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日本共産党

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赤旗


「平成27年度一般会計予算、平成27年度特別会計予算及び
平成27年度政府関係機関予算」につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議

2015年3月13日


 衆議院算委員会に提出した予算の組み替え動議は次のとおりです。日本共産党は2015年度政府予算案(一般会計総額96兆3420億円)に衆院本会議で反対しました。本会議に先立つ予算委員会で、日本共産党の予算の組み替え動議は否決されました。(3月14日付「しんぶん赤旗」記事


第一 編成替えを求める理由

 2015年度政府予算案は、昨年の消費税増税による景気の悪化で国民生活が深刻な影響をうけているにもかかわらず、社会保障をいっそう削減し、大企業減税と軍事費の拡大をすすめるもので、国民生活を犠牲にする「三悪予算」である。

 消費税増税後2期連続のマイナス成長に続いて、10-12月期も予想を大きく下回る低成長となった。労働者の実質賃金は19か月連続マイナスとなり、消費の低迷も続いている。円安と株高によって大企業と大資産家は恩恵を受けたが、国民の暮らしは悪化し、格差はさらに拡大している。消費税10%増税は「先送り実施」ではなく、きっぱり中止すべきである。

 政府は、2015年度予算案を撤回し、以下の趣旨に沿って、編成替えを行うべきである。

第二 編成替えの内容

(1)「自然増削減」の名による社会保障の連続大改悪を中止し、拡充に転換する

 かつての「2200億円削減」を上回る社会保障費の大幅縮減を中止し、国民負担増・給付切り捨ての制度改悪を全面的に見直す。

1、介護報酬2.27%削減をやめ、介護・福祉職員の処遇改善、人手不足解消への公的支援を抜本的に強化する。特別養護老人ホームの待機者をゼロにする介護施設の整備目標を策定し、計画的増設を進める。要支援者・軽度者の介護保険からの締め出しや、利用料の負担増を中止し、保険料・利用料の軽減をはかる。

2、マクロ経済スライドの初めての発動や、過去のスライド凍結分を理由にした年金の支給切り下げにより、物価は2.7%も高騰しているのに、年金は0.9%の伸びに抑制されている。こうした年金の実質減額の改悪をやめ、物価高騰に見合った水準へと引き上げる。

3、70~71歳の窓口負担の2割化を中止する。「国保の都道府県化」による国保料(税)引き上げ、「特例軽減廃止」による後期高齢者医療保険料の2~10倍への引き上げ、入院食費の負担増、「患者申し出療養」の導入などをねらう法改悪を中止し、窓口負担の軽減、国保料(税)・後期高齢者医療保険料の引き下げを進める。国民健康保険証の取り上げをやめる。

4、生活扶助・住宅扶助・冬季加算削減など、生活保護切り下げをやめ、拡充をはかる。

5、障害者総合支援法を抜本的に見直す。障害児・者の福祉・医療の負担を無料にする。

6、難病患者の医療費負担を軽減する。

(2)大企業減税を中止し、不公平税制をただす

1、法人税率引下げなどの大企業減税は、大企業の内部留保をさらに増大させるだけであり、中止する。

2、研究開発減税や受取配当益金不算入制度、外国子会社配当益金不算入制度など、大企業優遇税制を抜本的に見直し、廃止・縮小する。

3、赤字法人に過大な税負担をもたらす外形標準課税の拡大を中止する。

4、富裕層、大資産家の税負担を軽くしている所得税や相続税の不公平税制を改める。

(3)賃上げをすすめ、雇用をまもる。労働法制の大改悪を中止する

 賃金引き上げで国民の所得を増やし、消費と内需を活発にすることこそが、日本経済たてなおしのカギである。285兆円にものぼる大企業の内部留保を活用し、賃上げを実現する。

1、最低賃金を大幅に引き上げ、地域間で拡大している格差を是正する。賃金引き上げのため、社会保険料を減免するなど、中小企業支援を抜本的に拡充する。

2、異常な長時間労働を是正することによって、労働者の命と健康を守り、正規雇用を拡大する。残業時間の上限を「月間45時間」と定めた「大臣告示」を法制化する。違法な「サービス残業」を根絶する。過労死と長時間労働を加速させる「残業代ゼロ」制度の導入を中止する。

3、ブラック企業規制法を制定し、「使い捨て自由」の働かせ方をなくす。「生涯ハケン」「正社員ゼロ」につながる労働者派遣法の大改悪を中止する。均等待遇の実現などで非正規雇用の労働条件を改善するとともに、非正規から正規への流れをつくる。

4、国や自治体と受注する事業者との間で結ばれる契約(公契約)に、生活できる賃金など人間らしく働くことのできる労働条件を定める公契約法を制定する。

(4)TPP交渉から撤退し、農業、中小零細企業など地域経済への支援を抜本的に強化する

1、20万トンともいわれる「過剰米」があり、稲作農家が作り続けられないほどの米価暴落が起きている。備蓄米の入れ替えなどで国の買い入れを直ちに実施し、過剰米を「市場隔離」して米価の底上げを図る。

2、日本農業に壊滅的打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するTPP交渉からただちに撤退する。アメリカは、関税分野にとどまらず「非関税障壁」と称して広範な分野の対日要求を強めている。国民生活のさまざまな分野に弊害をもたらす規制緩和・市場開放は行わない。TPP反対運動を抑え込むための農協「改革」の押しつけを、中止する。

3、TPP参加を前提とした農業の大規模化一辺倒の施策をやめ、誰もが農業を続けられる予算へ転換する。稲作への直接支払の削減を中止するとともに、米価変動補てん交付金を復活し、米価下落分を補てんする。食料自給率を50%に引き上げるため、価格保障・所得補償、後継者支援を強化する。公共建築物や民間住宅などへの国産材の使用促進対策を強める。魚価下落に歯止めをかけ、漁業用燃油対策を抜本的に強化する。

(5)地域経済と雇用を支える中小・小規模企業の経営を守る

1、日本経済の「根幹」にふさわしく、中小企業対策費を大幅に増額する。

2、消費税増税と原材料価格高騰が中小・小規模企業の利益を圧迫している。下請単価の引き上げや公正な取引ルールの確立のため、下請代金検査官や消費税転嫁Gメンの体制を強化し、中小・小規模企業の置かれている実態をつかむ。

3、信用保証制度や公的金融を拡充する。金融円滑化法を復活し、既往債務の借り換えや条件変更など、きめ細かい資金繰り対策を講じる。

4、小規模企業振興基本法に基づき、産業集積や商店街などを「面」として支援するとともに、中小企業向け官公需を拡大し、仕事おこしにつなげる。

(6)教育への政治支配・介入の強化を中止し、教育予算を大幅に拡充する

1、少子化による自然減以上の教職員定数削減をやめ、全学年にわたる35人学級の早期実現を含む教職員定数改善計画を策定する。

2、高校授業料「無償化」の所得制限をやめる。私立高校の負担軽減をいっそうすすめる。

3、全国学力テストの規模を縮小し、学力調査に必要な数パーセント程度の抽出とする。一方的内容の道徳副教材の作成・配布など上からの道徳の教科化の検討をやめる。

4、大学生のための給付制奨学金制度を創設し、有利子奨学金を無利子にする。国立・公立・私立すべての大学の入学料・授業料を年収400万円以下世帯に対して免除するため、国立大学運営費交付金の増額、地方財政措置、私学助成の拡充をはかる。また消費税増税にともなう経費増分に対する緊急助成を実施する。

5、「国家予算のわずか0.1%」という世界でも異常に低い文化予算を抜本的に増額する。スポーツ予算を大幅増額し、公共スポーツ施設の整備など国民スポーツの振興をはかる。

(7)子育て支援の充実、「子どもの貧困」打開を進める

1、子どもの医療費について、窓口負担を無料・減額した地方自治体に対する「ペナルティ」を廃止し、子どもの医療費無料を国の制度とする。

2、保育料・幼稚園授業料の減免、児童手当の18歳までの拡大など、子育てにかかる経済的負担の軽減を図る。

3、認可保育所の増設を基本に、国有地・公有地も活用して待機児童の解消を図る。公立保育所の施設整備・運営費への国庫補助を復活する。すべての保育施設で保育の質の維持・向上を図れるよう予算を確保する。

4、学童保育の増設、大規模化の解消、施設・設備の改善、指導員の正規化・労働条件の改善、複数配置、利用料の軽減などを進める。すべての児童を対象とした「放課後子ども教室」と学童保育を一体化させず、それぞれ充実させつつ連携強化を図る。

5、妊娠・出産への経済的支援を強める。非正規や自営業でも安心して産前産後休暇がとれる体制を整備する。不妊治療への助成の拡充、保険適用などを進める。

6、生活保護の削減ストップ、就学援助の充実、ひとり親家庭への児童扶養手当の拡充、子どもの学習・進学支援などを図り、「子どもの貧困」の打開を進める。

7、児童虐待、DV防止の取り組みを強め、相談体制を充実させる。児童養護施設・里親制度の整備・拡充を進める。

(8)被災地の生活と生業の再建、復興の取組みを抜本的に強化する

 東日本大震災から4年を経てもなお23万人にも及ぶ人々が避難生活を強いられている。住宅と生業、地域社会の復興に国が最後まで責任を負うことを基本原則にすえ、被災者支援を強化する。

1、医療・介護の減免措置を、すべての被災者に国の負担で行う仕組みとして再開・拡充する。被災者生活再建支援金を300万円から500万円に引き上げ、宅地も含めた住宅再建支援の抜本的強化をはかる。

2、中小・零細企業の再建を支援し、地域復興をすすめるため、中小零細事業者への個別支援制度の創設など必要な対策を強化する。地域医療の再建のための支援を抜本的に強化する。

(9)原発事故被害の全面賠償と救済を進め、「即時原発ゼロ」を決断する

 東京電力福島第一原発事故は収束どころか、いまだに原因も究明されていない。いまなお多くの方々が避難生活に苦しんでいる下で、原発再稼働など断じてあり得ない。

1、福島第一原発事故による損害賠償の打ち切りや縮小をせず、東電と国の責任で損害賠償と除染に万全の責任を果たす。

2、原発再稼動と原発輸出をやめ、再生可能エネルギーを加速的に普及する体制をつくる。高速増殖原型炉「もんじゅ」や六ヶ所再処理工場など核燃料サイクル計画を中止する。再稼働のための誘導的な交付金のばらまきをやめる。

(10)大型開発中心からくらし・福祉・安全重視の公共事業に転換する

1、「国際競争力」を口実にした三大都市圏環状道路や国際コンテナ戦略港湾などの大型事業偏重の予算を見直し、浪費を削減する。

2、リニア中央新幹線計画は、南アルプスを貫通するなど自然環境にはかりしれない影響を及ぼし、地域住民の生活環境を悪化させる危険は明白であり、関係住民の反対の声を無視したJR東海の工事着工をやめさせる。

3、くらし・福祉などの生活密着型事業や、耐震化・老朽化対策、交通安全対策などを重視する公共事業に抜本的に転換する。

(11)住民の暮らしを守り、地方再生をすすめる財源を確保・保障する

1、住民の暮らしを支える地方自治体の深刻な財源不足を解決するため、地方交付税の法定率を引き上げる。「歳出特別枠」は、自治体にとって必要な経費であり、その削減を中止する。

2、公共施設の集約化・複合化をすすめる地方債措置や、公立病院の再編・ネットワーク化に偏った交付税措置を撤回する。

3、「人口減少等特別対策事業費(6000億円)」の「成果」による算定は、全額を「必要度」による算定に変更する。

(12)沖縄・辺野古への米軍新基地建設を撤回し、「海外で戦争する国」づくりを進める軍事費を大幅に削減する

1、沖縄知事選挙と総選挙で示された沖縄県民の意思を尊重し、名護市辺野古への米軍新基地建設を撤回し、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去、返還を求める。また嘉手納以南の基地返還は、移設条件を付けず、ただちに返還を求める。

2、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、その具体化のための安保法制整備は即刻中止する。

3、新中期防衛力整備計画(5年間で24兆6700億円)のもとで、4兆9801億円にのぼる史上最高の軍事費を大幅に削減する。新型ステルス戦闘機F35やオスプレイ、無人偵察機、イージス艦などの軍備拡大は、周辺諸国との軍事緊張を高め、東アジアの平和環境づくりに逆行するものであり、中止する。水陸両用作戦部隊の創設、県営佐賀空港のオスプレイ拠点基地化を中止する。

4、米軍オスプレイの配備撤回を求め、日本全土での低空飛行訓練を中止させる。グアムの米軍基地建設費の負担、「思いやり予算」、SACO(沖縄特別行動委員会)関係費などは全額削除する。

5、海賊対策を口実にした自衛隊海外基地ジブチの増強の検討を止め、撤退する。

6、「武器輸出推進」の閣議決定を撤回し、F35など兵器の国際共同開発・生産を中止する。

7、憲法の基本原理を根底から覆す秘密保護法を廃止する。

8、ODAの基本原則を転換し、外国軍隊支援に道をひらく「新大綱」の閣議決定を撤回する。宇宙の軍事利用をすすめる「宇宙基本計画」を撤回する。大学等に軍事研究を持ち込む「安全保障技術研究推進制度」の新設を中止する。

(13)政党助成制度を廃止し、企業・団体献金を全面禁止する

 約320億円もの税金を、政党が分け取りする政党助成制度を廃止する。企業・団体献金をただちに全面禁止する。小選挙区制を廃止し、民意が反映する選挙制度へ抜本的に改革する。

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