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日本共産党

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赤旗

2016参議院議員選挙/各分野の政策

2、子ども・子育て

――保育・教育の充実、産科・小児科の確保、子どもの貧困

2016年6月


安心して子育てできる、希望ある社会に

 子どもは未来の主人公であり、社会の希望であり、だれもが、子どもたちの健やかな成長を願い、安心して子育てできる社会の実現を願っています。

 しかし、日本では、子どもや子育てに対する社会的なサポートが先進諸国のなかできわだって弱く、働くことと子どもを産み育てることとの矛盾が広がり、出産・子育てが困難な国になっています。内閣府の結婚・子育てについての意識調査で、「希望する人数まで子どもを増やしたいか」という質問に4割以上が「増やさない」「増やせない」と回答しています。自公政権が、不安定な雇用と低賃金、長時間労働をひろげ、教育費、税金や社会保険料などの負担増など子育て支援に逆行することばかりをすすめてきたからです。

 いま、「保育園落ちたの私だ」と国会前でママ、パパたちが怒りの声をあげ、政治を動かし始めています。日本共産党は、子育てへの切実な願いと希望に逆行する安倍政権の暴走をストップさせ、安心して子育てできる人間らしい働き方とくらしを実現するために、ともに力をつくします。子どもたちが大切にされ、健やかな成長を保障できる希望ある社会をつくります。

1、安心して子育てできる働き方を実現します

男女がともに子育てできる働く雇用のルールをつくります

 世界でも異常な長時間労働のために、妊娠・出産、子育て中の女性が働きつづけられない、男女がともに子育てできないなど、子育ての困難をつくりだしています。第1子の妊娠・出産で女性労働者の半数以上が仕事をやめる一方で、子育て世代の30代の男性6人に1人が週60時間以上働いています。6歳未満の子どもをもつ夫の育児・家事時間は、ドイツやスウェーデン男性の3分の1にすぎません。

 異常な長時間労働を改善して、男女がともに仕事と家庭が両立できる人間らしい働き方のルールをつくります。残業時間の上限を法律で規制し、過労死を生み出す長時間過密労働をなくします。違法なサービス残業を根絶します。子育て中の変則勤務、夜間・休日出勤、単身赴任などを制限します。

 非正規雇用がますます増加し、違法な働かせ方で 若者を食い物にする「ブラック企業」がまん延するなかで、若い世代の平均年収は急速に低下しています。20代前半の平均年収は女性226万円、男性265万円、15年前と比べて女性で15万円、男性で40万円以上も低く、非正規雇用では、200万円未満が多数です。これでは結婚と子育てへの希望をみいだすことはできません。

だれでも利用できる育児休業制度に改善します

 女性が働き続け、男女がともに子育てをするためには、だれもが利用できる育児休業制度にしていくことが必要です。

 育児休業制度のある職場で在職中に出産した女性のうち、制度を利用した女性は86・6%ですが、男性は2・3%しかいません。女性でも男性でも利用できるように、所得保障を父母それぞれに3カ月間は100%にする、保育所入所ができない場合には育児休業の1年以内の延長を可能にするなど、制度の拡充をすすめます。

 育児休業取得中は“労務を提供しなかった期間”として、昇進・昇格や賞与、退職金の算定で不利益な取り扱いが行われていることを改めさせます。代替要員確保の助成金の増額や助成期間の延長など中小企業への支援を充実します。企業は“子育ては男女共同の責任”であることを管理職などに教育、徹底します。

 非正規雇用の父母は、子どもが2歳になるまで雇用が続いていることが取得の条件とされていましたが、2017年1月からは1歳半までに短縮されるようになりました。さらに有期雇用をふくめ6カ月以上勤続している労働者すべてに対象を拡大します。

 短時間勤務制度や時間外・深夜労働免除制度は、子どもの対象年齢の拡大などさらに充実させます。子どもの病気などで利用できる「子ども看護休暇」は、学校行事への参加などにもつかえる「家族休暇」制度とし、両親が各年10日以上取得できる制度にします。

 制度利用による不利益扱いを許さず、原職復帰原則の確立、苦情処理・救済制度の拡充、指導・監督の徹底、違反企業への罰則強化などをはかります。

2、国と自治体の責任で、安心して預けられる認可保育所、学童保育施設を保障します

「認可保育所30万人分3000カ所増設」「保育士の賃上げと配置基準の引き上げ」で、待機児童をなくします

 「保育園に落ちたの私だ」という切実な声と運動が日本中に広がっています。昨年4月に認可保育所に申し込んでも入れなかった待機児童は2万3167人と発表されています。しかし、隠れ待機児童数は政府発表でも約6万人、実際にはその倍以上とみられています。女性が働きつづけるうえで必要な社会的条件の第一にあげられるのが保育所などの整備です。

 保育所の待機児童問題は、認可保育所をふやして解決することを大原則に、国が財政支援を行なって、30万人分約3000カ所の認可保育所を緊急に建設します。保育士の賃金と配置基準を引き上げ、深刻な保育士不足を解消し、必要とするすべての子が保育所に入れるあたりまえの社会をつくりますます。

→ くわしくは、「保育所・待機児童問題への日本共産党の緊急提言」各分野の政策5、【保育】をお読みください。

 父母、保育関係者の反対をおしきって昨年4月に実施された「子ども・子育て支援新制度」は、国と自治体の保育に対する責任を後退させ、保育を営利企業にゆだねるものです。「待機児童解消」の名のもとに発足した「新制度」でしたが、待機児童の増加、公立保育所つぶし、園庭のないビルの一室など保育条件が引き下げた施設の急増、保育料の大幅引き上げなど、各地で問題が広がっています。子どもたちの命と成長を守り、安心して預けられる保育を保障することは、子どもの権利条約や児童福祉法にもとづく国と自治体の責任です。安心して預けられる保育の公的保障をつよめます。

学童保育の拡充、環境整備と指導員の待遇改善をすすめます

 共働き世帯やひとり親家庭が増えており、子どもたちが放課後を安全に安心して過ごせる学童保育の拡充はいっそう切実な願いとなっています。学童保育の数は、2015年5月現在、2万5541カ所、入所児童数は101万7429人となりました。施設は2014年から15年の1年間で3445カ所、入所児童数も8万3894人増加し、初めて100万人を越えました。しかし、なお「潜在的な待機児童」が約40万人とも推測されており、不足しています。政府は30万人分の受け皿を整備するとしますが、その中身は、学童保育と全児童対策としての「放課後子ども教室」の「一体型を中心とした」整備です。

 「子ども・子育て支援新制度」のもとでも、施設の改善・拡充、高学年の児童の受け入れなど市町村まかせのため、施設・運営面での自治体間格差が広がっています。指導員の処遇改善も事業者まかせで、指導員の身分や労働条件の改善につながっていません。

 公的責任で学童保育を増設し、待機児や大規模化の解消をすすめます。基準を引き上げ、毎日の生活の場にふさわしく生活室、遊び場、休養室などをそなえ、子どもたちが安心して楽しく過ごせる施設・設備に改善します。利用料の軽減をすすめます。指導員の正規化・労働条件の改善、複数配置をすすめます。

 すべての子どもを対象とした「放課後子ども教室」と「学童保育」は一体化ではなく、それぞれ充実させつつ、連携強化をはかります。

3、子育ての経済的負担を軽減し、安心して暮らせる社会にします

子どもの医療費無料化を国の制度にします

 就学前の子どもの医療費助成がすべての市区町村でおこなわれるようになっています。しかし、年齢、所得制限など助成の内容は都道府県・市区町村でまちまちです。通院にかかる医療費では、小学校入学前までが337自治体、小学校卒業までが185、中学校卒業するまで対象にしている自治体が930、高校卒業までが201となっています。所得制限は全国の369の市町村で行われています(2013年厚生労働省調査)。

 国の制度として、小学校就学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化します。国の無料化制度のうえに、全国に広がった自治体独自の助成制度をさらに前進させ、どこに住んでいても、安心して必要な医療が受けられるようにします。

 子どもの医療費助成制度(現物給付)をおこなっている自治体にたいして国庫補助を減額するペナルティをやめさせます。

児童手当の拡充などをすすめます

 児童手当は子育て支援の重要な柱です。児童手当を拡充し、現在、中学卒業までの支給期間を18歳までに延長することをめざします。

 子育て世代向けの公共住宅の建設や「借り上げ」公営住宅制度、家賃補助制度、生活資金貸与制度などの支援を特別につよめます。

高すぎる保育所、幼稚園の保育料を引き下げます

 「子ども子育て支援新制度」の実施以降、保育所の保育料が大幅に引き上げられた家庭が多子世帯を中心にひろがっています。公立幼稚園の保育料の大幅負担増も各地で起きています。高すぎる国の保育料の基準額を改善し、保育所、幼稚園の保育料の父母負担を引き下げます。「新制度」に移行していない私立幼稚園に通う子どもの親に対する助成制度を拡充します。認可保育所などに入れず、認可外施設を利用する子どもの保育料の軽減制度をつくります。

中学校給食をすすめ、学校給食の無償化をめざします

 栄養バランスのとれた温かくおいしい給食を、家庭の経済状況にかかわらず提供することは、子どもの健やかな成長のために重要です。給食の安全性や質の確保のうえで問題の多い民間委託を見直し、地産地消、自校方式、直営方式などをすすめます。中学校給食、高校給食をひろげます。生活の実態に応じた給食費の免除措置をすすめ、無償化の方向を検討します。

大学の授業料を10年間で半減、給付型奨学金を創設します

 高すぎる学費の引き下げにふみだします。国立大学では、国の運営費交付金の増額によって、毎年2万6000円程度を値下げし、10年後に現在の約53万円の半分に引き下げます.私立大学も、国の私学助成の中に学費値下げ緊急助成枠をつくり、10年後に半減します。公立大学も補助制度を創設します。

 現在、学生の2人に1人が借りている奨学金の実態は、学生に借金をさせる「学生ローン」そのものです。まず給付型奨学金の創設にふみだし、月額3万円(年間36万円)の給付型奨学金を70万人(現行の奨学金受給者の半分)の学生に支給する制度をつくり、規模を拡大していきます。すべての奨学金を無利子化するとともに、既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、生活が困窮する場合の救済措置を講じます。

      →くわしくは、「学費・奨学金の抜本改革の提案」をお読みください。

ひとり親家庭への支援をつよめます

 母子世帯の母親の81%が働いていますが、その47%がパート・アルバイト、派遣社員などの非正規雇用労働者です。母子世帯の年平均就労収入は179万円、両親と子ども世帯の平均就労収入の3割にもとどきません。200万円未満の家庭が64%を占めています。ひとり親家庭の相対的貧困率は約55%、その85%をしめる母子世帯への経済的支援の拡充は喫緊の課題です。

 ひとり親家庭の命綱である児童扶養手当の支給額を第一子から抜本的に拡充します。所得制限の見直し、多子加算の引き上げなどをすすめます。児童扶養手当を支給開始5年後に半減する措置をやめさせます。安心して生活し、子育てをするためには、安定した仕事につくことが必要です。長期の安定した雇用確保の就労支援、保育所への優先入所、安価で良質な公営住宅の供給など、安定した暮らしへの支援を強めます。

 父子家庭への支援をすすめます。一人で仕事と子育てをする大変さは、父親も母親も変わりません。長時間労働を強いられている父親の場合、子育てのために仕事を変えざるをえない人も少なくありません。就労収入は母子家庭を上回るものの、300万円未満の世帯が44%、200万円未満も22%にのぼっています。父子家庭の実態に即した子育て支援・生活支援をつよめます。

 結婚歴のないシングルマザーにも、死別・離婚の場合と同じように寡婦控除が適用されるよう、所得税法を改正します。法改正以前にも、保育料の算定、公営住宅利用の手続きなどで、寡婦と同等の控除をうけられるようにします

生活保護制度の改善、就学援助制度の拡充をはかります

 低所得世帯の子どもに、義務教育の給食費・学用品代・修学旅行費などを援助する就学援助制度の役割はますます大きくなっています。ところが生活保護基準の引き下げによって就学援助の基準も下がり、対象から外される家庭がうまれています。支給額の改善、対象者の拡大など、国の財政的措置をつよめ、拡充をはかります。

 子どもたちの健全な成長が可能な生活、教育・福祉が保障されるように、生活保護制度の改善・拡充をすすめます。生活保護費のさらなる削減を許しません。

→ 子どもの貧困問題の解決について、くわしくは、各分野の政策の3、「子どもの貧困」をお読みください。

4、子どもの命と健康を守り、子育ての不安を解消します

小児科、救急医療体制の確立をすすめます

 医師不足による小児科病棟の休止、病院の閉院、救急医療施設の減少は、地方でも都市でも深刻です。出産できる病院・診療所も激減したままです。公的病院の産科、小児科切り捨てをやめ、産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化し、早期復活と拡充をはかります。地域の医療体制をまもる自治体・病院・診療所・大学などの連携を国が支援します。産科・小児科・救急医療の充実などにかかわる診療報酬を抜本的に増額し、安心して医療を受けられる小児救急医療体制の確立をすすめます。

子育ての不安を解消する相談支援体制をつくります

 初めての出産による不安や、失業、生活苦など、さまざまな問題を抱えた家族に対し、きめ細かな相談体制、個別の訪問活動などの支援を拡充します。保育所への入所や一時保育、子育て支援事業など、子育て不安を軽減する取り組みを、病院や自治体の関係機関の連携をつよめ、地域全体ですすめます。専門職員の配置・増員と予算確保を国の責任でおこないます。

 児童虐待や子育ての困難の背景には、若い世代の雇用破壊と貧困の広がりがあります。安心して子育てできるように、正規雇用化と時給1500円をめざして最低賃金の引き上げ、残業の上限規制による長時間労働の改善、教育費の負担軽減、福祉・社会保障の充実、子育てへの経済的支援など総合的な施策をつよめます。

児童虐待防止対策をつよめます

 格差と貧困のひろがりを背景に、全国の児童相談所での児童虐待についての相談対応件数が2014年度に8万8931件、児童虐待防止法施行前の1999年度に比べ、約7・6倍に増加し、過去最多を更新しています。

 児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援などの独自の施策をつよめます。早期発見で子どもを守るために、保育所や学校、病院、児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関の連携をはかるとともに、職員の専門的な研修をつよめます。児童虐待の問題に対応する中核的役割を担う児童相談所は全国で208カ所しかありません。相談支援体制を充実させるために、児童相談所の増設、職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実、一時保護施設や児童福祉施設の整備増設、設備や職員配置の改善をはかります。虐待を受けた子どもへの専門的なケア、親にたいする経済的、心理・医療的、福祉的な支援をつよめます。

相談体制、児童福祉施設、里親などの整備・拡充をすすめます

 経済的、社会的に困難な事情をもった親や予期せぬ妊娠に悩んだりした時に、身近に相談できる体制を整備します。児童相談所や児童福祉施設、小児病院や保健所、子育て支援センターなどが連携して、親への支援をつよめるとともに、困難な場合の受け入れ施設の拡充をすすめます。乳児院、児童養護施設などの職員配置の改善・増員と負担軽減、施設の改善、小規模化、家庭的養護の推進を急ぎます。施設に暮らす子どもたちの教育、進学への支援をつよめます。

 里親制度は、さまざまな事情により家庭で生活できない子どもたちを、家庭的環境のもとで育てるための大切な制度です。使いやすい制度への改善、相談、里親同士の相互交流、児童相談所・学校などとの連携強化など里親への支援をつよめます。

子どもの豊かな成長を保障する地域づくりをすすめます

 子どもたちの成長、発達にとって、遊びや豊かな文化・スポーツにふれることが大切です。子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年がスケートボード、フットサルなどを楽しめる広場や体育館の確保・増設をすすめます。政府による一般財源化や予算削減などの影響で、児童館など子どものための施設の統廃合がすすんでいます。国の予算を増やし、この流れにストップをかけます。遊びをつうじて子どもの発達を促し、子どもの生活を支援するための施設にふさわしく拡充します。

 演劇や映画、音楽などの芸術・文化に親しめるように、文化団体、地域の活動を応援します。学校公演(鑑賞教室)の支援を充実します。

 通学路の安全対策をつよめ、生活道路や通学路を道路法や道路交通法に位置付け、通過交通を排除・抑制する等の改正を行います。登校時の通学路への自動車の侵入をできるだけ制限し、速度抑制などのための措置をすすめます。

 

 

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