日本共産党

2003年4月18日

短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律(案)

 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)の一部を次のように改正する。

 題名を次のように改める。

短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律

 目次中「短時間労働者対策基本方針」を「基本方針」に、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等」に、「雇用管理の改善等に関する措置(第六条ム第十条)」を「均等な待遇の確保及び雇用管理の改善等(第五条の二ム第十条の三)」に、「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に、「第三十条」を「第二十九条」に、「第三十一条」を「第三十条」に改める。

 第一条中「短時間労働者が我が国の経済社会において果たす役割の重要性にかんがみ、短時間労働者について、その」を「短時間労働者、有期労働者等について、通常の労働者との均等な待遇の確保を図り、並びに」に改め、「改善に関する措置」の下に「を講ずるとともに」を加え、「講ずることにより、短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし」を「講じ」に、「その福祉」を「短時間労働者、有期労働者等の福祉」に改める。

 第二条に次の一項を加える。

2 この法律において「短時間労働者、有期労働者等」とは、短時間労働者、有期労働者(通常の労働者と同一の事業所に雇用される労働者で期間を定めて雇用されるものをいう。)その他の同一の事業所に雇用される通常の労働者以外の労働者をいう。

 第三条第一項中「短時間労働者に」を「短時間労働者、有期労働者等に」に改め、「ついて」の下に「、通常の労働者との均等な待遇を確保するほか」を加え、「ことにより、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができる」を削り、同条第二項中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保及び当該短時間労働者、有期労働者等」に改める。

 第四条第一項中「短時間労働者の雇用管理の改善等について事業主その他の関係者の自主的な努力を尊重しつつその実情に応じてこれらの者」を「短時間労働者、有期労働者等について、通常の労働者との均等な待遇の確保を図り、及び雇用管理の改善等に関し事業主その他の関係者」に、「短時間労働者の能力の有効な発揮」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保」に、「その職業能力」を「短時間労働者、有期労働者等の職業能力」に、「短時間労働者の雇用管理の改善等の促進その他その」を「短時間労働者、有期労働者等の」に改め、同条第二項中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改める。

 「第二章 短時間労働者対策基本方針」を「第二章 基本方針」に改める。

 第五条第一項中「短時間労働者の福祉」を「短時間労働者、有期労働者等の福祉」に、「短時間労働者の雇用管理」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保及び短時間労働者、有期労働者等の雇用管理」に改め、「促進、」の下に「短時間労働者、有期労働者等の」を加え、「短時間労働者対策基本方針」を「基本方針」に改め、同条第二項中「短時間労働者対策基本方針」を「基本方針」に改め、同項第一号中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同項第二号中「短時間労働者の」を「短時間労働者、有期労働者等について、通常の労働者との均等な待遇の確保を図り、及び」に改め、「その」を削り、同項第三号中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同条第三項中「短時間労働者対策基本方針」を「基本方針」に、「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同条第四項から第六項までの規定中「短時間労働者対策基本方針」を「基本方針」に改める。

 「第三章 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等」を「第三章 短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等」に改める。

 「第一節 雇用管理の改善等に関する措置」を「第一節 均等な待遇の確保及び雇用管理の改善等」に改める。

 第三章第一節中第六条の前に次の一条を加える。

(均等待遇)

第五条の二 事業主は、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、労働者が短時間労働者、有期労働者等であることを理由として、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならない。

 第六条中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、「労働時間」の下に「、労働契約の期間」を加え、「努めるものとする」を「努めなければならない」に改める。

 第七条中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に、「努めるものとする」を「努めなければならない」に改め、同条の次に次の一条を加える。

(通常の労働者への応募機会の付与等)

第七条の二 事業主は、通常の労働者を募集しようとするときは、現に雇用する同種の業務に従事する短時間労働者、有期労働者等であって通常の労働者として雇用されることを希望するものに対し、これに応募する機会を優先的に与えなければならない。

2 事業主は、通常の労働者について、子の養育、家族の介護、職業能力の開発その他の厚生労働省令で定める事由のために、当該労働者の申出に係る期間、短時間労働者として雇用するための措置を講ずるように努めなければならない。

 第八条第一項中「前二条に定めるもののほか、第三条第一項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置に関し、その適切かつ有効な実施を図る」を「次に掲げる事項に関し、事業主が適切に対処する」に改め、同項に次の各号を加える。

一 第五条の二に定める事項

二 前三条に定めるもののほか、第三条第一項の事業主が講ずべき雇用管理の改善等のための措置

 第九条の見出しを「(雇用管理者)」に改め、同条中「短時間労働者を」を「短時間労働者、有期労働者等を」に、「短時間労働者の」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保及び短時間労働者、有期労働者等の」に、「短時間雇用管理者」を「雇用管理者」に、「努めるものとする」を「努めなければならない」に改め、同条の次に次の一条を加える。

(苦情の自主的解決)

第九条の二 事業主は、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業所の短時間労働者、有期労働者等を代表する者を構成員とする当該事業所の短時間労働者、有期労働者等の苦情を処理するための機関をいう。)を設ける等短時間労働者、有期労働者等から申出を受けた苦情の自主的な解決を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 第十条の見出し中「報告の徴収並びに」を削り、同条第一項中「短時間労働者の」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保又は短時間労働者、有期労働者等の」に改め、「短時間労働者を雇用する」を削り、「報告を求め、又は」を削り、「若しくは」を「又は」に改め、同条の次に次の二条を加える。

(公表)

第十条の二 厚生労働大臣は、第五条の二又は第七条の二第一項の規定に違反している事業主に対し、前条第一項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

(命令)

第十条の三 厚生労働大臣は、第五条の二の規定に違反して第十条第一項の規定による勧告を受けた事業主が、前条の規定によりその勧告に従わなかった旨を公表された後において、なお、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該事業主に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

 第十一条及び第十二条中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改める。

 「第四章 短時間労働援助センター」を「第四章 短時間・有期労働等援助センター」に改める。

 第十三条第一項中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同条第二項及び第三項中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改める。

 第十五条中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改め、同条第一号から第三号までの規定及び第五号中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改める。

 第十六条の見出しを「(短時間・有期労働等援助センターによる福祉事業関係業務の実施)」に改め、同条第一項中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改め、同項第一号から第三号までの規定中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同項第四号中「短時間雇用管理者」を「雇用管理者」に、「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同項第五号中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改め、同条第三項及び第四項中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に、「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改める。

 第十七条第一項中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に、「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改め、同条第二項中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改める。

 第十八条の見出し中「短時間労働者福祉事業関係給付金」を「福祉事業関係給付金」に改め、同条中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に、「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改める。

 第十九条及び第二十条中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改める。

 第二十一条から第二十三条までの規定中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に、「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改める。

 第二十四条、第二十五条、第二十六条第一項及び第二十七条中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改める。

 第二十八条第一項中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改め、同項第五号中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改める。

 第二十九条の見出し中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改め、同条第一項中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に、「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改め、同条第二項及び第三項中「短時間労働者福祉事業関係業務」を「福祉事業関係業務」に改める。

 第三十条を削る。

 第三十一条中「短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするため、短時間労働者のその」を「短時間労働者、有期労働者等の」に、「短時間労働者の」を「短時間労働者、有期労働者等の」に改め、第五章中同条を第三十条とし、同条の次に次の一条を加える。

(報告及び検査)

第三十一条 厚生労働大臣は、この法律を施行するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、事業主に対し、必要な報告をさせ、又は所属の職員に、事業主の事業所に立ち入り、関係者に対して質問させ、若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 第二十六条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による立入検査について準用する。

 第三十二条の次に次の見出し及び一条を加える。

(罰則)

第三十二条の二 第十条の三の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 第三十三条の前の見出しを削り、同条に次の一号を加える。

三 第三十一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をした者

 第三十四条中「前条」を「前二条」に、「同条」を「各本条」に、「刑」を「罰金刑」に改める。

 第三十五条中「短時間労働援助センター」を「短時間・有期労働等援助センター」に改める。

附 則

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十条の見出しの改正規定、同条第一項の改正規定(「報告を求め、又は」を削る部分及び「若しくは」を「又は」に改める部分に限る。)、同条の次に二条を加える改正規定(第十条の三に係る部分に限る。)、第三十条の次に一条を加える改正規定、第三十二条の次に見出し及び一条を加える改正規定、第三十三条の前の見出しを削る改正規定、同条に一号を加える改正規定並びに第三十四条の改正規定は、別に法律で定める日から施行する。

2 前項ただし書の別に法律で定める日については、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後の短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律(次条及び附則第三条において「新法」という。)第五条の二の規定の施行の状況等を勘案しつつ、定めるものとする。

(国の物品及び役務の調達に係る入札及び契約の在り方の検討)

第二条 政府は、短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保に資するため、国の物品及び役務の調達に係る入札及び契約の在り方について、新法第五条の二の規定を遵守する事業主に当該調達に係る受注の機会を与える観点から検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(短時間・有期労働等援助センターに関する経過措置)

第三条 この法律の施行の際現にこの法律による改正前の短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下この条において「旧法」という。)第十三条第一項の規定による指定を受けている者(以下この条において「旧センター」という。)は、新法第十三条第一項の規定による指定を受けた者とみなす。

2 この法律の施行の日前に旧法第十三条第二項若しくは第四項又は第十六条第四項の規定によりされた公示で、この法律の施行の際現に効力を有するものは、新法第十三条第二項若しくは第四項又は第十六条第四項の規定によりされた公示とみなす。

3 この法律の施行前に、旧法又はこれに基づく命令により旧センターに対して行い、又は旧センターが行った処分、手続その他の行為は、新法又はこれに基づく命令中の相当する規定によって、新法第十三条第二項に規定する短時間・有期労働等援助センター(以下この項において「新センター」という。)に対して行い、又は新センターが行った処分、手続その他の行為とみなす。

4 この法律の施行の際現に旧センターの役員である者がこの法律の施行の日前にした旧法第二十四条第二項に該当する行為は、新法第二十四条第二項に該当する行為とみなして、同項の規定を適用する。

(罰則に関する経過措置)

第四条 この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(社会保険労務士法の一部改正)

第五条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

 別表第一中第二十号の十六を次のように改める。

二十の十六 短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律(平成五年法律第七十六号)

(厚生労働省設置法の一部改正)

第六条 厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)の一部を次のように改正する。

 第四条第一項第六十九号中「短時間労働者」を「短時間労働者、有期労働者等」に改める。

 第九条第一項第四号中「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を「短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との均等な待遇の確保等に関する法律」に改める。

理 由

 短時間労働者、有期労働者等の現状にかんがみ、その福祉の増進を図るため、短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の対象を短時間労働者、有期労働者等に拡大するとともに、賃金、休暇、教育訓練、福利厚生、解雇、退職その他の労働条件について、短時間労働者、有期労働者等と通常の労働者との差別的取扱いを禁止する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


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