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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

5、保育

――認可保育所の緊急増設、待機児童の解消、保育士の待遇改善

2016年6月


認可保育所を緊急に増やし、保育士の処遇を改善します

 5月に安倍政権が発表した1億総活躍プランでは、「子育て支援策」として、保育の基準をゆるめた規制緩和による「つめこみ」をすすめ、今年4月から始まった有資格の保育士が半分でよいとする企業主導型保育などを推進しようとしています。「認可保育所」という言葉は一言もなく、父母の強い願いである認可保育所の拡充に背を向けています。また、保育士の劣悪な処遇が大問題になっているときに、保育士の給与引き上げは、わずか2%(月額約6000円)しか給与を引き上げず、保育士不足の解消のために「多様な保育士」「保育補助員」など人件費の安い非正規・無資格の職員を増やす方針を打ち出しています。もっぱら「つめこみ」と保育の質の低下ばかりの「対策」で、子どもたちの健全な発達と成長を保障する責任を果たすという観点はなく、子どもたちの命と安全さえも軽視するものと言わざるを得ません。

 日本共産党は安心できる保育のもとで、待機児の解決をすすめるために、以下のような「緊急提言」を発表しています。

日本共産党の保育緊急提言(201645日発表)

根本解決に背を向ける安倍政権の緊急対策

 保育問題が、国政の重大課題になっています。希望しても認可保育所に入れない子どもが続出しながら、安倍首相が冷たい姿勢をとったことに対して、「保育園に落ちたの私だ」という運動が日本中に広がりました。

 問題の所在がどこにあるかというと、ひとつは、「認可保育所が決定的に足りない」ということ、もうひとつは「保育士の労働条件が劣悪なため、保育士が不足している」ということです。

 ところが安倍政権の対策はこの根本解決に背を向けて、いっそうの規制緩和と詰め込み、保育内容の切り下げを行おうというもので、公的責任を放棄するものです。

 日本共産党はこれまでも認可保育所の増設をはじめ、国と自治体が保育への公的責任を果たすことを強く求めてきましたが、改めて今日の事態を解決するために緊急の提言を行うものです。その基本的な立場は、「認可保育所の増設」と「保育士の賃上げなど労働条件改善」という問題の根本的な対策を緊急に行うという提起です。

30万人分(3000カ所)の認可保育所を緊急に増設する
 ――待機児童問題は、認可保育所の増設で解決することを原則として確立する

 1点目は、認可保育所を緊急に増設することを大原則にして、30万人分、約3000カ所の認可保育所を緊急に増設することです。

 当面の緊急対策も、認可保育所が建設されるまでの一時的な措置であり、保育士の配置など「保育の質」を確保するということを明確にしなければなりません。

 安倍政権の緊急対策は、「質の低下は仕方がない」というものです。しかし、子どもの発達・成長の権利を保障すること、保護者が安心して預けられるというのはギリギリの要求であり、当然の願いです。この願いに向き合うことなしに問題は解決しません。

 日本共産党は、緊急の目標として、30万人分、約3000カ所の認可保育所を数年程度を目途に建設することを求めます。1970年代には10年間で6000カ所の認可保育所をつくった経験もあり、その気になればやれる課題です。

 実際の保育ニーズを国や自治体が把握していないので、「これで十分」というわけではありません。あくまで緊急の課題として、少なくとも数年のうちに整備しようという提案です。

国や自治体が先頭にたって公立保育所をつくる

 保育所が減っている大きな原因は、国が保育の負担金を「一般財源化」の名でなくしてしまったことにあります。公立保育所が10年間で約2500カ所も減少しています。これだけ問題が深刻になっているときに、国や自治体が先頭に立たなくてどうするのか。自治体が公立保育所建設を進められるように、国の責任を果たすことを求めます。

土地確保のための国庫助成制度をつくる

 都市部では土地の確保が大きな課題となっています。国有地の無償提供、土地確保のための国庫助成制度の緊急創設を求めます。

公立保育所に対する新たな国の財政支援制度をつくる

 公立保育所に対する国の新たな財政支援制度を創設し、保育所の建設や分園の設置・改修への補助、運営費の国庫負担分の復活などを行います。民間の認可保育所の建設等に対しても、助成の拡大、利子補給などの支援措置を行います。

地域の保育ニーズを正確につかんで対策を進める

 地域の保育ニーズと待機児の実態を、国や自治体が正確につかんで、責任をもって対策を進めることを求めていきます。

賃上げと保育士配置基準の引き上げ――2つの方向で待遇改善のために国の基準を引き上げる

 もう一つの柱が、保育士の賃上げと配置基準の引き上げです。

 保育士の低賃金は、国の基準が低すぎることによってもたらされています。認可保育所の運営費、いわゆる「公定価格」を算出する際の人件費が低すぎることが、全産業平均より月約10万円も賃金が低い事態をつくりだし、保育士不足の最大の原因となっています。国の基準を直ちに見直すべきです。

 保育士の配置基準が実情に見合わないために、賃金を国の基準よりさらに下げて保育士やパートを配置しているために、いっそうの低賃金をつくりだしています。これを放置してきた国の責任は重大です。

保育士の賃金を引き上げる

 保育士の賃金引き上げについては、野党共同で、緊急に5万円引き上げる法案を提出していますが、この成立をはかっていきます。その後も、全産業平均との格差をなくすために毎年1万円ずつ引き上げて、5年で10万円の引き上げを実現していきます。

保育士の配置数の適正化など国の運営費を引き上げ、労働条件を改善する

 いまの算定基準では保育士の完全週休2日制が確保されておらず、最初から時間外労働をする建前でつくられています。有給休暇もきちんと確保されていません。少なくとも運営費を2~3割増やす必要があると考えます。

保育士の専門性にふさわしい処遇にする

 国の基準では、経験年数による賃金の上昇は11年たったら「頭打ち」という仕組みになっています。経験が大事な仕事であるにもかかわらず、早期退職を前提とする賃金の設定になっています。これを直ちに是正します。

 さらに保育士の研修や仕事の準備、事務の時間確保ができる運営費に改善していくことが必要です。

非正規の使い捨てをやめ、正規化をすすめる

 公立保育所でも非正規職員が増えて、担任まで非正規が担うという例まであります。東京都では45%が非正規職員という調査もあります。保育士の労働条件の改善、保育の質の確保のためにも、非正規職員の正規化をすすめるとともに、均等待遇をはかっていくことが大事です。

――――――――――――――――――

 これらの緊急提言を早急に実施しながら、15年度から始まっている「子ども子育て支援新制度」のもとで、どんな保育施設であっても子どもたちが安心して過ごせるよう、日本共産党は以下のような施策をすすめます。

 公的保育制度の拡充を

 安倍政権下の「子ども・子育て支援新制度」は、これまでの国と自治体が保育に責任をもってきた公的保育制度を崩し、基準がさまざまな保育サービスの導入、さらなる営利企業参入の拡大、公立保育所の廃止や強引な幼稚園との統合など、保育に対する国・自治体の責任を後退させるものであり、父母の願いに逆行しています。

 日本共産党は「新制度」の強行に反対し、父母、保育関係者、国民のみなさんとともに公的保育を守り拡充する運動をひろげてきました。こうした運動の力で、児童福祉法24条1項に自治体の保育の実施義務の規定を残させるとともに、国会や各地の地方議会、地域で、公的責任の後退や保育水準・基準の引き下げ、国基準のおしつけを許さないたたかいをすすめています。

営利企業への保育の「丸投げ」、参入おしつけに反対します

 安倍首相は、営利企業参入を積極的にすすめるとともに、「規制改革会議」など財界の要望を受け入れて、これまで営利企業の参入を認めてこなかった自治体を名指しで攻撃し、参入のおしつけをすすめています。保育のための公費が他に流用され、保育内容や保育士の労働条件を引き下げることのないよう、使途制限などの規制をおこないます。

 保育は、国と自治体の責任で設置・運営し、公立や非営利を基本としておこなうべきであり、営利企業への「丸投げ」、押し付けはやめさせます。

子どもが思い切って遊べる園庭、ホールなどの確保をすすめます

 都市部を中心に、園庭やホールのない保育所が急増しています。東京では2013年度に新設された認可保育所(110ヵ所)の半数以上で園庭がありません。保育士が様々な努力をしていますが、いくつもの園の子どもたちが公園を遊び場として集まり、大混雑という事態も増えています。子どもたちの体力低下が懸念されるもとで、健やかな成長と健康を守るため、認可保育所の建設にあたって、園庭やホールの整備を促進します。

すべての保育施設に安心してあずけられるように

 無認可保育所に入所する子どもは、施設数も利用者数もここ数年で急増しています。その多くは認可保育所に入れない、利用時間が合わないためなどで、とりわけ待機児童の多い0~2歳が利用者の半分を占めています。

 無認可保育所の4割が認可を希望しているにもかかわらず、きびしい保育条件、格差を放置し、補助を出さず自治体まかせにし、待機児童の受け皿として活用してきた国の責任は重大です。

 無認可保育所が認可保育所へ移行できるよう、どの子にも公的に保育を保障する立場から、施設整備の負担の軽減、保育士確保や資格取得などを支援し、保育条件の改善をはかりながら、認可をすすめます。

 小規模保育所に移行を希望する施設に対し、必要とされている連携園の確保や、子どもの3歳以降の保育が保障されるように、公立保育所がその役割を果たすなど自治体が責任をもちます。

 自治体がおこなっている無認可保育所への助成や保育料軽減制度を国として支援します。

 ベビーシッターなどの実態をつかみ、適切な指導と支援をすすめます。

 営利目的の劣悪な施設や深刻な事故を繰り返す事業者に対して、行政の実態把握と指導・監督、規制をつよめます。

人口減少地域でも安心できる保育を保障します

 過疎地など人口減少地域では、保育所運営が困難になり、統廃合がすすみ必要な保育が保障できない事態がすすんでいます。過疎地の保育を担っている公立保育所への補助を復活させるとともに、小規模でも安定した保育を維持できるように財政的支援をつよめ、どの地域でも必要な保育を確保できるようにします。

保育料値上げをやめさせ、軽減をはかります

 2015年度から保育料を値上げする自治体や、収入が変わらないのに負担増になる家庭がひろがりました。安倍政権が廃止した年少扶養控除の「みなし適用」の影響や、多子世帯ほど負担が増えたこと、保育料算定基準を所得税額から住民税額に変更したことなどが理由です。日本共産党は父母たちとともに、地方議会でも保育料の値下げのために奮闘しています。

 政府は16年度から第3子以降の保育料を無償化し、低所得のひとり親・多子世帯の保育料軽減(第1子半額、第2子以降無償)を始めましたが、年収360万円の所得制限があるため適用されるのは限定的です。すでに第3子以降の無償化、第2子半額は多くの自治体が所得制限なしで実施しており、自民党の公約である「幼児教育の無償化」は「段階的無償化」といわざるをえなくなっています。

 そもそも国の保育料基準が高すぎることが大問題であり、この基準額を引き下げるとともに、すべての保育料の引き上げや保護者への新たな負担増のおしつけに反対し、もともと高すぎる国の保育料の基準を改善します。

 低中所得世帯の保育料を平均で3割程度引き下げ、多子減免の充実、失業や減収の場合の緊急の保育料減免制度をつくります。

 

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