日本共産党

2005年8月11日(木)

衆議院選挙にのぞむ日本共産党の各分野の政策

9.住民のくらしと権利、地方自治を守る

 いま、政府・財界は、「国から地方へ」「官から民へ」のスローガンのもと、市町村合併の押しつけと地方財政のしめつけ、自治体リストラの強要など、戦後の地方自治制度そのものへの攻撃を強めています。国の財政危機を背景に、地方への財政支出を大幅に削減しつつ、財界奉仕の地方制度への再編をねらうものです。

 「平成の大合併」の大号令で国が強力に推進した市町村合併によって、全国の市町村数は1999年3月末の3232から2006年3月末には1822まで約6割に減ることになります。政府は、ひきつづき新たな合併特例法にもとづき推進しようとしています。財界の要望を受けて始めた道州制導入の検討のなかでは一層の市町村合併の必要性が議論されています。

 地方財政をめぐる「三位一体の改革」では、税源移譲とひきかえに国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税の削減をすすめつつあります。地方自治体が担う教育や福祉の仕事の財源を保障する制度の改悪であり、住民のくらしと権利を切り縮めかねません。

 総務省がことし3月に出した「地方行政改革」の通知は、全国の自治体に徹底した職員削減と仕事の民間への移管をもとめています。

 自民党と公明党は、こうした政府・財界のたくらみと攻撃を与党として推進しています。一方、民主党も、市町村合併推進と道州制移行、補助金の原則全廃と地方交付税の財源保障機能の縮小などをかかげ、与党以上に積極的推進の立場です。

 日本共産党は、全国の自治体関係者や団体、住民のみなさんと力をあわせて、政府・財界のたくらみと攻撃に反対し、共同のとりくみをすすめてきました。いよいよ重大な局面を迎えており、日本共産党は、ひきつづき住民のくらしと権利、地方自治を守り、充実させるために全力をつくします。

新たな市町村合併の押しつけと道州制導入に反対します

 市町村が合併するかしないかは、あくまでその市町村、とりわけ住民が自主的に決めるべきものです。日本共産党は、憲法の「地方自治の本旨」を尊重する立場から、国がこれ以上の市町村合併押しつけをすすめることに断固として反対します。

 合併を選択しなかった市町村が自立のまちづくりをすすめるためにも、地方財政の削減と制度の改悪に反対します。また、すでに合併し、あるいは合併が決まった市町村では、住民サービスや住民の自治を後退させず、住民本位の新たなまちづくりをすすめるとりくみをつよめます。

 地方制度調査会は来年2月の答申をめざし、国民不在のまま道州制導入の議論をすすめています。日本共産党は、都道府県制度の廃止と市町村の新たな再編をめざす道州制に反対します。

地方交付税と国庫補助負担金の制度改悪に反対し、地方財源の拡充を求めます

 地方交付税と国庫補助負担金の制度は、地方税とともに、地方自治体が本来の仕事をおこなう財源を保障するものです。国の財政危機を理由に一方的に縮減することは許されません。

 財務省・財界サイドは、再び地方交付税の大幅な削減と制度縮小の主張をつよめており、来年度予算でも、中長期的にも予断を許さない事態が続いています。

 国庫補助負担金では、とくに義務教育の国庫負担金制度の廃止・縮小が当面の焦点になっています。少人数学級の編成やそのための教員配置などの自治体の裁量を広げることと、国庫負担金制度を維持することは矛盾するものではありません。義務教育や福祉に関する国の責任を財源保障としても明確にしている現行の補助負担金制度の縮小・廃止に反対します。

 地方自治体の裁量を拡充するための税源移譲は当然です。その際、税源そのものが乏しい自治体の財政運営を保障するため、地方交付税の拡充など必要な措置を求めます。

自治体リストラの強要に反対し、住民本位の行政運営を求めます

 地方自治体が、ムダをなくし効率的な行財政運営の努力をおこなうことは、本来の仕事である住民の福祉、行政サービスを充実するためにも当然求められることです。しかし、政府が進めようとしている地方行革は、財界が求める「官製市場の民間開放」要求に応えて、「行政の担うべき役割の重点化」の名で、福祉をはじめとした住民サービスの仕事を民間企業に移管しようというものです。行政改革はあくまで、住民サービスの拡充をめざしておこなうべきであり、財政削減と財界の仕事を増やすためにおこなうべきではありません。

 しかも、政府は、はじめて全国の自治体に職員削減の数値目標を含めた「集中改革プラン」(2005年度から2009年度までの5カ年)の作成と公表を事実上義務づけています。こうした強要は政府自身が唱える「地方分権」そのものにも反するものです。

 日本共産党は、財界の要求・圧力を背景にすすめる自治体リストラの強要に、断固反対します。地方の行財政運営の改革は、住民と自治体職員の参加で、不要な大型公共事業をやめ、ムダをなくし、住民の利益を守り、行政サービスを改善することを目的にすすめることを求めます。

NPO活動の発展のために

 保健・医療・福祉、社会教育、文化・芸術、環境保全などの分野で、NPO(民間非営利組織)の活動が注目されています。これらの運動に自発的に参加して、社会のことを考え、貢献したいという市民運動の潮流が各地で発展していくことは、日本社会の進歩にとって、積極的な意味をもっています。

 NPOの認証対象、活動分野を広げ、設立審査を迅速化する、財政基盤の弱いNPOの活動を支えるために、多くのNPO法人が活用できる支援税制へと拡充するなど、NPO活動の発展のための支援を強化します。


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