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日本共産党

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赤旗


芸術家会議との懇談での市田書記局長の発言

国民が文化を楽しめるよう

芸術団体への支援強化へ

 2013年2月25日


 2月25日の芸術家会議(43の芸術団体で構成、伊藤京子会長)との懇談で、市田忠義書記局長・参議院議員が発言した内容の大要を紹介します。



 まず日本共産党がどうやって文化を応援しようとしているのか、政治が文化をどう応援すべきなのかについて述べたいと思います。

■文化の多面的な発展をはかり、自由を守る

 日本共産党は、党の綱領で次のようにうたっています。「文化各分野の積極的な伝統を受けつぎ、科学、技術、文化、芸術、スポーツなどの多面的な発展をはかる。学問・研究と文化活動の自由をまもる」。芸術団体が自由に活動し、文化の多面的な発展がはかられるように、大いに政治が役割を発揮すべきだというのが私たちの不動の方針です。
 大きくいって二つの角度があります。一つは、国民が自由に文化を楽しめるようにする、生の舞台芸術を鑑賞できる条件をつくっていくこと、もう一つは、芸術団体が自由に活動できるように、助成をはじめとした条件を整えていくことです。そのさい、「自由をまもる」ことが大事で、政治は「金は出すが口は出さない」という原則を貫くようにしなければなりません。

■「時間」と「費用」が障害に

 多くの国民は芸術・芸能を鑑賞したいと願っています。同時に、とりわけ若い世代や働き盛りの世代が、舞台芸術から遠ざけられている現実があります。最大の問題は、「時間」と「費用」の問題です。ヨーロッパなどに比べて国民の鑑賞率は半分程度にとどまっており、鑑賞できない理由で最も多いのが「時間」の問題です。若い世代になれば「費用」が大きな障害になっています。サラリーマンは長時間労働で文化どころでない、ワーキングプアにされている若い人びとは「お金がない」というのが、日本の文化の発展にとっても大きな障害になっています。
 「デフレ不況」が大問題になっています。最大の原因は、働く人の賃金が減り続けていることにありますが、これは日本だけの例外的な問題です。所得を比較してみますと、日本は1997年から14年間で88%に落ち込みました。欧米諸国では90年代後半からくらべて1・3倍から1・9倍に増えています。国内総生産も、日本は14年間で90%に落ち込んでいますが、欧米諸国はさまざまな困難がありながら1・4倍から1・8倍に経済成長が続いています。日本だけが所得も減り続け、経済成長も止まっているのです。

■不十分なルールさえ壊されて

 これでは自由に文化を楽しむことが困難になることは当然です。これは自然現象ではなく、政治の責任です。大本には、日本ではヨーロッパで当たり前のまともな働くルールがないか、あっても弱く、とくに1990年代以降、「規制緩和」の名でこれまであった不十分なルールさえ壊されてしまったという事態がすすんだことが背景にあります。そのため、異常な長時間労働、不安定雇用がすすみ、所得も減り続ける事態となっています。ピーク時に比べて年収で約70万円減となっています。こうした状況を切り替えていくことは政治の責任であり、芸術・芸能の発展にとっても不可欠であり、大いにがんばっていきたいと思っています。

■芸術団体が自由に活動できるように

 国民が文化を楽しめるようにすることと同時に、芸術団体への支援を独自に強めることが政治の役割です。芸術団体への助成や子どもの芸術体験支援を拡充すること、また、寄付税制を拡充することも重要な課題です。
 これらをすすめていくうえで、昨年国会史上初めて採択された、国民の鑑賞機会の増大や芸術団体への助成拡充を中心に文化予算増額を求める請願を大いに力にしていきたい。
 来年度の文化庁予算案をみると、全体は微増ですが、芸術団体への助成である重点支援は31億5200万円で減額となっています。昨年10月の文化芸術推進フォーラムのさいにも指摘しましたが、請願の趣旨をふまえるとこの重点支援が増えるかどうかが文化予算増額の大きな試金石となります。
 請願のきっかけは、民主党政権の〝事業仕分け〟で文化予算が攻撃されたことでした。ただ、重点支援をはじめ助成が減り始めたのは、自公政権時代の2006年度からで05年の67億円を最高に今では半分以下です。助成方式も団体への助成から、個別事業ごとに改悪されました。減額に転じ、方式も改悪されたのは、「構造改革」という名の「規制緩和」、効率だけを優先する路線でした。
 国民の賃金と雇用も「規制緩和」でルールが取り払われましたが、共通した問題となっています。目先の利益、効率だけが優先され、国民の暮らしも、芸術団体を守っていく制度やルールも改悪、減額されてきたのです。ここを切り替えていく必要があります。

■大義ある要求を実現する政治へ

 国民が文化を楽しめるよう所得を増やす政策を大いにすすめたい。大企業の内部留保の1%を給与に回せば、多くの企業で月1万円程度の賃上げが可能です。安倍首相もわが党の国会質問に「経営者に〝収益が上がれば賃上げを要請する〟」といいました。これを形式的な「要請」に終わらせないようにする。最低賃金の引き上げや中小企業を支援することなど政治ができることは数多くあります。
 同時に、芸術団体の要望はごく当たり前の要求であり、ヨーロッパではすでに実現している問題です。文化省の問題も国によってあり方は違いますが、ヨーロッパでは国や専門機関がしっかりと文化を位置づけています。
 今まで通りの、目先の利益だけを追い求めるやり方では、文化の発展もあり得ないし、日本経済そのものが立ち行かなくなっていく。なんとか解決したいという国民の探求と模索は強くなっていきます。
 63万余の請願署名もその一つの表れだと思います。芸術団体の要求は、世界では当たり前の大義ある要求ですから誰も否定できず、請願も採択されました。こうした力はますます強くなっていくと思います。私たちは、そうした文化を発展させたいというまともな願いを正面から受け止め、力を尽くしたいと思います。


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