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日本共産党

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27 農林漁業

農林漁業と農山漁村の再生を国づくりの柱にすえ、国民の食料と豊かな国土・環境をまもります

2019年6月

 国民の命を支える農林漁業と農山漁村に崩壊の危機が広がっています。基幹的農業従事者の42%が70歳以上になり、農業者の減少に拍車がかかっています。耕作放棄地が広がり、生産基盤が弱体化し、先進諸国で最低の食料自給率は38%へ低下したままです。この事態を打開し、農林漁業と農山漁村の再生に踏み出すことは、日本社会のまったなしの課題です。

 今日の事態は、歴代自民党政府が、アメリカ・財界いいなりに食料の外国依存を深め、農産物輸入を次つぎに自由化、国内生産を切り捨ててきた政治に根本原因があります。

 とりわけ安倍政権の6年半は、危機に拍車をかける暴走政治の連続でした。関税ゼロを原則とするTPPの強行、TPPを上回る譲歩を含む日欧EPAの発効、日米FTA交渉の開始など歯止めなき輸入自由化は、その最たるものです。国内政策でも、農業に大規模化や競争力強化を押しつけ、中小の家族経営は「非効率」として切り捨ててきました。農地・農協・種子法など戦後の家族農業を支えてきた諸制度を次々に解体、沿岸漁場や森林を利益本位の企業に差し出す“抜本改正”を強行したのも安倍政権です。いずれも、現場の声にまったく耳を貸さず、規制改革推進会議などの財界委員の主張を一方的に採用した、安倍首相が公言する「企業が一番活躍しやすい国」づくりの農政版にほかなりません。

 こんな政治が続く限り、わが国の農林漁業に未来はありません。全国の農協組合長の96%が安倍農政を「評価しない」と答えています(日本農業新聞1月4日)。いまこそ、農業者と市民・野党が共同して安倍政権を退場に追い込み、農政の転換で農林漁業と農山漁村の再生に踏み出そうではありませんか。

世界の流れは持続可能性と家族農業重視

 21世紀の世界は「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」時代ではありません。気候変動などで生産拡大の制約が強まる一方、途上国の人口増などで需要拡大が続き、政府自身も「世界の食料需給は中長期的にはひっ迫」と予測しています。食料の6割以上を外国に頼る日本が、農業をさらにつぶして輸入依存を深めることなど許されません。

 いま、多国籍企業の利益を優先する政治が、世界的に貧困と格差を拡大し、人類社会の持続を脅かしています。農林漁業の分野でも、輸入自由化や大規模化の推進が、飢餓や貧困を拡大し、農村を荒廃させ、食の安全をも脅かしているとして見直しを求める声が世界の流れになっています。国連が、2019年~28年を「家族農業の10年」に設定し、家族農業・小規模農業への本格的な支援を呼びかけ、昨年暮れの総会で「農民と農村で働く人々の権利宣言」を採択したのは、その表れです。

 わが国が農林漁業の再生に踏み出すことは、国民の生存条件の根本にかかわり、国際社会にたいする責任でもあります。大企業の一人勝ち、大都市への一極集中、貧困と格差の広がりなど、日本社会の深刻なゆがみを正し、経済を内需主導、持続可能な方向に転換するうえでも、農山漁村の再生は不可欠です。

市場まかせでなく、国土・社会の条件を最大限に生かす政治を

 農林漁業は国民に食料を供給し、国土や環境をまもる社会の基盤です。自然条件の制約を大きく受け、自然との共生・循環の中で営まれる産業です。だからこそ先進諸国の多くは、市場任せにせず、政府が手厚い保護を行っているのです。 

 わが国には、温暖多雨な自然条件、すぐれた農林漁業技術、世界有数の経済力、安全・安心を求める消費者のニーズなど、農林漁業を多面的に発展させる条件は十分にあります。さらに、都市住民の中に強まる「田園回帰」の流れも、農山漁村再生への希望です。 

 必要なのは、国際的にも異常な「市場まかせ」の農政を根本から転換し、そうした条件を全面的に生かす政治の実現です。一部の「競争力ある経営」だけが生き残る政治でなく、すべての農業者や地域住民、農村の役割に期待する多くの国民、豊かな自然や蓄積された技術・伝統などを活かしきる政治こそ求められています。

 日本共産党は、綱領で農業を国の「基幹的な生産部門の1つに位置づけ」「食料自給率の向上」のために農林水産政策の「根本的転換をはかる」ことを掲げている政党です。アメリカ・財界いいなり政治を大もとから転換し、農林漁業の本格的な再建、食料自給率の早期50%台への引き上げを国政の柱にすえ、以下の政策の実現に全力をつくします。

日米FTA交渉を中止し、「食料主権」「経済主権」を保障する貿易ルールを

 農業の再生になによりも求められるのは、食料は「安い」外国から買えばいいとして外国産との無制限な競争にさらしてきた輸入自由化路線を根本から転換することです。

 農業には、各国の間に、国土や自然・社会条件の違いなど生産者の努力では埋めきれない競争条件の格差があります。広大な平原で営まれるアメリカなどの農業、所得水準が一桁違う途上国の農業、こうした国土や経済条件の大きな違いを背景とする安い外国産がなだれ込めば、日本の競合農産物が淘汰されるのは必然です。1960年代以降に繰り返された輸入自由化・市場開放の歴史は、それを雄弁に物語っています。

 ところが安倍政権はいま、自由化路線の総仕上げともいえる道を暴走しています。その根底にあるのは、米国の理不尽な要求に「ノー」といえず、大企業の輸出や投資の拡大を最優先する政治です。この路線ときっぱりと決別し、農林漁業の自主的な発展、各国が国民向けの食料の増産を可能にする貿易ルールの確立をめざします。

 世界の多くの国でも、競争力の弱い農産物については、さまざまな国境措置をとっています。米国との通商交渉に臨んでいるEU加盟国は、農業分野を関税交渉の対象からの除外を求めています。各国の多様な農業が共存できる貿易ルールの確立は、世界の直面する飢餓や食料、環境問題などの解決にも大きな貢献となるものです。

日米貿易交渉(FTA交渉)の中止を求める――4月から本格的にスタートした日米貿易交渉(FTA交渉)は、日本農業が身ぐるみ剥がされる場になりかねません。

 安倍政権は、この交渉を、「TAG」(物品貿易協定)であって「FTA」(自由貿易協定)ではないと強弁しています。しかし、「TAG」なる用語は共同声明や米側の発表文書になく、国民を欺くための造語にほかなりません。政府はまた、日本の農産物譲歩はTPP水準が限度と米国に認めさせたかのように説明します。しかし、交渉の出発点で農業に甚大な打撃を与えるTPP水準までの譲歩を約束すること自体大問題です。しかも相手は、多くの問題で国際合意を一方的に破棄し、「アメリカ第一」を貫くトランプ政権です。TPPでは「まだ不満」といって離脱した政権が、それ以上の譲歩を求めないことなど想定できるでしょうか。現に、トランプ大統領は5月の首脳会談の際には「TPPに縛られない」と明言し、「8月には素晴らしい結果が発表される」と妥結期限まで示しています。

 安倍首相は、4月の首脳会談では「参院選前は無理だが、米大統領選が本格化するまでには形にする」と約束したと伝えられます。選挙前には口をつぐんでやり過ごし、選挙が終わったら米国の求めるままに農産物を差し出す――。こんな国民を”だまし討ち”するやり方は断じて許されません。米国に媚びへつらい、理不尽な要求にも「ノー」と言えない安倍政権では、日本農業が丸ごと売り渡されることになりかねません。それは、今後日本が新たに協定を結ぶ国や、すでに協定を結んでいる国から同等の条件を求められることにつながり、関税撤廃・自由化への連鎖に行きつかざるを得ないでしょう。

 このような売国的・亡国的な日米貿易交渉はただちに中止すべきです。

TPP協定から離脱する、日欧EPAを解消する――TPP11が昨年末に発効して4か月、参加国からの牛肉輸入は急増しています。日欧EPAも発効直後から豚肉・ワインなどの輸入が増えています。どちらも、今後、段階的に関税の削減や撤廃、輸入枠の拡大が実行に移され、全面的に発動されることになれば農畜産業への甚大な打撃が現実化するのは必至です。生産量も農家所得も減少しないという政府の影響試算のウソはもはやあきらかです。

 政府は「万全な国内対策」なるものを強調しています。しかし、過去の輸入自由化による打撃を国内対策で防げた例はありません。国内農業をまもる「万全な対策」というのなら、なによりもTPP協定から離脱し、日欧EPAは終了通告して解消すべきです。

各国の食料主権を保障する貿易ルールを確立する――日本政府はかつてWTOドーハラウンド交渉の中で「多様な農業の共存」が可能になる貿易ルールを提案しました。08年の世界食糧危機を経て、国際社会でも、農産物の無制限な自由化を見直す流れが生まれ、各国が輸出より自国民への食料供給を優先し、農業・食料政策を自主的に決定できる権利=「食料主権」の確立を求める声が広がっています。

 アジア諸国をはじめとする二国間・多国間の貿易や経済連携にあたっては、各国の多様な農業の共存、食料主権・経済主権を尊重するルールをめざします。

農林水産物の輸出拡大でなく国内供給に重点を――安倍政権は、「攻めの農政」と称して農林水産物の輸出拡大に力を入れ、1兆円目標に近づいたと自慢します。18年の農林水産物の輸出額は9068億円に増えましたが、輸入額は10倍強の9兆6688億円に拡大しています。「攻めの農政」は、足元の国内需要が外国産にどんどん「攻められる」ことから目をそらした議論です。しかも輸出増といっても外国産を原料にした加工食品などが多く、国内農業の生産拡大にはほとんど結びついていません。個々の産地や農業者などによる輸出拡大の自主的努力は尊重されても、食料輸入大国の日本の政府が力を入れるべきは国内需要を満たす農業生産の拡大です。

ミニマム・アクセス米の輸入を中止する――わが国に米輸入を強要するミニマム・アクセス制度はきっぱり廃止すべきです。ミニマム・アクセスは、WTO協定上は最低輸入機会の提供にすぎず全量輸入は義務ではありません。当面、「義務」輸入は中止します。

価格・所得保障を再建し、安心して農業に励める土台を整える

 農業や農山村の再生にとって不可欠なのは、大多数の農業者が安心して農業に励み、農山村で暮らし続けられる条件を広げることです。現に農業に従事している人はもちろん、後継者や非農家からの新規参入を増やし、深刻な担い手問題を解決するうえでも、決定的です。

 その最大の柱は、農産物の価格保障を中心に所得補償を組み合わせることです。

 農業は、自然の制約を受け、中小経営が大半であることから、他産業との取引条件が不利であり、政府による下支えがなければ経営は維持できません。なかでも農産物の価格保障は、農業に豊凶変動や価格の乱高下が避けられないなか、農業者に再生産を保障し、意欲と誇りを取り戻し、食料自給率を向上させる基礎的条件です。農業大国であるアメリカでさえ主な農産物に生産費を保障する仕組みを二重三重にもうけています。

 日本共産党は、農畜産物の特性を踏まえて品目別の価格・経営安定制度の再建、制度の改善に取り組みます。加えて国土や環境の保全など農業の多面的な機能を評価して、農地面積などを対象にした各種の直接支払い(所得補償)を抜本的に充実します。

米価の下落の不安をなくし、生産と価格の安定をはかる

 国内保護の削減を義務づけたWTO体制のもとで、日本政府は、先進諸国の中で率先して価格保障などの切り捨てに走り、市場まかせの農政への転換を進めてきました。その影響が最も深刻に表れたのが、国民の主食であり、わが国農業の柱でもある米の生産です。

 政府が米を市場原理にゆだねた1995年以降、生産者米価の下落が始まり、94年産で全国平均1俵(60㌔)2万2000円を超えていたのが、2014年には1万2000円と半値近くまで低下しました。全国平均の米生産費1万5000円を大幅に下回り、大多数の米農家が「米作って飯食えねえ!」という窮地に追いやられました。15年産以降、米価が回復傾向にあるとはいえ、大多数の農家で米の販売価格が生産コストを下回る事態に変わりはありません。17年産の米の年間総産出額は95年と比べ約1兆5000億円も減少、この間のわが国の農業総産出額減少(1兆1000億円)を上回り、地域経済の疲弊を深刻化させました。

 安倍政権は18年産から、政府による米生産数量目標の配分の廃止と米直接支払交付金の廃止を強行しました。前者は、米の需給安定への政府の役割を投げ捨てたもので、米価の暴落や乱高下の不安を拡大しています。後者は、米農家から10㌃あたり7500円、総額714億円(17年産)にのぼる所得を奪い、稲作依存度の高い大規模経営・集落営農組織ほど深刻な打撃を与えています。農政の矛盾が集中的に現れている米作・水田農業の危機を打開することは、農業再生の出発点です。

米の需給や価格の安定に政府が責任はたす――米の生産数量目標の配分に政府が関わり、豊作などで余剰米が発生した場合には政府買い入れ量を増やすことなどによって需給と価格の安定に責任を果たします。複数年契約を含めて年間を通じて計画的に集出荷・販売する業者・団体にたいして金利・倉庫料など必要な助成をおこないます。

米価に「不足払い」制度を導入し、戸別所得補償を復活する――米農家に生産費を保障するため、過去5年平均の生産コストを基準として販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」を創設します。当面、米直接支払交付金を元の水準(10㌃1万5000円)に戻して価格変動支払いも復活するなど農家に歓迎されていた戸別所得補償を復活します。

水田での食用米以外の増産に力を入れる――水田を主食用米以外の生産に積極的に活用することは水田の多面的利用、食料自給率の向上に不可欠です。米の生産調整は、水田における麦・大豆・飼料作物などの増産と一体で取り組みます。水田の乾田化などとあわせて転作作物の条件を思い切って有利にするなど、増産できる条件を整えます。

 麦・大豆・飼料作物などの助成金を10アール平均で5万円(現行3万5千円)に増額し、地域農業の実態をふまえて配分できるようにします。米粉・飼料用米には、10アール平均8万円を助成し、原料として受け入れる地場の加工企業などへの支援を強め、増産に見合って輸入を抑制するなど安定した販路・需要先を確保します。

 水田の総合的な利用を農業者などが長期的な視野で取り組めるよう、米以外の作付けに対する助成水準、各種の支援策を恒久的な制度にします。

酪農・畜産など――酪農・畜産は、外国産との競争に圧迫され、離農の増加による生産基盤の縮小に歯止めがかかりません。大規模化に偏重した従来の政策は輸入飼料に依存した畜産経営を広げ、地域環境を悪化させ、農家に過重な労働や過大な投資をもたらすなどの矛盾を広げてきました。規模拡大一辺倒から日本の大地に根ざした循環型の多様な畜産経営を支援する方向に転換します。飼料作物の増産を支援するため、水田・畑・採草地への直接支払いを拡充し、飼料用米の保管・流通施設など飼料の広域流通体制を整備します。

野菜・果樹、甘味資源など――現行の野菜価格安定制度の対象品目や産地を拡大し、保証基準価格を引き上げる、事務を簡素化するなどの改善・充実をはかります。加工向け生産や自治体が行う特産物の価格安定対策に国の支援を強めます。

 ミカンやリンゴなど果実生産は、豊作時に加工に向けることで生果の需給調整が可能になるよう、輸入原料の規制とあわせて、加工向け果実価格安定対策を創設します。てんさい・ばれいしょ、さとうきび・かんしょなどの加工原料は、生産・製造コストと販売価格の差額を補てんする現行の対策を充実し、再生産が可能となるよう支援を強めます。

麦・大豆――自給率の極端に低い麦・大豆の増産は急務です。土地条件の改良や栽培技術・品種の改善、加工・流通への支援などとあわせて生産費と販売価格の差額を補てんする交付金制度を復活し、充実させます。国産を活用したパンや加工品の学校給食での普及・拡大を支援し、国産麦や大豆の需要拡大にとりくみます。

農業の多面的機能に着目した直接支払い(所得補償)を拡充する

 EU諸国では条件不利地の農家所得の大部分を補助金が占めるなど手厚い保護で山間地などの農業・農村を維持しています。わが国の農業生産の4割を担う中山間地では、過疎が進行し、生活や生産の条件がいっそう悪化しています。これらの地域を維持するために、従来の支援措置を思い切って拡充します。

 中山間地域等直接支払い制度を、高齢化が進む実態を踏まえて、集落協定の要件の緩和、対象地域の拡大、協定期間の弾力化、事務手続きの簡素化などを進めます。高齢者率の高い集落への支援や樹園地などには条件不利に応じて補償水準を手厚くします。

 農業者は、農業生産のなかで畔の草刈、農道や用水路の整備、お祭り、消防など地域の環境や文化を守る多面的な役割を担っています。農業のもつ多面的な機能は、こうした農業者の無償労働で国民に提供されてきたものです。これを正当に評価して、水田・畑地・樹園地など地目に応じた直接支払い(所得補償)を実施します。その際、農家や集落営農組織など一経営あたりの受け取る最高限度をさだめ、多くの農業者の定住を支援します。

収入保険制度を改善する――19年度から導入された収入保険制度は、加入対象を販売農家の約2割にすぎない青色申告者に限ったうえ、補てん基準となる収入も過去5年間の平均の9割であることから、価格下落が続けば、基準収入も下がる仕組みで、加入農業者の安心を保障するものとは言えません。収入保険への加入はあくまで農業者個人の選択にゆだね、おしつけるべきではありません。さしあたって、対象者を青色申告者に限定するのをやめ、基準となる収入も生産コストと関連させるなどの改善をはかります。

主要農作物種子法を復活し、種子の開発・普及に公的機関が責任をもつ

 安倍政権は昨年4月、米・麦などの種子の開発・普及は都道府県の責任としてきた主要農作物種子法を一方的に廃止しました。種子の供給が民間企業に委ねられ、種子代の高騰を招き、多国籍企業の支配に道を開くことになりかねません。これにたいし、従来の仕組みを守るために独自の種子条例を制定する動きが全国の自治体で広がっています。

 種子は農業にとっての基本的な資材です。公的機関が主要な種子の開発・普及などに責任を持ち、農業者に優良で安価な種子の供給を将来にわたって保障する法制度が不可欠です。昨年の国会で野党と共同して提案した種子法復活法案の成立をめざします。

種子の自家採取を原則禁止とする種苗法「改正」に反対する――政府は種子の「自家増殖」(農家が種を取り翌年それを利用する)の原則禁止を打ち出し、種苗法を「改正」するといいます。国連総会が採択した「農民の権利宣言」は、種子の自家増殖や販売、利用などは農民の権利と明確に定めています。それに反する種苗法の「改正」には反対します。

 伝統的な農業や地域品種など多様な種苗を掘り起し、広げることを援助します。

選別・淘汰でなく、多様な担い手の育成に総力をあげる

 戦後の農業を支えてきた世代の「引退」が加速し、次代の担い手確保がどこでも差し迫った課題です。農業の「成長産業化」を叫び、中小の家族経営は「競争力がない」として支援の対象から締め出す安倍農政のもとでは、担い手減少に拍車がかかる一方です。地域や集落は維持できなくなり、食料自給率の向上など絵に描いた餅です。国連「家族農業の10年」に呼応し、家族農業・小規模農業を大事にする農政に転換します。

多様な家族経営をできるだけ多く維持する――大規模化が進んでいるとはいえ、農業と農村の多くが、専業や兼業など大小多様な家族経営やその共同で成り立っていることに変わりはありません。今後の担い手対策も、営農条件の改善と一体で、多様な家族経営を数多く維持することを目標にします。農業の「経営安定対策」や各種の補助金は、大規模化や「法人化」を条件にせず、地域に存在する「続けたい、やりたい人(法人を含む)」すべてを対象にします。自治体や農業団体などが行う、中小農家や新規参入者の機械・施設(中古を含めて)のリース事業などを支援します。

地域農業を支えている大規模経営・集落営農を支援する――今日、離農者の農地を預かり、農作業の一部を請け負う大規模経営・集落営農は、地域を維持し、農地を保全する大事な役割を果たしています。その中には、安倍農政のもとで経営不安を抱え、中心的な働き手が高齢化し、営農継続が困難な経営も少なくありません。地域農業を支える大規模経営の役割が将来にわたって持続できるよう、支援するのは当然です。大型機械・施設の導入・更新などへの助成、リース制度の拡充、低利融資、負債の利息補給、土地改良負担の軽減などを実施します。生産組織に対する支援は、地域の自主性を尊重しながら、複雑な資金管理や実務が負担にならないよう、行政や農協による支援を強めます。

新規就農者総合支援法を制定し、新規就農者の確保・育成に総力をあげる――農家や集落の次世代への継承が困難な地域が広がる中、農家子弟のUターンや都市住民のIターンなど新規参入者の確保・育成に思い切った対策をとることは急務です。

 近年、都会から農村に移住し、集落の農業や地域づくりに参加する若者が増えています。リーマンショックや3・11後に強まった「田園回帰」といわれるこの動きは、国民のなかに価値観の変化が生まれ、人間らしい働き方や暮らし方を農業と農村に求める若者が一定数いることの表れです。営農条件が抜本的に改善され、新規参入者への支援が本格的に強まれば、農業や集落の新たな担い手が大幅に増える可能性があることを示しています。

 日本共産党は、「新規就農者総合支援法」を制定し、営農定着までの生活費の支援、就農希望者の研修・教育機関の整備、農地や住宅の確保、資金、技術の提供、販路確保などに国・自治体・農業団体などが一体となった総合的な支援体制を確立します。青年就農者給付金(農業次世代人材投資事業)の要件を緩和して拡充、農業者大学校や各種農業研修制度への支援を強めます。中山間地での定住者・移住者にたいし、営農と暮らしの両面から特別な支援を行い、定年帰農者などに小規模な農機具、施設のリース制度などを創設します。

雇用の面からも就農を広げる――農業法人に雇用される形で農業に従事する人も増えています。農の雇用促進事業を抜本的に拡充し、就農希望者を雇用する大規模経営や団体、法人を支援し、雇用の面からも就農を広げます。

多様な形態で「農」に関わるグループ・個人を支援する――生業としての農業だけではなく、市民農園や体験農園、学校・福祉農園、グリーンツーリズム、農業ボランティアなど、様々なチャンネルで国民が農業・農村に触れ、生産に関わるようになっています。これらも、農業・農村の多様な担い手の1つと位置づけ、支援します。

農業公社などへの支援を強める――耕作放棄地が広がる中山間地などで、農協や自治体の出資する農業公社などが耕作を引き受け、中小農家の維持や農地の保全、新規参入者の支援などに努める場合、その経費を国が援助します。

財界主導の農協「改革」を中止し、農家の共同や農協の役割を重視する――今日の農村で中小農家の経営が成り立つためには、農産物の共同販売や資材の共同購入などが欠かせません。担い手の育成、集落営農への支援、資金の確保、生活物資の供給など農村社会のインフラとしての総合農協の役割も重要です。

 安倍政権の農協「改革」は、農協に営利企業化を押しつけ、農業者や地域をバラバラにするものです。とりわけ、単位農協からの信用・共済事業の分離、准組合員制度の見直しなどは、総合農協を解体に導き、農業・農村市場への農外企業の進出の道を広げることをねらったものです。このような農協「改革」のおしつけに反対し、農協の自主性・独立性を尊重、組合員・役職員が力をあわせて協同組合としての原点に立った役割を果たせるよう、国や自治体も協力し、支援します。

農外企業による農地取得・利用を厳しく監視する――農地制度の規制緩和で農外企業の農地進出が増えていますが、もうけ第一の企業がねらうのは優良農地であり、そこで営んでいる農家や集落営農と競合し、追い出すことになりかねません。地域外の企業の参入・農地取得は、地域に密着した法人とは区別し、監視と規制を強めます。国家戦略特区の名で農地法の規制を形骸化し、一般企業の農地所有に道を開くことには反対します。

 農地の維持・管理や利用調整などについて、現場の人や農地事情に精通した農業委員や農協などの役割を重視し、その権限を強めます。

農地中間管理事業を条件不利地でも活用できるよう見直す――農地中間管理事業は、耕作条件が悪く当面借り手がみつからない農地を対象にしないため、中山間地などでの農地遊休化の防止には役立ちません。条件不利農地についても事業の対象にし、借り受けた農地は団地化など必要な改良・整備を行い、地域の担い手に優先的に貸し出せるよう、制度を見直します。そのために必要な予算や人的体制を整備します。地域内での貸借等については市町村長の判断で可能にするなど手続きを簡素化します。農業委員会の事務局体制を強化し、委員手当も引き上げるなど必要な予算を確保します。

国連「家族農業の10年」キャンペーンを強める――家族農業への支援策の拡充とともに、「家族農業の10年」の意義や小規模・家族農業の役割についてキャンペーンを強め、農業・農民・市民団体などによるイベントなどを政府・自治体が支援します。

消費税増税を中止する――大多数の農業者にとって、消費税は、生産費の上昇分を農産物価格に転嫁できず、赤字でも身銭を切って払わなければならない営農破壊税です。所得の低い人に重くのしかかる最悪の不公平税制です。国内経済が後退局面に入る中での増税は愚の骨頂であり、最悪の景気破壊税です。“軽減税率”の導入も、インボイス制度の導入が前提とされ、これまで免税業者であった農業者の多くが取引から排除されるか、課税業者への転換を強いられます。構成員の多数が免税事業者である産直組織や直売所なども、出荷者が課税業者に転換しなければ、仕入れ額控除ができなくなり、大きな負担を強いられます。農業者にも大きな負担を強いる消費税10%への増税中止を強く求めます。

多発する災害に対し、農業経営の再建を全面的に支援する

 近年、自然災害による甚大な被害が続発し、農山漁村の崩壊に拍車をかけています。逆に、農山漁村や林業の荒廃は社会の災害への対応力を弱めています。この点からも、農林漁業と農山漁村の再生は急務であり、被害が発生した場合、復興に迅速に取り組めるよう、万全の支援体制を準備しておくことが求められます。

農業災害補償制度の充実をはかる――農業共済における米・麦などの当然加入制度が廃止になり、組合員の減少による共済組合の事業の縮小・弱体化が懸念されます。災害時に農業者の経営を維持し、地域農業を支える農業共済事業の重要な役割が引き続き発揮されるよう、加入者の促進、事務費の援助などを支援します。

被災農林漁業者の早期の営農再開を支援する――自然災害によって重大な被害が発生した農業者に対して、災害の規模や地域的広がりに関わらず、「離農者を一人も出さない」立場で被災農業者経営体育成支援事業を迅速に適用し、早期の営農再開を支援します。林業や漁業でも、経営再建に必要な施設や機械の復旧・更新・整備にたいし,農業における経営体育成支援事業に匹敵する手厚い支援制度を創設します。

東日本大震災からの復興を急ぐ――震災後8年が経過し、一部地域を除いて、農地や施設の復旧・整備が進んでいますが、新たに生まれた大規模農業法人などで不安定な経営状況が続いています。支援の対象を希望する農家すべてが営農を再開するか、集落営農法人等に参加できるよう支援します。

原発事故被害に全面的な賠償を求める――福島第一原発事故による農林漁業者の損害のすべてを国と東電の責任で賠償することは、農林漁業を再生する最低の条件です。賠償打ち切りを許さず、農林水産物の価格低下や販売不振などの“風評被害”、事故に伴う諸経費の増加、使用できない農林地や農業施設の損失、汚染・除染に伴う精神的被害をふくめて全面的な賠償を行わせます。農用地について一筆ごとの汚染マップを作成するとともに関係機関の英知を結集して除染方法の開発・実証をすすめ、除染を急ぎます。

農林水産予算を基幹産業にふさわしく大幅に増額する

 農林水産業を再生するには、計画的な取り組みと関連予算の思い切った増額が必要です。”猫の目農政“に苦しんできた農家が、将来にわたって安心して農業に励めるようにするためにも、政策の一貫性・持続性が不可欠です。日本共産党は、食料自給率の早期50%達成をめざし、価格・所得補償の充実など必要な予算を大幅に増額します。

 一般歳出に占める農林水産予算の割合は2005年の6.2%から2019年には3.9%に低下しています。現在の国の予算規模を前提にしても、農業を「国づくり」の柱に据え、予算の位置づけを10数年前の水準に戻せば、農林水産予算を約1兆円以上は増額できます。 

 食料の増産には、水田の乾田化、用排水路やため池の維持・補修、山間地域の圃場整備などは欠かせません。土地改良事業や施設整備は、大型事業中心ではなく、維持管理・補修を重視し、地元の負担が少なく、経営改善につながる事業を重点に配分します。

農林漁業に基盤をおいた農山漁村の再生に取り組む

 農林漁業の衰退を放置し、企業誘致や公共事業、大型開発に依存した地域づくりは、企業の海外進出、公共事業の減少、原発事故などでゆきづまり、破たんしています。農山村の人口減少、地域崩壊が広がる中、安倍政権は、雇用創出や移住促進、子育て支援などをうたった「地方創生」を打ち出していますが、「選択と集中」の名で拠点都市・拠点集落への人や投資の集中、効率一辺倒の「農政改革」を叫ぶばかりで、農山村の崩壊は止められません。いまこそ大企業の利益優先の産業・国土政策を転換し、都市と農村が共生でき、農林漁業や地方経済が再生する方向に踏み出すべきです。

農林漁業を中心に地域の資源を生かした循環型の地域づくり――農山漁村には、新鮮で安全な農林水産物、地域に根づいた食文化、うるおいある田園空間、祭りや伝統芸能、自然を生かした生活技術など、都会にはない豊かな資源、営み、文化が蓄積されています。農山漁村の再生は、農林漁業を中心にしながら地域の多様な資源をフルに活用して農産加工や販売、観光、自然エネルギーなどで循環型経済をめざします。地場の中小企業の振興、子育てや福祉・介護への支援を強め、雇用や働く場を確保します。

都市住民との共同・交流・移住を進める――近年、農山漁村の価値に共感し、訪問・交流し、移住する都市住民が増えています。農山村への移住情報を提供するNPO法人「ふるさと回帰支援センター」に寄せられた18年の相談件数は4万件を超え、10年の約7倍です。都市の若者が過疎地に移り住んで農業など地域活動を支援する「地域おこし協力隊」(総務省が09年に開始)も、当初の89人から18年には5300人に増えています。都市と農村の交流が広がり、「若者が来て元気になった」という過疎集落も生まれています。

 こうした「田園回帰」の動きにたいする支援を抜本的に強め、都市との共同・共生のなかで農山漁村の再生をめざします。

「6次産業化」は地元の農林漁業者が主体に――地産地消や食の安全を重視した農林業や沿岸漁業の振興とともに地域の資源を生かした加工や販売に力を入れることも、農林水産物の需要拡大、雇用・就業の増加、農漁家の所得を増やすうえで重要です。農家や協同組織による直売、加工、観光、民宿、農家レストランなどの取り組み、福祉施設などとの共同を積極的に支援します。農業の「6次産業化」はあくまで農業者主体を貫き、連携する企業も可能な限り地場企業を重視します。

自然エネルギー開発に力を入れる――世界ではいま、太陽光・熱、風力、小水力、地熱、バイオマスなど自然エネルギーの開発が進んでいます。農山漁村に豊富にあるエネルギー資源の積極的な活用を地域経済や雇用確保の重要な柱として位置づけ、開発・普及に力を入れます。その際、地域環境の破壊にならないよう大規模開発を規制し、地域の住民や団体の共同した取り組みを支援します。

過疎集落への支援を思い切って強化する――農林漁業の振興とともに「山の駅」(仮称)など地域にあった生活拠点をつくり、コミュニティバスの運行、高齢者集落への「集落支援員」の配置などにより、地域住民の買い物や医療、福祉、教育など生活に不可欠な最低条件の整備に努めます。こうした対策を講ずる自治体に対し、国の支援を強めます。

 「地域おこし協力隊」の関連予算を大幅に増額し、受け入れる農山村の側の体制整備とあわせて協力隊員を大幅に増やします。

有害野生生物対策を抜本的に強める――増え続ける鳥獣被害は、農林漁業者の生産意欲を失わせ、集落の衰退に拍車をかけ、それが鳥獣害への対抗力も弱める、という悪循環をもたらしています。農山漁村の振興・整備が不可欠ですが、当面、鳥獣の生態や繁殖条件の調査を国の責任で行い、増えすぎた鳥獣を適正な密度に減らす地域の取り組みを支援します。鳥獣が里山に下りずに生息できる森林環境を整備するとともに国の鳥獣被害対策交付金を大幅に増やし、防護柵・わなの設置、捕獲物の利用など農林家や自治体の取り組みへの支援を強めます。大型クラゲ、ザラホヤ、トドなど新たに増えている漁業被害をなくすため、発生メカニズムの解明、駆除方法の開発に取り組みます。

都市農業を振興し、農地税制を抜本的に改める――都市内の農地は積極的に「保全すべき」ことを明確に打ち出した都市農業基本法の理念を定着させるため、固定資産税、相続税における課税評価を、現に農業が営まれている農地は農地評価を基本にします。農地に準じた課税を、農作業場や屋敷林、市民農園などにも拡大します。全国の生産緑地の8割の期限が切れる22年以降、引き続き生産緑地として維持できるよう、新たに制定された特定生産緑地制度の趣旨を農業者に徹底し、申請・適用を進めます。都市内の農地の基盤整備、直売所の設置、地産地消、学童農園、体験農園などの取り組みを支援します。

農林漁業者・消費者の共同を重視し、食の安全・安心をひろげる

 輸入食品への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など食の安全・安心を脅かす事態が後を絶ちません。「安全な食料は日本の大地から」の立場から食品の検査体制を強化し、安全基準を強めます。

食の安全より貿易拡大を優先する貿易ルールに反対する――TPP協定は、遺伝子組み換え食品の「貿易の促進」をうたい、食の安全基準は貿易の障害にならないよう“科学的根拠”にもとづいて決定し、決定過程には外国企業の注文を受け付ける、などを各国に求めています。米国の強い要求で持ち込まれたもので、日米FTA交渉ではそれがいっそう露骨に迫られるのは必至です。この点からも、日米FTA交渉は中止すべきであり、貿易拡大を優先し、食の不安を広げる貿易ルールは見直すべきです。

BSE対策を堅持し、牛肉の安全を確保する――TPP参加のための日米事前交渉で、安倍政権はBSE検査の月齢制限を20か月から30か月に緩和し、5月には、米国に忖度し、月例制限を撤廃しました。BSE検査がきわめてずさんな米国産の牛肉が無制限に輸入されることになれば、食の不安が拡大するのは必至です。BSE根絶という世界的な課題の達成のためにもBSE全頭検査は維持し、特定危険部位の除去など現行のBSE対策を堅持し、牛肉の安全を確保します。

牛成長ホルモン投与の米国産牛肉の輸入を規制する――EUが、子どもの成長異常や乳がん発生リスクがあるとして輸入を禁止している牛成長ホルモン投与の米国産牛肉を、わが国は、国内では使用を認めていないのに無検査で大量に輸入しています。米国の顔色をうかがい、国民の健康をないがしろにしたものです。国内で認めていない成長ホルモンなどを使った外国産牛肉については、EUなみに輸入を禁止します。

残留農薬等の基準を「予防原則」にもとづいて厳しくする――除草剤ラウンドアップ(グリホサート)が発がん性があるとして米国で裁判に訴えられ、モンサント社に損害賠償が命じられました。ところが日本政府は、米国の要求にこたえ、その残留基準値を大幅に緩和(小麦6倍、トウモロコシ5倍など)しました。ミツバチ群の崩壊など環境への影響が大きい「ネオニコチノイド系」農薬の残留基準値も、国際的な規制強化の流れに逆行して大幅に緩和しています。健康や環境へのリスクが懸念される農薬等について「科学的」立証がなくても「予防原則」に基づいて規制します。

豚コレラの蔓延、口蹄疫、鳥インフルエンザの発生防止に万全を期す――昨年9月に発生した豚コレラはいまだ終息の兆しが見えず、養豚農家や関係者の疲労は限界に達しています。政府は衛生管理基準の徹底、野生イノシシへのワクチン散布、周辺農場から早期出荷などの対策を取りますが、感染拡大が止まりません。地域を限定した一時的なワクチン接種も視野に入れた蔓延防止のためにあらゆる対策を検討すべきです。農家や自治体の経済的打撃も甚大であり、地域の養豚が再生できるまで国が全面的な支援を行います。豚コレラウイルスの侵入を水際で阻止するため、感染源となりうる畜産物の違法持ち込みを探知する犬を全国の空港に配備するなど国の責任で防疫対策を抜本的に強めます。

 豚コレラ、口蹄疫、鳥インフルエンザ、豚流行性下痢症、牛・豚のヨーネ病など各種感染症の発生の影響を最小限にとどめるよう、国の責任で監視体制を強めます。被害農家には、殺処分した家畜の評価額を再生産可能な価格とし、埋却までの間のエサ代の補償、出荷規制期間の減収補償、新たに導入する家畜の販売できるまでの直接所得補償を行います。

水際での検査体制を強化する――輸入食品の水際での検査体制を抜本的に強化し、食品衛生法違反の輸入食品の国内流通を根絶します。食品の原料・原産地表示をすべての加工品に実施します。食品に関する表示制度を一本化し、製造年月日表示を復活させます。

遺伝子組み換え食品、ゲノム編集食品への規制を強める――遺伝子組み換え食品の承認検査を厳密にし、遺伝・慢性毒性、環境への影響に関する厳格な調査・検証・表示を義務づけます。ゲノム編集技術による農林水産物が開発されていますが、政府は、遺伝子改変の範の囲が従来の品種改良と同じであれば遺伝子組み換え食品のような安全検査をせず、開発者が情報を提出するだけで実用化を認めようとしています。この技術は、ねらった遺伝子を効率よく改変できるとはいえ遺伝子への意図しないカ所での改編や破壊、食物アレルギーなど食の安全や生態系の影響などの懸念も指摘されています。ゲノム編集食品の実用化にあたっては、「予防原則」の立場に立って遺伝子組み換え食品と同等の規制を求めます。表示についても義務付けます。

安全で環境にやさしい食料の生産・流通を広げる――「効率化」一辺倒で農薬や化学肥料に過度に依存した農業生産のあり方を見直し、有機農業など生態系と調和した環境保全型の農業、「地産地消」や「スローフード」の取り組み、食文化の継承・発展を支援します。食の安全や環境に配慮した有機農業などに一定の基準で所得補償を実施します。

卸売市場の公正な運営をはかる――昨年の国会で、中央卸売市場の民間委託、取引規制の緩和など卸売市場の公的性格を大きく後退させる法「改正」が行われました。大手資本の農水産物流通支配をいっそう強め、大手資本に使い勝手のいい卸売市場に変質させられかねません。地方議会のチェックも困難になり、市民の声も届きにくくなります。

 中央卸売市場は、生鮮食品の流通の中心に位置し、公正な価格を形成し、生産者や消費者、地域の流通業者を守るなど重要な社会インフラです。大手資本の支配を許さず、生産者や消費者、中小の流通業者などが共同して卸売市場の公的役割を維持する取り組みを強めます。卸売市場の規制・運営なども、資本力の大きい卸売会社だけでなく、地域の生産者や中小仲卸業者、消費者などの団体が公正な立場でルールづくりに参加できるようにします。

 生産地の大型化、専作化、集出荷・流通の広域化が進む中で、市場間の集荷力の格差や供給の偏在化が起きています。中央卸売市場が広域地域を対象にした市場間ネットワークをつくり、生鮮食品の生産・流通の安定に役立つようにします。

安倍政権の「林業成長産業化」を見直し、持続可能な林業をめざす

 我が国の森林は、国土面積の3分の2を占め、木材の供給とともに国土・環境の保全、水資源の涵養、生物多様性など公益的な機能を有し、国民生活に不可欠な役割をはたしています。またCO2の吸収・固定による地球温暖化防止への寄与など「脱炭素社会」の実現にも欠かせない資源です。

 この大事な役割をもつ森林を歴史的に維持・管理してきたのが林業です。我が国の林業はいま、歴代政権の外材依存政策のもとで木材価格の低迷が続き、林業労働者が減少するなど、危機に瀕しています。それに拍車をかけるのが、森林の多面的な機能を著しく軽視し、木材供給による利潤拡大を優先する、安倍政権による林業の「成長産業化」路線です。その内容は、安価な木材を大量に供給するため、国有林・民有林問わず、植林後約50年の森林を大規模に皆伐(一斉伐採)を行えるようにするというものです。林野庁長官は国会答弁で、今後の木材需要で増加が期待できるのは、合板・集成材やバイオマス発電などの燃料材などだとして、そこへの供給量の拡大をめざすといいます。林業関係者からは、大量伐採による木材生産は供給過剰を作り出し、ただでさえ安い木材価格をさらに引き下げるのではとの懸念が広がっています。

 林業「成長産業化」路線を具体化したのが、昨年の国会で成立した森林経営管理法と、今年の国有林野管理経営法の「改正」です。森林経営管理法では、森林所有者が伐採にとりくまなければ「経営意欲がない」と決めつけ、伐採する権利を強権的に市町村に集め、もうかる森林だけを伐採業者にまかせる仕組みを作りました。この法案で民有林伐採の担い手とされた大規模伐採業者を育成するために、国有林を最長50年にわたって独占的に伐採できる権利を与える(樹木採取権)仕組みを作ったのが、国有林野管理経営法の「改正」です。この「改正」では、大規模面積を伐採・販売できる権利を伐採業者に与える一方、再造林や保育の義務を課さないため、伐れる木はどんどん切って、“後は野となれ山となれ”になりかねません。国有林の荒廃を招き、木材の供給調整機能も果たせなくなり、木材価格の下落に拍車をかけるものであり、施行の中止を求めます。

 標準伐期齢(約50年)での皆伐は、再び森林資源を枯渇させ、優良な資源づくりを放棄するだけでなく、資源の再生を困難にさせます。

 いま必要なのは、安倍政権の林業「成長産業化」路線を転換し、持続可能な森林・林業が可能となる政策です。森林の公益的機能の持続的な発揮は、森林・林業者だけでなく国民共通の願いであり、国際的な合意でもあります。植林後50年程度で伐採する短伐期皆伐一辺倒を見直し、地域の森林資源の実態に対応し、長伐期や複層林など多様な施業方式を導入し、持続可能な林業にとりくみます。

森林生態系や自然環境の保全を最優先する林産物貿易ルールをめざす――丸太や製材品などの林産物は、WTO(世界貿易機関)協定では自動車や電化製品と同じ「鉱工業製品」扱いになっていますが、多くの国が林産業育成や環境保全などのため、丸太の輸出規制を行っており、実質的に自由貿易品目でなくなっています。森林生態系や自然環境は、人間の生存にかかわる問題であり、市場まかせにする時代でありません。

 輸出国主導のWTO体制を見直し、森林生態系や自然環境の保全を最優先する林産物貿易ルール、各国の経済主権を尊重した森林・林業政策の保障を世界に提起します。TPP11、日欧EPAの発効で、かろうじて残されていた製材や集成材などの関税が毎年引き下げられ、8年後には撤廃されてしまいます。そうなれば、合板・集成材や燃料材などを扱う国内の大規模製材所・木材産業が、国産材の引き下げ圧力を強めることは必至です。国産材の需要拡大と森林・林業の再生を困難にし、自給率向上に逆行するものです。TPPからの離脱、日欧EPAの解消を要求します。

地域の実態に即した産地づくりにとりくむ――わが国の森林・林業は、亜熱帯から亜寒帯間まで分布し、植生も多様です。地域ごとに異なる歴史や自然的、社会的条件を持っており、画一的、効率一辺倒ではなりたちません。

 森林所有者の経営意欲を引き出し、素材生産、製材・加工、工務店など川上と川下が連携し、地域の実態に即した産地づくりに取り組みます。林業の基礎となる林地の地籍調査は4割台にとどり、事業の障害になっています。地籍調査と境界確定を促進し、地域の森林資源の実態に即した多様な施業方式の導入をめざします。

持続可能な森林づくりにとりくみ、自伐型林業を支援します――長期間の森林づくりを視野にいれ、自己所有や委託を受けた森林で間伐や択抜を繰り返し、森林資源の蓄積量を増やし、持続的な経営管理をめざす自伐型林業が注目されています。このとりくみは、従来型の大規模林業と違い、多くの林業従事者を生み出しています。現に都市部から、過疎地の市町村に移住して自伐型林業に従事する若い世帯が増加しています。こうした動きに注目し、50を超える自治体が独自の支援策を講じています。地域の活性化に役割を果たしている自伐型林業を支援します。

地形や自然環境に配慮した林道・作業道の整備などにとりくむ――生産基盤となる林道や作業道の路網整備が大きく立ち遅れています。路網整備では、生態系や環境保全に配慮した技術を確立し、災害に強い路網整備をすすめます。昨今の豪雨災害による山地の崩壊の原因に、高性能林業機械による大規模伐採が原因との指摘があります。山地の崩壊をさせない地形や自然環境にあった技術の開発を国の責任ですすめます。

 また、急傾斜地では、林地保全などから架線集材システムが有効です。集材機の開発や技術者を確保し、技術の継承、発展をはかります。

林業就業者の計画的な育成と定着化、就労条件の改善にとりくむ――林業は、森林の多面的機能や生態系に応じた育林や伐採などの専門的知識、技術が必要です。基本的技術の取得を支援する「緑の雇用」や「緑の青年就業準備給付金」事業の拡充や事業体への支援を強め、林業労働者の育成と定着化にとりくみます。また、ILOの林業労働基準に即した労働条件や生活条件の改善にとりくみ、安心して働ける環境をつくります。

公共建築物や土木、道路施設、新たな製品開発など国産材の需要拡大にとりくむ――「公共建築物木造利用推進法」が施行されて9年、木造化のとりくみがすすめられていますが、17年度の全国平均実績は低層(3階建て以下)でも木造率は27.2%にとどまっています。不足している木造の設計・建築技術者の育成をすすめ、木造建築技術の開発・普及にとりくみます。建築物の仕様書に国産材の使用を明記するなど、可能な限り木造化を推進します。また、土木事業や道路施設への技術開発、新たな木材製品の開発などをすすめ、国産材の需要拡大にとりくみます。

国産材のカスケード利用にとりくみ、木質バイオマス発電のやり方を改める――良質材から低質材まで、建築や木製品、紙製品、エネルギーなど、100%有効に利用するカスケード利用にとりくみます。

 木質バイオマス発電では、固定価格買取制度で、主伐を含む間伐材に一番高い価格がつけられたことを受けて大型の木質バイオマス発電所の建設が相次ぎ、今後大量の木材が必要とされ、乱伐を招きかねません。水分を含んだままの丸太を燃焼させる装置まで開発されており、行き過ぎた木質バイオマス発電のやり方を改めていきます。

自然災害による山地崩壊や施設被害の復旧に全力でとりくむ――地震や豪雨による大量の流木や山地崩壊、施設などの被害が頻発しています。流木による二次被害防止対策や荒廃林地や施設の全面的な復旧にとりくみます。地域材を活用した仮設住宅や復興住宅の建設に力を入れるなど、地域の森林・林業の再生にとりくみを支援します。

シカ等の野生獣による食害や病虫害害対策にとりくむ――シカなどによる食害やナラ枯れなどの被害は、年間8000haに及び生態系の破壊など人間生活にも影響を与えています。野生獣の防除と捕獲、個体数の管理や病虫害の効果的、効率的な防除技術の開発をすすめます。捕獲した野生獣の食肉流通対策を支援します。

特用林産物の振興や都市住民との交流などで就労機会の確保をはかる――きのこや山菜など特用林産物の生産振興や加工・販売などのとりくみ、自然環境を活用したレクリーション、保健・休養など都市住民との交流などで就労機会の確保をはかります。

市町村や森林組合への支援を強める――市町村は、森林・林業の基本となる「林野台帳」の整備や森林整備計画の樹立をはじめ、19年度から森林管理経営法の施行によって、民有林での経営管理権の設定などが制度化され、地域の森林管理のとりくみが求められています。何よりも森林所有者の意欲を引き出すとりくみが求められています。専任の職員を配置できないような市町村も多く、森林・林業行政全般の研修など、林務職員の育成・確保をはかれるよう市町村への支援を強めます。

 森林組合の組合員が所有する面積は民有林全体の7割を占め、地域の森林整備の中心的な役割を担っています。組合員の要求をくみ上げ、市町村や地域の素材生産や製材業者などと連携し、地域林業の確立のために積極的な役割がはたせるよう支援を強めます。 

森林のCO2吸収力を評価した排出量取引で山村地域と都市部の連携を強める――国内のCO2排出量の削減を促進するため、森林の整備によるCO2の森林吸収量と、木質バイオマスを使用によるCO2排出の削減量を評価して、都市部の企業や自治体の排出削減のとりくみにおけるカーボン・オフセット(炭素排出量の相殺)に活用する制度を本格的に導入し、植林・間伐などの森林整備の資金を生み出します。 

森林環境税・森林環境譲与税を見直す――森林環境税は、森林経営管理法に基づき、地方自治体が新たに行う事務や事業の財源等に充てるために森林環境譲与税として配分されます。この税金は、2023年度末で期限切れとなる復興特別住民税の看板を掛け替えて取り続けるもので、森林の吸収源対策や公益的機能の恩恵を口実に、国やCO2排出企業が引き受けるべき負担を、国民個人に押し付けるものです。また、各自治体への配分基準において、人口指標の割合が林業従事者数の割合よりも高く設定され、私有人工林が多い市町村よりも都市部に多額に配分される問題点もあります。

 このことから、森林環境税は、森林整備に安定的な財源確保策としてふさわしいのかと林業経営の専門家もしくは有識者からも疑義が示されています。森林の公共的・多面的機能を踏まえ、森林整備のための安定的な財源は、国の一般会計における林業予算の拡充を求めるとともに、需要のある自治体への地方交付税の拡充を求めていきます。

国有林を国民の共有財産として持続的な管理経営にとりくむ――国有林は、国土面積の2割、森林面積の3割を占め、奥地山岳地帯や水源地帯に広く分布し、9割が保安林に指定され、国土保全や環境保全など国民生活にとっても重要な役割を担っています。

 国有林の公共的役割を確実に実行していくため、国有林にかかわる情報や資料を公開し、事業の計画段階から、自治体・住民、国民との連携をはかり、地域の経済や雇用に配慮した、持続的な管理経営にとりくみます。

沿岸漁業者の経営安定、地域・魚種の特徴を生かした資源管理をすすめ、水産物の安定供給と漁村地域の再生をはかる

 四方を海に囲まれ、変化に富んだ海岸線をもつ日本の漁業は、沿岸、沖合を中心に多様な形態で営まれ、豊富な漁業生産と豊かな魚食文化をはぐくんできました。世界的な水産資源の減少、海洋法条約のもとで海にたいする沿岸各国の権利が強まるなど大きな環境変化はありますが、わが国の排他的経済水域(EEZ)は世界6番目の広さがあり、漁業・水産業を地域な基幹的な産業として発展させる条件は十分にあります。

 しかし、わが国の漁業は、漁場・資源状況の悪化や漁業従事者の減少・高齢などにより、漁獲量は2010年に500万トンを下回り、その後も停滞を続けており、中小漁業者の減少、漁村地域の衰退など、深刻な事態が広がっています。地球温暖化の影響は、海水温の上昇、潮流の変化などを激しくし、漁貝類の生育、回遊にも大きな変化をもたらし、イカ、サンマ、サバ、サケなど不漁の魚種が増えています。一方、消費税の8%への増税と国民の実質所得の減少によって、割高感のある水産物の国民一人当たりの消費量は1990年をピークに減り続け、2017年には1965年(28.1kg)以降で最低(24.4kg)になっています。

 世界的にも、海洋をめぐる国際環境の変化、利益優先の開発による漁場環境の悪化と水産資源の減少、途上国を中心にした水産物の需要の増大と漁獲競争の激化などが広がっており、水産物を輸入に頼ることは、ますます困難になっています。このもとで我が国の主権を確保しつつ、国際的な資源管理を適切に進めることが重要になっています。 

 自公政府は、2018年12月の臨時国会で70年ぶりに漁業法の「抜本改正」を強行しました。その柱の1つは、沿岸漁民や漁協等に優先的に配分してきた養殖・定置漁業の漁業権を地元の頭越しに企業に直接与える道を開き、地元優先のルールを廃止することです。儲かりそうな漁場、魚種への企業参入を進め、競争力強化の名目での規模拡大をすすめるものです。政府は「漁場を適切かつ有効」に活用していれば漁協などの漁業権は維持されると説明しますが、法律から地元優先の原則を削除し、都道府県知事の恣意的な判断にゆだねることになれば、その保障はありません。

 もう1つは、資源管理について、漁船のトン数制限など漁獲能力の規制や湾・地域や魚種に応じた漁獲時期・漁獲量の規制など漁業者主体の資源管理から、政府が主導して数量を割り当てるやり方を基本にしようとしていることです。TAC(魚種ごとに漁獲可能量を規制)の対象拡大は、資源量の把握が十分にできた魚種からであり、漁船ごとに漁獲量を割り当てる仕組み(IQ)は、漁獲量の規制を受け入れた漁船だけが対象になるから乱獲にはならないといいます。しかし、大手資本のいいなりに小・零細業業者の配分が減らされ、獲りすぎによる沿岸漁場の資源の減少につながりかねません。また、IQは、譲渡が可能であり、企業など力のある漁業者への集中が避けられません。それを先取りしたのが、昨年夏のクロマグロにたいするTAC規制の強行です。政府は、大中巻網漁業などの企業的漁業に手厚く、沿岸漁民には生業を壊すような少量しか割当しませんでした。中小クロマグロ漁民の激しい抗議うけてわずかばかりの追加配分をしましたが、小規模漁業者に経営が続けられるような水準ではありません。

 3つ目は、沿岸漁業の漁業権の配分などに漁民の参加を保障してきた海区漁業調整委員の公選制も廃止したことです。

 「改正」漁業法は、多様な沿岸漁業に競争を持ち込み、儲かりそうな漁業種、漁場への企業参入を促進し、沖合漁業の大型化を推進しようとしています。規制改革推進会議の財界代表などが主導する「水産改革」の法制化であり、安倍首相のいう「企業が一番活躍しやすい国」づくりの「漁業版」です。水産庁が行った説明会では、多くの疑問と批判が噴き出しました。圧倒的多数の漁業者への説明もなく納得もえられないまま、わずか2カ月足らずの審議で強行可決したのです。

 あわせて安部自公政府は、TPP11、日欧EPAなど輸入自由化をすすめ、日米FTA(TAG)でも関税の全面撤廃が求められる危険があります。その一方で政府は、水産物の輸出企業を優遇する政策をつよめ、輸入障壁の撤廃を正当化しています。

 日本共産党は、漁業法の改悪・押しつけに反対し、家族経営と漁業者の共同で成り立っている沿岸漁業、沖合の中小漁業者が、互いに尊重しあい、資源の実態にあった持続可能な漁業を展開できる政策の確立をめざし、漁業の振興と水産物の安定供給、自給率の向上をめざします。

改訂漁業法の問題点を明らかにし、漁業者の意見を反映させる方向で見直す――漁業法の施行は、2022年度からです。沿岸・養殖漁業は、全体漁獲量が減る中でも基本的に生産を維持し、国内生産における比重を高めています。資源の減少を多様な生産や技術の開発などの努力で発展させてきました。その経験や努力を生かす方向での漁業法の見直しを主張します。地域・浜ごとに違った条件で営まれる漁業・養殖業にたいする資源管理や漁業権は、地域に定着した漁業者の優先権を保障します。都道府県が地域の実態と漁業者の意向を踏まえ決める条例づくりを奨励・尊重し、実効あるものにします。

魚価の安定、燃油・資材価格の引き下げなど漁業経営安定対策を確立する――漁業経営を安定させ、乱獲を防ぎ、資源の保全をはかるために、政府の責任で魚価安定対策を強化します。調整保管や下落時の補てんなどの漁価の下支えとあわせて、漁業共済・積み立てプラス制度の拡充などで漁業者の所得対策の確立をはかります。水産資源保全のための休漁・減船による減収補償を国の責任で充実させます。高船齢漁船の資源型漁船への代船や資源管理に適する漁法への支援、時限立法で措置されている燃油(軽油引取税など)の免税措置の恒久化など、漁業者の経営安定と消費者価格の安定をはかります。

資源管理は、沿岸漁業者・協同組織の意見を反映させ、沿岸漁民の生業を守る――資源管理について資源調査の精度を高めるとともに、各地で活動している漁業者による資源管理を生かすようにします。その際、FAO(国連食糧農業機構)の「責任ある漁業のための行動規範」が求めている「生存漁業、小規模漁業および沿岸漁業小規模漁業者の利益を考慮」し、「国連家族農業年」でも重視している沿岸漁業者・小規模漁業者と漁協の操業・経営を守ることに重点をおきます。クロマグロなど、国際的な管理体制のもとでおこなう漁獲削割り当てでは、大中巻網漁など大量漁獲の漁船への規制をつよめ、沿岸漁業の操業を優先します。公選制を廃止した海区漁業調整委員の選出に漁業者の意見を十分反映させるとともに、委員会の運営が漁業権の独占的な支配や中小漁業者を締め出すことのないようにします。

新規漁業就業者支援制度を充実させる――自治体による新規就業者にたいするさまざまな支援策が実施されています。国の新規漁業就業者総合支援事業を充実・改善するとともに、若い新規就業者に一定の期間、生活費を補てんする制度を国の制度として確立し、漁業への若い人の就業と定着をはかります。

漁業・漁村を維持する地域活動を支援する――沿岸漁業の再生とともに、漁業集落、水産業集積地の再建を、地域の計画・合意を基本にすすめます。離島を含む、漁業・漁村の環境や国土保全にはたしている役割を正しく評価し、交通網の整備、「離島漁業支援再生交付金」の充実、多面的機能を維持・増進させる地域活動への支援制度をつくります。国の予算の使い方を、漁業者の所得補償や資産物・加工品の販路の確保、地産地消の推進、産地における水産加工の振興などを重視して組み換えます。密漁、違反操業にたいする国による監視体制を強めます。

漁業と水産業を一体にした災害復旧を早急にすすめる――東日本大震災からの復旧・復興は、漁業と漁場とともに、漁港、冷蔵庫、水産加工、流通など水産業を一体にした復興は、7年を過ぎても多くの問題を抱えています。その後も、各地で台風・豪雨・海水温の上昇などの漁業被害も相次いでいます。公共・共同施設以外の漁業施設の復旧援助や、グループ補助金の適用期間の延長と要件の見直し、経営の実態にあわせた返済の猶予、漁業者や地域住民がのぞまない住宅地や巨大防潮堤の建設などを見直し、漁業活動と住民生活、景観との両立をはかる津波対策、沿岸地域づくりをすすめます。

放射能汚染対策をはじめ、水産物の安全な供給に努めるを――東電福島第一原発事故が引き起こした放射性物質による海洋汚染のため、福島県沖では8年たっても試験操業にとどまっています。禁漁が続いている河川・湖沼も残されています。放射能調査をきめ細かく行うとともに、河川・湖沼の除染、国が責任をもった情報提供などで魚介類の安全を保障し、漁業再開の条件をひろげます。漁業関係者にたいする東電による休漁の保障、施設の復旧費用の賠償とともに、操船・漁獲・加工技術の維持・継承などへの助成を国の政策としてつよめます。税関における体制を強化し、輸入食品への残留農薬検査の体制強化。海のエコラベル(MSC-持続可能な漁業)の普及など、安全な水産物の供給の取り組みをすすめます。

自由貿易一辺倒でなく資源管理型漁業を保障する貿易ルールの確立をめざす――世界の水産物消費量が増え、資源の減少があきらかなもとで、安倍政権が推し進める自由貿易の拡大は、漁業生産と漁民くらしにも重大な影響を与えずにおきません。適切な輸入規制と漁業者の所得確保など、各国の主権を尊重した資源管理と漁業の振興を保障する貿易ルールの確立をめざします。マグロ、クジラなどの漁業では、国際的な資源管理を尊重しながら、日本の伝統漁業、魚食文化を守る方向で外交的努力をすすめます。

大型開発、米軍の艦船や爆撃訓練などから漁場を守り、操業の安全を保障する――沖縄県名護市辺野古沖への米軍新基地の建設を止めさせます。干潟・藻場を破壊する沿岸域開発などを中止・見直しをすすめます。諫早湾への海水導入による干潟の再生、藻場の再生など、荒廃した漁場の保全・改善の事業をひろげます。日米地位協定の抜本改定などで米軍の潜水艦、巡洋艦による海難事故の根絶、全国各地に設定されて広域に漁船の操業を規制する米軍の爆撃訓練海域の廃止・縮小、漁協との取り決めを破る佐賀空港へのオスプレイ配備の中止など、米軍の演習などから漁船の操業と地域住民の安全をまもります。

漁業専管水域(EEZ)における外国漁船の規制、日韓・日台・日中などとの漁業協定の締結などを国の責任ですすめ、操業の安全をはかる――尖閣列島、竹島、北方領土などでは、領土問題に関連して、日本の漁民が操業の自粛や縮小を余儀なくされています。政府に、領土問題での道理ある主張をもとめ、EEZ内の大和堆での北朝鮮漁船の違法操業の排除など、政府の責任で水産をめぐる主権の擁護と漁民の権利を守る、外交交渉を推進します。

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