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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

61、カジノ問題

――合法化反対、ギャンブル依存症問題

2016年6月


破たんに直面するカジノ推進構想 百害あって一利なし、カジノ合法化に反対します

 賭博を合法化するカジノ法案(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案)が議員立法として国会に提案されたのは2012年12月でした。それから3年半が経過しましたが、いまアジアを中心とするカジノ業界は深刻な売り上げの減少に直面し、2年連続で下落しています。国会では、カジノ法案は先送りに続く先送りです。賭博を全面的に合法化しようとするカジノ構想にたいし全国各地の反対運動も広がり、カジノ推進路線は破たんと矛盾に直面しています。

<アジアのカジノ業界は抜き差しならない苦境>

 世界のカジノ業界は、日本で導入論が本格化した2013年ころから、〝斜陽産業〟といわれてきました。その状況は、2016年にかけていよいよ抜き差しならない状況になっています。

 マカオ(中国)のカジノは、2006年に米国ラスベガスを抜いて、世界一の売り上げとなりました。ところが、マカオの売上高はここ数年、毎月前年割れとなっており、カジノ不振は、もはや慢性的となっています。その結果、マカオの税収も激減しています。

 カジノ収入が激減した最大の理由は、中国経済の成長の鈍化と、国内で進行している反腐敗運動です。これが中国の富裕層の出足に直接影響しているのです。

 こうしたなかで、マカオ資本も特別行政区政府も、「カジノ依存」から脱却する方途を模索していますが、前途多難と指摘されています。

 2010年からカジノが解禁されたシンガポールも同様です。シンガポールは、日本のカジノの〝手本〟とされてきましたが、旅行者の大幅な減少にともなって売り上げの減少に見舞われています。シンガポールのカジノ2社の2015年度(1-12月)の売上高(カジノ部門)は、前年同期比で14%減となっています。

 一方、外国人専用カジノが16カ所ある韓国のカジノ業界も、「中国人客減少で存亡の危機に直面」と指摘されるような状況です。

 アジア各国のカジノ施設が、軒並み〝総崩れ〟のような状況のもとで、日本に新たな大規模カジノ施設を誘致しようなどというのは、無謀な行為というほかありません。日本でカジノを導入する場合、成否は中国富裕層の呼び込みにかかっているとされてきましたが、カジノ導入の大前提がすでに大破たんしつつあります。

<カジノ大手は〝都会なら……〟>

 これまでカジノ誘致に手をあげた自治体は、その後、撤退の意思を明らかにしたところもふくめて、19都道府県22市(地域、村をふくむ)にのぼっています。

 それぞれの自治体がカジノ誘致に熱心になっても、日本に進出するカジノ資本は、〝かりに進出するとしても、東京か横浜、大阪以外には考えられない〟とのべています。

 日本にカジノを誘致するもっとも有力な候補の一つとされる大手「ラスベガス・サンズ」の子会社「マリーナベイ・サンズ」(MBS、シンガポール)はこの4月1日から、日本向けプロモーションを開始していますが、そのキャンペーンのために来日した同社の社長兼CEOのジョージ・タナシェヴィッチ氏は、「〔候補になる土地は〕横浜と大阪だ」「それ以外の都市を候補に入れることは基本的に難しい」と断言しています。(「東洋経済オンライン」4月8日付)

 大都市以外の地方自治体にとって、カジノ導入にほとんど現実味がないことは明白です。本来、注力すべき行政サービスを脇において、IR構想に人手や予算を割きつづけるのは、壮大なむだにならざるをえません。

 一方、上記インタビューでは、あたかも横浜か大阪で決まるかのような印象がありますが、このインタビューの見出しは、「大手サンズは、日本進出をあきらめてはいない」というもの。つまり、カジノ資本が積極的に日本に進出しようとしているわけではなく、次に見るように、カジノ法案のゆくえ次第だということです。

<次つぎと先送りされるカジノ法案>

 カジノを合法化しようという動きは2000年代当初からありましたが、これが一気に熱を帯びるようになったのは、2020年オリンピックの東京開催が決まったあとでした(2013年9月のIOC=国際オリンピック委員会総会で決定)。「東京オリンピックまでにカジノ導入を」という声のなかで、すでにみたように、全国各地の自治体によって〝わが町にカジノを〟との誘致合戦が過熱します。

 しかし、その後の動きの中でカジノ法案は次つぎと先送りされ、事実上、とん挫しています。

 2016年3月には、カジノ構想そのものであるIR(統合型リゾート)推進のために内閣官房に設置されていた特命チームが、当面、業務を中断。その理由は「カジノを解禁するIR推進法案の成立に向けた見通しが立たないため」とされます(「読売」3月22日付)。これにともなって、「専用の事務室は近く閉鎖される」(同前)方針といいます。

 2016年通常国会は6月1日に閉会しましたが、ここでもカジノ法案の成立は見送られました。すでに2015年内の成立が見送られたことから、〝東京オリンピックまでのカジノ実現〟は日程上、事実上不可能となっていましたが、オリンピックを口実にした実現の道は、完全に断たれたといえます。

 しかし、カジノ推進勢力が法案成立をあきらめたわけではありません。5月1日の民放テレビに出演した安倍首相は、依然としてカジノ推進に固執していることを、次のような言葉で示しました。

 「シンガポールとかマカオもそうなんですが、IRといった総合レジャーセンターとしてつくって大きな成功をおさめているんですね。観光地としてたくさんの人が来ていただくためには、そういうものがあったほうが、一つの目玉にはなる」

 国会のなかではカジノ推進勢力が絶対多数を占めてきましたが、カジノ法案を思惑通りに成立させられない背景には、賭博行為を合法化し、カジノで経済を活性化させようという発想自体が歪んでいるからにほかなりません。カジノ誘致に伴う国民負担や公共サービス、官僚機構と警察組織の肥大化、そしてギャンブル依存症の増加などもさけられません。

こうした大義も道理もない構想だからこそ、日本各地での反対行動も急速な盛り上がりを見せ、それがいっそう推進勢力の手足を縛ってきたことも事実です。

<「カジノ合法化」は病的賭博患者をさらに広げる>

 日本の「病的賭博」患者の比率は、国際的なカジノが存在する国や地域と比較しても際立って高くなっています。この要因となっているのがパチンコ(パチスロ)です。6種類の公営賭博の売り上げの合計は約6兆円ですが、これにたいしてパチンコ(パチスロ)の売り上げは、その3倍以上の約19兆円に達します。

 病的賭博患者をめぐっては、個々人やその周りの親しい人びとの問題だけではありません。パチンコ駐車場にとめた車内への乳幼児の放置の事件、賭博が原因となる事件・事故、トラブルが後を絶ちません。

 最近、プロ野球選手による野球とばく事件、バドミントン選手による闇カジノ事件が起き、スポーツ界にも「ギャンブル依存症」が広がっていることが明らかになりました。日本社会全体の深刻な問題です。

 こうしたときに、カジノを合法化するなどというのは、とんでもない愚挙です。カジノ推進派のなかからさえ、「カジノを合法化すれば、かならずギャンブル中毒患者は増える」と指摘されています。カジノ解禁は、世界最悪の病的賭博患者の数字を、さらに悪化させる結果にしかなりません。

 いまでさえ世界最悪のギャンブル中毒患者数をかかえる日本で、あらたにカジノを導入することになれば、その害悪はいっそう広がることは火を見るよりも明らかです。

 日本共産党はひきつづき、「カジノ合法化反対」「日本に賭博場はいらない」という人々と連帯して、カジノ法案の阻止のために全力を尽くします。

 

 

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