日本共産党、介護保険法改正案を提出

利用料減免、保険料徴収延期、国負担引上げ


 日本共産党は二月二十二日、実施目前の介護保険について国民負担を軽減するための介護保険法改正案を参議院に提出しました。改正案は、昨年十一月発表の党の緊急「提案」を具体化し、国民の強い不安にこたえて提出したものです。保険料の一年間の徴収延期、国負担の引き上げや、利用料の低所得者減免がもりこまれています。

 政府の介護保険法では、利用料は介護サービス費用の一割負担で、利用者の八割が無料だった訪問介護も一回一時間未満の利用で約四百円を払わなければなりません。

 改正案は、住民税を払えない人(非課税者)を対象に減免を実施。住民税非課税者は在宅サービスの場合は全額免除とし、施設サービスは現行の負担水準まで軽減します。これにより六十五歳以上の人の七四%が利用料減免の対象となります。

 国の負担は、現行では保険給付費の二五%負担となっています。これを改正案では五〇%に引き上げます。

 さらに必要なサービスの提供ができないほど遅れている介護基盤の整備を集中的にすすめる間の臨時措置として、二〇〇〇年度は保険料徴収をおこなわないことを特例法案として提出。その間のサービス給付の七五%を国庫負担としています。

 法案提出後、山下芳生参院国対委員長、小池晃、井上美代両参院議員が記者会見しました。


 日本共産党国会議員団が二十二日、参院に提出した介護保険法改正案はじめ関連法案についての「主な内容」は次のとおりです。

介護保険法改正案はじめ関連法案についての「主な内容」

2000年2月22日 日本共産党国会議員団

 一、「介護保険法及び介護保険施行法の一部を改正する法律案」の主な内容

 二、臨時特例法案の主な内容

 三、介護サービスの基盤整備について

 介護サービスの基盤整備については、もともと法律事項ではないので、法案にはならないが、「臨時特例法」の第一条に「この法律は介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるための保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制が十分に整備されていない状況にかんがみ」保険料徴収延期の特例を定めるとされていることで、趣旨が表現されている。


 日本共産党国会議員団が二十二日、参院へ提出した介護保険法改正案はじめ同関連法案の要綱はつぎのとおりです。

介護保険法及び介護保険法施行法の一部を改正する法律案要綱

 第一 介護保険法の一部改正

 一 低所得者に対する居宅介護サービス費等の額の特例

  1. 特定要介護被保険者が受ける居宅介護サービス費、特例居宅介護サービス費、居宅介護福祉用具購入費及び居宅介護住宅改修費の支給については、居宅サービス、特定福祉用具の購入又は住宅改修についての利用者である被保険者の必要な費用に関する負担(以下「利用者負担」という。)を免除(現行は一割)することとし、関係規定について必要な読替えを行うこと(介護保険法第五十条第一項関係)
  2. 特定要介護被保険者が受ける施設介護サービス費及び特例施設サービス費の支給については、施設サービスについての利用者負担を、厚生大臣が定める特定要介護被保険者の所得の区分に応じて減免(現行は一割)することとし、関係規定の必要な読替えを行うこと(同法第五十条第二項関係)
  3. 1及び2の特定要介護被保険者は、次の(1)から(3)までのいずれかに該当していることにつき、厚生省令で定めるところにより市町村長の認定を受けている要介護被保険者とすること。
    1. 当該介護給付に係る居宅サービス(これに相当するサービスを含む)若しくは施設サービス、特定福祉用具の購入又は住宅改修に係る日として厚生省令で定める日(二2を除き、以下「基準日」という。)の属する年度(当該基準日の属する月が四月又は五月の場合にあっては、前年度)分の地方税法の規定による市町村民税(同法の規定による特別区民税を含むものとし、同法第三百二十八条の規定によって課する所得割を除く。二2(1)において同じ。)が課されない者又は市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者(当該市町村民税の賦課期日において同法の施行地に住所を有しない者を除く。二2(1)において同じ。)
    2. 基準日の属する月において、生活保護法第六条第二項に規定する要保護者である者であって厚生省令で定めるもの
    3. 基準日において、生活保護法第六条第一項に規定する被保護者である者(同法第五十条第三項関係)
  4. 災害その他の厚生省令で定める特別の事情があることによる居宅介護サービス費等の額の特例は、1の特例が適用される場合には適用がなく、2の特例が適用される場合には重ねて適用があるものとし、重ねて適用がある場合について関係規定の必要な読替えを行うこと(同法第五十条第四項及び第五項関係)

 二 低所得者に対する居宅支援サービス費等の額の特例

  1. 特定居宅要支援被保険者が受ける居宅支援サービス費、特例居宅支援サービス費、居宅支援福祉用具購入費及び居宅支援住宅改修費の支給については、居宅サービス、特定福祉用具の購入又は住宅改修についての利用者負担を免除(現行は一割)することとし、関係規定について必要な読替えを行うこと。(同法第六十条第一項関係)
  2. 1の特定居宅要支援被保険者は、次の(1)から(3)までのいずれかに該当していることにつき、厚生省令で定めるところにより市町村長の認定を受けている居宅要支援被保険者とすること。
    1. 当該予防給付に係る居宅サービス(これに相当するサービスを含む。)、特定福祉用具の購入又は住宅改修に係る日として厚生省令で定める日(以下「基準日」という。)の属する年度(当該基準日の属する月が四月又は五月の場合にあっては、前年度)分の地方税法の規定による市町村民税が課されない者又は市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者
    2. 基準日の属する月において、生活保護法第六条第二項に規定する要保護者である者であって厚生省令で定めるもの
    3. 基準日において、生活保護法第六条第一項に規定する被保護者である者(同法第六十条第二項関係)
  3. 災害その他の厚生省令で定める特別の事情があることによる居宅介護サービス費等の額の特例は、1の特例が適用される場合には適用がないものとすること(同法第六十条第三項関係)

 三 介護給付及び予防給付に要する費用に関する国の負担

  1. 介護給付及び予防給付に要する費用(2の費用を除く。)に関する国の負担の割合を百分の四十五(現行百分の二十)とすること(同法第百二十一条第一項関係)
  2. 国は、政令で定めるところにより、第一の一1及び2並びに第一の二1による措置に要する費用の額を負担すること(同法第百二十一条第三項関係)

 四 介護保険の保険料等に関する低所得者の負担の在り方等についての検討

 保険料及び納付金の納付に充てるため医療保険各法の規定により徴収する保険料(地方税法の規定により徴収する国民健康保険税を含む。)又は掛金に関する低所得者の負担の在り方並びにこれと関連を有する財政安定化基金等の制度について、この法律の施行後速やかに検討が加えられ、その結果に基づき、必要な措置が講ぜられるべきものとすること(同法附則第二条関係)

 第二 介護保険法施行法の一部改正

  1. 老人福祉法第十条の四第一項各号又は第十一条第一項第二号の措置に要する費用の徴収については、これらの措置に相当する介護保険法の規定による居宅サービス又は施設サービスに係る保険給付が行われる場合の当該介護保険の被保険者の負担の程度を勘案しつつ、その負担能力に応じて、行うこととすること(介護保険法施行法第二十条中老人福祉法第二十八条の改正規定関係)
  2. 介護保険法施行法の施行の際現に特定老人保健施設に入所している老人医療受給対象者に対して支給される医療費の額について、第一の一2(3(3)に係る部分を除く。)と同様の特例を設けるものとすること(介護保険法施行法第二十六条第三項関係)

 第三 施行期日等(略)


平成十二年度における介護保険制度に係る保険料、介護保険事業に要する費用の負担等の臨時特例に関する法律案要綱

 第一 趣旨

 この法律は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるための保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制が十分に整備されていない状況にかんがみ、平成十二年度について、介護保険の保険料、介護給付費納付金及びその納付に要する費用に充てるための医療保険の保険料等、介護保険事業に要する費用の負担等に関する介護保険法、健康保険法その他の医療保険各法、地方税法等の特例を定めるものとすること(第一条関係)

 第二 介護保険法の特例

 一 保険料に関する特例

 平成十二年度については、市町村又は特別区(以下単に「市町村」という。)は、介護保険法第百二十九条第一項及び第二項の規定にかかわらず、第一号被保険者から保険料を徴収しないこと(第二条関係)

 二 介護給付費納付金に関する特例

 社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)に係る平成十二年四月一日の属する年度(以下「特例年度」という。)については、保険者から、介護給付費納付金(以下介護保険法第百五十条の規定にかかわらず、支払基金は、医療「納付金」という。)を徴収しないものとし、医療保険者は、納付金の納付に充てるため医療保険各法又は地方税法の規定により保険料若しくは掛金又は国民健康保険税を徴収し、納付金を納付する義務を負わないものとすること(第五条関係)

 三 介護保険事業に要する費用の負担に関する特例

  1. 平成十二年度における介護給付及び予防給付に要する費用に関する国の負担の割合は、介護保険法第百二十一条第一項の規定にかかわらず、百分の七十五とすること(第七条関係)
  2. 平成十二年度については、国は、介護保険法第百二十二条第一項の規定にかかわらず、市町村に対し、調整交付金を交付しないこと(第八条関係)
  3. 平成十二年度については、支払基金は、市町村に対し、介護給付費交付金を交付しないこと(第九条関係)
  4. 平成十二年度においては、市町村は、政令で定めるところにより、次の(1)から(3)までに掲げる場含における同年度に係る当該(1)から(3)までの額及び政令で定める費用の額に相当する額を、一般会計から、介護保険に関する特別会計に繰り入れなければならないこと。
    1. 介護保険法第四十三条第三項、第四十四条第六項、第四十五条第六項、第五十五条第三項、第五十六条第六項又は第五十七条第六項の規定に基づき条例を定めている場合 当該条例による措置が講ぜられることによる介護給付及び予防給付に要する費用の額(介護保険法及び介護保険法施行法の一部を改正する法律による改正後の介護保険法第百二十一条第三項に定めるものを除く。)から当該条例による措置が講ぜられないものとして政令で定めるところにより算定した当該介護給付及び予防給付に要する費用の額を控除した額
    2. 介護保険法第六十二条の規定により市町村特別給付を行う場合 当該市町村特別給付に要する費用の額
    3. 介護保険法第百七十五条の規定により保健福祉事業を行う場合 当該事業に要する費用の額(第十条第一項関係)
  5. 国は政令で定めるところにより、4による繰入金の二分の一に相当する額を負担すること(第十条第二項関係)

 四 財政安定化基金に関する特例

  1. 平成十二年度においては、都道府県は、介護保険法第百四十七条第一項の規定にかかわらず、財政安定化基金を設けないものとすること(第十二条第一項関係)
  2. 平成十二年度においては、都道府県は、介護保険法第百四十七条第三項の規定にかかわらず、市町村から財政安定化基金拠出金を徴収しないものとし、市町村は、同条第四項の規定にかかわらず、財政安定化基金拠出金を納付する義務を負わないものとすること(第十二条第二項関係)

 五 社会保険診療報酬支払基金の介護保険関係業務に関する特例

 支払基金は、特例年度に係る介護保険関係業務を行わず、特例年度に係る介護保険関係業務については、業務方法書の認可、予算等の認可及び財務諸表等の承認に係る介護保険法第百六十二条、第百六十五条及び第百六十六条の規定は適用しないこと(第十三条関係)

 六 その他

 平成十二年度に係る未納医療保険料等がある要介護被保険者等に対しては、当該未納保険料等に関し、介護保険法による保険給付の全部又は一部の支払の差止めについて定める介護保険法第六十八条の規定は、適用がないものとすること(第十五条関係)

 第三 健康保険法その他の医療保険各法の特例

 一 介護納付金の納付に充てるための保険料等に関する特例

 平成十二年度に属する各月(健康保険法の日雇被保険者にあっては、各日)については、各医療保険者は、介護納付金の納付に要する費用に充てるための保険料等を徴収しないこと(第十七条第一項、第二十条第一項、第二十九条、第三十三条並びに第三十五条第一項、第三項及び第四項関係)

 二 一のほか、平成十二年度について、介護納付金の納付に要する費用に関する国庫の負担、医療保険の保険料額の算定等に関し、医療保険各法の特例を定めること(第三章から第八章まで関係)

 第四 地方税法の特例

 平成十二年度における国民健康保険税については、介護納付金の納付に要する費用に充てるため課することができないこと(第四十一条第一項関係)

 第五〜第七 (略)

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