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日本共産党

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赤旗

24.住宅・マンション

「住まいは人権」の立場で、住宅・居住環境を守り改善します

2010年6月19日 日本共産党

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 住宅は、生存と生活の基盤です。格差と貧困をなくすためにも、住まいの不安をなくし、安心できる居住環境をつくることが求められています。しかしわが国の住宅政策は、憲法に保障された生存権につながる居住の権利は保障されず、一貫して住まいの確保は自己責任とされ、民間自力による持ち家建設に委ねられてきました。「住宅に困窮する世帯に低廉な家賃の住宅を供給する」とされた公営住宅も、中堅勤労者向けのUR(旧公団)住宅も新規建設は行われず、UR住宅の家賃は市場家賃で多くの入居者は高家賃の負担軽減を求めています。また公営住宅も応募倍率も東京都では30倍近い高倍率で「セーフティネット」は名ばかりになっています。まさに政策無策といっても過言ではありません。

経済危機を契機にした日本のリーディング企業がおこなった過酷な非正規労働者切りによって仕事も住居も失った労働者が「年越し派遣村」に集まるという世界でも例がない事態が生まれ、ことしも東京の"公設派遣村"に800人もの人たちが救いを求めてきました。従来からの"ホームレス(野宿者)"の存在のほかに、24時間営業のインターネットカフェや漫画喫茶で夜を明かす"ネットカフェ難民"を生み出しています。 

さらにこうした"住まいの貧困"層をターゲットにした、敷金・礼金・仲介手数料といった初期費用をゼロにする物件とのふれこみで、鍵を貸す契約である「施設付鍵利用契約」を結び、家賃を滞納すると鍵を交換して入居できなくする"ゼロゼロ物件"、や深夜にわたり家賃の取り立てをする"家賃保証会社"、生活保護受給者向け宿泊施設で、施設利用料を生活保護費から差し引く、生活保護費横領業者など居住系貧困ビジネスが横行しています。被害の深刻さに政府も「追い出し屋規制法案」を国会に提出しましたが、家賃滞納履歴のデーターベース化を認める内容を法案に盛り込んでいます。これによって低所得者が滞納履歴を理由に入居を拒否されるおそれがあります。

いま緊急に求められているのは、"住まいの貧困"をなくし、健康で文化的な生活を営む土台である「住まい」を保障する住宅政策への転換です。当面、住宅喪失者に対する緊急策として初期費用や家賃の軽減、入居期間を再就職できるまでとするなどの措置など住宅手当制度の拡充を図り、それと連動して、公営・UR住宅、雇用促進住宅を活用し、一刻も早く正常な生活が営めるよう公共的支援を強めます。

 また、長年の自民党政治のもとで実施された住宅政策の根本的転換が必要です。とりわけ、小泉「構造改革」路線のもとで、住宅確保をもっぱら"自己責任"とするなど、住宅政策の市場化をすすめたことが、今日の深刻さを生んでいます。06年に成立した「住生活基本法」では「居住の権利」は明記されず、戦後の住宅難をそれなりに支えてきた、公営・公団 (UR)住宅など公共住宅の供給、住宅金融公庫の低利・固定・長期融資による持ち家支援策から撤退し、住宅供給を市場に委ねる政策をとっています。その結果、高齢者や低所得者、子育て世代をはじめ、働き盛りの若者が住居に困る事態を招いているのです。国民が安心して暮らすための住宅保障が大きく後退し、格差と貧困をいっそう拡大する要因になっています。

 また、安全検査の民間まかせと安上がり競争を奨励した建築行政によって、耐震強度偽装事件やエレベーターの異常な事故が起きるなど、住宅の安心・安全も脅かされています。住宅地に高層、超高層マンションが入り込むなど、住環境や景観の破壊も深刻です。

 日本共産党は、この住宅政策を転換し、国民の居住の権利を明確にし、その保障を基本とするよう「住生活基本法」(「住宅基本法」)を改正します。その内容としては、(1)国民の住まいに対する権利の規定と国自治体の責務の明確化、(2)公共住宅の質量ともの改善の明確化、 (3)耐震性や居住スペースなど、めざすべき居住・住環境の水準の法定化、(4)適切な居住費負担の設定、と家賃補助制度の創設5)国民の居住権を守るための住宅関連業者・金融機関などの責務を明確化し、市場任せでなく国・自治体が積極的に介入するなどです。

 そして、以下のようなとりくみを地域からすすめ、国民の居住生活の改善・向上をめざします。

住まい喪失者緊急対策......政府は失業に伴う住まい喪失者対策として「住宅手当緊急特別支援事業」を創設しましたが、34万人の対象者に対してその利用状況は2万人程度にとどまっています。要件と手続きの緩和、手当支給期間の延長、さらに失業していないものの、収入が低いなどのため、劣悪な居住環境におかれているものに対しても支給するなどの改善を図ります。

雇用促進住宅の全廃方針を撤回し、居住権を保障します......定期契約者も含めて入居者の声を十分に聞き、納得のいく話し合いをおこない、一方的な住宅廃止や入居者退去の強行をやめさせます。低賃金や不安定雇用などで住居を確保できない人たちの住宅対策の一環として、雇用促進住宅の新たな活用をすすめます。

 公営住宅の改善......公営住宅は、法制度の改悪で、ごく限られた低所得者しか入居できないため、住民の共同活動も困難を抱えています。しかも、東京都をはじめ大都市は、新規建設をおこなわないため応募倍率が32.1倍(東京)にもなっており、現在の計画では、住宅に困っている人の需要を充足することはできません。

 公営住宅の新規建設をすすめるとともに、民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするなど多様な供給方式の活用で公営住宅を大幅に増やします。現行の月収20万円から15万8千円への入居基準の引き下げをやめ、若い子育て世代も入居できるようにします。子供への居住継承は復活します。また「孤独死」を防ぐため単身高齢者見守りなどをおこなう自治会に対する支援制度を強化・充実します。家賃も収入にあったものにし、収入が増えると不当に高い家賃を課して居住者を「追い出す」ことをやめさせます。期限付き入居制度(期限がくれば理由の如何を問わず契約更新をおこなわない)、入居時の資産調査などをやめさせます。

 公団住宅(UR住宅)の改善......大都市部の住宅不足を補うため中堅所得者を対象として誕生した公団住宅(UR住宅)・公社住宅は、今では新規建設から全面撤退しました。そのうえ10年間で8万戸削減する「削減・民間売却」方針を実施し、耐震強度不足を理由にした取り壊しを進めようとしています。また「家賃改定ルール」により3年ごとに家賃が値上げされるなど、家賃負担が重くなっています。建て替え後の家賃が2〜3倍にもなり、住み慣れた団地を去らなければならない居住者が増えています。また敷地の民間売却がすすみ、隣地への高層マンション建設など、地域社会が大きく変わる事態も進行しています。2010年に政府が実施した行政刷新会議の事業仕分けでは、UR賃貸住宅の「民営化」も打ち出されました。

 UR賃貸住宅の「民営化」を許さず、公共住宅として守り、充実させます。「削減・民間売却」方針は、白紙撤回させます。また、住み続けられる家賃にするため、家賃は近傍同種家賃制度を改め、負担能力を考慮したものにします。高齢者や低所得者、子育て世帯への家賃減額制度をつくるなど家賃制度を改善します。老朽化した団地についても、一律建て替えでなく、改修やリフォームなど多様な住宅改善をすすめ、誰もが戻って住み続けられるようにします。

民間賃貸住宅の改善......民間賃貸住宅市場は全体の住宅の約27%を占めていますがその改善が求められています。居住環境が良好で広い住宅は高家賃であり、また低家賃の住宅は狭いうえ設備も劣悪であるなど多くの問題を抱えています。

政府は良好な民間賃貸住宅を供給する家主やデベロッパーにたいし、建設費の補助をおこなうなどの施策をおこなっていますが、住宅スペースも小規模で高家賃になるなど効果も上がっていません。ヨーロッパ諸国での施策を参考にしながら、民間賃貸住宅に居住する低所得者への家賃補助制度を創設する。この家賃補助制度によって年収200万円以下の約340万世帯への居住費負担を軽減します。

民間賃貸住宅に暮らす高齢者や子育て世帯、「生活困窮フリーター」と呼ばれ、低賃金のために家賃が払えない若者などにたいする自治体の家賃補助、敷金・礼金など住宅確保のための初期費用貸付や相談業務など、「チャレンジネット」のとりくみを広げると共に、公的な居住保証制度を確立し追い出しや被害の撲滅を図ります。

定期借家制度の導入に反対します......新政権は、借家人の追い出しを容易にする借地借家法の改悪や定期借家制度の導入を推進しています。こうした居住の安定確保を脅かす改悪にきっぱり反対します。

住宅の改善、住環境の保護......住宅の耐震化や老朽化対策、バリアフリー化など、安全で快適な住宅をめざすリフォームを自治体として支援します。耐震偽装事件に象徴される欠陥住宅問題の被害をなくすために、建築確認・検査制度を民間まかせにせず国や自治体の責任を明確にし、行き過ぎた厳格運用などを改善するとともに、消費者保護、被害者救済などの制度改善をすすめます。「瑕疵担保責任保険」については、中小建設事業者の保険料負担を軽減します。

 42年ぶりに土地区画整理事業の計画決定段階での提訴を認める判例変更が行われました。都市再開発や土地区画整理事業などまちづくりへの住民参加をすすめ、「住民が主人公」のまちづくりを支援し、住環境や景観、コミュニティーを守り、改善します。それを目的・基本理念として、住民主体の計画づくりや許認可制度を軸にした「都市計画法の改正や「建築基本法」の制定をめざします。

分譲マンションの維持・管理への支援......分譲マンションは国民の1割1400万人の人々が暮らす場であり、都市における新しいコミュニティーの場でもあります。マンションの維持・管理に対する公的な支援を充実し、安全、快適で、長持ちするマンションをめざすとりくみを支援することが求められています。

 国や自治体の責任で耐震診断・改修への助成を強めるとともに、共用部分のバリアフリー化、省エネ化、アスベストの除去などを支援します。自治体の実態調査や相談窓口の整備などをすすめ、マンション管理の主体である管理組合のとりくみへの行政の支援を充実します。大規模修繕など、マンションを長持ちさせるとりくみを支援します。電気、ガス、水道など、ほんらい公共がおこなう基本的サービスの居住者負担を軽減するために、行政や、電力・ガス会社などに応分の負担を求めます。すでにいくつもの自治体が実施しているように、集会室、ゴミ置き場、遊び場などは、その公共性にふさわしく固定資産税を減免します。集合住宅の共用部分の固定資産税を減免させます。マンション購入時の消費者保護をすすめます。

 マンションの老朽化と、居住者の高齢化が問題になっていますが、管理組合の理事会をなくし、マンション管理を管理会社まかせにする「新マンション管理方式」をファミリータイプまで広げることに反対します。「住民が主人公」というマンション管理士の育成・活用や、管理組合団体などの自主的な助け合いのとりくみへの支援、行政の相談体制の整備など支援体制を充実します。既存住宅は貴重な社会的資産であり、ストック重視の時代にふさわしく、従来型の「建て替え」でない、既存建物や団地の抜本的改修をはかるマンション「再生」を支援するために、法整備や助成の充実などにとりくみます。

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