日本共産党

2007年参院選 個別・分野別政策/くらしと経済

【2】高齢者

高齢者が安心してくらせる社会をつくります

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 高齢者が安心してくらせる社会をつくることは、政治の重要な責任です。

 ところがいま、安倍・自公政権のもとで、高齢者世帯に住民税・所得税の大増税がおしつけられ、連動して国保料(税)、介護保険料も大幅に値上げされ、過酷な負担増が家計を直撃しています。療養病床からの追い出し、介護ベッドのとりあげなど、大量の「医療難民」、「介護難民」を生みだすむごい制度改悪も相次いでいます。その被害を集中的に受けているのは高齢者です。くわえて5000万件をこえる「消えた年金」問題です。自公政権の高齢者いじめ、無責任政治はひどすぎます。

 高齢者世帯は年収200万円以下が43%、年100万円未満も17%にのぼるなど(05年「国民生活基礎調査」)、貧困できびしい生活を余儀なくされている人が数多くいます。高齢者に、「自助努力」、「自己責任」を強要し、負担増と福祉のきりすてをすすめる政治では、生活破壊と貧困化がますます深刻化し、老後不安はつのるばかりです。

 日本の65歳以上の高齢者は、いま2500万人を超え、人口の2割をしめます。戦前、戦中、戦後の苦難の時代を身を粉にして働きつづけ、家族と社会のためにつくしてきた人たちです。

 日本共産党は、高齢者が大切にされ、安心して老後をおくれる社会の実現をめざして全力をあげます。

 住民税・所得税の増税を中止する……高齢者世帯を直撃している住民税・所得税の増税はただちに中止すべきです。公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、低所得高齢者への住民税非課税措置の廃止など、これまで政府が実施してきた高齢者いじめの税制「改正」をストップさせ、元に戻します。

 年金の充実……公的年金は、老後のくらしをささえる柱です。ところが、国民年金しか受けていない高齢者は910万人、その受給額は平均で月額約4万6600円にすぎません(04年)。月2万円、3万円という低額年金、また無年金の人々も膨大な数にのぼるなど、きわめて劣悪な水準です。抜本的な改革が必要です。

 明らかになった「消えた年金」問題は、国家による詐欺にひとしいものです。国の責任で、一人たりとも被害者を出さず、一日も早く解決するという立場から、日本共産党は5つの緊急要求を提案しています。とくに、相談窓口も混雑がひどいため、社会保険庁が管理している納付記録を国民全員に送付することを、高齢者の不安にこたえるためにもすぐにやるべきです。

 日本共産党は、安心できる年金制度改革として、最低でも1人で月額5万円、夫婦で月額10万円の年金がうけとれる最低保障年金制度の創設を提案しています。全額国庫負担によるこの最低保障額の上に、それぞれの掛け金に応じて、給付を上乗せし、無年金・低年金の人を中心に年金額を底上げするようにします。

 医療費負担の軽減……08年4月から、後期高齢者(75歳以上)を対象とした「後期高齢者医療制度」がスタートする予定です。新制度では、家族に扶養されている人も含め、すべての後期高齢者が、介護保険と同じ「年金天引き」で保険料を徴収されます。保険料を払えない人からの保険証とりあげも計画されています。政府は、後期高齢者の診療報酬をそれ以下の世代と“別建て”にし、“粗悪医療”や“病院追い出し”をおしつけることも検討しています。日本共産党は、無慈悲な保険料取り立てと差別医療の押しつけに反対し、「後期高齢者医療制度」の抜本的見直しを求めてたたかいます。

 06年10月、「現役並み所得」の高齢者(70歳以上)の窓口負担が2割から3割に引き上げられました。08年4月からは、70〜74歳のすべての人の窓口負担が1割から2割に引き上げられます。高齢者をねらいうちにした負担増の中止・撤回を求めます。

 国民健康保険の高い保険料(税)が、高齢者世帯の家計を圧迫しています。日本共産党は、国の責任で、国保料(税)を1人当たり年1万円引き下げる緊急提案をおこなっています。これは、この間、国が減らしてきた市町村国保への財政支出のごく一部を元にもどすだけで実現できます。

 療養病床の削減計画をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます。

 介護保険制度の改善……老老介護に疲れ果てた、高齢者夫婦の痛ましい無理心中事件が後を絶ちません。貧しい施設・在宅サービス、高い保険料・利用料などの改善が急務です。

 日本共産党は、全国平均で1人月4000円もの介護保険料の負担軽減をはかります。介護保険の発足のとき、介護にたいする国の負担割合が50%から25%に減らされました。これを5%戻すだけで、介護保険料の値上げをおさえ、減免制度の創設もできます。

 軽度者からの介護ベッドの貸しはがしなど給付抑制をやめさせ、充実をはかります。

 コムスンの不正事件では、「介護難民」を出さず、真剣に介護にとりくんできた介護労働者の雇用を守るために全力をあげます。今回の事件では、政府がすすめてきた、福祉にたいする行政責任の放棄、規制緩和、営利企業の参入促進の問題点があらためて問われています。国・自治体が責任をもって、介護事業の体制と整備をすすめるようにすべきです。

 特別養護老人ホームを大幅にふやし、1日も早く「待機者問題」を解消します。小規模・多機能の宅老所、グループホームが地域にきめこまかくととのえられるよう、行政の支援をつよめます。

 高齢者むけ住宅の増設……高齢者で、現在、住宅で困っている人は4割を超えます。一方、特別養護老人ホームやケア付住宅などへの入居希望者も増えています。(内閣府「高齢者の住宅と生活環境にかんする調査」06年)。

 住宅のリフォームがすすめられるよう、介護保険の住宅改造費を拡充するとともに、自治体の住宅改造助成制度の新設・拡充をはかります。そのためにも、国としての住宅バリアフリー化への助成制度をつくり、自治体を支援します。高齢者むけケア付住宅・施設の整備を急ぎます。

 公営住宅やUR(旧公団=現都市再生機構)の賃貸住宅の建設をふやし、高齢者むけ家賃減免制度の拡充をはかります。

 民間賃貸住宅に暮らす高齢者への自治体の家賃補助制度の普及をすすめます。

 就業・雇用の保障……働く意欲と能力がありながら、まっさきにリストラの対象となるのは高齢者です。ハローワークに通っても、希望どおりの仕事につけることは皆無に近く、中高年齢者の再雇用はきわめてきびしいのが実情です。

 高年齢者雇用安定法が改正され、年金の支給開始年齢の繰り延べにあわせて、65歳までの段階的な雇用延長がすべての事業主に義務づけられました(06年4月)。事業主は、「定年の引き上げ」「継続雇用制度の採用」「定年の定めの廃止」のいずれかの措置を講じなければなりません。「継続雇用制度」については、法の趣旨からも、希望者は全員再雇用となるよう、国は企業に指導・監督をつよめるべきです。

 アメリカやEUなどで実施されているように、雇用されるときから退職するときまで年齢差別を禁止する、「年齢による差別を禁止する法律」(仮称)を制定することも必要です。

 地域の実情におうじて、高齢者の就労・社会参加の場をひろげることも必要です。シルバー人材センターについて、災害補償制度の整備など改善をはかります。

 安心・安全のネットワークづくり……一人ぐらしの高齢者は380万人を超えています。誰にもみとられず亡くなるという痛ましい孤独死が各地でふえています。貧困と格差の象徴です。医療制度の改悪や冷たい生活保護行政、介護保険の導入を機に高齢者福祉にたいする行政の責任が大幅に後退したことも背景にあります。

 行政が責任をもって、地域住民と協力しあい、高齢者を地域でささえる安心のネットワークをつくることが急務です。

 自治体やNPOなどがとりくんでいる、高齢者への配食サービス、見守り活動、緊急通報システムなどの普及・拡充をはかります。高齢者が積極的に外出し、住民同士で会食や交流などができるミニ集会所をきめこまかにととのえることも必要です。

 自治体と地域包括支援センターが、介護保険の対象者だけでなく、広く地域のお年よりの実態を把握し、安心のネットワークをつくりあげていくうえで役割を果たすことが必要です。そのためにも、国が地域包括支援センター職員の増配置や財政保障をつよめることが必要です。

 高齢者・障害者に安全なまちづくり……全国のねばり強い運動によって、06年、新しいバリアフリー法(バリアフリー新法)が制定されました。「誰もが自由かつ安全に移動・利用することは基本的権利である」という考え方にたち、事業者まかせではなく、国と自治体が責任をもって計画的に実施すべきです。

 公共施設はもちろんのこと、多数が利用する施設、歩道、地方の駅などのバリアフリー化をすすめます。利用者、住民、NPOなどの意見と経験を生かし、バリアフリー化の法基準の見直し、計画づくりをすすめるよう国に求めます。地域公共交通の維持とともに、バリアフリー化がすすんでも移動困難な人のための輸送手段(個別的代替輸送・スペシャルトランスポートサービス)の確保を、国が支援するよう要求します。

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