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日本共産党

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24 財源提案

社会保障・教育の財源は、消費税にたよらずに確保できる

2019年6月

 安倍首相は、「高齢化で社会保障の費用が増え、財政を圧迫している」「社会保障を維持するために消費税増税が必要だ」といいます。

 しかし、消費税を増税しても、社会保障は良くなりません。安倍政権は8兆円もの消費税増税を実施し、今年10月には、さらに5兆円もの増税をおしつけようとしていますが、その一方で、年金給付の削減、70-74歳の医療費窓口負担増、生活保護の削減など、7年間で4.3兆円もの社会保障の改悪を実施してきました。

 そもそも、日本の財政が悪化した主な原因は、社会保障予算のせいではなく、自民党政権が大企業や富裕層への減税をくりかえしてきたからです。消費税が導入されてから今年度で31年、その税収は397兆円にもなりますが、ほぼ同じ期間に法人3税は298兆円、所得税・住民税は275兆円も減ってしまいました。

 トランプ政権の「爆買い」要求の素で、軍事費も増加の一途をたどっています。安倍政権発足以来、7年連続の増加で、史上最高を更新しています。

 こうした税のあり方、予算のあり方を変えれば、社会保障や教育を拡充するための財源は、消費税にたよらずに確保することができます。

富裕層や大企業への優遇をあらため、「能力に応じた負担」の原則をつらぬく税制改革や、歳出の浪費をなくす改革をすすめます

 本来、所得税は所得が高いほど負担率が高くなるはずなのに、実際には所得が1億円程度を超えると逆に負担率が下がってしまいます。法人税も、実質負担率が中小企業は18%前後、大企業は10%と、いちじるしい不平等になっています。富裕層や大企業には、さまざまな優遇税制が適用されているからです。

 こうした不公平税制をあらため、「能力に応じた負担」の原則に立って税制を改革すれば、大型公共事業や軍事費などの歳出の浪費をなくすこととあわせて当面17.5兆円、将来的には23.5兆円の財源を確保できます。

日本共産党の財源提案(2019年試算)
項目 見込み額
(1)大企業優遇税制(研究開発減税などの租税特別措置・配当益金不算入制度・連結納税制度など)の見直し(タックスヘイブン税制の強化を含む) 4兆円※
(2)法人税率引き下げをやめ、中小企業を除いて安倍政権以前の水準に戻す 2.5兆円
(3)株式配当の総合課税、高額の株式譲渡所得の税率引き上げなど富裕層への証券課税の強化 1.2兆円※
(4)所得税・住民税の最高税率を元に戻す、富裕層の各種控除の見直しなど 1.9兆円※
(5)富裕税の創設、相続税率を元に戻す 1.1兆円
(6)被用者保険(厚生年金・健康保険など)の上限引き上げ
 (うち、厚生年金の標準報酬上限を健保なみに引き上げる分)
2.2兆円
(1.6兆円)★
(7)為替取引税・環境税など 1.6兆円
(8)大型公共事業・軍事費・原発推進など歳出の浪費をなくす
 (うち「思いやり予算」、米軍再編経費など)
3兆円
(0.4兆円)※
 以上の合計(当面の財源) 17.5兆円
(9)将来的には「応能負担」の原則に立ち、所得税の税率に累進的に上乗せ 6兆円
 将来分を含めた合計 23.5兆円
※「3つの提案」の財源7.5兆円に該当する項目
★このうち1兆円を、年金のマクロ経済スライド中止の財源に充当することを提案

緊急の「3つの提案」の財源に7.5兆円をあてます

 日本共産党は5月22日に、「消費税の中止 くらしに希望を―3つの提案」を発表しました。消費税10%への増税を中止するとともに、①賃上げと労働時間の短縮、②暮らしをささえる社会保障、③お金の心配なく学び、子育てができる社会―のため、7.5兆円規模の緊急策を提案したものです。当面確保する17.5兆円の財源のうち7.5兆円(表の※印の項目)は、この「3つの提案」の財源にあてます。

大企業への優遇税制をあらためます

 安倍政権以前は1兆円だった企業向けの「租税特別措置」(租税特別措置法による優遇措置)が、いまは毎年2兆円に倍増しています。中でも「研究開発減税」は毎年6,000億円前後にのぼり、トヨタ自動車1社だけで5年間に5,000億円近い減税を受けるなど、その恩恵は一部大企業に偏っています。租税特別措置以外にも、他の企業や海外子会社から受け取った配当の一部を非課税にする「受取配当益金不算入制度」や、グループ間の損益を相殺して税金を減らす「連結納税制度」など、もっぱら大企業が利用する優遇税制が多数存在します。こうした優遇税制を廃止または大幅に縮減すれば、4兆円の財源を生み出すことができます。

法人税減税のばらまきを中止し、安倍政権以前の税率に戻します

 安倍政権は、法人税率の引き下げなどで、4兆円もの企業減税を実施してきました。しかし、こんな減税をしても、大企業の内部留保を増やすだけで、賃上げにも景気回復にもつながっていません。このようなばらまき減税をやめ、中小企業を除いて、税率を安倍政権以前の水準に戻します。この間に行われた法人事業税の外形標準課税の強化は赤字企業などへの増税となっており、これは元に戻しますが、この分を差し引いても2.5兆円の財源が生まれます。

 以上の2つの措置を行うことによって、大企業の実質負担率を中小企業並みに引き上げることができます。

大株主などの富裕層に、せめて欧米並みの負担をもとめます

 富裕層の所得税の負担率が低いのは、富裕層の所得の多くを占める株の配当や譲渡益が分離課税とされ、住民税を含めても20%と国際的にも低い税率になっているからです。「アベノミクス」で株価が上昇し、株主への配当も増え、配当の分離課税による減税額は1兆円を超え、安倍政権発足前の3倍以上になっています。株式配当については、少額の場合を除いては分離課税を認めず、総合累進課税を義務づけます。これによって、富裕層の配当所得には所得税・住民税の最高税率が適用されます。株式譲渡所得に対しては、当面分離課税としますが、高額部分には欧米なみの30%の税率を適用します。

所得税の最高税率を引下げ前の水準に戻します

 所得税・住民税あわせた最高税率は、99年に65%から50%に下げられ、その後5%上がりましたが、現在55%となっています。これを元に戻し、富裕層(10万人前後)の課税所得3000万円超の部分には、65%の税率を適用します。

 各種所得控除は、控除額に税率を乗じた額が減税となるため、税率の高い富裕層ほど有利になっています。人的控除の適用には所得制限を設けるとか、社会保険料控除額に上限を設けるなど、富裕層に有利になりすぎないように、改善をはかります。

「富裕税」の創設など資産課税を改革します

 高額な株式や不動産などの資産を保有する富裕層に対して、毎年課税する仕組みの新しい資産課税として「富裕税」を創設します。中間層の負担増とならないよう、自宅用不動産や農地等には特例措置を講じたうえで、純資産で5億円を超える部分に低率で課税します。対象となるのは1,000人に1人程度の富裕層だけですが、株式資産などが増加しているもとで、1兆円程度の財源が見込めます。

 相続税の最高税率は2003年に70%から50%に引き下げられ、現在は55%です。中間層の負担増にならないように基礎控除額を引き上げるなどの措置をとりつつ、最高税率を元に戻します。

タックスヘイブンを利用した「税逃れ」をやめさせます

 税率がゼロもしくは低率の地域(タックスヘイブン=租税回避地)にペーパー会社を設立する手法による「税逃れ」が横行しています。タックスヘイブンとされる地域への日本からの投資は、公表されているものだけでも100兆円を超え、毎年数兆円の利益があると見込まれます。しかし、こうした地域に子会社をつくった場合に適用される「タックスヘイブン税制」の対象となった所得は0.4兆円程度にすぎません。海外投資に関するデータの収集と公表、タックスヘイブン税制の適用拡大などによって、「税逃れ」をやめさせます。

被用者保険の保険料上限を見直します

 サラリーマンの年金保険料は月給(標準報酬額)62万円、健康・介護保険料は月給139万円で頭打ちとなり、それ以上は、月給が何百万円あっても保険料は増えません。17年度には上場企業で年間報酬1億円を超える役員が700人を超え、その報酬額は1420億円にもなりましたが、本人が負担した保険料は推計10数億円、負担率は1%程度にしかなりません。しかも、社会保険料控除によって所得税・住民税が軽減される影響で、富裕層の実質負担率はさらに半分程度に低下します。こうした仕組みをあらため、高額所得者に応分の負担をもとめます。

 たとえば、年金の標準報酬の上限を62万円から健康保険なみの139万円に引き上げれば、労使分あわせて1.6兆円も保険料収入が増加します。このうち、これまでより多く保険料を払った人の年金給付が増える分を差し引いて、約1兆円を、年金のマクロ経済スライドの廃止のための財源に充てることが可能です。マクロ経済スライドの廃止のためには、このほかに、賃上げによって保険料収入を増やすことや、200兆円もの年金積立金を計画的に取り崩して年金給付にあてるなどの改革を進めます。

為替取引税を創設します

 多額の為替取引に対して低率で課税する「為替取引税」を創設します。東京外為市場の取引額は年間推計100兆ドル(16年)で、この18年間で3倍近くに増えています。投機マネーによる取引が増加しているからです。これに0.01%程度のごく低い税率で課税すれば、1兆円を超える税収になります。税率が低いので、通常の貿易や金融取引には影響がありませんが、短期間に多数回の取引を繰り返す投機マネーには負担となり、行き過ぎた投機の抑制にもつながります。

環境税を強化します

 石油石炭税は、「地球温暖化対策の課税」が上乗せされていますが、国際的な水準などからみて、不十分なものにとどまっており、強化をはかります。同時に、原油の国際価格高騰などの際には、課税額が少なくともエネルギー消費抑制効果があることを考慮し、税率を変動できるような柔軟な仕組みを検討します。また、低所得者や寒冷地の負担軽減策をあわせて行います。

軍事費を大幅に削減します

 安倍政権になってから軍事費は7年連続で増額となりました。トランプ政権の要求にこたえて、1機116億円もするF35戦闘機100機以上もの購入を約束したのをはじめ、総額6600億円以上のイージス・アショア、オスプレイ、滞空型無人機グローバルホークなど、アメリカの軍事企業の高額な兵器の「爆買い」が続いています。アメリカへの「思いやり予算」や米軍再編経費(あわせて年間4000億円)を廃止し、正面装備費(毎年6000億円前後)や自衛隊の海外活動予算などを大幅削減します。

大型開発中心の公共事業を、生活密着・安全対策優先に切り替えます

 安倍政権になって公共事業予算は全体として増えていますが、とくに、1件当たり10億円以上の大型工事の割合が、5年間で17.4%から26.6%へ、金額にして1.6兆円も増えています。三大都市圏環状道路や国際コンテナ戦略港湾などの大型開発の予算が急増したからです。今後も、リニア新幹線など、大型開発の浪費計画が目白押しです。こうした大型開発を少なくとも安倍政権以前の水準に引き下げ、生活密着型の事業や、老朽箇所の改修など安全対策優先に切り替えます。農業予算も公共事業中心から価格・所得補償中心に切り替えます。

 福島第一原発の事故後も、国の原子力関係予算は減らず、4,000億円前後の高い水準を維持したままです。安全対策や除染対策などを除いて、原発推進の予算は全額削除して、再生可能エネルギーなどの予算に切り替えます。

将来は「応能負担」の所得税改革をすすめます

 以上の改革を実行すれば、消費税の増税なしで17.5兆円の財源が確保され、「3つの提案」を皮切りにして、安倍政権によって痛めつけられた社会保障の建てなおし・拡充や、教育・子育て予算の大幅拡充を実施することが可能になります。

 同時に、最低保障年金の実現や、医療費窓口負担の廃止、高等教育を含めた無償化など、社会保障や教育の抜本的な改革を行う将来の段階では、大企業や富裕層の負担だけでは足らず、多くの国民が能力に応じて負担する必要があります。次に述べる経済改革を実行して、将来、国民の所得が増えた段階で、その増えた所得の一部を税として負担していただくような改革をすすめます。その場合も、低所得者に負担の重い消費税によるのではなく、所得税を中心に、「能力に応じた負担」の原則をつらぬいて、税制改革をすすめます。所得税の税率について、累進的に1.5~15%程度を上乗せすれば、6兆円程度の財源が確保できます。

国民の所得を増やす経済改革で、税収を増やします

 「アベノミクス」が大企業や富裕層の儲けを増やしただけで、多くの国民の暮らしを良くしなかったことは、多くの国民の共通認識になってきています。とりわけ、2014年4月の消費税増税によって、国民の所得も消費も大きく落ち込みました。増税から5年以上たった今でも、増税前の13年平均に比べて、労働者の実質賃金年収は18万円、実質年間家計消費支出は26万円も減ったままです(19年4月現在)。

 GDPの6割を占める個人消費がこの状況では、安定した経済成長は実現せず、税収増も見込めません。日本共産党は、大企業と株主優先の「アベノミクス」と消費税大増税に反対し、国民の所得を増やす改革をすすめます。

人間らしく働ける雇用のルールをつくり、大企業の内部留保を活用して賃上げをすすめます

 「残業代ゼロ」制度を廃止し、残業上限を法制化します。ブラック企業への規制強化、労働者派遣法を抜本改正して派遣労働は臨時的・一時的業務に限定するなど、雇用のルールを改めます。442兆円に達した大企業の内部留保を、賃上げに活用するよう求めます。最低賃金をいますぐ、どこでも時給1,000円に引き上げ、すみやかに1,500円をめざします。そのために、中小企業への支援を抜本的に増やします。

確保した財源を活用して、社会保障や教育の拡充をはかります

 前述した提案によって当面確保できる17兆円の財源を活用すれば、社会保障や教育・子育て予算の大幅な拡充が可能になります。

 社会保障分野では、マクロ経済スライドの廃止で「減らない年金」にし、低年金を底上げします。均等割・平等割を廃止して国保料を大幅に軽減します。

 子育て分野では、幼児教育・保育の無償化を消費税によらずに行うとともに、認可保育所を30万人分増設します。学校給食費の無償化、高等教育の授業料半減、給付制奨学金の大幅拡充などで、教育費の負担を減らします。

国民の所得を増やす経済改革で、安定的な成長を実現し、税収増を実現します

 こうした経済改革で、国民の所得を増やせば、それが消費につながり、経済を安定的な成長の軌道に乗せることができます。そうすれば、10年程度先には、国・地方あわせて20兆円前後の税収増が見込めます。

暮らしの充実と財政危機打開の両立をはかります

 税制や歳出の改革で財源を確保しながら、社会保障や教育予算の拡充をすすめれば、消費税増税にもたよらず、国債発行を今以上に大きく増やすこともありません。さらに、経済成長による税収増があれば、国債発行額を減らすことも可能になります。

 もちろん、これだけでは、毎年の財政赤字をゼロにすることはできませんから、絶対額でみれば政府債務残高は増えていきます。しかし、安定的な経済成長が続けば、対GDP比でみた債務残高を減少させることが可能です。

 安倍首相は、「2025年度までに基礎的財政収支の黒字化」を目標にしていますが、大企業や富裕層への優遇税制や大軍拡などに手を付けずに「財政健全化」をはかれば、結局、消費税のいっそうの大増税や社会保障の乱暴な切り捨てをすすめることになります。これでは、ますます不況になって、逆に財政危機を深刻化させます。

 日本共産党は、消費税大増税にストップをかけ、社会保障や教育の財源を「消費税にたよらない別の道」で確保するため、国民の暮らしをまもり、日本経済の未来をひらくために奮闘します。

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