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赤旗

内閣総理大臣 小泉純一郎 殿

障害者施策の拡充についての申し入れ

日本共産党国会議員団・障害者の全面参加と平等推進委員会委員長 小池 晃

2004年12月14日


 来年は、障害者の「全面参加と平等」を掲げた国際障害者年(1981年)から25年目を迎えます。この間の障害者施策は、障害者や家族、関 係者の努力で一定の前進が図られてきました。しかし、障害者は福祉、働く場、所得保障など、どれをとっても依然として厳しい状況に置かれており、国のいっ そうの取り組みが求められています。

 ところが、障害者の自立支援を目指すとして導入された支援費制度は2年連続で、在宅サービス予算が不足する事態が生まれています。地域生活支援関連の施設整備も、04年度の採択率は5~6割程度と異常に低い状態です。

 「財政削減先にありき」の介護保険と支援費制度の統合や「障害福祉サービス法」(仮称)、「三位一体改革」の名による一般財源化などで、障害 者の負担増やサービスの低下が懸念されています。いま必要なことは、障害者関係予算を大幅に増額し、障害者の人権保障とノーマライゼーションの実現めざし て施策の抜本的な充実を行なうことです。

 国連では「障害者権利条約」の制定に向けた取り組みがすすめられています。先の国会で障害者差別禁止を理念に盛り込んだ障害者基本法の改正が行なわれましたが、障害者施策の充実、実効ある障害者差別禁止に向けた新たな法制度の整備も急務です。

 日本共産党国会議員団は、去る10月22日に障害者・患者団体との懇談会を開き、そこで出された要望をふまえて、下記の重点的事項をまとめました。2005年度予算に盛り込むなど、国の責任でこれらを着実に実施されるよう申し入れます。

 

1,「今後の障害保健福祉施策について―改革のグランドデザイン案」について

(1) 「改革のグランドデザイン案」は、障害者施策の総合化など、従来から私たちが主張してきた方向も含まれている一方、全体の基調は財政 抑制策がつらぬかれ、多くの問題を持つものとなっている。法制度・施策の見直しにあたっては拙速を避け、関係者の声を反映させ、十分な審議を行なうこと。

(2) 「障害福祉サービス法」(案)は、すべての障害者・患者を対象とし、「谷間の障害者」が生じないようにすること。また、個別の必要とするサービスが十分に受けられるようにすること。

(3) 地域生活支援のための施設・事業をはじめ、基盤整備の量的な整備目標を明示すること。

(4) あらたな負担増とサービスの抑制となる応益負担制度はやめること。精神通院公費・育成医療・更生医療の自己負担引き上げ、食費の自己負担化は行なわないこと。

(5) 「財政削減先にありき」の介護保険と支援費制度との統合は行なわないこと。

2,総合的障害者福祉法、障害者差別禁止法の制定

(1) 難病、高次脳機能障害、てんかんなど「施策の谷間」でサービスが受けられない患者、障害者を含めた、総合的な福祉法を制定し、障害者施策の拡充を図ること。

(2) 障害を理由にした差別禁止を実効あるものにするため「障害者差別禁止法」の制定を急ぐこと。

3,新「障害者基本計画」・新「障害者プラン」の推進

(1) 必要な基盤整備を早急にすすめ、市町村格差が生じないようにすること。そのために数値目標の設定、財政保障など国の責任を明確にして取り組むこと。

(2) 特に不十分な地域生活支援の基盤整備については、短期的に集中して整備の促進をはかるための特別措置を講ずること。

4、支援費制度の改善

(1) 居宅支援事業は2年連続の大幅な予算不足であり、補正予算で対応するなど、必要な財政措置をとること。

(2) 障害者施策は地域間格差も大きく、その充実は国の責任であり、一般財源化はしないこと。

(3) 国の支援費基準を、障害者の自立支援にふさわしい額に設定すること。

(4) 生活支援に必要な人材育成や障害者ケアマネージャーの養成・配置に積極的に取り組むこと。

(5) 障害者の自立を阻害する扶養義務者の負担を撤廃すること。

5,働く権利の保障

(1) 法定雇用率・納付金を引き上げるとともに、精神障害者への適用拡大と障害者の就労環境の整備を義務づけるなど、現行制度の見直しと新たな就労支援施策の前進を図ること。

(2) 障害・疾患を理由にした不当な差別や解雇を禁止すること。

(3) 国、地方自治体が特別枠で障害者雇用の場を拡大すること。

(4) 重度障害者のために通所授産施設などの福祉的就労の場を整備すること。

6,小規模作業所に対する補助の拡大

(1) 小規模通所授産施設の補助金削減を元に戻し、増額すること。

(2) 小規模作業所への補助金を抜本的に増額すること。

7,難病対策、医療・福祉の充実

(1) 小児慢性特定疾患について、自己負担導入を中止し、全額公費負担を継続すること。「軽症者」を対象から外さないこと。20歳以上の患者に対する負担の軽減を図ること。

(2) 難病患者の特定疾患治療研究事業について対象疾患を増やし、予算を増額するとともに全額公費負担に戻すこと。難病相談支援センター事業に対する予算を増額すること。

(3) ウイルス性肝疾患に対する医療費負担の軽減を図ること。当面、緊急の対策としてフィブリノゲン製剤が納入された可能性のある医療機関で94年までに治療を受けたことのある人のC型肝炎ウイルス検査を公費で実施すること。

(4) パーキンソン病治療薬など諸外国に比べて数倍高い薬価を引き下げること。

(5) てんかんの専門医療機関の整備、相談・支援体制の充実を図ること。

(6) 高次脳機能障害支援モデル事業により、診断基準や支援プログラムなどが示されたが、この成果を生かし、重度者も含めた生活支援策を確立すること。

8,障害者に対する所得保障

(1) 学生の無年金障害者などへ「特定障害給付金」が支給されることになったが、すべての無年金障害者の救済を年金制度の枠内で解決すること。特定障害給付金を障害基礎年金並に引き上げること。

(2) 障害者が自立して生活を送ることができるように、障害基礎年金、各種手当を大幅に引き上げること。

9,精神障害者の地域生活支援

(1) 障害者施策の中で最も遅れた分野である精神障害者施策の抜本的改善をはかること。とりわけ、通院治療・生活支援施策・働く場の保障など、安心して暮らせる施策の充実を図ること。

(2) 「入院から地域生活中心へ」というが、社会復帰施設整備の補助は6割しか採択されていない(2004年度)。精神障害者が、地域で自立生活を継続できるように必要な予算措置をとること。

10,障害児の発達と教育の保障

(1) 発達障害者支援法にそって、診断・治療にかかわる医師など専門家の育成、「自閉症・発達障害支援センター」の全都道府県への設置、乳幼児健診や就学時健診での早期発見体制の整備などを推進すること。

(2) 障害の早期発見・治療・発達保障のための発達クリニックや通所指導相談などを整備すること。

(3) 専門的な教職員など必要な人員を確保し、学校、地域、福祉・医療など横断的な支援体制を確立し、一人ひとりの障害と発達に見合った就学相談・指導を充実させること。養護学校などの整備や「特別支援教育」に必要な予算を増額すること。

(4) 学童保育をふくめ、障害児の放課後生活の充実を図ること。

11,情報アクセス権の保障

(1) 障害者の社会参加と自立に不可欠な3種郵便物の低額制度、第4種郵便物の無料制度は、郵政民営化を理由に廃止の対象としないこと。

(2) 障害者が必要な情報を利用できるように、字幕や手話をつけたビデオ・DVDの製作、複製、送信などの著作権について法的整備を進めること。

(3) 災害時の、障害者への情報伝達など避難体制の整備を進めるために、必要なガイドラインの作成や市町村への財政援助を行なうこと。

12、バリアフリーなど社会参加の推進

(1) 役所などの公共の建物は、規模による除外規定を外して、ハートビル法によるバリアフリー化を義務づけること。既存の建物は計画的に改善をはかるよう指導を強めること。

(2) 障害者の移動の自由と安全確保のため、バリアフリー化の達成率の遅れを改善すること。「交通バリアフリー法」の改定にあたっては、事 業者責任を明確にし、JRや大手私鉄などがすべての施設・設備で計画的にバリアフリー化をはかるようにし、地方公共団体にも実施計画をたてさせること。

(3) 交通運賃割引制度を精神障害者を含むすべての障害者と介護者に拡大すること。100キロメートル制限を撤廃し、JRの特急・寝台料金も割引の対象とすること。

(4) 障害者が安心して生活できる公営住宅を大量に整備すること。

13、障害者の参政権の保障

(1) 在宅投票制度の対象者拡大や手続きの簡素化など、いっそうの改善を図ること。

(2) 政見放送に字幕をつけること。点字広報や点字記載の投票用紙を配布すること。

(3) 投票時のガイドヘルパーの派遣や投票所のバリアフリー化などを進めること。                                   

以上


 

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