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日本共産党

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赤旗

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48 個人情報保護、マイナンバー

2019年6月

 近年、個人情報流出が問題となっています。今年に入ってからも、ファイル転送サービス「宅ファイル便」において顧客情報約480万件が外部漏洩したほか、トヨタ自動車株式会社の販売子会社やユニクロでの顧客情報の流出や、イオンカードの不正ログインによる総額約2,200万円の不正利用も確認されています。

 また、昨年2月には横浜市鶴見区役所でマイナンバーカード78枚と交付用端末PC1台が盗まれる事件も起きており、マイナンバーの情報漏えい事案も年々増えており、個人情報保護が課題となっています。

個人情報保護法を改正し、「情報の自己決定権」を保障します

 情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすく、情報漏えいを100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。意図的に情報を盗み売る人間がいる中で、一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつかなくなります。

 2017年5月に全面施行した改正個人情報保護法は、法の目的規定の中に「新たな産業の創出」が盛り込まれ、成長戦略の一つとして個人情報の利活用を促進し、匿名化さえすれば個人情報が本人の知らない間に第三者に提供できる「匿名加工情報」制度を新設しました。

 2016年12月成立した「官民データ活用推進基本法」は、利用目的の規制や、本人の求めに応じて個人情報の提供を停止する措置などはきわめて不明確なまま、個人情報の利活用を促進し、国や地方公共団体保有の個人情報を民間企業が活用できるようにしました。

 安倍政権は、この2法により、経済成長やイノベーションの促進に資するためのビックデータ利活用を進めているのです。個人情報保護をないがしろにした、民間企業の利益優先のビッグデータ利活用の推進には重大な問題があります。

 本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものです。プライバシーを守る権利は、憲法が保障する基本的人権です。とくに、現代の高度に発達した情報化社会では、国家や企業などに無数の情報が集積されており、本人の知らないところでやりとりされた個人情報が、本人に不利益な使い方をされるおそれがあります。

 日本の法律では、EUの一般データ保護規則(GDPR)が定めるような個人情報を守るための「忘れられる権利」や「プロファイリング」に関する規程が明記されていません。

――個人情報保護法を見直し、プロファイリングに対する異議申し立て権、事業者の個人情報漏えい事実の消費者への通知義務、被害救済の仕組みなどを具体化し、どんな自己情報が集められているかを知り、不当に使われないよう関与する権利(自己情報コントロール権、情報の自己決定権)を保障することを求めます。

――個人情報保護のガイドライン策定や監視・監督などを行う「個人情報保護委員会」の事務局体制や予算を拡充します。

日本共産党はマイナンバー制度の廃止を求めます

 マイナンバー制度は、日本に住むすべての国民・外国人に生涯変わらない12ケタの番号をつけ、さまざまな機関や事務所などに散在する各自の個人情報を名寄せ・参照できるようにし、行政などが活用するものです。2015年10月に付番が行われ、2016年1月から、希望者に対し、顔写真やICチップの入った「マイナンバーカード」が交付されています。

 政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、多分野の個人情報を紐づけして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険をもつ重大な問題です。

狙いは社会保障の給付削減

 もともと、国民の税・社会保障情報を一元的に管理する「共通番号」の導入を求めてきたのは、財界でした。日本経団連は2000年代から、各人が納めた税・保険料の額と、社会保障として給付された額を比較できるようにし、“この人は負担にくらべて給付が厚すぎる”などと決めつけて、医療、介護、福祉などの給付を削減していくことを提言してきました。社会保障を、自分で納めた税・保険料に相当する“対価”を受けとるだけの仕組みに変質させる大改悪にほかなりません。社会保障を「自己責任」の制度に後退させ、「負担に見あった給付」の名で徹底した給付抑制を実行し、国の財政負担、大企業の税・保険料負担を削減していくことが、政府・財界の最大のねらいです。

 日本共産党は、社会保障を民間の保険商品と同様の仕組みに変質させ、国民に負担増・給付削減を押しつけるたくらみに反対します。社会保障を“自己責任”に変える策動を許さず、国民の権利としての社会保障を守ります。

国民へのマイナンバーカードの押し付けをやめさせます

 安倍政権は、マイナンバー制度の仕組みを拡大する動きを強めています。政府がいくら宣伝しても、個人情報の漏洩やカードの紛失や盗難といった国民の不安はぬぐえず、顔写真付きの「マイナンバーカード」を取得した人は13%(19年4月現在)にとどまっています。この仕組みの失敗は明らかです。

 ところが、安倍政権は、国民の不安にこたえず、国民がカードを使わざるをえない状況をつくりだすため、①2021年からマイナンバーカードを健康保険証としても使用可能にするなどの健康保険法等改正、②戸籍事務とマイナンバー制度を結びつける戸籍法改正、③行政の手続きや業務に用いる情報を紙からデジタルデータに転換しオンライン化を原則とする「デジタル手続き法」を、今年の通常国会で成立させました。

 デジタル手続き法では、マイナンバーカード取得を促進するため、番号通知の際に郵送される現在の紙製の通知カードを廃止し、顔写真付きのカードを持たざるをえないようにしました。

政府は、マイナンバーカードを「個人情報を保護するための厳格な安全対策を講じ、高いセキュリティを確保した」「利用時には、暗証番号が必要になるから、他の人には使えない」などと宣伝してきましたが、デジタル手続き法では「暗証番号入力を要しない方式」で利用できる方法を入れ込み、個人情報保護を後退させたのです。

 さらに、安倍政権は、消費税増税「対策」として、自治体発行ポイントのマイナンバーカードへの付与を盛り込むなど、マイナンバーカード普及のために手当たり次第となっています。

 マイナンバーそのものの問題点もさることながら、国民が必要としない制度に固執し、国民にマイナンバーカードを押し付けるやり方はやめるべきです。

 政府は「利便性の向上」と言うものの、障害者や高齢者などデジタルを使いこなすことが困難な条件や環境にある人、経済的事情でIT機器が利用できない人などへの具体的な対策は、デジタルに習熟せよと求めているだけです。従来の書面、窓口での対面による手続きがなくなっていくことによる利便性後退の懸念はぬぐえません。

 デジタル化に伴う個人情報保護は置いてきぼりのまま、オンライン化された行政手続の利用は自己責任とされ、行政サービスは、使える人が使えればいいと言うことになりかねません。

 また、国だけでなく自治体も含め、ICT化する業務が増え、この5年間で情報システム関係予算は増加しており、その受注はNTT、富士通、日立といった上位5グループで全体の4分の3を占めています。一部の大企業は「IT特需」にわき、国民には負担がのしかかり続けています。

 

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