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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

10、年金

――無年金・低年金の解決、年金積立金の運用、最低保障年金、「消えた年金」、「一元化」・「積立金方式」

2016年6月


年金削減をストップし、無年金・低年金の解決に足を踏みだして、今も将来も信頼できる年金制度を確立します

●安倍内閣の“際限なき年金削減”に反対――年金制度の2段階の改革で、今も将来も安心できる制度を実現します

 安倍内閣は、2013~2015年度、「特例水準の解消」(過去の物価下落時のスライド停止分を取り戻す)という名目で計2・5%の年金削減を強行しました。また、安倍内閣は、小泉内閣の「年金改革」で導入された「マクロ経済スライド」を、2015年度に初めて発動し、0・9%の年金削減(マクロ調整)を実施しました。これらにより、安倍内閣発足後の4年間、公的年金は▲3・4%という大幅な目減りとなっています。消費税増税と「アベノミクス」で物価をつり上げながら、年金は減らし続けるという悪政のなかで、高齢者・国民の家計は激しく痛めつけられています。それは、地域経済の落ち込みや消費不振の大きな原因ともなり、社会全体に深刻な影響を与えています。

 安倍政権の年金削減は、これで終わりではありません。

 政府・厚生労働省は、「マクロ経済スライド」による「調整」を2040年代まで続け、現在、月6・4万円の基礎年金を受給している人の受給額を、10年後には5・7万円、25年後には5・1万円にまで減らすなどの試算を出しています。老後の生活保障の土台である基礎年金を大幅に削りこむ、現行の「マクロ経済スライド」のあり方には、社会保障審議会年金部会の委員からも懸念と批判の声があがりました。

 また、安倍内閣は、社会保障費の「自然増」を抑制するための「改革」の一環として、新たな年金制度の改悪案を連打しようとしています。

 政府は、ある年の物価が上がらず、年金改定の際に「マクロ経済スライド」で削り切れない「未調整分」が出た場合、その分を「キャリーオーバー」と称して翌年度以降に繰り越し、物価上昇時にまとめて支給を減らすという、新たな年金削減案を打ち出しました。安倍・自公政権は、この「年金削減キャリーオーバー」を盛り込んだ法案を、今年の通常国会に提出しましたが、採決は秋の臨時国会に持ち越しました。“選挙さえ乗り切れば年金削減を可決する”――これが、政府・与党の本音です。

 さらに、安倍内閣は、▽所得が一定額を超える高齢者の年金を「一部支給停止」にする法案、▽年金の支給開始年齢(65歳)を引き上げ、年金支給を先送りにする法案、▽年金課税を強化し、新たな高齢者増税を行なう法案――などを、今後国会に提出していくことを、昨年12月の閣議で確認した「社会保障改革」の「工程表」に書き込みました。

 現在、基礎年金の満額は月6・5万円、国民年金のみを受給する人の平均受給額は、月5万円というのが実態です。厚生年金も、女性の平均受給額は、基礎年金分も含めて、月10・2万円という水準に過ぎません。“貧しい年金”をさらに削る政治が続くなか、「下流老人」「老後破産」など言葉がメディアをにぎわせ、“高齢者の貧困”が深刻な社会問題となっています。国民の家計を立て直し、将来不安を解消して、経済の好循環を取り戻すには、“際限なき年金削減”にストップをかけ、年金の増額・充実をはかることが必要です。

 日本共産党は、安倍政権の年金切り捨ての大暴走を阻止するため力を尽くします。年金削減政策を中止し、低額年金を底上げして「減らない年金、頼れる年金」への転換をすすめます。最低保障年金の導入による、無年金・低額年金問題の根本的解決をめざします。

<日本共産党の2段階の年金改革案>

 第1段階として「減らない年金」を実現し、低額年金の底上げを図ります。

 「マクロ経済スライド」の発動に反対し、この仕組みを撤廃します。「マクロ経済スライド」の「キャリーオーバー」、年金の「一部支給停止」、支給開始年齢のさらなる先延ばしなど、安倍政権が推進・検討する、年金改悪の阻止に全力をあげます。物価指標を理由にした「マイナス改定」や、物価上昇率が名目手取り賃金上昇率を上まわった場合に、物価スライドを“低いほうにあわせる”仕組みなど、年金の抑制・削減につながる仕組みを見直し、「減らない年金制度」へと転換します。

 「保険料を25年間、納めないと年金を受け取れない」という現行制度をすみやかに改めます。

 年金の受給資格を得るための保険料支払期間(受給資格期間)をめぐっては、2012年の法改定で、もとの「25年」からすでに「10年」へと短縮されています。ところが、改定法の附則が、この措置の実施時期を“消費税率が10%になったとき”と規定しているために、安倍首相の二度にわたる「増税延期」で実施が先送りされ続けています。

 諸外国の年金の受給資格期間は、フランス・ベルギー・オランダ・スウェーデンが「資格期間なし」、ドイツ、イタリアが「5年」、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア、韓国が「10年」などです。日本の「25年」は異常であり、「10年」への短縮は本来、無条件に行なうべきです。しかも、資格期間の「10年」への短縮で、新たに年金を受給する人は17万人ですが、その人たちの年金支給に必要な国費は300億円に過ぎません。5兆円の消費税増税とリンクさせること自体、理不尽そのものです。

 日本共産党は、受給資格期間の「10年」への短縮を消費税増税と切り離し、すみやかに実現するために全力をあげます。

 あわせて、低年金の重点的な底上げを行います。現行の基礎年金は、受給額の2分の1を国が税財源で負担する仕組みとなっています。この仕組みを拡充し、受給者全員に定額(基礎年金満額の2分の1)の税財源を投入する仕組みにあらためます。これが実現すれば、現在、月4万円の年金を受給している人は、受給額が月5万3000円に増額されます。

 改革の第2段階で、全額国庫負担による最低保障年金制度の確立に進みます。第1段階の低年金の底上げを発展させ、保険料納付にかかわらず月5万円の最低保障額を設定し、その上に、支払った保険料に応じた給付を上乗せする制度をスタートさせます。これにより、国民年金で40年間、保険料を納めた人は、月8万3000円の年金を受給できるようになり、厚生年金も、給付水準の低い人から底上げがされていきます。

 公的年金制度のなかに、最低保障の仕組みがないのは、先進国では日本だけです。国連の社会権規約委員会からも、「最低年金を公的年金制度に導入すること」がたびたび勧告されています。最低保障年金の導入に足を踏みだせば、低年金・無年金の増大、年金制度の「空洞化」、サラリーマン世帯の専業主婦の「第3号被保険者問題」など、今日の年金制度が抱えるさまざまな矛盾を抜本的に解決する道が開けます。

 これらの改革に必要な財源は、消費税増税と別の道――①「応能負担の原則」に立った税制の改革、②国民の所得を増やし、日本経済を成長軌道に乗せる経済の改革――によって確保します。

 税制の改革では、富裕層・大企業への優遇税制をただして応分の負担を求めるとともに、最低保障年金の導入にむけ、所得税の累進課税の強化など、応能負担の原則にのっとった改革を段階的にすすめていきます。経済の改革で、非正規雇用を正規に転換し、賃上げや中小企業支援、農林水産業の再生をすすめることは、年金保険料の未納者・滞納事業所を減らし、年金財政の支え手を増やす決め手にもなります。「少子化」問題の克服は、安定した年金制度を確立するうえでも重要です。

 年金制度を2段階で充実させる改革、その財源を確保する税制の改革、「ルールある経済社会」に転換する経済の改革により、今も将来も信頼できる年金を実現していきます。

●年金積立金の株式運用反対――過大な積立金は計画的に取り崩して給付保障に

 「アベノミクス」の名で株価つり上げに狂奔する安倍内閣のもと、2014年10月、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は、運用の基本となる「資産構成(ポートフォリオ)」を変更し、それまで12%(±6%)とされていた国内株式の比率を25%(±9%)へと大幅に引き上げました。

 これまでも、年金積立金の一部は株式運用され、「実体上、PKO(株価維持策)に使われている」と批判されてきましたが、歴代政権は曲がりなりにも“年金積立金は安定運用が原則”と説明し、株式運用の比率を抑制していました。ところが、安倍首相は、ロンドンの金融街で外国投資家に“日本株買い”を呼びかけながら「年金資金の改革」を宣言するなど、年金積立金を株価つり上げに使うことを公然と宣言し、年金積立金の株式市場への投入枠を一気に20兆円分も拡大したのです。

 年金積立金の原資は国民が払った保険料です。その目的は、老後の年金を保障することにあり、安定運用が当然の原則です。高リスクの株式運用で損失が出れば、そのつけは、年金削減や保険料引き上げとなって国民に押し付けられます。

 公的資金投入による株価吊り上げは、市場をゆがめ、株価の乱高下を招きます。そうなれば一般投資家は損をし、各企業で働く労働者も苦しむ一方、ヘッジファンドなどの投機筋や銀行・証券会社は巨額の利益を得ることになります。そうした重大な問題があるからこそ、金融大国の米国ですら、公的年金の積立金で株を買うことはしていません。

 この間、日本共産党議員の追及で、GPIFの「ポートフォリオ変更」後、GPIFから委託を受けた信託銀行が、「海外投資家が日本株を売り越す局面で、大量に日本株を買い越す」など、海外投資家と真逆の動きを続けていることが明らかになりました。海外投資家が株を売り越し、株価が下がっている局面で、年金積立金が「買い支え」をしていることを示すものです。こうした動きは、年金積立金が“株価つり上げの道具”とされていることを事実で証明しています。

 また、2016年1~3月期の株価急落を受け、2015年度の年金積立金の運用は7兆円程度のマイナスとなることが予想されています。通常、各年度の積立金の運用結果は6月末か、7月初旬に発表されますが、安倍政権は2015年度に限り、運用結果の発表を2016年7月下旬にするとしています。年金積立金の損失を、選挙が終わるまでは国民の目からおおい隠そうという、姑息な情報隠しに他なりません。

 国民には「年金財政が苦しい」といって支給削減や保険料引き上げを押しつけながら、その年金の積立金を、金融業界や大企業の利権拡大のために大量投入するなど本末転倒です。日本共産党は、年金積立金の株式運用の拡大に反対し、高リスクの投機的運用をやめさせます。

 ヨーロッパ諸国では、公的年金の積立金は、給付費の数カ月分しか用意されていません。国民年金・厚生年金あわせて149・5兆円(2014年度末)――給付費の3年分という日本の“貯めこみ”は異常です。この巨額の積立金についてはこれまでも、グリーンピア(大規模年金保養基地)に代表される浪費型事業、厚労官僚の事務費や接待費、「天下り」法人に対する不透明支出などに「流用」され、国民の年金不信を高める一因となってきました。

 日本共産党は、利権と腐敗の温床ともなっている過大な年金積立金を計画的に取り崩し、報酬比例(2階部分)の給付水準を維持するために活用していきます。

●「消えた年金」「消された年金」問題を、一人たりとも被害者を残さないよう、一日も早く、国の責任で解決します

  「消えた年金」「消された年金」問題は、国が引き起こした問題であり、被害者には何の責任もありません。“被害者を一人も残さない”“一日も早く”という立場で、日本共産党は、国が解決に責任を果たすことを求めます。

 年金記録が消えたり、消されたりしていないかどうか、一人ひとりの受給者・加入者にわかるよう、国が管理・保有している情報をきちんと提供するとともに、相談・問い合わせ、記録の照会や訂正、未払い金の支払いのスピードアップなどに対応できる体制の抜本的強化をはかります。第三者委員会などでは、物証がなくても、申立てや証言などを尊重して支給することなどをすすめます。

 「消えた年金」「消された年金」問題の根本には、国民の年金受給権をまもることには無関心で、保険料徴収と納入率アップを至上命令にするという、年金行政の大きなゆがみがあります。年金をはじめ、社会保障は国民の権利であり、行政の国民の権利をまもるために仕事をするという基本原則を、行政の上から下まで徹底することが求められます。この立場で、年金保険料の流用中止、世界に例のない巨額の積立金の計画的な取り崩しと給付への充当など、年金行政の抜本的改革を進めます。

 社会保険庁解体・年金機構発足を口実に、「消えた年金」「消された年金」問題に対する国の責任を放棄することを許さず、「分限免職」した職員の再雇用をはじめ、問題解決の体制をとり、解決に責任を持つことを求めます。

●パート、派遣、契約社員など非正規雇用で働く人たちの厚生年金加入の権利を保障します

 厚生年金など社会保険に加入することは、本来、非正規雇用も含めた労働者の権利です。法人又は従業員数が常時5人以上の事業所は、正社員の4分の3以上の時間を働く労働者をすべて厚生年金に加入させる義務を負っています。ところが、この義務を果たしていない事業所が少なくありません。派遣社員も、派遣元企業に社会保険加入の義務が課されていますが、責任逃れや違法行為が蔓延しています。

 2012年の法改定で、①従業員数501人以上の企業、②週の所定労働時間20時間以上、③月額賃金8・8万円以上、④雇用期間1年以上――という要件を満たす人が、厚生年金の対象とされました。こうした改善措置を実効あるものとするためにも、低賃金や重い保険料負担の解決、雇主の違法・脱法行為の是正、低すぎる給付の引き上げなどが必要です。

 日本共産党は、経営が苦しい中小企業については社会保険料の軽減制度などをもうけて支援を行うと同時に、違法・脱法行為をなくし、非正規雇用で働く人たちの社会保険加入・厚生年金加入の権利をまもります。この問題を解決するためにも、年金制度充実の2段階の改革と、人間らしい雇用と賃金を確立する民主的経済改革に取り組みます。

●公的年金等控除改悪など“高齢者増税”を阻止し、「天引き」をやめさせます

 安倍政権は、昨年12月に閣議で了解した「社会保障改革」の「工程表」に、公的年金等控除のさらなる縮小など、“新たな高齢者増税”を税制調査会で議論する方針を明記しました。かつて、小泉政権が強行した「高齢者増税」――公的年金等控除の縮小や老年者控除の廃止は、低所得の高齢者に増税を強いるとともに、国保料(税)・介護保険料など他制度の保険料や自己負担に波及して、“雪だるま式”の大負担増を引き起こしました。

  「下流老人」「老後破産」などの言葉がメディアの話題となることにしめされるように、いま高齢者の貧困が重大な社会問題となっています。高齢者には増税・負担増の追い打ちでなく、負担軽減こそ必要です。日本共産党は、65歳以上の公的年金等控除の最低保障額を140万円に戻すとともに、所得500万円以下の高齢者について老年者控除を復活します。

 介護保険料や住民税の年金「天引き」の強制をやめさせ、各人の希望で、普通徴収などに変更できるようにします。

●「一元化」「積立金方式」を看板にした改悪に反対します

 2012年の法改定で、厚生年金と共済年金は「一元化」されましたが、厚生年金の給付や保険料負担は改善せず、共済年金受給者の一部が大幅な年金減額となるなど、メリットは何もありませんでした。社会保障費削減路線の枠内で、保険者組織を統廃合するだけでは、結局、“保険料は高い方に、給付は低い方に”という改悪がすすむだけで、国民が願っている“公平な年金制度”はつくれません。

 年金制度間の格差をなくす、もっとも現実的な方法は、国民年金や厚生年金の低い部分の引き上げ、全体として格差を縮小していくことです。日本共産党が提案する低額年金の重点的な底上げと最低保障年金の導入は、この点でも有効な打開策となりえます。

 この間、財界の一部やおおさか維新などの勢力から、年金財政の「積立方式への移行」が叫ばれていますが、その中身は、公的年金を、民間保険会社の年金保険と基本的に同じ仕組みにするというものです。これが導入されれば、国民が受け取る年金は「自分で積み立てた金額+運用益」にとどめられ、いまでも“貧しい”年金給付はいっそう貧しくなっていきます。その一方、年金制度への国庫負担や企業の保険料負担は、縮小・廃止されていくことになります。

 有権者の一部に「積立方式」への期待の声が出る背景には、“どうせ将来、まともな年金など受け取れない”“年金の保険料が官僚の食い物にされている”など、年金制度に対する強い不信があります。その点で、低額年金の底上げ、最低保障年金の導入で「頼れる年金」を実現するとともに、「天下り」根絶や投機的運用の中止で年金積立金を透明化し、計画的に取り崩して給付に充てるという日本共産党の年金改革案は、国民の年金不信を払しょくする内容となっています。また、正規雇用への転換、賃上げ、中小企業への支援強化などで現役世代の所得を増やす経済改革は、“将来、年金を受け取れない”若者をなくす、もっとも着実な方策といえます。

 日本共産党は、「一元化」「積立方式化」などの名で、年金支給を削減し、公的年金への国の責任を後退させる制度改悪に反対します。年金制度の再建・拡充、経済の民主的改革を行ってこそ、安心できる老後保障を実現できるというのが、日本共産党の考えです。

 ●社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の中止を求めます

 各分野政策の13、「マイナンバー」参照

 

 

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