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赤旗

党首討論で不破委員長が示した核兵器に関する日米間交渉についての米政府資料(その3)

2000年3月30日「しんぶん赤旗」



〔資料9〕

横須賀の空母母港化問題──レアード米国防長官からロジャーズ国務長官あての書簡(1972年6月17日付)

 【解説】横須賀を空母ミッドウェーの母港とする問題について、アメリカからの申し入れに応じて、田中内閣がこれを受け入れたのは一九七二年十 一月、ミッドウェーが母港・横須賀に入港したのは一九七三年十月だった。それ以来、空母そのものは交代しているが、横須賀がアメリカの空母の、海外での唯 一の母港だという状態は、今日まで続いている(現在は空母キティホークの母港)。

 横須賀の母港化がアメリカで問題になったときに、ロジャーズ国務長官が、核兵器を積んだまま母港化を実行することを心配し、核兵器を積載しない状態での母港化ができないかと国防長官に打診してきた。この文書は、そのとき、国務長官に答えたレアード国防長官の書簡である。

 この書簡では、

 (1)核兵器を積載しない母港化は、軍事的に有効でないこと、

 (2)法的にも、核兵器を積載する空母の日本寄港になんの問題もないこと、が明記されている。とくに、法的な根拠として、一九六三年のライシャワー・大平協議での合意があげられているのは、重要である。

 この書簡は、横須賀の母港化が、核兵器を積載したままでおこなわれることになったことを、示している。(太字は編集局)


 「極秘」

ウィリアム・P・ロジャーズ国務長官あて一九七二年六月十七日

 親愛なビル〔=ウィリアム〕

 私は、空母一隻を横須賀に、戦闘補給艦二隻を佐世保に、長期配備することについての私の提案にたいするジョンソン国務次官の五月二十六日付返 書に答えたい。佐世保にかんする提案部分を喜んで進めたいとの国務省の態度に感謝するとともに、東アジア水域に攻撃型空母の母港を設けることがきわめての ぞましいとのわれわれの見解に、国務省も同意されていることを評価したい。われわれがこの二つの要請を結びつけて提案したのは、日本政府にたいして一つひ とつバラバラに要請を出しているとの印象を与えないようにする必要性があったからである。しかし、提案を分けて、戦闘補給艦二隻の佐世保配備計画はすぐに 日本に通知した方がよいとのあなたがたの判断に、われわれは従う。われわれのスタッフは、提案のこの部分を実行するうえでの詳細を打ち合わせるため集まっ てもよい。

 私は、アレックス〔アレクシス・ジョンソン国務次官〕の手紙に書かれた、空母〔母港化〕に関連して起こりうる問題についての評価は、この問題 がもたらす数多くの積極的要素を十分認識しておらず、そのためあまりにも悲観的に事態を描き出していると感じている。私は、この問題は、日本政府にとって 微妙な政治的意味あいをもちうるかもしれないとの、あなたのスタッフの意見を受け入れる。したがって、私は、日本政府にどのように対応するのが最もよいか について、あなたの判断ならびに東京のアメリカ大使館の判断に従うつもりである。この問題は、〔日米〕相互安全保障取り決めの根本的諸側面をめぐる国民的 論議あるいは政治的論議を、挑発することなく処理できると私は信じている。

 空母問題でのあなたがたの省〔国務省〕の懸念は、事前協議は避けるべきだという考えと、われわれの艦船に核兵器が積載されているかもしれない ことをめぐる公開論議が、米日安全保障取り決めを危険にさらすかもしれないとの考えに、集中しているようである。前者については、公式の事前協議を回避す るのがわれわれの利益に合致することに、私も同意する。それは、これが日本への米軍の配備における重要な変更だとは見ないからである。また、日本への空母 の配備が、必ずしも事前協議の問題を提起することになるとも考えない。というのは、日本政府が六隻の駆逐艦の母港化を、事前協議でなく通告の対象として取 り扱うようわざわざ要請してきたからだ。

 この考えの正しさを裏書きするもう一つの要因は、過去二十年間、われわれの〔艦船の〕横須賀寄港や修理のための寄港が、日常不断におこなわれ ていることである。長期配備は、横須賀に寄港する空母の行動様式全般のなんらかの実質的変化というよりは、第一義的に、この地域における〔乗組員〕家族の 存在に関連するだろう。いずれにしても、勧告されている対応は、日本政府にたいし、事前協議の問題を内々に提起――そして解決――する機会を、そうのぞむ のなら与えるであろう。われわれも、この問題が軍事的安全保障の分野での将来の対日関係形成のうえでの基本問題である以上、いまこれに対処した方がよい。

 核兵器の問題にかんしていえば、日本の政府内外の責任ある思慮深い人びとは、少なくとも若干のわれわれの艦船が核兵器を積載しているかもしれ ないことを認める一方で、自分たちの安全保障を引き受けてくれている同盟国とこの問題でしつこくやり合うのはためにならないかもしれないことを、認めてい ると考える。ニクソン・ドクトリンのもとでのわれわれの主たる責務の一つは、極東に核の盾と信頼するに足る抑止態勢を提供することにある。日本は、間違い なく、われわれの核の傘の必要性を理解するとともに、これを維持するためにわれわれが核を装備し、訓練された部隊を提供する必要があることも理解してい る。

 アレックスは手紙で、空母が核兵器を積載せずに日本に母港をもつ可能性について評価するよう要請している。われわれはこの選択肢を注意深く検討したが、それは軍事面からみて実際的でないし、法的にも必要ではないと考えている。

 日本を基地とする空母の核任務を否定すれば、その軍事的効用は大幅に低下し、この戦域内の核能力をもつ他の戦力にとっても、作戦上の困 難な問題をつくりだすだろう。そのような能力低下は、アメリカの利益にも日本の利益にもなるまい。さらに全世界的なアメリカの視点から見れば、この問題で 日本の圧力を黙認する先例をつくったら、世界中で他の諸国から同様の要求を誘い出すことにもなりかねない。そうした展開のゆきつくところは、われ われの海洋核抑止力の重要な部分の実行性を危険にさらすものとなろう。そのうえ、長年にわたる「否定も肯定もしない」というわれわれの政策をやめる用意で もないかぎり、母港化後の空母に仮に実際に核兵器を積まないようにしても、その事実を生かすこともできないだろう。

 法的な面では、この問題にかんする日本政府とのわれわれの交渉記録は、きわめて明確である。ライシャワー大使が一九六三年四月にこの問 題を大平外相と協議したさい、日本の水域や港湾に入った艦船に積載された核兵器の場合には事前協議条項は適用されないとの同大使の見解を、大平〔外相〕が 確認した。その後のどの日本政府も、この解釈に異議をとなえていない

 五月十九日のスタッフ・レベルの会合で国務省代表が提起した空母母港化についての質問に、私のスタッフが五月二十六日、回答を提出した。攻撃 型空母(CVA)/海軍空母搭載航空団(CVW)の代替場所や、厚木か横田かをめぐる使用問題、横須賀/横浜での住宅建設などについての賛否、その他国務 省が関心をもつ諸問題について、海軍のスタッフがさらに詳細な情報の作成をつづけている。この情報は、スタッフによる検討が完了次第、貴下に届けられる。

 すべてを考慮した場合、アメリカの行動を不当に妨げるようなところまで米日関係を変化させないよう、われわれは強力でなければならないと信じ る。在日米軍は条約に実質を与えるために日本に駐留しているのだし、アジアの安全保障の基本的事態には日本政府が対処すべきである。そういうわけで、日本 政府と内々の協議を開始することによって、空母〔母港化の〕提案を前進させたいと思う。そうすれば、最善のしかたでこの問題をどうすすめるかについてのア メリカ政府の今後の決定を、日本側の反応にもとづいて組み立てられるだろう。

メルビン・R・レアード


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