企業・団体献金禁止のための政治資金規正法改正案大綱

1996年11月11日  日本共産党


第一 法改正の目的

 この改正は、企業・業者団体・労働組合等の団体がおこなう政治献金を禁止するとともに、政治資金の収支に関する公開性・透明性を高めることによって、政治腐敗の根源を断ち、政治及び行政の公正・公平性を確立し、もって国民の信頼にこたえる民主政治の健全な発展をはかることを目的とする。

第二 企業・業者団体・労働組合等、団体による政治活動に関する寄付の禁止

(1) 企業・業者団体・労働組合等の団体は、いかなる名義をもってするを問わず政治活動に関する寄付をしてはならない。ただし政党・政治資金団体は、第四の(1)に定める制限を条件として政治活動に関する寄付をすることができる。

(2) なにびとも、企業・業者団体・労働組合等の団体から政治活動に関する寄付を受けてはならない。なにびとも、これらの団体に対して、政治活動に関する寄付の勧誘、要求、斡旋をしてはならない。

(3) 政治資金パーティーの対価として支払われる金員は、政治活動に関する寄付とみなす。(1)項本文で規定する団体による政治資金パーティー券の購入は禁止する。

(4) (1)(2)(3)の規定に違反した者は、五年以下の禁固または百万円以下の罰金に処する。

(5) (1)項本文で規定する団体の役員及び職員または構成員が、政治資金規正法に違反する行為をしたときは、その違反行為者を罰するほか、当該団体に対して、それぞれの違反行為に係る罰金刑を科する。

(6) (4)(5)について有罪判決(刑の執行猶予をふくむ)があったときは、その判決が確定した日から五年間、当該違反者の選挙権及び被選挙権を停止する。

第三 政治資金に関する透明性の確保

(1) 個人がおこなう政治活動に関する寄付は、政党及び政治資金団体その他の政治団体((4)でいう指定政治団体をふくむ。以下「政党等」という)にたいするものに限る。

(2) なにびとも、政治家(公職にある者及び公職の候補者等)個人に対して政治活動に関する寄付をしてはならない。

(3) 政治家は、(1)で規定する寄付金を政党等に取り次ぐ場合を除いて、政治活動に関する寄付に係る金員の授受に携わってはならない。

(4) 政治家は、必要によって、自らの政治資金を扱う政治団体(以下「指定政治団体」という)を設けることができる。当該政治家に係る指定政治団体の数は一つに限る。政治家は、当該指定政治団体及びその会計責任者にたいする監督義務を負う。

(5) 同一の個人がおこなう寄付の公開基準は、年額一万円(現行は五万円)以上とする。

(6) 同一の個人がおこなう寄付に関する量的制限を、それぞれ次のようにする。

 イ.政党・政治資金団体に対しては、年間一千万円(現行は二千万円)。

 ロ.その他の政治団体に対しては、同五百万円(現行は一千万円)。

 ハ.ロのうち、指定政治団体に対しては同百五十万円(現行はロの一千万円の範囲で制限なし)。

(7) 政党等は、その政治資金を投機的取り引きのために支出してはならない。

(8) なにびとも、寄付者の氏名等の公表義務を免れるために寄付金を複数の政党等に分散させてはならない。

(9) (2)(6)(7)(8)の規定に違反した者は、三年以下の禁固または五十万円以下の罰金に処する。

(10) (2)(6)(7)(8)について有罪判決(刑の執行猶予をふくむ)があったときは、その判決が確定した日から五年間、当該違反者の選挙権及び被選挙権を停止する。

(11) 政治家が(4)の監督義務を怠ったときは、当該政治家に対して、違反行為者にたいする罰則の法定刑の重さに応じた刑罰を科する。この場合、両者に対するそれぞれの有罪判決(刑の執行猶予をふくむ)が確定した日から五年間、当該違反者及び当該政治家の選挙権及び被選挙権を停止する。

第四 政治団体間の寄付の制限

(1) 政党がする寄付及び政治資金団体が政党に対してする寄付以外の、政治団体間の寄付を禁止する。

(2) 前項の規定に違反した者は、五年以下の禁固または百万円以下の罰金に処する。この場合、有罪判決(刑の執行猶予をふくむ)が確定した日から五年間、当該違反者の選挙権及び被選挙権を停止する。

第五 政治資金の私的流用の禁止

(1) 政治家が、第三の(3)の場合などによって拠出を受けた政治活動に関する寄付金を私的に流用、蓄財したときは、十年以下の懲役に処する。

(2) 前項について有罪判決(刑の執行猶予をふくむ)があったときは、その判決が確定した日から十年間、当該違反政治家の選挙権及び被選挙権を停止する。

第六 企業の使途不明金の規制(租税特別措置法の改正)

(1) 租税特別措置法に、新たに「使途不明金」に関する条項を設ける。使途不明金とは、交際費・機密費・接待費その他いずれの名義をもってするを問わず、その使途を詳らかにできないものをいうものとする。

(2) 資本金一億円以上または年間の売上高五十億円以上の法人で、年間の使途不明金が一千万円を超える場合には、通常の法人税にくわえ、一千万円を超える部分の金額に対する百%の追徴課税をする。

(3) 前項の場合、当該法人名及び使途不明金の額、税務当局の調査にたいする当該法人の弁明の内容等を公表する。

第七 政党助成法の廃止

政党助成法を廃止する。


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