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日本共産党

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赤旗

2012年総選挙政策各分野政策

18、消費者

「消費者の権利」を実現するために、消費者行政の抜本的拡充をはかります

2012年11月


 またおこったエレベーター事故。食中毒で死亡者も出ています。お年寄りをねらい打ちしたオレオレ詐欺、マルチまがい商法への学生への勧誘、契約・投資をめぐるトラブルをはじめ悪徳商法による被害も増えています。消費者庁と消費者委員会が設置され、「消費者行政の重視」が叫ばれているにもかかわらず、消費者の安全や安心がないがしろにされています。

 そのおおもとには、消費者の権利を骨抜きにした規制緩和路線があります。「事前規制から事後チェック」の名で、国民の安全にかかわる規制までもが緩和されてきました。そもそも、「事後チェック」では、国民の生命や安全を守ることにはなりません。それさえも不十分なまま推移しています。さらに、「消費者重視」といいながら、「産業優先」の省庁からの骨抜きも繰り返されています。

 今求められているのは、こうした消費者行政の規制緩和を根本的に見直して、消費者の権利や利益をまもる立場にたつことです。

 日本共産党は、企業や産業界から献金をうけていません。大企業にたいしても堂々とモノをいい、消費者の安全・安心よりも、企業のもうけを優先する政治をきりかえ、安全・安心をはじめとした「消費者の権利」をまもります。

1、食品の安全をないがしろにするTPP参加ストップ。食品安全行政の抜本的強化をはかります

 ●TPPに参加すれば、日本の農水産業に壊滅的打撃を与え、国民への安定的な食料供給と食の安全を土台から崩します。食の安全のための規制も「非関税障壁」とされてしまいます。米国政府は、残留農薬や食品添加物などの規制緩和を要求し、輸入牛肉の規制見直し問題では、政府は来年早々にも緩和に踏み切る構えです。

 食の安全をはじめ、暮らしと経済のあらゆる分野に「アメリカ型ルール」を押し付けるTPPに断固反対します。食料主権、経済主権を尊重した貿易ルールの確立をすすめます。

 ●福島原発事故を受けて、食品の放射能汚染にたいする不安が高まっています。行政として食品の安全検査を徹底しておこなうこと、生産者の検査への行政支援を強化すること、こうした情報の徹底開示を進めます。

 福島原発事故との関連で、電気料金のあり方が大問題になりました。電気料金、ガス料金、水道料金、鉄道料金、電話料金など公共料金については、その根拠となる情報の公開、透明性を担保する必要があります。

 ●輸入食品の検査体制について、人員の抜本的増員をはかるなど強化し、子ども・妊婦・病弱者への影響を最大限配慮した安全基準の設定、消費者へのすばやくてわかりやすい情報の提供など、食品衛生法を強化、改定するとともに、食品安全庁を設立し、食品安全行政を一本化します。

 ●食品の表示は、消費者が商品やサービスを正確に知るための権利です。消費者庁の「食品表示一元化検討会」の「報告書」は、「消費者の権利」が盛り込まれましたが、加工食品の原産地表示や遺伝子組み換え食品表示は先送りされています。安全のための正確な情報を消費者が知るために、「消費者のための表示」との考え方にたった食品表示制度に改革します。健康食品やサプリメントなどによる虚偽・誇大広告にたいして、効果的な規制をおこなえるように改善します。

2、消費者の生命・身体の安全を確保するための施策を強化します

 ●消費者被害や事故情報は、国民共有の財産です。情報収集の強化とともに、情報開示を一段と進めます。

 ●欠陥製品による被害者の救済は不十分です。製造物責任法(PL法)を抜本的に改正し、企業責任を追及しやすくします。そのためにも、欠陥や因果関係の推定規定の導入、企業側による立証責任、リコール隠しをするような悪質企業には懲罰的賠償を命じるなどの改善をおこないます。

 ●日常生活用品や遊具・建造物などの安全確保に努めます。日常の生活用品での死傷事故、エレベーター、エスカレーター、プール、ジェットコースターなどの設備による事故や建物の耐震強度の偽装などが相次いでいます。消費者庁の消費者安全調査委員会に事故情報が一元的に収集されるようになりましたが、事故情報のさらなる収集、分析、公開のためには、体制の充実が必要です。また、事故分析の上に立って、行政と企業の責任による安全基準のいっそうの厳格化をはかります。

3、悪徳商法や悪質な取引から消費者をまもります

 ●特定商取引法によるクーリングオフ期間のさらなる延長やネット上の広告の改善など、改正された特定商取引法をさらに消費者が使い勝手のよいものに改めます。

 ●事業者の情報提供義務の明記、「適合性の原則」(消費者の知識・経験・財産の状況を事業者が配慮する)の導入、契約取り消し期間の延期、誤認して結んだ契約の取り消し範囲の拡大など、消費者契約法の改正を求めます。

 ●改正貸金業法ではグレーゾーン金利は廃止されましたが、法定金利そのものが高すぎます。引き下げに全力をあげます。多重債務者にたいする相談体制の強化、生活福祉資金の改善などで生活の建て直しが図れるようにします。

 ●クレジット会社による加盟店の厳密な審査、クレジット会社と加盟店との連帯責任の強化など、割賦販売法の運用をすすめます。

4、国民生活センターの独自の役割発揮をすすめます

 ●民主党政権のもとで、一昨年、国民生活センターが事業仕分けの対象となり、消費者庁に移行し、「廃止を含めて検討」するとされました。消費者団体や弁護士、消費者委員会から「懸念」「反対」の声があがり、あらためて検討した結果が8月に出されました。ここでは国民生活センターの業務の一体化や「特別の機関」化がうたわれましたが、消費者庁に移行することは変わりませんでした。「特別の機関」化や業務の一体化については、独立性の確保が不明確であり、消費者団体から「納得できない」との意見が出されています。国民生活センターのもっている消費者目線を大切にし、直接相談の復活、事業の「関連性」、各省庁からの「独立性」、事故や被害にたいする「迅速性」を担保するために、力を尽くします。

 ●消費者庁の抱える課題のなかでも、地方消費者行政の充実は最も重要なものです。「地方消費者行政活性化基金」を継続・拡充するとともに、非常勤の消費生活相談員の待遇改善にも使えるなど、基金の積極的活用を可能にします。

 ●消費者被害や消費生活に関連する情報は、国民で共有すべき「財産」です。重大製品事故報告制度の対象から除外されている食品、医薬品なども対象とし、すべての消費生活製品をフォローできるようにします。

5、消費者、消費者団体への支援を一段とつよめます

 ●不当な事業者利得を吐き出させるため、「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」の創設を進めます。消費者団体訴訟制度について、消費者団体が使いやすい制度に改善します。適格消費者団体に、行政が入手した情報の提供や財政的援助を強化します。

 ●NPOの自主的な活動は、国民生活を豊かにする上でも、社会全体の発展のためにも重要な役割をもっています。NPOの自主性を尊重し、行政との対等の関係を保ちつつ、活動資金の助成や活動に必要な施設・設備の提供、寄付が受けやすくする制度への改善など、支援を強化します(「19.NPO・NGO」をご参照ください)。

 ●携帯電話やインターネットを使った消費者被害が広がっています。学校での体系的な消費者教育をすすめます。公的機関による消費者教育の充実はもちろん、社会教育活動として、地域の住民や団体を対象にした、自主的な消費者教育運動への支援を強化します。


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