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日本共産党

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赤旗

2012年総選挙各分野政策

22、文化

芸術・文化の活動を支え、文化が豊かに発展する社会をめざします

2012年11月


 東日本大震災と福島原発事故以後、多くの芸術・文化団体や芸術家が被災地を訪れ、文化活動を通じて生きる希望を分かちあうとともに、作品を通じて時代を問う役割を発揮しています。人びとに生きる力を与える芸術・文化は社会進歩に不可欠です。

他方、経済危機に加えて、大震災と福島原発事故は、芸術・文化活動に大きな困難をもたらしています。公演活動のみならず、被災地の地域の芸能や文化財の復旧と保存は急務となっています。

 文 化を自由に創造し享受することは国民の権利であり、その条件を整えるのは国の責務です。経済危機で国民の多くが文化に親しむ機会から遠ざけられ、芸術芸能 団体が困難に直面しているなかで、消費税を引き上げることはますます国民から文化に接する機会を奪い、芸術・文化活動への大打撃となります。消費税増税ス トップに力を尽くします。

 民主党政権は、“効率優先”の名のもとに「事業仕分け」で補助金を大幅に縮減しました。これにたいして広範な芸術 芸能団体が文化予算増額の署名に立ち上がり、多くの国民が賛同しました。その結果、国会史上初めて文化予算増額の請願が採択されました。請願採択をふま え、芸術・文化活動を支える予算を増額します。

芸術団体と活動への助成縮減を許さず、文化予算を増やします

  日本の文化予算は、国家予算に占める比率でみると、フランスや韓国に比べて8分の1程度と著しく低いものです。しかも、芸術団体への助成は自民党政権の 2003年以来、毎年削減されてきました。民主党政権になってからは「事業仕分け」でいっそう露骨に縮減され、芸術団体助成の中心である重点支援は最高時 の3分の1にまで落ち込んでいます。

 国民が芸術・文化を楽しめるようにするためにも、芸術・芸能団体の活動が活発になることが不可欠であり、芸術団体の助成の中心である重点支援が増えるかどうかが文化予算充実の試金石です。

 芸術団体への重点支援は、わずか27億円であり、これを最高時に戻すには53億円増ですみます。米軍への「思いやり予算」やダム建設などムダをほんのわずか削れば増額は可能です。日本共産党は、目先の効率優先の助成縮減をやめさせ、抜本的に拡充します。

  芸術団体への助成方式は、一部が改善されましたが、いまだ無理な自己負担を前提にしたものが多数残されています。これを全面的に改善し、芸術団体が専門性 を発揮し、持続的に発展していけるよう助成制度の発展をはかります。けいこ場や公演・展示会場費への補助をはじめ、幅広い団体が気軽に活用できる助成制度 の確立や、助成への応募を年複数回にするなど利用の改善をはかります。助成金の一部「前払い」制度を本格的に実施し、すみやかな支払いを実現します。寄付 税制の充実など、税制支援をすすめます。

 心豊かな成長のためにも、子どもたちが芸術・文化に参加できる条件を整えることが重要になっていま す。学校での芸術鑑賞教室は、すべての子どもに芸術鑑賞の機会を保障する大切なとりくみですが、実際には、芸術鑑賞教室が激減しています。日本共産党は、 すべての子どもが年1回以上、芸術鑑賞ができるよう条件整備をすすめます。国としてすべての芸術鑑賞教室を視野に入れた支援制度を確立し、学校と芸術団体 の自主的な努力を応援します。文化団体が全国の草の根ですすめているとりくみを、交通費・宿泊費や会場費の援助などで応援する制度を確立します。

  諸外国では、表現の自由を守るという配慮から、財政的な責任は国がもちつつ、専門家が中心となった独立した機関が助成を行っています。文化庁の助成は応募 要綱などが行政の裁量で決められ、芸術団体の意見がそこに十分反映されていません。すべての助成を専門家による審査・採択にゆだねるよう改善します。

震災復興への文化の役割を重視し、地方の芸能・文化の保存と育成をはかります

  東日本大震災は、芸術・文化にも甚大な被害をもたらしています。震災直後から多くの専門家がボランティアとして被災文化財の保存・修復に力を発揮していま すが、道半ばで今後の課題となっています。福島や三陸沿岸部などでは閉鎖したまま再開できない文化会館・文化施設が数多くあります。民俗芸能をはじめ芸 術・芸能団体のなかでは、長年かけて受け継がれ、そろえてきた資材が流出するなど甚大な被害が生まれています。

 こうした活動への補助は一部となっており、要望には足りない状況があります。文化財保存も国指定文化財以外は、地方自治体や民間の寄付頼みとなっています。こうした事態を改め、国が被災地の文化活動への支援、文化財保存のために財政的にも積極的に支援します。

「劇場法」を生かし、文化施設への支援を強めます

 劇 場・音楽堂は、創造と鑑賞の両面から、芸術の発展になくてはならない場所です。ところが、自民党政治で指定管理者制度が設けられ、多くの文化施設で予算が 削減されてきました。民主党政権は、さらに「事業仕分け」で国からの助成を削り、自己収入の増大ばかりを求めています。民間劇場の閉鎖も相次いでいます。

 日本共産党も参加した超党派の議員立法で、劇場・音楽堂を支援する「劇場法」が成立しました。劇場法を生かし、劇場・音楽堂への国の支援を強めます。

 国立美術館・博物館、国立劇場・新国立劇場については、国の施設にふさわしく予算の充実をはかります。国民の身近な文化施設である文化ホールや図書館、美術館・博物館の民営化、民間委託の押しつけをやめさせ、公的支援を充実します。

 芸術・文化活動の拠点として活性化するためには、文化施設の運営への芸術家と市民の参画を促し、舞台技術者や司書、学芸員など専門家の身分を保障し、専門家 として力量を発揮できるよう支援します。また、民間の劇場・音楽堂や映画館は、現状では商業施設として扱われ、何らの支援もありません。年間100日以上 事業を行っている会館を劇場とみなして固定資産税の軽減を図るなど、積極的な支援を行います。

 まだまだ足りない大小さまざまな表現空間や 展示場所、けいこ場といった芸術家・文化団体の活動の条件を整備します。映画の国立フィルムセンターの人員を拡充し、国立美術館の付属施設から、国が責任 をもつ独立した組織へと発展させます。アニメ、マンガ、写真、音楽、美術など、文化各ジャンルの貴重な遺産の収集・保存を支援します。

著作者の権利を守ります。文化を支える専門家の地位向上にとりくみます

 日本の芸術・文化の発展のうえで各ジャンルの専門家の役割はきわめて重要です。ところが、その専門家の権利や社会保障がないがしろにされています。こうした状態を改め、著作権者の権利を守ることや、専門家の低収入、社会保障の改善にとりくみます。

  著作権は、表現の自由を守りながら権利者を守る制度として文化の発展に役立ってきました。ところが、映画の著作物はすべて製作会社に権利が移転され、映画 監督やスタッフに権利がありません。実演家もいったん固定された映像作品への権利がありません。国際的には視聴覚実演に関する条約が作成されるなど、実演 家の権利を認める流れや、映画監督の権利充実をはかろうという流れが生まれています。著作権法を改正し、映画監督やスタッフ、実演家の権利を確立します。

一部の大企業は、私的録音録画補償金制度への協力義務を非難するだけでなく、実際に放棄してしまいました。こうした横暴を許さず、著作物を利用することで利益を得るメーカーに応分の負担を求め、作家・実演家の利益をまもります。

 年 収300万円未満が5割以上という劣悪な状態にある実演家をはじめ、多くの芸術家は、一般の勤労者に比べても低収入です。また、仕事のうえでの怪我であっ ても労災認定は5.3%にすぎないように、社会保障がほとんどありません。そのため、ユネスコやILOは、芸術家の地位向上をはかることを求め、収入の向 上や社会保障制度を実演家の実情に適合させることを求めています。専門家の地位向上を理念として掲げるだけでなく、一般勤労者並みに改善することを目標に 施策を実施します。

 演劇・舞踊や映画の国立大学を設立することや海外研修支援の拡充など、専門家の養成における国の責務をはたさせます。

 

 

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