日本共産党

いっせい地方選挙にのぞむ各分野の政策

2007年1月19日  日本共産党

【1】社会保障の連続改悪から住民の命と健康をまもり、くらしを支える制度をまもり、ひろげます

 自公政権はこの間、「自己責任」「自助努力」ばかり強調し、あらゆる分野で社会保障制度の改悪を繰り返してきました。その大きな特徴は、国の財政負担と大企業の保険料負担を抑制するため、国民には情け容赦ない負担増をおしつける一方、医療・年金・介護・福祉などの公的給付を大幅に切り縮めることです。その結果、もっとも支援を必要とする社会的弱者が社会保障から排除されるという事態が広がっています。住民の福祉に対する公的責任を放棄し、国いいなりに、“負担取り立て・給付切り捨て”の出先機関となっている地方自治体が増えていることも重大です。

「貧困と格差」が急速に広がり、生活不安を訴える人が過去最高の68%に達し、自殺者は年間3万人を超える今の日本――国民のくらしを支える社会保障を拡充すること、住民福祉を担うという自治体の本来の役割を発揮することが、今ほど求められるときはありません。日本共産党は、自民党政治による社会保障の改悪・変質と正面から対決し、住民の命とくらしをまもる自治体の制度をまもり、充実するため力をつくします。

医療の窓口負担・保険料負担を軽減し、安心してかかれる医療保険と医療提供体制をつくります

 自公政権による医療制度の連続改悪と、地方での医療・福祉切り捨て政治のもと、「お金がない」「近くに病院がない」などで必要な医療を受けられない事態が、急速に広がっています。日本共産党は、住民の命と健康をまもるため、医療の窓口負担・保険料負担増に反対し、自治体による負担軽減の推進、地域医療体制の充実をすすめます。

 国民健康保険では、重すぎる保険料(税)負担に住民が苦しめられ、保険料を払えずに国保証をとりあげられた患者が重症化・死亡する事件があいついでいます。高すぎる国保料の元凶である、国保への国庫負担削減をやめ、計画的に増額するよう国に求めます。同時に、積立金の取り崩しや一般会計からの繰り入れの増額など、支払い能力にあった国保料に引き下げる自治体独自の努力を強めます。失業や倒産で生活に困窮する人から、医療を受ける権利まで奪うのは国民皆保険の理念にも反するものです。日本共産党の論戦や住民運動を受け、失業や病気で所得が減った世帯には国保証「とりあげ」をひかえる(福岡県)、母子世帯や乳幼児がいる世帯は保険料滞納でも国保証を交付する(長野県松本市)などの是正が各地で始まっています。実態を無視した機械的な国保証「とりあげ」をやめさせます。

 2006年に政府・与党が強行した「医療改革」は、高齢者・重症患者への新たな負担増、保険証の使えない医療の拡大、強引なリハビリ制限などとともに、高齢者に過酷な保険料取り立てと給付削減をせまる「後期高齢者医療制度」、療養病床削減による病院追い出し、給付費抑制を都道府県に競わせる仕組みづくりなど、自治体を医療切り捨ての“尖兵”にする改悪が目白押しです。国に患者負担増の撤回をもとめるとともに、自治体独自でも低所得者の窓口負担や入院費を軽減し、リハビリなどの「とりあげ」をゆるさず、必要な病床をまもる取り組みをすすめます。「後期高齢者医療制度」の運営に住民の声を反映させ、高齢者の実態にあった保険料設定や減免制度の創設、保険証「とりあげ」の防止をはかります。高齢者の医療を制限する診療報酬の「包括払い化」に反対します。

 医師・看護師不足が重大な社会問題となっています。最大の原因は、「医療費削減」の名で医師・看護師の養成を抑制し、絶対的な不足をつくりだした政府の失政です。さらに、公的病院の産科・小児科切り捨て、「不採算」な公的病院の廃止・移譲など、「コスト削減」を理由に地域医療を荒廃させてきたことも重大です。公的病院の統廃合・民営化をやめ、廃止された公的病院の産科・小児科をただちに復活させます。周産期医療の拠点づくり、小児救急医療体制の拡充をすすめます。京都府では、日本共産党と広範な住民・医療関係者の運動がすすむなかで、当初は医師不足問題に消極的だった当局が態度をかえ、府の責任で不足地域に医師を確保する計画を出すなどの動きが起こっています。医師・看護師の抜本的な養成増や看護職員配置基準の改善などを国に求めます。医師不足地域に都道府県が医師を派遣する「ドクター・バンク」、公立看護学校の定員増と看護師確保予算の増額、診療報酬の引き上げとあわせ、医師・看護師の労働条件改善にたいする公的支援など、医師・看護師の養成・確保にたいする自治体の責任を果たさせます。

「介護とりあげ」など介護保険の大改悪から住民をまもり、誰もが安心できる制度に改善します

 昨年7月、「介護心中」事件の判決で、京都地裁の裁判長は、「裁かれているのは日本の介護制度」と異例の指摘をおこないました。ところが、深刻な介護の現実は改善されず、介護保険法の大改悪による「介護とりあげ」がさらにすすんでいます。改悪法にもとづく「介護とりあげ」の政省令の撤回、国庫負担の25%から50%への計画的な引き上げを、国に求めます。自治体でも、改悪から住民をまもり、安心できる公的介護制度をめざす改善のとりくみをすすめます。

 「介護予防」の名による「介護とりあげ」や利用制限をやめさせ、東京都や北海道伊達市などがおこなっている介護ベッドの購入補助、東京都内の多くの自治体や秋田県大仙市、茨城県常総市、静岡県三島市、岡山県倉敷市など全国に広がったベッド自費レンタルへの補助など、自治体独自の施策を充実させます。同居家族がいる高齢者のヘルパー利用を一律禁止するような、国の基準にてらしても行き過ぎた指導はやめさせます。むしろ、事業者にたいする「包括払い」となった新予防給付が過少にならず、必要なサービスが提供されるよう自治体として指導と援助を強めます。

 全国の約3分の1の市町村が保険料の独自減免を実施しています。大阪府枚方市は、昨年4月から独自減免の対象者を年収96万円から150万円に引き上げました。また、埼玉県美里町や千葉県浦安市のように一般財源を投入して、介護保険料を低く抑えた自治体もあります。積立金の取り崩し、一般会計の繰り入れ、独自減免の実施・充実など、高すぎる保険料から高齢者をまもる自治体独自のとりくみをすすめます。

 日本共産党員市長の秋田県湯沢市では、市独自に、高齢者の約8割の在宅サービス利用料を6%に軽減しています。全国に広がった通所介護、通所リハビリの食費にたいする自治体独自の減免制度をはじめ、利用料の減免制度をいっそう充実させます。

 介護認定を受けてもサービスが利用できない人を一人も出さないよう、国に、介護予防ケアプラン受託件数の「ケアマネジャー1人あたり8件」という制限の撤廃、介護予防の介護報酬の引き上げを求めるとともに、自治体が責任をもって地域包括支援センターの体制を充実・強化します。また、高知県須崎市などのように、介護予防ケアプランの介護報酬に自治体独自の上乗せをおこなうことなどもすすめます。実態からかい離して、低く判定されている要介護認定の運営を改めます。

 地域包括支援センターが、自治体の責任で地域の高齢者の実態を把握し、医療・介護・福祉などの連携をとって地域の高齢者の生活をささえるという本来の役割が果たせるように、自治体とセンターの体制を強化します。配食サービスや外出支援サービスなど、福祉の後退をゆるさず、高齢者がその人らしく生きていくことを支援する健康づくり、本来の介護予防事業を地域ですすめます。きびしすぎる介護予防事業の対象者の条件を緩和させます。

 「待機者」が深刻な特別養護老人ホームなどの基盤整備について、1ベッドあたり300万円を助成している埼玉県のような独自施策をすすめます。重度の人の利用限度額を撤廃するなど、在宅で安心して過ごせる条件をつくるとともに、特養ホーム、宅老所、生活支援ハウスなど、地域の実情になった基盤整備、福祉のまちづくりをすすめます。

 経営が苦しくても、地域に根ざして良いサービスを提供している事業者と、そこで働く介護労働者への支援を抜本的に強化します。「事業者の情報公開制度」における零細事業者の手数料負担を軽減します。登録ヘルパーの労災加入、交通費支給など労働基準法の適用を求めた厚生労働省通達を、自治体としても事業者に徹底します。

 利用料の2割への引き上げ、保険料徴収年齢の引き下げ、軽度者の新予防給付を保険の対象外とすることなど、政府・与党などが検討している、さらなる介護保険の大改悪、公的介護制度の大後退に断固として反対します。

障害者・難病患者の福祉・医療の改悪を許さず、くらしと人権をまもります

 2006年4月から施行された障害者自立支援法により、福祉サービスや自立支援医療(更生医療、育成医療、精神通院医療)に原則1割の「応益」負担が導入されました。障害者が人間としてあたりまえの生活をするために必要な支援を、「益」とみなして負担を課すという「応益負担」は、憲法や福祉の理念に反します。障害が重い人ほど負担が重くなり、負担に耐えられない障害者はサービスを受けられなくなるなど、障害者と家族を苦しめています。こうした事態に、障害者・家族、関係者などの応益負担の中止を求める運動が大きく広がり、全国集会を開くたびに参加者数の記録をぬりかえて、06年10月31日には、「出直せ!自立支援法」と1万5000人が集いました。

 日本共産党は、2回にわたる「緊急要求」を発表し、06年6月には、256施設の協力を得た国会議員団の全国調査をおこないました。本人負担が1〜3万円も増え、退所や利用抑制が多発していること、施設や事業所では報酬の日払い化や報酬単価の引き下げで大幅な減収となっているなどの実態を明らかにして、障害者のみなさんの運動と力をあわせて、国会や地方議会で、応益負担の中止と、障害者の負担軽減を要求してきました。

 こうした運動におされ、厚生労働省は制度の一定の手直しをせざるを得なくなり、2007年4月から、通所・在宅サービスや障害児世帯全般の月額負担上限額引き下げ(従来の2分の1からを4分の1へ、収入・資産要件あり)、入所施設者の工賃控除の拡大(年間28万8000円までの工賃なら応益負担と食費をかからなくする、資産要件あり)などを行うとしています。全面実施からわずか数ヶ月で手直しをせざるを得ないこと自体が、この自立支援法が重大な欠陥をもっていることを示しています。

 しかし、政府の対応は、障害者や施設を苦しめる元凶の「応益負担」には手をふれようとしません。日本共産党は国会でも地方議会でも、「応益負担」の中止を求めます。

 自治体では、国の「自立」支援法強行による障害者の負担を軽減するための独自支援策が大きく広がっています。福祉サービス利用料・自立支援医療費・補そう具費の軽減、事業所への補てんなど、なんらかの独自支援策をおこなっている自治体は、18都府県と22%の市区町村に広がっています(2006年10月現在、きょうされん調査)。川崎市では、通所施設の月額負担上限を所得にかかわらず、すべて7500円に抑え、施設・作業所などに対する独自の報酬加算もおこなっています。京都市は、福祉サービスと補そう具の利用料について、国の定めた世帯所得基準を細分化し、月額負担上限額を国基準の半額にして、自立支援医療との重複利用に対する負担軽減などをおこなっています。大分県は、06年10月から通所授産施設の利用者に一日350円を支給しています。これにより、社会福祉法人減免がある事業所に通う低所得の人は利用料が「無料」になるなどのケースも生まれ、施設利用を「中止」していた人の14%が通所を「復活」させています(県調査)。

 自治体の独自負担軽減策は、むだな公共事業などを見直し、その財源のごく一部をまわすだけで実施できます。国の新たな「負担軽減策」を口実にした自治体独自施策の後退を許さず、さらに拡充をすすめます。

 自治体の裁量で利用料が決められる地域生活支援事業(コミュニケーション支援事業、地域活動支援センターなどが必須5事業に指定)の国からの補助金の増額を求めます。自治体も、原則1割の「応益」負担ではなく、無料もしくは低額、応能負担になるように、独自の努力をすすめます。

 自治体が行う障害者程度区分認定は、実態に見合ったものにし、必要なサービスを確保します。

 新しい事業体系にすぐに移行できない小規模作業所に対し、国は06年度、いったん廃止を決めた1カ所110万円の補助金を、補正予算で復活させる方向です。自治体でも小規模作業所への補助金を継続、拡充させます。

 重度心身障害者(児)医療費助成制度では、医療費や入院中の食費に自己負担を導入する自治体が広がり、障害者に不安を与えています。富山県では軽度障害者助成制度の廃止や償還払い制度の導入がねらわれていましたが、共産党と県民、患者団体などの運動で、見送られることになりました。障害者(児)の医療費負担増をくいとめます。

 昨年12月に国連で採択された「障害者権利条約」の早期批准をめざします。同時に、障害者差別禁止法(仮称)を制定し、この水準に見合った福祉制度の充実、交通や建物のバリアフリーのいっそうの推進など、あらゆる施策を見直していきます。

 政府は、社会保障費の容赦ない削減を続け、ついに、難病で苦しんでいる人たちへの医療費助成さえ削減対象にし、潰瘍性大腸炎とパーキンソン病患者への助成を切り捨てようとしました。難病患者団体をはじめとした運動と世論の高まりで、見送られることになりましたが、今後も、難病医療費の切り捨ての動きに反対していきます。新たな難病に対する医療費助成をもうけます。自治体でも、国基準を上回る独自の難病指定の拡充をすすめます。

生活保護の大改悪をストップし、国民の生存権をまもる制度を拡充します

 生活保護の年間平均受給者は、2005年度、はじめて100万世帯を突破しました。「貧困と格差」が広がるなか、生活保護の役割がますます大きくなっています。ところが、政府は、老齢加算の廃止に続き、15歳以下の子をもつ一人親世帯(約9万世帯)が受給している母子加算を3年間で全廃しようとしています。持ち家に住む高齢者を保護費の支給対象外にすることもねらわれています。憲法25条に定められた生存権をまもる“最後の砦”である生活保護の切り捨てに反対します。

 自治体でも、保護費抑制のために、保護を求める人に申請用紙を渡さない違法な「水際作戦」が横行しています。また、申請者の人権を無視した調査・指導も当然のようにおこなわれています。北九州市で、衰弱した状態でも申請を拒否され餓死した事件が起き、秋田市や函館市で、申請拒否の行政への抗議、絶望の自殺が続くなど、まさに「福祉が人を殺す」事態が頻発しています。

 新潟県では、県議会の共産党の質問と生活と健康を守る会の運動により、申請用紙を窓口に置くよう福祉事務所に指導しています。栃木県佐野市でも、共産党議員の質問後、ただちに市役所の窓口に申請用紙が置かれるようになりました。保護を必要としている人が、国民の権利として、生活保護を申請、受給できるように行政を改めます。

 季節手当、小中学校入学祝い品、小中学校修学旅行支度金の支給や、下水道料金の減免、ごみ収集料の免除など、自治体独自の生活保護への「法定外援助」の廃止が、各地で打ち出されています。一方で、佐賀県鳥栖市では、上下水道の基本料金の生活保護世帯への全額免除が、今年四月から実施されることになりました。自治体独自施策の廃止をやめさせ、いっそうの拡充をはかります。


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