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赤旗


安倍政権による学費の連続値上げは許さない

  ――大学予算削減を学費値上げでまかなう方針を撤回させるために、力をあわせよう

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2015年11月20日  日本共産党


【国の大学交付金を大削減し、大幅学費値上げで「穴埋め」する――安倍政権がとんでもない道に踏み出そうとしている】

 安倍政権は、国立大学の学費を今後15年間にわたって上げ続けるという、とんでもない道に踏み出そうとしています。10月26日、財務省は、政府の財政制度等審議会財政制度分科会に、「(国からの)運営費交付金に依存する割合と自己収入割合を同じ割合とする」として、国立大学への国の支出を大幅に削減し、残りは大学が「自己収入」を増やしてまかなう、という財政方針を提案し、了承を得ました。今後15年間で国からの支出を1948億円削減する一方で、大学の「自己収入」を2437億円増やせ、というのです。

 “15年連続値上げで40万円引き上げる”ことにも

 大学の「自己収入」の主力は、学生から集める学費です。この計画を仮に授業料値上げだけで「穴埋め」しようとすると、毎年2万5000円程度、15年後には現在の約53万円から40万円増の93万円程度になります。これは、現行の私立大学授業料平均額(約86万円 2013年)を上回りますから、私立大学にも波及し、国立・公立・私立の学費値上げの連鎖がひきおこされます。

 すでに日本の大学は、世界有数の異常な高学費になっており、教育費負担が国民に重くのしかかっています。政府も、この10年間は、国立大学学費の値上げを見送ってきました。しかし安倍政権は、それを破り、学費大幅値上げの道に突き進もうとしているのです。

 大学と科学を発展させる意思も展望もない方針

 安倍政権の連続値上げ方針は、国立大学への運営費交付金を減らすためのものですから、学費を大幅に上げても大学の教育や研究の充実にまわるお金は1円も増えません。安倍政権には、大幅な学費値上げで学生・国民に負担を強いながら、大学の教育研究条件を向上させる意思はまったくないのです。

 しかも、“国が半分、学費などの「自己収入」で半分”という安倍政権のやり方は、大学が教育や研究を充実させようとすれば学生に学費値上げを強い、学生に思いを寄せて学費を抑制しようとすれば教育・研究予算を削り、これまで以上に大学を劣化させる道を選ばなければならない――まさに大学に「悪魔の選択」を迫るシステムを作ることになります。

 いま、安倍政権は「世界ランキングをあげろ」「スーパーグローバル大学」などと大学の“国際競争力”を言う一方で、大学予算は削減し続け、国立大学への運営費交付金は、この12年間で12%も削減しました。やせ細らせてきた大学の基礎的な運営費をもっと大規模に削減するには、学費値上げで「穴埋め」するしかない、というのが今回の方針です。

 戦後自民党政治の中でも異常な学費値上げ

 これまでの自民党政治でも学費の値上げが繰り返されました。しかし、私学との格差是正、受益者負担などを「理由」にしましたが、“大学への予算を削るため”などという、国の大学教育への責任放棄をあからさまに“宣言”した学費値上げは前代未聞です。1970年代には自民党も賛成して「私立大学への国庫助成を経常費の2分の1に引き上げる」という目標を国会決議で定めました。まがりなりにも国が大学教育に責任を持つという「目標」は持っていました。

 国立大学の運営費交付金削減とセットの学費大幅値上げは、戦後の自民党政治の中でも異常と言わざるを得ません。

 

【学生にも、国民にも多大な負担を押しつけ、若者から希望を奪う政治は許せない】

 借金とアルバイトに追い立てられる学生生活をさらに強いる

 いま、学生は奨学金という名の「借金」に苦しめられています。奨学金を借りる学生は、90年代後半までは2割程度でしたが、現在は53%と急増し、過半数の学生は借金なしでは大学に通えない状態になっています。その奨学金の多数は有利子で、卒業時には平均的なケースで300万円、多い場合には1000万円もの借金を背負わされるという、かつてでは考えられない事態になっています。

 高い学費と劣悪な奨学金制度のもとで、多くの学生がアルバイトに追い立てられています。バイトが途切れたら学生生活を続けられない、という学生も少なくありません。「ブラックバイト」が横行し、学生が簡単に抜け出せないのも、「生活のため」のバイトに追われているからです。

 文部科学省の調査でも、大学・短大・高専の中退の理由のうち、「経済的な困難」が増え続け、今や最大の理由になってしまいました。

 このうえに、学費を大幅に値上げするということは、学生にさらなる借金とアルバイトを強い、そして、「経済的な困難」――“これ以上の学費負担、借金はムリ”と大学をあきらめざるを得ない若者を、国の政策で作り出すことになります。こんな学費値上げの道は絶対に許すことはできません。

 若者と子どもたちから夢と希望を奪い、教育費負担をさらに重くする

 安倍政権による学費の連続値上は、現在の学生だけに負担を強いるものではありません。いまでも貧困と格差の拡大が子どもたちに重くのしかかっています。そのうえに15年もの連続値上げになれば、大学進学を希望する高校生、さらに中学生、子どもたちからも進学の夢を奪うことになりかねません。家庭の経済状況を感じ取り、進学や進路の夢をあきらめざるを得なくなり、勉学への意欲も失ってしまう……こんなことになれば、本当に悲しいことです。

 子育て世代にも重い負担を強い、教育への不安をつのらせることになります。現在でも自宅外通学の場合、高校入学から大学卒業まで約1485万円(日本政策金融公庫)もかかるとされ、学生をもつ家庭にとって教育費負担は限界に来ています。「0歳児から学資保険をかける」というぐらい、ママ・パパは将来の教育費負担に備え汲々としています。これ以上の負担を加速することになれば、子育ては成り立たなくなります。

 

【憲法を踏みにじり、教育への「投資」を削減する亡国の政治】

 憲法上の義務(教育の機会均等の保障)を投げ捨てる

 憲法は、国民に「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を定めています。教育の機会均等を保障し、経済的な理由で教育を受ける権利が奪われる国民をつくらないために努力するのが本来の政治の務めのはずです。

 今でも高学費に多くの学生、父母があえいでいるのに、さらなる大幅値上げを打ち出すことは、政府が憲法上の要請を頭から無視し、憲法が定める国民の権利を平然と蹂躙するものと言わざるを得ません。

 国際的にも異常な安倍政権の学費大幅値上げ

 国際人権規約では、大学の学費を段階的に無償化することがうたわれています。日本政府は、2012年にやっとこの条項を批准しました。歴代自民党政府は国際人権条約の「段階的学費無償化」条項を「留保」し続け、国連加盟国でこの条項を批准しないのは、日本とマダガスカルだけという事態になり、国内外から強い批判を受けたためです。本来であれば、国際公約の立場で、学費の値下げと奨学金制度の充実に向かって前進することが日本政府の務めであるはずなのに、安倍政権は、それと真逆の道に進もうとしているのです。

 これまで繰り返された学費の値上げと有利子制の導入など奨学金制度の改悪によって、高い学費でありながら給付奨学金制度がないのは、先進国(OECD加盟国)の中で日本だけという恥ずべき事態になっています。

 世界では大学への進学率があがるなかでも学費無償を維持したり、たとえ学費を徴収したとしても奨学金とセットで学生を支援するというのが、政治の姿勢として当たり前となっています。ドイツではいったん学費の徴収を始めたものの学生らの反対で再び無償に戻しました。高い学費のアメリカやイギリスでも、かなりの規模の学生が給付奨学金や、経済的事由による学費免除制度の適用を受けています。

 日本の高等教育へのGDP(国内総生産)比での公的支出は先進国で最低クラスです。日本には、もっと大学予算を増やし、大学の教育・研究への支援や給付奨学金創設など奨学金制度の充実、学費の抑制をはかる経済力はあります。政治の姿勢こそが問われているのです。

 

 力をあわせ、学費値上げをやめさせよう

 国立大学予算の削減と学費大幅値上げの方針に対して、学生から怒りと悲鳴の声が上がるとともに、国立大学の学長をはじめ大学人にも反対の声が広がっています。国立大学協会は、「授業料の引き上げと併せて運営費交付金の減額を行うことは、経済格差による教育格差の拡大につながる」「意欲と能力のある若者を受け入れて優れた人材を社会に送り出すという国立大学の役割を十分に果たすことができなくなる」という「大きな疑念や危惧」を表明する声明を発表し、千葉大、新潟大、金沢大、岡山大、長崎大、熊本大の6学長も連名で反対声明を出しています。

 若者と教育、そして日本の未来のためにも、学費の大幅値上げを許すわけにはいきません。憲法を踏みにじり、教育にたいする責任を投げ捨て、国民に負担を押しつけ、若者から未来を奪う――こんな亡国の政治を許すことはできません。国の大学予算削減をまかなうために学費を値上げするという安倍政権の方針を撤回させる――この一点で世論と運動を広げようではありませんか。

日本共産党は、現在と未来の学生、子育て世代、大学関係者、そして国民のみなさんと力をつくす決意です。

 

 

 

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