2000年9月8日 (金)「しんぶん赤旗」

1999年度政治資金報告

日本共産党の政治資金の特徴

草の根から国民と結びついて活動

日本共産党 上田均 財務・業務局長にきく


 八日付官報で一九九九年政治資金収支報告書が公表されましたが、日本共産党の政治資金の特徴について、上田均財務・業務局長に聞きました。


 ――一九九九年の政治資金収支報告書が自治省から公表されました。日本共産党の政治資金はどんな特徴をもっていますか。

 上田 日本共産党の一九九九年の収支は別表のとおり、収入総額三百二億三千八百五十六万円、支出総額二百九十九億三千二百六十九万円です。

 大きな特徴は、日本共産党の収入には企業・団体献金も政党助成金もなく、党費、機関紙誌等事業収入、個人からの募金など、党員と国民から寄せられる浄財によって成り立っているということです。また、収入の八四・七%、支出の六七・九%と、圧倒的部分を機関紙誌等の事業活動が占めています。ここには、機関紙誌を中心に草の根から国民と結びついて活動するという、他の党にはないわが党の財政活動の特徴が反映しています。

 同時に、今回の新しい特徴の一つは、昨年九月によびかけた党本部ビル建設のための寄付・協力借入金が反映していることです。収入のなかの寄付が前年の二倍以上になっていること、借入金が一定の規模になっていること、翌年への繰越金がふえているのは、そのためです。

 前年との比較では、収入が九八・〇%、支出が九六・九%と、それぞれ減っています。これは昨年が国政選挙のない年であったこと、残念ながら機関紙誌発行部数が一昨年より若干減り、機関紙誌等の事業収入が四・五%減ったことなどによるものです。中央委員会の資産については、多くの項目が前年とほぼ変わりません。

日本共産党の1999年政治資金収支報告概要
項 目 金額(万円) 前年比(%) 構成比(%)
(1)収入
   党費
   寄付
   機関紙・書籍等
   納付金、借入金、その他

   収入合計
 
13億6381
12億3651
256億0991
20億2833

302億3856
 
98.9
217.9
95.5
123.3

98.0
 
4.5
4.1
84.7
6.7

100.0
(2)支出
   経常経費
   組織活動費
   (国会議員団活動費含む)
   機関紙誌・書籍等
   宣伝・その他の事業費
   交付金、その他

   支出合計
 
55億5243
5億7842
 
203億2073
9億3382
25億4729

299億3269
 
102.7
129.8
 
96.2
87.3
131.5

96.9
 
18.5
1.9
 
67.9
3.1
8.5

100.0
収支差引((1)-(2)) + 3億0587    
 前年からの繰越金
 翌年への繰越金
83億0262
86億0849
   

※万円未満四捨五入の関係で合計額が合わないことがあります。

 

日本共産党の資産報告の内訳
項 目 件数 金額(万円)
土地 60 22億5460
建物 53 19億8950
地上権または借地権 3323
取得価格が100万超の動産 51 4億9590
貯金残高 71億2967
有価証券 12 6億9320
残高100万超の貸付金 9億9800
100万超の敷金 8億7000
100万超の施設利用権 1800
残高100万超の借入金 30 3億4970

政党助成金 一日も早く廃止めざす

 ――政党助成金を受け取っている政党の「税金だのみ」の体質には、大きな批判があります。一方、総選挙では「日本共産党も政党助成金をもらってテレビ・コマーシャルに使ってはどうか」など、日本共産党の政党助成金に対する態度についてもいろいろな声がよせられたようですが、いかがですか。

 上田 自民党の場合、収入に占める政党助成金の割合が五九・五%、企業・団体献金が一九・四%、両方でほぼ八割です。他にも政党助成金が収入の八割をこえる政党が少なくありません。それだけに、日本共産党の財政が政党助成金も企業・団体献金もゼロで、国民の浄財のみに依拠していることは、これらとあざやかな対照をなしています。

 自民党などは、この制度に固執する理由として「日本では個人献金の習慣が育っていない」ことをあげますが、日本共産党が毎年、中央・地方をあわせて百億円をこえる個人からの寄付を集めていることは、彼らの言い分に何の根拠もないことを実証しています。

 しかし他方では、日本共産党の態度に共感を寄せながらも、「日本共産党が受け取りを拒否した分が他党に配分されるのは納得いかない」「共産党も受け取って有効な使い道を考えた方がいいのでは」などの声が、総選挙のあと少なからず寄せられました。

 たしかに政党助成法のしくみによって、日本共産党が受け取らない分が他の政党への配分に上乗せされる結果になります。受け取らない政党の分まで二重に山分けするというのは、政党助成法という法制度の二重の腐敗性をしめすものです。結局、「文句があれば配分に加われ」ということになるわけです。この問題は、この制度の存在そのものからくるわけですから、制度を廃止する以外に解決の道はありません。

 「有効な使い道を」との意見についても、いったん日本共産党が税金の分け取りにあずかるなら、その使途がどうであれ、やはりこの制度を認めたことになり、政党助成金制度の廃止を棚上げすることになります。したがって、日本共産党は、政党助成金廃止をめざす首尾一貫した態度をつらぬき、国民世論を結集して、一日も早くその実現をはかることこそ大事であると考えています。

 なお、党中央委員会は、テレビ・コマーシャルや新聞広告、インターネットの効果的な活用など政治宣伝の内容と手段について、財政的裏付けをどうするかを含めて、今後の研究課題とし、検討をすすめています。

企業・団体献金の極致 腐敗・堕落の極致

 ――企業・団体献金も自民党などの政治資金の大きな部分となっています。企業のヤミ献金による「党費立て替え」問題も起こっていますが、今年から政治家個人への企業・団体献金が禁止されたことで、はたして問題は解決にむかっていくのでしょうか。

 上田 久世前金融再生委員長の事件は、「党費」を名目にした企業・団体からのヤミ献金で国会議員の議席を買い取ったものとして、世間を驚かせました。この事件の手口からいえば、「党費」を名目にしさえすれば、なんら政治資金規正法の制約をうけることなく、いくらでも企業・団体献金を集めることができるということになるわけで、まさに手段を選ばぬ脱法行為であり、腐敗・堕落の極致ともいうべきものです。

 比例代表選挙制度の論議にすりかえる動きもありますが、問題の根本は、企業・団体献金が金の力で政治をゆがめ、政治腐敗を生む元凶だということです。

 今年から政治家個人への企業・団体献金が禁止されたことは、国民世論の反映ですが、その論議のさいにも、わが党は政治家個人だけでなく、政党への企業・団体献金も禁止すべきであると主張してきました。企業・団体献金を根絶しないかぎり、久世問題のように手を替え品を替えて政治を腐敗させることになるからです。実際、自民党などは、国会議員やその候補者を責任者とする「政党支部」をつくり、政治家個人の資金管理団体に代わって、新たな企業・団体献金の受け皿にするというやり方で、相変わらずの企業・団体献金どっぷりの政治をつづけています。

 いま「あっせん利得罪」をめぐって議論がされていますが、わが党はその成立をはかるとともに、さらに腐敗の元凶である企業・団体献金の根絶にむけて全力をあげるものです。


国会議員秘書の給与―差額を寄付

 ――国会議員が秘書給与詐欺容疑で逮捕されるという事件がおこりました。あらためてここで秘書給与問題についての日本共産党の考え方や扱いについて、お話しください。

 上田 民主党を離党した山本譲司衆院議員が秘書給与をだましとったという詐欺の疑いで逮捕されましたが、与党の金権腐敗を追及すべき野党議員が、架空の「政策秘書」をしたてあげて国民の税金をだましとっていたなどということは、ぜったいに許されないことです。

 秘書給与問題での日本共産党の立場については、すでに昨年のインタビューのさいに私からもお話しし、それにそった処理が今回公表された日本共産党の政治資金収支報告にも反映されています。すなわち、わが党の国会議員の公設秘書は、党中央委員会で活動する専従活動家の一員という性格をもっており、一人ひとりの実際の給与は、本人の了解のもと、中央委員会勤務員の統一した基準で支給されています。「秘書給与」と実際の給与との差額は、本人の意思によって国会(会派)会計に繰り入れ、秘書としての国会活動の行動費(資料、調査行動費など)にあてています。

 この扱いは、以前は国会(会派)会計にプールするという形をとっていましたが、昨年から、秘書各人が党に寄付し、これを国会(会派)会計にもどすというやり方に変えました。このやり方だと、秘書給与差額の取り扱いが政治資金収支報告書に掲載され、国民に公開される形となります。今回の収支報告書でも、収入の面では寄付のなかに秘書給与差額の寄付が含まれ、これに対応して同額の支出が国会議員団活動費として計上されています。

党本部ビル建設―みなさんの募金で

 ――昨年から日本共産党本部ビルの建設のための募金がはじまり、今回公表された日本共産党の収支報告にもそれが反映されているとのお話でした。この点について、今後の展望にもふれてお話しください。

 上田 昨年九月に党本部ビル建設の基本構想と募金のよびかけを発表してから、ちょうど一年になりました。この間に、工事計画を三期から二期約四年に短縮する思い切った計画変更をおこない、今年六月から第一期工事に着工し、これまでに第一期部分の解体工事をほぼ完了しつつあります。十月上旬には「くわ入れ式」をおこない、いよいよ新たな建物の建設にむかってすすんでいきます。

 建設費は概算で八十五億円を見込んでおり、その資金は、党中央委員会としてのこれまでの備蓄、こんご十年間の備蓄、それをこえる部分は全国からの建設募金で確保する計画です。建設募金の第一期目標は、第一期工事終了までの約二年間に二十五億円集めるという目標です。

 これまでに十二億円をこえる寄付・協力借入金が寄せられていますが、金額の大小にかかわらず、その一つひとつに例外なく党へのあつい思いがこめられています。この機会に寄付・借入金をお寄せいただいたすべてのみなさんに、党中央委員会として心から感謝するものです。

 同時に、建設募金運動は、二十五億円の目標に照らしても、まだ道半ばです。新しい党本部ビルは、わが党が二十一世紀に民主的政権実現をめざす党にふさわしい役割を発揮していくための一大拠点となるものです。その建設は、全国すべての党員と党組織の共同の事業であり、また広範な党支持者に支えられてはじめて成功する事業です。

 第一期工事の竣工(しゅんこう)は二〇〇二年七月十五日を予定しており、ちょうど党創立八十周年の記念日に当たります。この新しい事業の成功にむけ、全党と党支持者のみなさんの奮闘と協力を訴えます。


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