2013年参議院選挙各分野政策
13、震災対策・防災
2013年6月
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、巨大地震と大津波に加え福島第一原発の事故による放射能汚染と風評被害によるかつて経験したことのない巨大かつ深刻な災害となっています。避難者は全国47都道府県におよび、生活と生業、住宅の再建をめぐる展望の持てない不安な生活を余儀なくされています。こうした状況はあいついだ地震や台風・豪雨、竜巻等による災害による被災者にとっても深刻です。一日もはやく被災者が元の生活を取り戻すことができるよう、日本共産党は被災者と力をあわせて奮闘します。
災害の発生を最小限に抑え、被害の拡大を防止するため、(1)防災を無視した開発をやめ、必要な防災施設の整備と安全点検を徹底するなど防災まちづくりをすすめること、(2)観測体制の整備をすすめ、消防や住民などを中心とした地域の防災力を強化すること、(3)災害が発生した場合には、再度災害防止とすべての被災者を対象にした再建・自立にむけた支援をおこなうこと、これらを住民参加で実現をめざします。また、津波からの避難やがけ崩れ対策などを含め、必要な防災体制の強化も重点課題としてすすめます。
東日本大震災被災者支援は生活再建を基本に
被災地の復興にとって地盤の復旧をはじめ住まいと生業、就業先の確保、医療機関をふくめた生活基盤の再建は不可欠です。日本共産党は、「21世紀半ばのあるべき姿を目指す」ことや「国境を越えた社会経済活動への対応等わが国が直面する課題等の解決に資するための先導的施策への取組」などを国が押し付けるのでなく、被災者を中心に据えた復興をすすめることを要求します。大震災被災者に対する最低限の住宅や事業所の再建についても資産形成になるから支援しないという政府の姿勢が、被災者・被災地の再建・復興の大きな障害となっています。こうしたやり方を転換し、生活や生業の基盤である住宅や事業所・店舗なども含めすべての被災者を支援の対象とすべきです。被災者の医療費窓口負担などについては国の責任で免除するとともに、復興交付金事業を含めこれまでの制度をそのままあてはめようとするやり方を改め、被災者、被災地の実情に即した支援を徹底するよう求めます。
被災者への支援を強化します
日本共産党は、被災者の最低限の住まいや生業など生活基盤の回復のための支援を国の責任でおこなうことを主張し、(1)自宅避難者をふくめ当面の生活の維持への支援をおこなうこと、(2)被災者生活再建支援法については半壊などに対象をひろげるとともに支給額を引き上げること、(3)地域経済とコミュニティの担い手である中小商工業者の事業の再建については金融に限定せず事業所や事業用施設・設備再建を直接支援の対象とすること、(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を抜本的に軽減すること、(5)被災住宅の被害判定については、竜巻や浸水被害、液状化などの宅地被害にも対応し、失われた住宅としての機能を反映した判定基準とすること──などを柱にした被災者支援を実現するため、被災者のみなさんと力をあわせます。
東日本大震災では、就業機会の再建をふくめた生活と生業の再建を果たすまでの支援の必要が明らかになりました。災害救助については、応急救助が生活再建に効果的に結びつくようにするとともに国庫負担を最大で全額とするなど必要な見直しをおこなうべきです。被災住宅の応急修理や障害物の除去は高齢世帯や母子世帯など実際に自力ではできない世帯はすべて救助の対象とする、特別基準による基準額や適用期間の延長など、現金供与も含めて被災の状況に見合った全面的な活用を追求します。「震災障害者」への支援や激甚災害制度を含め被災者や被災地の実際に即した実効ある支援制度とするため全力をつくします。
災害に強いまちづくり、国土づくりをすすめます
地震災害はどこで起きてもおかしくありません。地震による被害を最小限にくい止めるうえで、学校などの公共施設や緊急輸送路沿いの住宅などだけでなく、病院や大規模集客施設をはじめ宅地を含めたすべての住宅の耐震診断と耐震補強を計画的にすすめることが不可欠です。そのために、東日本大震災を教訓にした防災対策の総点検について設置者・開発者のとりくみを促すとともに、国自身の計画的とりくみを強化します。
大都市では、「再開発」や「都市再生」の名による超高層ビルの建設ラッシュ、無秩序なまちづくりによって、雑居ビルや老朽木造住宅が混在しています。通勤や通学のため大規模な人口移動が繰り返され、迷路のような駅ターミナルに人があふれています。一方、地方では、経済の落ち込みや高齢化から、山間地の集落の維持が深刻な問題となっています。市町村の広域合併は、住民と行政の距離をますます広げています。いったん地震や豪雨・洪水などが発生すれば、被害をいっそう拡大することになりかねません。
長周期地震動や地盤の液状化などへの対策を強化し、被害を最小に抑える取り組みをすすめます。交通やガス・上下水道などライフライン施設、河川堤防、がけ崩れや土石流などの危険箇所、老朽化したため池など、災害危険個所の点検を急ぎ、必要な補強・補修を優先しておこないます。住民の要求をよく踏まえて、電線の地中化など、安全性を高める措置をすすめます。災害対策を無視した開発行為の規制など、まちづくりそのものを、経済効率優先から、防災を重視した住民参加型に転換します。開発や土地利用の変更にあたって、災害に対してどのような影響があるかを事前にチェックする防災アセスメントを導入します。森林の荒廃が大量の流木や大規模な土石流をひきおこし、被害を増幅しており、間伐や風倒木撤去の徹底、作業用林道の回復措置などを確実におこなえるよう必要な支援を強めます。災害復旧にあたっては「原形復旧」をおしつけるのではなく、再度災害を防止するため必要な「改良復旧」をすすめます。
大規模な災害発生にあたって、消防や警察などの救援部隊を全国的に派遣する体制は急速に整備されてきました。その反面、地域の防災対策を日常的に点検・強化し、災害発生時には被災者救助の中心的役割を担う市町村消防の体制は、職員の不足が常態化しており、広域化による市町村災害対策本部との連携や地理不案内による初動体制の遅れなどが懸念されています。防災行政無線の整備を含め、消防職員の増員や消防水利の整備など、消防力を強化することは地域の防災力にとって不可欠です。ボランティアを含めた住民の知恵と力を取り入れ、地域防災計画を見直し、高齢者や障害者、住民の安全な避難など地域の防災対策を強化します。
突風・竜巻や局所的豪雨災害による被害の拡大を防止するうえで、気象現象の的確な把握と住民の確実な避難をおこなうことがいよいよ切実に求められています。地震・津波や火山、気象の観測・監視体制を強化するとともに、地方自治体の避難情報の伝達が的確におこなえるようにするため、気象現象などの相談窓口として地域の実態をふまえた防災センター機能の強化・確立をめざします。東海地震の予知を前提に、自衛隊の事前出動、住民の生活・営業の制限を可能とする大規模地震対策特別措置法については、廃止をふくめた見直しをおこないます。
石油コンビナートなど大都市圏の臨海部の安全対策をすすめます
東日本大震災では広域にわたり大規模な液状化が発生、千葉県など臨海部の石油コンビナートで火災・爆発事故が発生しましたが、石油タンクだけでなく地盤の耐震化、液状化対策も不十分なまま放置されています。東京湾だけではなく大阪湾や伊勢湾など、とりわけ大都市圏の臨海コンビナート地区は住宅密集地に隣接しています。大規模災害が発生した際の労働者・住民の安全、ライフラインの確保だけでなく、応急対策をすすめるうえでも臨海部の安全対策はとりわけ急務です。事業所まかせというあり方を改め、都道府県単位の防災計画だけでなく臨海部一帯の防災計画について国が責任を持ち、国と地方の関係行政機関と事業所が連携してすすめる必要があります。(1)対策をすすめる機関を国の主導で設置する、(2)災害への備えを点検し、耐震化や安全点検のあり方を見直し消防体制と避難体制を抜本的に強化します。