検定制度そのものをやめ、教科書は、専門家や教員、保護者らからなる第三者機関が検討して認証する認証制度とし、開かれた討論を通じて教科書が学問的な事実に即し、魅力あるものになるようにします。教科書採択は、その地域や学校の子どもにもっともふさわしいものを選び取る教育的な行為です。各教科の教授についての知識や経験がない教育委員会が独断で決めるのでなく、各教科を教えている現場教員の専門的な判断、さらに保護者や住民の意向を反映して採択が行われるようにします。

「日の丸・君が代」の強制に反対します――憲法19条(思想、良心、内心の自由)に違反する、「日の丸・君が代」の強制に反対します。入学式・卒業式は、子どもにとって最善のものとなるよう、教職員、子ども、保護者の話し合いをふまえて決められるようにします。合意によって「君が代」斉唱を行う場合でも、アメリカのように、斉唱を拒否する自由が生徒にも教職員にもあることを明確にして、内心の自由を守ります。

大学入試制度の改革をすすめます――現在のように大学が偏差値で並べられ、そのどの位置に入るのかという大学受験のあり方は、〝テストの点をとるために勉強する〟という本末転倒の歪みをもたらしてきました。センター入試や推薦入試は、関係する特定の科目しか勉強しなくなるなど、高校生の知力を劣化させる要因の一つにもなっています。安倍政権による2020年度からの「大学入試改革」は、現行制度とほとんど変わらない小手先の「改革」にすぎないどころか、英語入試を目的が全く違う民間英語試験に丸投げし、その分受験料負担も大幅に増やすなど問題だらけです。根本的な見直しを求めます。世界では、大学入学資格試験を課して一定の成績があれば大学に進学できるようにする、採点に手間をかけて論述を重視したり受験生との面接に多くの予算と人を使うなど、教育を受験競争で歪ませない工夫があります。〝ゆきすぎた競争主義からの脱却〟〝高校生が人間的に成長しながら自らの意思で勉強する〟という視点にたち、さらに〝大学教育の段階的無償化〟の展望にもたった入試制度の抜本改革を国民的な検討の場を設けて検討し、改革をすすめます。

 安倍政権は高校生全体に有料の新たな学力試験を課そうとしています。すでに各種模試や就職のための仕組みがあるもとで、これ以上のテストはいりません。構想は中止すべきです。

高校入試の競争性の緩和をすすめます――高校学区の拡大などによって高校の序列化が以前にもまして強まりました。合否を左右する内申書や推薦入試の許諾を盾にして、学校・教員が中学生を管理するという問題も深刻です。こうしたことが中高生をどれほど傷つけているか知れません。アメリカやヨーロッパでは基本的に高校への受験競争がないなど、過度の競争から子どもを守る工夫があります。日本も戦後直後は、〝高校選抜は、経済復興が終わり十分な高校が建設したら、なくしていく〟としていました(文部省、当時)。今や高校は進学率97%にたっし、学校施設の不足もなく、選抜を行う必要は基本的にありません。競争性を緩和し、中学生の成長を歪めないような高校入学のあり方を、国民的な検討の場をもうけて検討し、改革をすすめます。

小中学校の選択制を見直します――小中学校の学校選択制は、学校に競争原理を導入するという目的で導入されました。しかし導入した地域では、一方の学校に生徒が集中してマンモス校化する一方で入学者ゼロの学校をつくる、学校間競争に振り回されて肝心の教育が歪む、子どもと地域の結びつきが弱まり地域の教育力が低下するなどの深刻な矛盾がうまれています。選択制を見直し、子どものための弾力的で民主的な学区域制度とします。

教職員をふやし、異常な長時間労働の是正を

「教員1人で一日4コマの授業」という原点に戻って、教員を増員します――もともと所定の勤務時間で仕事が終わるように国が設定した「教員一人で1日4コマの授業を担当する」という原点に戻って、必要な教員を増やします。具体的には、小中学校で9万人の教員定数増を計画的にすすめます。同時に少人数学級を推進します。高校や特別支援学校も同様の計画をたてます。養護教諭、事務職員、用務職員なども増やします。カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーは、現在のようにたまにしか学校に来られない非常勤ではなく、学校に常駐できる常勤職員とします。

「教育改革」などで膨らんだ不用不急の業務を削減し、授業準備、子どもと向き合う、子どものことを考えあうなどの教育本来の業務に集中できるようにします――①国・自治体は、現場に負担を与えている教育施策を削減・中止します。②学校で、教職員の話し合いに基づき、不用不急の業務を削減・中止するようにします。③部活動の負担軽減をすすめます。

教職員の働くルールを確立します――①残業代をキチンと支払うルールとし、残業時間を規制します。②使用者に労働時間把握と健康管理をキチンと行わせます。③「ILO・ユネスコ 教員の地位に関する勧告」に基づき、専門職としての尊重、自律性や自主的研修などを重視し、保障します。

非正規教職員の正規化と待遇改善をすすめます――①現在のあまりに低い給与を引き上げます。②病休・有休取得、職員会議の参加などでの差別を禁止します。③臨時教員急増をまねいた「定数崩し」の制度を見直し、フルタイム教員は基本的に正規雇用とし、正規化をすすめます。④自公政権が定数改善計画を廃止したことで、都道府県や政令市が正規採用の見通しをもてなくなっています。計画を策定し、正規採用がすすみやすくします。

教員免許更新制を廃止します――教員免許を10年ごとにとりあげる教員免許更新制によって、少なくない教員が中途退職し、そのことが教員不足に拍車をかけ、各地で「産休代替の先生がどこにもいない」などの要因の一つになっています。ただちに廃止します。同制度のねらいは、教員の身分を不安定にして、政府言いなりの「物言わぬ教師」づくりをすすめるものです。また、免許を維持するための受講は自己負担の上に、講習中の代替要員もないなど制度的にも破綻しています。

 (詳しくは、「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を 学校をよりよい教育の場に」

教育予算を抜本的に増やし、少人数学級、一方的統廃合を許さないなど教育条件を豊かに

35人学級を早期に完成させ、さらに少人数学級にすすみます――少人数学級は、子どもの悩みやトラブルに対応するうえでも、子どもの発言の機会がふえるなど学習を豊かにするうえでも、重要な教育条件です。欧米でも20人から30人学級が当たり前です。ところが安倍政権は、国会が全会一致で決議した〝小中学校の35人学級の全学年実施〟に7年連続で背を向け、35人学級を小学校1年と2年でしか認めていません。国としての35人学級を早期に全学年で実施し、地方独自の教員加配などの措置とあいまって、少人数学級を推進します。さらに国として学級編制を30人、将来的には20人台に改善することをめざします。高校でも同様に35人学級を早期に実施し、さらに少人数の学級編制をめざします。

一方的な学校統廃合に反対し、小規模校の存続を支援します――政府は、教育予算削減のために学校統廃合の推進を打ちだしています。しかし、小規模な学校は子ども一人ひとりに目が行き届くなどの優れた面があるとともに、地域の維持と発展にとってかけがえのない役割があります。統廃合は、地域の教育力の衰退、子どもの長時間通学、いざという時の安全面の不安などでもデメリットがあります。子どもの教育を後退させ、地域の存続を危うくする一方的な統廃合に反対するとともに、小規模校を地域に残して充実させ、地域づくりを進めるとりくみを支援します。

小中一貫校、中高一貫校について――小中一貫校、中高一貫校導入は様々なケースがあり、子どもの成長・発達にとってどうかから、その是非を判断します。安倍政権のすすめる「小中一貫校」構想は、学校統廃合をすすめることが最大のねらいです。しかも小学校高学年の自覚などこれまであった子どもの成長に有益なものが失われる、学校がマンモス化する、中学のテスト体制や厳しい管理が小学校に拡大するなど多くの問題をかかえています。

学校予算の差別化に反対します――この間すすめられてきた「小中一貫校」、「スーパーハイスクール」などは同じ公立学校でも破格の予算がつけられています。こうしたやり方は、教育格差を助長しかねません。すべての学校の教育条件の向上を重視します。

スクール・ソーシャルワーカー、カウンセラーなどの配置をすすめます――欧米の学校では先生以外に多くの専門職員が配置され、子どもの育ちを支えています。アメリカでもイギリスでも教員とほぼ同数の専門職員が配置されています。ところが日本は教員数の七分の一しか専門職員がいません。カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーは、現在のようにたまにしか学校に来られない非常勤ではなく、学校に常駐できる常勤職員とし、定数化します。事務職員、用務職員などの必要な職員を定数化して十分に配置するとともに、職の専門性・独立性を尊重した待遇とします。

保健室を充実させます――学校の保健室は、医師、カウンセラーなどの専門家と連携して、子どもの心身を支える、多様でかけがえのない役割を果たしています。しかも、不登校やいじめなどが増加する一方、「起立性障害」など子どもたちの心身の様々な不調が広がっているだけに、手厚い体制が求められています。養護教諭の複数配置をすすめるなど拡充をすすめます。

クーラー設置、トイレの改善をすすめます――この間、保護者らの運動によって、クーラー設置のための予算がつき(2019年補正予算)、教室への設置が各地で進みました。しかし、国の単価設定が低すぎて自治体に重い負担となっています。国単価の引き上げなどの拡充を求めます。トイレの洋式化等の改善は、学校が避難所となることを考えても急がれています。予算措置をつよめ、トイレの改善をすすめます。

学校の防災拠点としての整備をすすめます――非構造部材(天井材、内外装材、照明器具等)の耐震化は小中学校の約4割しか実施されていません(2018年8月現在)。避難所・防災拠点として必要な水や燃料、毛布などの整備も十分ではありません。それぞれ国の制度を拡充・確立し、整備を進めます。

学校校舎・施設の老朽化への対策をすすめます――築25年以上の学校施設は約七割にも達し、雨漏り、壁に穴、外壁落下、トイレの悪臭など、子どもたちの安全にかかわる事態にもなっています。老朽化対策に必要な予算が確保されず、整備できないことを学校統廃合の口実とする自治体さえあります。学校施設整備の予算を増額し、補助率と補助単価を引き上げるなど、校舎・施設の老朽化対策を抜本的に強化します。

学校給食を拡充します――安全性やアレルギー対応、質の確保の上で問題の多い民間委託やデリバリー方式を見直し、安全で豊かな学校給食のために給食の地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。学校給食費の未払いをすべて保護者の責任にするのではなく、無償化の方向を検討するとともに、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめるようにします。また、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一名配置します。

デジタル教材について――デジタル教材の文字や図表等の拡大機能や音声による読み上げ機能は、弱視や発達障害等の子どもたちの学習を効果的に行ううえでのメリットが認められる一方、子どもの健康への影響、教育効果の程度について多くの問題点が指摘されています。〝デジタル教材導入先にありき〟でなく、関係者や研究者らによってメリット・デメリットをはっきりさせながら、導入する場合は、教員の判断の尊重と、保護者負担とせず公費負担とすることを原則とします。

公立図書館を充実させます→別項の分野別政策「50 図書館」

学校図書館に学校司書を配置します――学校図書館に専任・専門・正規の学校司書を配置できるよう国の財政措置を充実させます。学校図書館は、子どもたちに豊かな読書、調べる楽しみ、知る喜びを保障し、教師には豊かな授業展開のための情報や資料を提供します。特定の資料を排除する動きや、読書を強制するような政治的介入は許しません。当面、自治体が任用する司書を一校一名配置することを求めます。

社会教育施設の首長部局への移管を許さず、社会教育を拡充するとともに、表現や学習の自由を保障します――図書館、博物館、公民館などの公立社会教育施設は、教育の中立性、継続性、安定性の確保の観点から教育委員会が所管してきました。ところが先の国会で(2019年5月)、地方自治体が条例を制定すれば、図書館などの所管を政治的中立性などがもともとない首長部局が所管できるよう法改悪がされました。社会教育は住民の学習権を保障するとともに、地域のコミュニティーの形成、子どもや親への支援など多くの役割をはたしています。そうした役割が発揮できるよう、社会教育施設の首長部局への移管を許さず、社会教育予算の削減や施設の有料化、公共施設再編計画の下での社会教育施設の廃止再編をやめさせ、公民館などの増設をすすめるとともに、社会教育主事など職員の増員をはかります。住民の学習の場である社会教育には表現の自由、学習の自由が不可欠であり、その侵害につよく反対します。

外国人の子どもへの教育条件の整備をすすめます――このほど国は、日本に居住する外国籍で義務教育年齢にあたる子どもたちのうち、学校に通っていない子どもたちは約1.8万人にのぼることを明らかにしました(文科省推計)。内外人平等を保障した国際人権規約、子どもの権利条約にもとづき、公立学校への受け入れ体制の整備、外国人学校への支援、日本語教室設置、公立高校への入学資格の改善など在日外国人の子どもの教育を保障します。子どもの生活のためにも、外国人の賃金未払いや劣悪な労働条件の改善、福祉・医療を受けやすくするとともに、地域での共生をすすめます。

公立夜間中学の開設を推進します――夜間中学は、戦争の混乱や経済的な理由により教育を受けられなかった多くの人、不登校の子ども、障がい者、中国帰国者・在日外国人らにとってかけがえのない義務教育の場となっています。ところが公立夜間中学は全国にわずか33校しかありません。16年12月に成立した教育機会確保法を生かし、全県での協議会設置と公立夜間中学開設を急ぎます。また、就学援助の年齢撤廃、夜間中学の教員配置と研修保障、在校生の八割を占める外国籍の生徒に対応した日本語指導教員等の配置、バリアフリー化、自主夜間中学への公的支援の実施をすすめます。

特別支援教育・障害児教育を充実させます

 障害のある子どもの教育は、その子どもの成長し発達する権利を保障し、障害のある人々の「社会への完全かつ効果的な参加」を実現するものでなければなりません。その立場から、以下の政策の実現をめざします。

特別支援学校の教室・教員不足の解消をすすめます――特別支援学校に在籍する子どもが急増しているのに行政が学校建設を怠った結果、各地で「特別教室が潰され普通教室に転用」「普通教室をカーテンで仕切って二学級が使う」など小中学校では考えられないような事態がおきています。こうした狭隘化・学校の大規模化も、「生徒が増えすぎて、教職員が一人ひとりの発達上の課題や特徴をつかみきれなくなった」など、教育条件の後退の深刻な原因となっています。事態の根底には、幼稚園や小中学校、高校、大学のいずれにもある学校設置基準が特別支援学校だけないという国の差別的な扱いがあります。学校設置基準を設け、現在の狭隘化・大規模化の解消に法的な強制力をもたせます。同時に、学校建設への国の補助率を引き上げ、建設を促進し、早期に学校不足を解消します。子どもの障害の重度化重複化に対応できるよう教員を増員します。スクールバスを増車し通学の負担をへらします。必要なすべての子どもへの寄宿舎の保障をすすめます。医療・福祉など専門機関とのネットワーク、巡回相談など地域全体の支援体制をつよめます。

特別支援学級の定数を改善し、教員を増やします――特別支援学級に在籍する子どもたちの障害の複雑化に対応するように、教員定数を増やします。①学級編制基準を現在の8人から6人に改善②学級編制を通常の小中学校の複式学級のように2学年以内で行うことにより、教員を増員し、子どもの実情に応じた教員配置が行えるようにします。教員が特別支援教育についての専門性をもてるような採用、異動などのしくみを改善します。

通級指導教室の条件整備を進めます――通級指導教室は、数十万人と推定されている通常学級に在籍する発達障害の子ども、その他さまざまな事情から支援が必要な子どもの教育にかけがえのない役割をはたしています。とろこがその整備が遅れ「希望しても入れない」などの事態が広がっています。通級指導教室の潜在的ニーズを明らかにし、それに基づいた整備計画を立て、教室を増やします。「生徒10名に教員一人を配置」とするよう教員定数を改善します。

高校、大学などでの特別支援教育の体制を確立します――高校や大学、専門学校などでも特別な支援を必要とする子どもや学生が増えています。そのために必要な教員や専門的支援員の配置などの条件を整備します。

過度の競争と管理を改善し、子どもを排除しない学校を築きます――特別支援の学校や学級の在籍数がふえ続けている背景には、子どもにあった専門的な教育を受けさせたいという保護者らの願いもありますが、「学力テストの平均点アップに汲々とする」「子どもを力で押さえつける」など過度の競争と管理によって、子どもたちが通常学級にいづらい状態が広がっている問題があります。過度の競争と管理を改善し、学校をどんな子どもでも排除されない、ゆったりとした人間的な雰囲気のある場にします。

インクルーシブ教育にふさわしい教育制度の検討について――国連の「障害者権利条約」(08年5月発効)は、障害のある人が障害のない人と分け隔てなく人権を保障され、豊かに生きられる社会を実現するために、教育の分野で「インクルーシブ教育」(障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず参加を保障される教育)を提唱しています。そのためには、子どもの「最大限の発達」と「社会への完全かつ効果的な参加」とがに大切なれなければなりません。日本の教育制度がインクルーシブ教育にふさわしいものとなるよう、国民的な合意形成をはかり改善を進めます。そのなかで特別支援学校を小規模分散の地域密着型にすることなどを検討します。

私立高校の学費無償化をすすめ、私学の豊かな発展をささえます

 私学は憲法が保障する公教育のひとつであるとともに、建学の精神や独自の教育理念によって多様な教育を求める国民の要求にこたえる、かけがえのない役割があります。日本共産党は私学を応援し、その豊かな発展をささえます。

私立高校の学費無償化をめざします――国は、2020年4月から「年収590万円」(両親、中学生、高校生の4人家族で、両親の一方が働いている場合)以下の生徒に「平均授業料を勘案した水準」まで支援金を支給すると発表しました。「公私間格差は許せない」という私学関係者の声が政治を動かした大きな成果です。しかし、「590万円」という所得制限では対象となる高校生は大都市部では3割だけです。しかも、授業料以外の施設設備費などの学費負担はまるまる残されたままです。

 全員を対象とし、施設設備費なども含む、私立高校の学費無償化を進めます。①所得制限をなくします。②年収270万円以下を完全無償とします。③年収590万円以下を授業料だけでなく施設設備費まで無償とします。④年収810万円以下を授業料無償とします。➄年収910万円までを授業料半額無償とします。⑥通学費などの教育費負担をカバーできるよう、奨学給付金を人数・額とも充実させます。

奨学給付金を拡充します――高校生にたいする国の奨学給付金が始まりましたが、受給対象が少なく、その額も十分ではありません。制度を拡充して、低所得の場合に通学費や生活費まで保障できるような制度をめざします。

専任教諭の割合をふやすよう私学助成を拡充し、私学での働き方を改善します――私立高校では非常勤講師、常勤講師の割合は約四割にものぼります。常勤講師は仕事が同じなのに低賃金で、いつクビになるかわからない不安にさらされ、若い教員を使い捨てにするような制度です。教育のあり方としても深刻な問題です。若年の常勤講師を専任教諭とするよう、私学助成のしくみを改善・拡充します。「無期転換ルール」適用の前に雇止めを行うなどの脱法行為も厳しく取り締まります。私学助成を増やし、教員の増員で持ち時間数を減らすなどの、適正な労働条件が保障されるようにします。

私立中学生への学費支援制度を充実させます――国がはじめた支援制度をより実態にあったものに改善し、家計急変などで学校をあきらめることのないようにします。

私学助成をふやし教育条件の向上と経営の安定をはかります――生徒一人当たりの財政支出が公立の約三分の一という公私間格差を是正します。当面、経常費1/2助成の早期実現、校舎などへの助成の実現をはかります。

私学の自主性を守ります――「私学の自由」は、国民の教育の自由を保障する上できわめて大切なものです。2007年に自公政権が強行した「教育三法」改悪は、私学にたいする権力統制に道をひらく危険があります。日本共産党の国会質問にたいして、政府は「私学の建学の精神尊重」を認めるとともに、教員評価・学校評価を私学助成の交付要件にすることを「考えていない」と答弁しました。こうしたことをふまえ、私学の自主性を守るために全力をあげます。

東日本大震災など被災地の教育の復興、原発事故への対応をすすめます

 東日本大地震から8年目を迎えましたが、被災地では教育上も解決すべき問題が今なお多く残されています。現在進行中の福島第一原発事故による放射能汚染への対応も不十分で、子どもの被曝への心配もやみません。その後の熊本、北海道などでの地震による被害も深刻です。子どもは復興の希望です。その子どもたちの成長や安全が保障されるよう全力をつくします。

被災者の教育費や生活の心配をなくします――震災による保護者の生活基盤の破壊は、進学の断念、生活の困窮によるネグレクトなど子どもに深刻な影響をあたえます。復興の大原則として生活基盤復活を求めるとともに、被災者への返済不要の「給付型奨学金」(程度に応じて月数万円から10万円)を創設、被災者への私立高校、専修学校・各種学校、大学等の授業料減免の拡充、被災地の給食費、教材費等を復興まで不徴収とするための国庫補助、保護者の生活を支援するスクール・ソーシャルワーカーを中学校区に最低一名以上配置するなど教育の面から子どもの教育費や生活の心配をなくす手立てをとるようにします。震災によって親を失い、孤児となった子どもへの支援の体制を拡充します。

学校再建・教育条件整備を全額国の負担ですすめます――震災・津波など大規模な災害の場合、学校再建を全額国の負担ですすめるようにします。また、機械的に「原状復帰」という法令に固執せず、地元の要望にもとづいた再建を可能にします。震災に乗じて行政が学校統廃合を一方的に進めることに反対します。私立学校や専修学校・各種学校の再建や修繕も公立学校と同様の措置をとるようにします。

復興が終わるまで、被災地教員加配、被災児童生徒就学援助支援事業を継続する――災害公営住宅への転居など住環境や家庭の経済状況の変化は子どもの心に大きな影響を与え、不登校の増加もふくめ、困難を抱える子どもが増えています。原発事故のあった福島県では、多数の子どもが他県に避難するなどにより困難な状態が続いています。被災地の教員加配、就学支援事業を、政府が決めた復興期間(~2021年3月末)で廃止・縮小することなく、実際に復興が終わるまで継続、拡充します。子どもの「学力テスト」の点数アップをもって教育上の震災復興とすることは間違っています。深く傷ついた子どもの心に寄り添った教育とケア、そして震災体験をくぐりぬけた豊かな学びこそが震災復興の教育です。

原発と被曝についての科学的な教育を保障します――自公政権は2002年から、原子力発電所立地を目的とするエネルギー特別会計を使っての偏った原発推進教育をすすめていました。すでに「原発安全神話」が書かれた副教材「わくわく原子力ランド」等はわが党の追及で「見直し」となりましたが、それにかわって発行された副教材も、原発事故や安全神話への反省がなく、放射能や被曝の過小評価を子どもに与えるような内容となっています。こうした原発推進教育の影響を一掃して、原発や被曝に関する科学的な教育が自主的にとりくめるようにします。

憲法と子どもの権利条約にもとづき、教育に関する法律や制度の見直しを

 憲法26条は、国民の教育を受ける権利を定めています。憲法が規定する教育とは、教育をおこなう側の権能ではなく、子どもの学習し成長する権利がまずあり、それを満たすための社会全体の営みです。戦前のように〝教育は国家のためにある〟として時の権力が教育を左右することは、憲法の精神と相容れません。ところが、自民党は「戦後教育は間違いで、戦前の教育を再生しよう」「子どもの権利など認めてはならない」など極右的な主張を教育に持ち込もうとしています。私たちはこうした動きに断固として反対し、以下の方向で、憲法や子どもの権利条約の精神に基づく教育に関する法律や制度の見直しを進めます。

子どもの権利条約を教育に生かします――子どもの権利条約は、日本政府も批准しており、その精神と各条項を、政府、自治体ともに遵守することは当然のことです。ところが、日本政府は、「極度な競争的教育制度」の是正や子どもの「意見表明権」の保障などを求めてきた子どもの権利委員会による日本政府への勧告を無視し続けてきました。こうした姿勢を転換し、「子どもの最善の利益」「意見表明権」「余暇・休息、遊び、文化の権利」など子どもの権利を学校などあらゆる教育の場で生かし、それに反する制度や法令を見直します。子どもたちが学校などで同条約を学べるようにするとともに、条約とそれに基づく子どもの権利委員会勧告を教職員や行政関係者などに周知徹底します。子どもに関する施策への子どもの意見反映をおこなう制度をととのえます。

憲法と子どもの権利条約に基づいて、教育基本法を改めます――教育への国家的統制を進める改悪教育基本法(2006年)を、憲法と子どもの権利条約に基づいて再改正するための国民的討論を進める場を設けます。そのなかで、戦前の教育を反省し、教育の目的を「人格の完成」にすえた、戦後初期の教育基本法(1947年)の精神を受け継ぎ、発展させることを重視します。

教育委員会を住民自治の教育機関として改革します――教育委員会は、ほんらいは教育の自主性を保障するため、一般行政から独立した住民の代表である教育委員たちが意思決定する住民自治の機関です。しかし制度は形骸化し、国の言うとおりの教育を学校に徹底するための上意下達の機関となり、各地でのいじめ事件への不適切な対応や事実関係の隠ぺいに見られるような、子ども不在の風潮がひろがっています。①教育委員たちが保護者、子ども、教職員、住民の不満や要求をつかみ、自治体の教育施策をチェックし、改善する役割をはたす、②会議の公開、教育委員の待遇改善や支援、教育への見識や専門性をもつ人物の確保など、教育委員会の役割が実際に果たせる体制をつくる、③政治的介入から教育の自由と自主性を守る、④憲法と子どもの権利条約の立場にたって行政を行う、⑤将来的には教育委員の公選制などの抜本的な改革を国民的合意の下ですすめる、という五つの方向で改革をすすめます。

 安倍政権の「教育委員会改悪法」に反対する国民的共同をよびかけます 2014年4月18日(PDF)/「しんぶん赤旗」2014年4月号

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