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日本共産党

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赤旗

2013年参議院選挙各分野政策

45、北東アジア

6カ国協議を通じた、北朝鮮問題の解決をめざす

20136


 北東アジアは、日本のもっとも身近な国際環境であり、ここに安定した平和の国際関係を築くことは、21世紀の日本の平和的な発展にとっても切実な課題です。その点でこの地域には、核兵器開発など北朝鮮をめぐる難しい問題があります。

北朝鮮は、昨年4月、12月と、2度にわたって、国際社会の批判と反対を無視し、「ロケット」発射をおこない、今年2月には3度目の核実験を強行しました。これらは、核実験と「弾道ミサイル技術を使用した発射」の中止を求めた国連安保理の諸決議に違反し、地域の情勢を悪化させる行為であり、許されません。

いま大事なことは、これ以上緊張を高めず、問題を対話による平和的解決の道に戻すことです。

 北朝鮮の核問題については、2003年以来、韓国・北朝鮮と日米中ロの6カ国が、この問題の平和的・外交的解決をめざして6カ国協議をおこなってきました。05年9月には、北朝鮮を含む全参加国により、朝鮮半島の非核化の目標とその後の平和体制の展望の基本を確認した共同声明に合意しています。

 北朝鮮政府はこの共同声明に立ち返って、核実験はもちろん、核兵器および核兵器開発計画をただちに放棄し、好戦的な言動もやめるべきです。

6カ国協議そのものは様々な曲折を経て、現在中断していますが、対話と協議の再開をさぐる関係国の動きも出ています。日本共産党は、協議が再開されこれまでに達成された合意が着実に実行されるよう、全力をつくします。

 日本は、唯一の被爆国として、また北朝鮮との首脳会談で2度にわたって非核化の目標を確認しあった国として、この協議でも特別の役割と責任をになうべきです。北朝鮮の問題を利用して軍事同盟の強化や憲法改悪をねらうのは、問題の解決に逆行します。

 

日朝間の諸問題の解決に力をつくす

 朝鮮半島の核問題の解決とともに、日朝双方が拉致問題の解決に必要な努力をつくし、日本と北朝鮮の国交正常化への道筋をひらかなければなりません。拉致問題や日本による植民地支配などの過去の清算といった、日朝間の諸懸案を包括的に解決することをめざした「日朝平壌宣言」(2002年)にもとづいて、この道をすすんでいくべきです。

 拉致問題では、安否不明者の再調査などの問題で、日本にとって納得できる解決がはかられなければなりません。日本政府は、北朝鮮にこういう問題を解決してこそ国際社会に仲間入りできることを強くうながし、中断されている日朝交渉再開へ強力に働きかけるべきです。

 その際、日本政府は、植民地支配という日本の"過去の遺産"が、いっさい清算されないまま残っている唯一の地域が北朝鮮であることを自覚し、歴史的責任を果たす立場でとりくむことが必要です。

日本共産党は以前から、ラングーン事件(1983年)など北朝鮮の国際的な無法行為を厳しく批判してきました。それに対し北朝鮮側が“日本共産党は敵の側だ”と攻撃・干渉してきたため、日本共産党は、北朝鮮の政権党・朝鮮労働党と30年前から関係を断絶しています。同時に、日本共産党は、拉致問題を含め日朝間の諸問題を、平和的な交渉によって道理あるかたちで包括的に解決することを一貫してめざしてきました。そうした党として、ひきつづき問題の平和的、外交的解決のため力をつくします。

 

北東アジアに平和の地域共同体を広げる

 6カ国協議の共同声明は、この枠組みを北東アジアの平和と安定の枠組みに発展させていくという展望も明記しました。この共同声明に立ち返り、非核の朝鮮半島をつくり、核・拉致・ミサイル・過去の清算などの諸懸案の包括的解決をはかり、この枠組みを、北東アジアの平和の地域共同の枠組みに発展させることをめざします。

東南アジアでは、かつての米国中心の軍事同盟SEATO(東南アジア条約機構)が解消され、各国はASEAN(東南アジア諸国連合)を発展させてきました。ASEANは、安全保障について、軍事的手段・軍事的抑止力に依存する考えから脱却し、地域のすべての国を迎え入れ、対話と信頼醸成、紛争の平和的解決など、平和的なアプローチを追求する――“平和的安全保障”という新しい考え方を貫いています。

その枠組みとして、①ASEAN域内の行動規範として、武力行使の放棄と紛争の平和解決などを掲げたTAC(東南アジア友好協力条約)があり、域外の諸国にもTACへの参加を拡大、②東南アジア非核地帯条約、③「対話と信頼醸成」のための機構であるASEAN地域フォーラム(ARF)を「予防外交」「紛争の平和的解決」の機構に発展させる、④南シナ海行動宣言。ASEANと中国が締結したもので、南シナ海の諸島の領有をめぐる紛争の平和的方法での解決をめざす――を重視しています。

日本共産党は、こうした東南アジアで発展している平和の地域共同体を、北東アジアにも広げようと提案しています。

 

北東アジアに平和的環境をつくる緊急の外交努力をおこなう

北東アジアでの平和の地域共同体の実現を目指しながら、当面、次のような緊急の外交努力をおこないます。

①「軍事には軍事」という軍事的緊張の拡大と悪循環は、いかなる形であれきびしくしりぞける。

 北朝鮮が、国際法や国際合意に違反する行動をとった場合に、日本の対応として、外交的解決の努力よりも軍事対応が突出する傾向が、しばしばみられますが、こうした態度はきびしく戒めることが必要です。

この問題は、今後も複雑な局面が予想されますが、どんな場合でも、国際社会が一致して、外交的解決に徹するという態度を堅持することが、北朝鮮に違法行為をやめさせ、国際社会の責任ある一員としていくうえで、何よりも重要です。

②軍事力で対抗する米中・日中関係ではなく、軍拡から軍縮への転換を求める。

 日中両国が「戦略的互恵関係」を確立し、米中両国も「戦略・経済対話」のしくみを制度化し、それぞれが経済関係、人的交流をいっそう深化させるもとで、これらの国と国との戦争は決しておこしてはならないし、もはやおこせないことは明白です。

 その現実に立って、双方が、軍事力で対抗するという思考から脱却し、軍拡から軍縮に転じることを求めます。

③領土をめぐる紛争問題の解決は、歴史的事実と国際法にもとづく冷静な外交的解決に徹する。

尖閣諸島をめぐり、中国側は、政府の監視船による継続的な日本の領海内の航行や、政府の航空機による領空侵犯をおこなっています。中国側にどんな言い分があったとしても、ある国が実効支配をしている地域に対して、力によってその変更を迫るというのは、今日の世界で紛争解決の手段として決して許されません。中国側が、力によって日本の実効支配を脅かす動きを続けていることは、問題です。

一方日本側では、尖閣諸島への公務員常駐の検討、尖閣問題を理由にした軍事力強化、軍事同盟強化の動きが起こっていますが、これらは冷静な外交的解決に逆行する動きであり、戒める必要があります。

 力対力の対応を続けるなら、それはエスカレートし、制御不能な事態を引き起こしかねません。冷静で理性的な話し合いこそが、問題解決の唯一の道です。

 ⇒領土問題のHP特集も参照。 「領土・領有権問題 私たちはこう考えます

④日本が過去に行った侵略戦争と植民地支配の反省を、北東アジアに平和的環境をつくる土台にする。 

歴史に誠実に向き合い、誤りは真摯(しんし)に認め、清算してこそ、日本は、アジア諸国民との本当の心通う友情を確立することができます。日本が抱えている領土に関する紛争問題をふくむ、アジア諸国との外交問題も、この立場を土台にすえてこそ、前向きの解決の道がはかられます。

 

安保条約なくしてこそ軍縮の本格的イニシアチブ

 いま進行している東アジア地域の緊張の根源は、米国が、イラク・アフガニスタン戦争の終結を見越して、「西太平洋及び東アジアからインド洋並びに南アジアまで広がる弧」に焦点をあて、「アジア太平洋地域に重点を移す」(米国防総省「世界における米国の指導性を維持:21世紀の国防優先事項」、2012年1月5日)という覇権主義の戦略をすすめ、そのために米軍の再配置、軍事力の効率化、強化をはかっていることにあります。「米軍再編」の名で、在日米軍基地の強化、日米の軍事一体化、グアム、ハワイ、オーストラリアなどへの海兵隊の分散配置が計画されています。

 一方で、中国が、経済的に成長するもとで、軍事力を増大させ、2012年度の国防予算は円換算で8兆7000億円をこえ(中国政府の発表による)、米国についで世界第2位となっているという問題があります。

 日米安保条約を解消し、この地域の軍事的緊張の最大の根源となっている在日米軍基地を撤去することで、日本は、中国や東アジアの国々にたいして、「ともに軍縮の道に転じよう」と、軍拡から軍縮への転換を提起する、憲法9条を生かした平和のイニシアチブを本格的に発揮する立場に立つことができます。それは、東アジア地域の平和と安定にとって、歴史的な転換点になりうるものです。

 

 

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