日本共産党
中央教育審議会教育課程部会の

「審議のまとめ」について

2007年11月7日
日本共産党国会議員団文部科学部会長 石井郁子


一、中央教育審議会は、学習指導要領改定にむけた「審議のまとめ」を公表しました。「まとめ」は、国が直接「重点指導事項」を教員に示し、その指示どおりに実施されたかどうかを全国学力テストなどでチェックすることにしています。さらに、本来多様であるべき「学力観」や「指導法」についても、特定の内容をしめしています。これらは、改悪された教育基本法の具体化として、学校の教育課程への国家統制を強めるものに他なりません。このようなことは憲法と教育の条理に反し、教育の自主性や創造性をうばうものであり、やめるべきです。

一、「まとめ」は、「習熟度別授業」など、競争と格差をひろげ、子どもを選別しようとする施策をあらためて強調しています。いま必要なことは、競争と選別をやめ、学力の底上げを進めることです。また、「まとめ」は「家庭の責任」なるものを強調しています。「貧困と格差」で傷ついている家庭への公的支援にはまったく触れずに「責任」だけを押しつけるのでは、問題の解決にはなりません。

一、「まとめ」がこれまでの「学習内容の三割削減」をあらため、多位数の計算や生物進化など必要な事項を復活させたことは、現場の声をある程度反映したものです。しかし全体として、不必要な学習内容も含んでおり、いま以上に深刻なつめこみ授業になる危険をはらんでいます。内容を精選・再編成して、総授業時数増なしで必要な学習ができる方向で見直すべきです。小学校の外国語活動と中学校の武道必修化は、国民の間で意見が分かれており、強行すべきではありません。

一、「まとめ」は改悪教育基本法にそって、「愛国心」などを上から子どもに押しつけようとしています。国家による内心の自由の侵害は許されません。しかも、沖縄「集団自決=日本軍による強制」を教科書から削除せよとの検定意見に一言もふれない姿勢は、歴史の改ざん、特異な戦争観の強制を容認するものとして厳しく批判されなければなりません。また「道徳」では、「学校生活で子どもの人権を尊重する」との視点を欠いており、子どもの声を聞き取る姿勢もありません。

一、「まとめ」は、教職員の定数増や教科書・学校図書館の充実に言及しています。現在、教員は総じて過労死ラインで働きながらも、授業準備など子どもと向き合う時間が確保できない状態にあり、教職員増は急務です。ところが政府・財務省は、増員どころか削減を計画しています。国民の力でこうした自公政権の動きにストップをかけ、教育条件を前進させることをよびかけます。

以 上 


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