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日本共産党

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赤旗

2013年参議院選挙各分野政策

8、税制

消費税大増税を中止し、富裕層と大企業を優遇する不公平税制をただします

2013年6月


 自公民3党が2012年に成立させた消費税増税法にもとづいて、現行5%の消費税率が2014年4月からは8%に、2015年10月からは10%に引き上げられようとしています。これが実行されれば、それだけでも13・5兆円という日本史上最大の増税となります。

 国民への増税は消費税だけではありません。この10年余りの間に、自公政権による定率減税の廃止や配偶者特別控除の廃止、高齢者への増税に続いて、民主党政権下でも、年少扶養控除の廃止や復興増税など、国民への増税が行われてきました。

 その一方で、富裕層や大企業には、法人税率の引下げ、所得税や相続税の最高税率の引下げ、研究開発減税、証券優遇税制などの減税が行われてきました。

 財界は、消費税増税を要求する一方で、「成長戦略」などと称して、大企業への課税をさらに引き下げることを要求しています。政府・自民党は、この財界の要求を積極的に推進しようとしています。しかし、いまでも巨額の利益を上げている大企業に減税しても、内部留保のため込みがますます増えるだけで、経済成長につながるわけではありません。その減税の穴埋めを消費税で行えば、国民生活はますます圧迫され、景気がいっそう冷え込むことは必至です。

 税は「応能負担」が原則です。所得の少ない人には少なく、所得の多い人にはより多く負担してもらう、そして、生活に必要な最低限の所得をも得られないような人は非課税にするのが当然です。「貧困と格差」が大きな問題となっている今こそ、この原則がいっそう大事になっています。

 大企業や大資産家に減税の「大盤振る舞い」をしてきたことが、税収に大きな穴をあけ、巨額の政府債務の原因にもなっています。財政危機から脱却する道を確立するためにも、行き過ぎた減税にメスを入れることが必要です。

 一昨年(2011年)、アメリカのウォール街を占拠した若者や市民は、「我々は99%だ」というスローガンを掲げ、ひとにぎりの富裕層に富が集中していることを告発し、富裕層に負担を求めました。欧米の富裕層自身の間からも、「私たちに増税を」という声が上がりました。グーグルやアップルなどの巨大企業が国際的な「税逃れ」を行っていることに対して、批判の声が上がっています。「富裕層や大企業に適正な税負担を」ということが世界の流れになっています。これに逆行する日本の税制の歪みは、ただちに是正すべきです。

 日本共産党は、(1)国民のくらしと営業をまもる、(2)社会保障の財源を確保し、財政危機を打開する、(3)不公平税制の歪みをただす――という3つの角度から、次のように税制の改革を進めます。

 

消費税増税の実施を中止します

 消費税率を今の倍の10%に引き上げたら、国民の暮らしは大打撃をうけます。政府の試算でも、サラリーマン4人家族で年収500万円の世帯で、消費税増税だけでも年間11.5万円、所得税などの増税や児童手当(子ども手当)の削減、社会保険料の引上げなどを含めれば、2011年から2016年までの5年間で、年間の負担額が31.1万円も増加します。これは、月給1月分が吹き飛ぶ計算です。年収300万円の世帯では24.3万円の負担増となるなど、低所得者ほど負担増加率が高くなっています。こんな負担増が押しつけられたら、暮らしは大変なことになります。

 帝国データバンクの企業意識調査(2012年7月)によれば、企業の86.1%が「消費税増税によって国内消費が縮小する」と答え、67.1%が増税による「業績への悪影響」を心配しています。とくに、小売業では86.6%が「悪影響がある」としています。大企業を含めても、「増税分をすべて転嫁できる」という企業は31.1%しかなく、「一部しか転嫁できない」が34.1%、「まったく転嫁できない」が10.1%、「分からない」が24.8%となっています。消費税増税は小売業者をはじめとして企業活動にも悪影響を及ぼし、景気を冷え込ませます。その結果、企業がリストラを進めれば、ますます景気が悪化し、深刻な悪循環に陥りかねません。

 安倍首相は、「機械的に何が何でも引き上げるということではありません」「実施時期の半年前に、経済状況等を総合的に勘案して判断する」(国会答弁)と言っています。今年4-6月期のGDPなどの経済指標の動向をふまえて、秋に増税の可否を判断するというのです。これは、増税実施の最終決定を参議院選挙後にすることによって、消費税の「争点はずし」をねらったものです。

 自民党が本当に消費税増税による景気への影響を心配するのであれば、ただちに増税中止を決断すべきです。足下の経済情勢をみても、働く人の賃金は増えず、企業の設備投資もマイナスを続けています。「アベノミクス」による「円安・株高」で輸出企業や大株主には利益がもたらされています。しかし、消費税が増税されて被害を受けるのは、「輸出戻し税」で保護されている輸出企業ではなく、円安による輸入原材料の価格上昇で苦しんでいる国内産業です。消費税は低所得者ほど負担率が高くなる税金ですから、大株主・富裕層ではなく、低所得者ほど増税の被害を受けます。4-6月には、補正予算でばらまいた公共事業の効果や、増税を前にした住宅建設の「駆け込み需要」の効果でGDPの上昇が起きるかもしれませんが、こうした「見かけの景気回復」で増税を決めたら、大変なことになってしまいます。

 日本共産党は、経済政策や税制についての考え方の相違を超え、来年4月の消費税増税に反対する1点で一致し、国民のみなさんと力をあわせて、消費税増税の実施を中止させるため、たたかいます。

 

社会保障充実と財政危機打開の財源は、「消費税ではない別の道」でつくります

 安倍内閣は、「消費税増税は社会保障のため」という看板も投げ捨て、社会保障の削減に踏み出そうとしています。さらに、「国土強靱化」などと称した大型公共事業の復活、軍事費の増強もすすめようとしており、国民からしぼりあげた消費税が、こうした浪費にあてられることになります。

 消費税を増税すれば、消費税収は増えますが、景気が悪化すれば所得税や法人税など、他の税収は減ってしまいます。そのうえ、これまでにも、消費税増税と引き換えに、大企業などへの減税が行われてきました。

消費税導入以来25年間で、税収は累計で264兆円にもなりますが、ほぼ同じ時期に企業が納める法人3税(法人税、法人住民税、法人事業税)は246兆円も減ってしまいました。消費税収入の9割以上が、その穴埋めに消えてしまったのです。

 97年の消費税率引上げ後に限定すれば、事態はますます明確です。増税後の17年間で増えた消費税収は84兆円ですが、他の税収は17年間の累計で194兆円(所得税・住民税47兆円、法人3税87兆円、その他の税60兆円)も減ってしまいました。差引きで110兆円ものマイナスです。実際には、財政にはそれ以上のマイナスとなります。消費税増税により公共事業などで政府が支出する経費にも消費税が課税され、歳出が増える効果もあるからです。消費税増税では財政危機は打開できません。

 「増税の前にやることがある」という政党もありますが、「やることをやったら増税」では、結局は消費税増税につながります。これでは消費税増税への対案にはなりません。消費税増税ではない「別の道」を示すことが重要です。

 日本共産党は、昨年(2012年)2月に発表した「消費税大増税ストップ!社会保障充実、財政危機打開の提言」で、①歳出のムダ一掃、富裕層と大企業の応分の負担を求める財政改革、②大企業の内部留保を活用し、国民の所得を増やして経済を健全な成長の軌道にのせる民主的経済改革―によって当面の社会保障再生と財政危機打開の財源を確保するとともに、将来、先進水準の社会保障拡充をめざす段階では国民全体に負担を求めるが、その場合も消費税ではなく、所得税を中心とした「応能負担」の原則をつらぬくことを提案しています。

 (詳しくは、この提言をお読みください) 消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言

 

将来的には消費税廃止をめざします

 消費税は、低所得者ほど負担の重い税金です。震災や津波で家や職を失った被災者にも、収入がなくなけなしの預貯金を取り崩しながら不安な生活を送っている人にも、多重債務に苦しんでいる人にも、生活のために消費しているかぎり、消費税の負担がのしかかります。消費税は「生計費非課税」の原則に反する税金です。

 事業者にとっては、販売する商品に消費税が転嫁できているか否かにかかわらず、消費税が課税されます。経営が赤字であっても消費税は納税しなければなりません。その一方で、輸出大企業が下請業者に消費税分の単価引下げを強要しておきながら、自らは「輸出戻し税」を受け取るという矛盾も起きています。

 このような消費税は、「能力に応じた負担」という税の原則に反する税制です。日本共産党は、このような消費税に反対し、将来的には、その廃止をめざします。消費税を廃止した段階では、ぜいたく品や環境に負荷を与える商品・サービスなど、品目を限った個別間接税を実施します。

 消費税廃止にいたる以前の段階では、次のような改善をすすめます。

──食料品など生活必需品の消費税を非課税(ゼロ税率)にします。食料品や水光熱費などの生活必需品は、所得の多少によって支出額があまり違わないため、所得対比でみた消費税負担率が低所得者ほど重くなる「逆進性」がとくにひどくなります。こうした品目を非課税にすれば、家計をたすけるとともに、税制のゆがみをただすことにもつながります。

──消費税の免税点が年間売上3000万円から1000万円に引下げられた結果、零細な業者までが消費税の納税義務を負わされ、税が払えないために廃業を余儀なくされるなど、深刻な事態が広がっています。売上3000万円以下の業者は課税業者の半分にもなりますが、消費税収全体に占める割合は3.4%にすぎません。しかし、1業者あたりの税額は21万円で、零細な業者にとっては大きな金額です。消費税の延納措置を認めるとともに、免税点を引き上げます。

──保険診療などの医療費は消費税非課税とされていますが、病院や診療所が仕入れる医薬品や医療機器などには消費税が課税されています。これによって、医療費の負担も増えるとともに、病院などの経営も圧迫されています。医療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税が還付されるようにします。

 

富裕層優遇の不公平税制をあらためます

 この間、富裕層への減税が繰り返されてきました。99年には、所得税・住民税の最高税率(課税所得3000万円超)が、あわせて65%から、50%に引き下げられました。2003年度には「証券優遇税制」が導入され、上場株式の配当所得や株式譲渡所得の税率は、わずか10%(所得税7%、住民税3%)に軽減されてしまいました。

 ほんらい所得税は、所得が高い人ほど負担率が高くなる累進税制になっているはずです。ところが、国税庁の統計では、所得が1億円を超えると逆に負担率が下がってしまいます。お金持ちほど、株式や土地の譲渡所得などが多く、これらの所得の税率が低いからです。このため、たとえばトヨタ自動車の社長の税・社会保険料負担率が、社員の負担率より低いという事態さえ起っています。こんな不公平がまかり通っていたのでは「働くのが、ばからしい」という風潮を広げてしまいます。

 消費税増税と引き換えに、2015年から所得税の最高税率が引き上げられることが決められましたが、対象は課税所得4000万円超(5万人程度)に限定され、引上げ幅もわずか5%です。これでは税収も600億円足らずしか増えません。

 証券優遇税制は今年12月までで期限切れとなり、その後は税率が20%(所得税15%、住民税5%)となりますが、欧米の富裕層の株式配当への最高税率は、アメリカ(ニューヨークの場合)27.7%、イギリス42.5%、ドイツ26.375%、フランス36.5%(2012年7月現在)であり、日本は依然として低い状況が続きます。こうした金持ち優遇税制を改めることが、経済危機の中で必要な財源を確保するためにも、格差と貧困の是正に向けて税制による所得再分配機能を再建・強化するためにも、不可欠です。

──引き下げられた所得税・住民税の最高税率を引き上げ、累進税制を強化します。99年に15%引き下げられた税率を元の水準に戻せば、約7000億円の増収になります。

──世界に例を見ない大資産家優遇の配当や株式譲渡所得の税率軽減措置を改めます。証券優遇税制の廃止で税率を20%に引き上げたうえ、将来的には、配当や譲渡所得などは、勤労所得とあわせた総合課税を原則とし、富裕層に応分の負担を求めますが、それまでの間も、欧米諸国の水準にあわせて高額所得には30%以上の税率を適用します。

──大株主の中には、保有する株式を自分が出資してつくった資産管理会社の名義にしている人がいます。証券優遇税制の期限切れを前にして、自己名義の株式を資産管理会社に移す動きが増えています。企業の発行株式総数の3%以上を保有する大口株主の配当には総合課税がされることになっていますが、資産管理会社名義の株は対象外となってしまいます。こうした「合法的な課税逃れ」を防ぐ方策を検討します。

──消費税増税と引き換えの形で、2015年に相続税・贈与税の最高税率が50%から55%に引き上げられますが、2003年に70%から50%に引下げられたのを一部戻すだけにすぎません。おまけに孫などに1人1500万円までの「教育資金一括贈与の非課税枠」を創設するなど、富裕層向けの減税措置は強化されています。最高税率を元に戻し、富裕層への課税を強化します。

──相続税の課税評価額に準じた基準で5億円を超える資産を保有する者に対して、毎年、累進的だが低い税率で課税する「富裕税」を創設します。資産管理会社に保有株式の名義を移して所得税の「課税逃れ」をしている富裕層の場合も、資産管理会社を保有していること自体を「資産」とみなすことができますから、「富裕税」は課税でき、不公平の是正に役立ちます。

──現行の被用者年金では月給62万円、医療保険制度では121万円を超えると、保険料が頭打ちになってしまい、月給が何百万円になっても負担額が変わらないため、全体として逆進的な負担となっています。この上限を引き上げ、保険料によっては上限を廃止するなど、負担の公平をはかります。その際、所得税や住民税の社会保険料控除については現行の青天井方式をあらため、一定の上限を設けるようにします。

 

大企業優遇税制をあらためます

 2012年度に、法人税の税率を30%から25.5%に引き下げられてしまいました。当面、2014年度までの3年間は、減税に見合う規模の「復興増税」を課すことになっていますが、4年目からは減税だけが残ります。しかも、大企業・財界は「日本の法人税率は外国に比べて高い」などと言って、いっそうの減税を要求しています。

 しかし、大企業はリーマン・ショックの起きた08年度こそ利益を減らしましたが、09年度以降は再び利益を増やし、内部留保も大幅に増やしています。大企業は空前の「カネ余り」状態にあります。法人税の減税は、このカネ余りをいっそう促進するだけで、日本経済の成長にはつながりません。

 そもそも、「日本企業の負担は重い」というのは正確ではありません。2011年度までの法人所得課税(地方税を含む)の実効税率は40%でしたが、研究開発減税や連結納税制度、受取配当益金不算入制度などによって、日本のトップクラスの大企業は、平均しても税引き前利益の30%前後しか税を負担していません。法人税の実質負担率は、中小企業が26%であるのに対して、大企業は18%という逆転現象が生じています(2011年度)。

 「負担を軽くしないと企業が海外へ逃げていく」という宣伝もされています。しかし、海外子会社からの配当を非課税にするなど、海外進出企業を優遇する税制を進めてきたこそが問題です。企業が海外に行ってしまうことを心配するなら、こうした海外進出企業優遇税制こそ改めるべきです。

──大企業の法人税率を30%から25.5%に引き下げる減税を元に戻します。将来的には、OECD(経済協力開発機構)でも指摘されたことがある「有害な法人税の引下げ競争」を見直す国際的な働きかけをすすめ、下げすぎた法人税率の適切な引上げをはかります。

──03年度に大幅拡充された研究開発減税は、研究開発費の10%程度を法人税から減額するというものです。以前は「研究費を増やした企業に減税する」というものでしたが、今では、研究費を減らしても減税になるという制度です。この制度を利用しているのは、ほとんどが大企業であり、減税などなくても研究費に困らない、内部留保を抱えた企業が多くを占めています。こうした大企業優遇にメスを入れます。安倍内閣が導入した「国内投資減税」は、投資の中身に関係なく、設備投資をすれば減税というもので、理論的には電力会社が原発を新増設しても減税になるというものです。このような「ばらまき補助金」にほかならない大企業減税は廃止します。

──グループ内の黒字企業と赤字企業の利益を相殺させることができる連結納税制度によって、年に5900億円もの減税になっています(国税庁の2011事務年度)。トヨタ、日産自動車、ホンダ、NTT、ソニー、東芝など、名だたる大企業が連結納税制度の利益を受けています。こうした税金逃れをやめさせます。

──海外を含めた企業再編が進められる中で、大企業の利益の中で、グループ企業や海外子会社からの配当が占める割合が増加しています。こうした配当には、「受取配当益金不算入制度」や「外国税額控除制度」などが適用されるため、税負担が大幅に軽減されています。そのうえ、2009年から「海外子会社からの配当非課税制度」が導入されました。2010・11年度の2年間の合計で、非課税とされた海外からの配当は約8兆円となり、その96%は大企業です。「海外で稼ぐほど税金が安くなる」という税制を政府自らがつくったのでは、ますます海外進出の勢いが強まり、国内産業の空洞化を招きかねません。こうした優遇税制を縮減します。

──ケイマン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)が、日本の大企業・金融機関、富裕層の税逃れに悪用されています。ところが民主党政権は、タックスヘイブン課税の適用除外基準の緩和など、いっそうの悪用をすすめる税制改悪を行いました。アメリカ議会は、タックスヘイブン悪用による数兆円もの税逃れを明らかにしました。日本でも徹底した実態調査と抜本的な課税強化をすすめます。

──多額の為替取引に対して低率で課税する「為替取引税」を創設します。東京外為市場の取引額は年間推計6000兆円(2010年度)で、10年あまりで倍に増えています。投機マネーによる取引が増加しているからです。通常の貿易や金融取引には影響がない、きわめて低率の税を課すことにより、投機マネーの行き過ぎた動きを抑制することができます。

 

個人所得課税は「応能負担」「生計費非課税」をつらぬきます

 この間、子ども手当の財源確保を理由にして所得税や住民税の年少扶養控除が廃止され、「高校授業料無償化のため」として、16~18歳の特定扶養控除の上乗せが廃止されました。さらに、配偶者控除など他の人的控除の廃止・縮小も議論されています。

 これらの人的控除は「生活に不可欠な経費には課税しない」という「生計費非課税」の原則を具体化したものであり、憲法に定められた生存権に基礎を置くものです。「所得控除は高額所得者ほど減税額が大きくなり、金持ち優遇だ」という議論がありますが、これは誤りです。所得税・住民税の配偶者控除を廃止した場合、年収500万円なら7.1万円の増税で、対年収比で1.4%の増税ですが、年収1億円なら18.5万円の増税で、対年収比では0.185%にしかなりません。

──所得控除を税額控除に置き換えるというのであればともかく、配偶者控除や扶養控除を代替措置もないままに一方的に廃止する増税には反対します。

──基礎控除を現行の2倍に引き上げ、ヨーロッパ諸国の水準に近づけます。これによって、サラリーマンの所得税の課税最低限は、単身者で156.6万円に上昇します。

──120万円に引き下げられた高齢者の公的年金等控除の最低保障額を140万円に戻します。所得500万円以下の高齢者について、所得税50万円、住民税48万円の老年者控除を復活します。高齢者の住民税の非課税限度額を復活します。

──2011年から、400万円以下の年金について確定申告が不要となりましたが、申告をしないと医療費控除などが受けられず、損をする場合があるため、制度の周知など、改善をはかります。介護保険の要介護認定を受けている人などが障害者控除の認定を受けやすくするように、制度運用を改善します。

──介護保険や医療保険など、家族の年金などから源泉徴収された社会保険料についても、それを実質的に負担している納税者の所得から社会保険料控除ができるように、改善をはかります。住民税の年金からの特別徴収(天引き)については、各人の希望で普通徴収に変更できるようにします。

──寡婦控除について、死別の場合だけでなく、離婚の場合やいわゆるシングル・マザーにも適用されるように、制度の改善をはかります。

──証券優遇税制の廃止にともない、500万円までの株式投資から得られる配当や譲渡所得を非課税とする「日本版ISA(個人貯蓄口座)」制度が創設されます。小規模な投資を行う「庶民投資家」への課税を富裕層より軽減するのは必要なことですが、モデルとされたイギリスのISA制度が預金利子も非課税の対象となっているのと違って、日本の制度は株式投資だけに限定された歪んだものです。対象を狭めない小口投資の非課税枠をつくり、投資先は投資家の判断にゆだねるようにすべきです。

──「住宅は福祉」の観点に立って、家賃に関する税の控除制度の創設をはかります。

──政府は、わが党などの反対を押し切って、いわゆる「マイナンバー法」を成立させて、2016年から本格実施することを計画しています。政府は、当面の適用対象を納税や社会保障関係の手続に限定するとしていますが、金融・証券課税なども含めた税務処理にこのナンバーを活用しようとすれば、源泉徴収の実施主体である銀行や証券会社などの民間企業に、ナンバーが公開されることになります。家族構成や結婚・離婚歴、病歴など、重要な個人情報が民間企業に流出する危険性が増すことになります。一方、富裕層の場合には、匿名口座などで財産を隠しているわけではなく、資産管理会社をつくって堂々と「合法的な資産逃れ」をしているのですから、いくらナンバーをつけても課税強化にはなりません。庶民への課税強化と社会保障給付の削減を狙いとした「マイナンバー」制度には反対します。

 

中小企業支援税制などを強化します

 この20年間に、中小企業は100万社以上も減少しました。政府の「構造改革」路線で内需が冷え込まされてきたあげくに、大企業の下請けいじめなどで、ただでさえ経営が大変なうえに、消費税の免税点引き下げなどの増税が加わって、「税金が払えず廃業に追い込まれる」という事態も生まれています。このうえ、消費税が増税されれば、中小企業の困難はますます増大します。大企業ばかりを優遇する税制をあらため、中小企業や零細な事業者を支援する税制に転換します。

──家族従業者に支払った賃金を「損金」扱いすることを認めていない所得税法56条を廃止して、家族の働き分を経費に認めます。

──法人税にも累進制を導入し、中小企業の一定範囲内の所得については、現行より税率を引き下げます。

──法人事業税の外形標準課税を資本金1億円以下の小規模企業にまで拡大することは、赤字企業などに過大な負担を負わせることになるので反対します。

──事業用資産については、一定期間の事業の承継を条件に、相続税の減免制度を設けます。

──2011年に民主党政権が「納税者権利憲章」策定を提案しましたが、記帳義務拡大や罰則強化と抱き合わせの提案で、しかも、自民党などとの密室協議を通じて「憲章策定」の条文は削除され、納税者への義務強化だけが残るという最悪の結果となりました。納税者の権利をまもる、本当の「納税者憲章」を確立します。消費税納税にあたっての仕入税額控除否認、機械類への償却資産課税の強化、倒産に追い込む売掛金の差し押さえの乱発、滞納を理由とした住居等の生存権的財産の差し押さえなど、国と地方の過酷な徴税・税務調査をあらためます。

──農業用機械、漁船などの燃料に係る軽油引取税等の免税措置を恒久化します。

──都市計画区域内農地への宅地並み課税の廃止をめざし、当面、生産緑地指定の要件を緩和し、追加指定を広げます。

 

社会情勢の変化に対応した税制改革をすすめます

──昨年(2012年)10月から、「地球温暖化対策の課税」として、石油石炭税の上乗せ措置が実施されましたが、不十分なものにとどまっており、さらに拡充をはかります。

──金融投機マネーの暴走を抑え、途上国支援の財源を確保するために、国際連帯税の導入を検討します。

──集合住宅の共用部分の固定資産税を軽減します。

──NPO法人の活動を支援するための寄附金税制について一定の改善がはかられてきましたが、まだ十分ではありません。認定NPO法人の適用を受けやすくするための改善や、寄附金控除の適用下限額の引下げ、バザーやチャリティー公演などの非課税制度の創設など、いっそうの拡充をはかります。

──芸術・文化団体への寄付税制を充実するとともに、民間劇場や映画館の固定資産税の減免などの支援をすすめます。

──政府は、「プライバシー保護」を口実として、高額納税者や法人企業についての公示制度を廃止してしまいましたが、一定以上の金額については、復活します。とくに大企業については「プライバシー」は理由にならず、公開は当然です。

 

 

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