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日本共産党

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赤旗

【29】参議院のあり方

参議院の審議・運営にも議会制民主主義のルールが貫徹されることを求めます

2007年6月22日 日本共産党中央委員会


 07年通常国会は「数の横暴」が常態化しました。強行採決は20件を超え、委員会採決を省略して法案成立を押し切ることまでおこなわれました。その異常さは、閉会にあたって衆参議長がそれぞれ、国会のあり方に苦言を呈したことにも示されました。こういう国会運営や審議の実態は、国の最高法規である憲法に明記された国会の機能と役割を否定することになりかねません。

 こうした国会運営がおこなわれてきたのは、政局運営への政府・与党の一方的な判断や党略的な思惑を、国会にそのまま押しつけてきたためです。ひどい場合には、国会での公述人(法案などにたいして国民を代表して意見を述べる人)の主張や意見さえ正面からふみにじって、法案がごり押しされてきました。議会制民主主義を破壊してきた政府・与党の責任は、きわめて重大だといわなければなりません。

 ところが、最近では、政府・与党の一部から、「参院不要論」が言われはじめています。これは、衆院では明らかにされなかった法案の問題点が、参議院の段階で浮かび上がってきたことから、参議院での審議を「障害」であるかのように見ているためです。また、衆院と参院との意思(議決)が違うことなどを理由にした「不要論」もあります。参議院にかぎらず、国会での横暴な運営や少数意見を尊重しない審議状況は批判されて当然です。しかし、だからといって、「不要論」を唱えるのは、なんの道理も正当性もなく、党利党略の議論でしかありません。

 参議院は、衆議院とともに、憲法で明記された、「全国民を代表する選挙された議員」(第42条)で構成される、「国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関」(第41条)です。いま必要なことは、憲法に明記されているこの二院制の役割を、その存在と意義にふさわしく実現することです。衆院と参院のそれぞれの議員は、異なった時期におこなわれる別個の選挙を通じて選出されます。二院制は、同じ1つの議案を各院でそれぞれ審議することによって、国民の意思が議案にいっそう正確に反映される制度となっています。とりわけ、参院は衆院と異なって解散がなく、1期6年の任期が保障されており、その点でも、衆院とは違った視野と視点から調査、審議に臨むことが可能となります。議院内閣制のもとでこうした意義をもつ参議院を「不要」などと決めつけるのは、議会制民主主義を軽視するだけでなく、国民の声に耳を傾けようとしない姿勢を、みずからあらわにするだけでしかありません。

 民意を正確に反映するためにも、選挙区の「1票の格差」の是正は不可避です。その際、参院の現行総定数(242)を削減したり、民意を正確に反映する比例代表部分(96)を削減したりすることは許されません。

 参議院の審議と運営に民意が正しく反映されるためには、少数会派の意見が尊重されることが必要です。ところが、参院では、10人未満の会派を議会の交渉団体として認めず、本会議質問もいちじるしく制限する異常な議会運営が続けられています。日本共産党は、当面、ただちに次のような内容で改善を図ることが重要だと考えます。

 ──院の運営を決定する議院運営委員会は、小会派も含めすべての会派の意思が反映されるように構成してこそ円滑、健全な議会運営が保障されます。ところが、現在は10人未満の小会派には議院運営委員が割り当てられていません。10人未満の会派にも、議院運営委員会の委員を割り当てることを求めます。

 ──全議員が出席する本会議において、小会派の質問、討論時間を保障することは、議会制民主主義にとって欠かすことができません。ところが、現在、10人未満の会派に認められている本会議質問は、(1)通常国会冒頭の施政方針演説をはじめとする政府4演説への質問と、(2)決算報告にたいする質問──という2回の、それも、ごく短時間の質問だけです。重要法案などについては、小会派にも本会議質問の機会をふやすとともに、政府4演説にたいする本会議質問では小会派にも十分な質問時間を確保することを求めます。

 ──党首討論(国家基本政策委員会)や予算委員会は、国政全般の基本問題や国の予算を審議する場であり、特別の重みを持っています。しかし、現状は、10人未満の小会派については党首討論の機会が与えられず、予算委員会では理事会に出席できないために運営に加わることができません。他の委員会では、委員がいれば当然、質問することができます。党首討論は、委員がいる小会派にもおこなわせるべきです。また、予算委員会理事会についても、小会派のオブザーバー参加と発言を認めるべきです。

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