21世紀の明日に向かって、党本部ビルが新しくなります

党本部ビル建設 順調に進んでいます

日本共産党本部ビル設計・監理責任者

小林良雄さん(地域建築空間研究所所長)に聞く

 党本部ビル建設工事は、昨年十月の起工式のあと、本工事が始まって半年。どこまで進んでいるのか、どんな党本部ビルを建てるのか、設計と監理の責任者、小林良雄さん(地域建築空間研究所所長)に聞きました。

 

「周辺の街の環境に資する」建物へ

 ――建設工事は順調に進んでいますか。どのような党本部ビルが建つのか、お聞かせください。

 すでに報道されているように、工事は二期に分けて進め、一期工事の完成は来年の七月十五日、党の創立記念日になります。その後、引っこし期間を二カ月とり、二期工事を九月十五日から始め、全体の完成は二〇〇四年九月末の予定です。杭(くい)打ち工事は四月下旬に終わり、いよいよ地下工事のため穴を掘る土工事に移ります。

 どのような本部ビルを建てるのか、一言では難しいですが、建設プログラムに沿ってできるだけ単純な構成にしたいと心掛けたつもりです。同時に、既存の街との関係も配慮しました。いきなり道路から地上十一階の建物を立ち上げるのでなく、商店街側は敷地幅いっぱいに三階建ての基段状部分を設け、そこから後退させて高層棟を立ち上げます。少しでも既存の街への圧迫感を和らげる構成です。

 内部は、本部の諸部門が相互に緊密に連携しあう全体的な有機性を備えることを目標に組み上げました。さまざまな改変に対応できるよう設備を含め現代建築の標準的な装備をもつようにしています。構造は地上部分は純鉄骨造で、耐震性を重視しています。

 建築は街のなかに建つ以上、必ず周辺に影響を与え、公共性があります。この機会を周辺の街の環境に資するようにしたいと強く思いました。建物は道路から約三メートル後退させて建て、歩道状空き地を設けて、並木も植えます。

振動と騒音が少ない工法で進めます

 ――杭打ち工事は、杭を打ち込む大きな音が出ると思っていたら、意外に静かに工事が進んでいるようですが、どのような工法なのでしょうか。

 一九六〇年代、高度成長期には、既成コンクリート杭を蒸気ハンマーで打ち込む振動と騒音が激しい工事が多かったのですが、いまは市街地ではほとんど使いません。騒音の少ない「オールケーシング杭工法」で、地下二十八メートルまで穴をあけ、鉄筋を下げコンクリートを流し込んで、工事現場で杭をつくる方法です。

 ――毎日大きなトラックが出入りし、十数メートルの穴を掘る大型機械が入っても、大きなトラブルもなくすすめられているようですが。

 当初は三期に分けて建設する計画で、何回かの近隣説明会で周辺の住民、とくに商店街の方々から「工事期間を短縮してほしい」「狭い道路に工事車を入れないでほしい」との強い要望が出されました。この要望を受け止め、検討し、全体を二期でおこない、工事車両はいっさい商店街側を使わず、広い明治通りから出入りする方針変更を決断しました。いったん決めたことだから変更は無理だろうと思っていた近隣のみなさんから、驚きをもって大歓迎されました。

 この決断で、近隣の方々との間に心が通い、明治通りからの長物重機搬出入もスムーズにおこなわれているわけです。加えて本部の建設委員がきめこまかに日常的に周辺の方たちの意見を聞いたり、工事状況の説明ビラを配布したり、工事の機械音などに異常を感じると敏速に施工者に相談、申し入れをしていることにもよると思います。

 ――建設現場は、中央線、総武線などJRの幹線が隣接し、たいへん苦労があるでしょうね。

 敷地の北側はJRの線路敷に接しています。敷地より約五メートル高い土手状の盛土の上に中央線、総武線計四車線が通っています。東京の西部郊外と都心を結ぶ大動脈でもあり、工事による事故は絶対に許されません。施工者の戸田建設は、JRと折衝し、工事のやり方、線路地盤の計測、監視要員の配置など合意し、党本部がJRと協定を締結しました。現在、二十四時間自動計測を実施しており、万一工事による線路敷の動きがあり、所定値に達すれば、即警報がでて、段階的に対処することになっています。

 既存本部の建物内では執務がつづいているので、こちらも、つり上げた機材が落下したり、壁に工事機械があたるなどの事故があってはならず、安全には特段の注意を払い進めています。

地球環境と障害者に配慮した建築に

 ――「環境と障害者に配慮した建物」と聞いていますが、どんな配慮がされているのですか?

 第一に使用エネルギー低減の問題です。維持管理費を抑えるだけでなく、都市のヒートアイランド化を抑制し、炭酸ガス排出量低減化に通じます。計画的には何より外部からの熱の侵入を抑えることです。外気に接するのは屋根、壁、窓ですが、屋上は外断熱にしています。また、屋上テラスの屋外機置き場を除いた部分は、できるだけ緑化する計画です。東京都は最近、一定規模以上の建築にある率の屋上緑化を義務付ける方針を出しましたが、その先取りの計画になっています。窓は一番熱ロスが大きい部分ですが、過半を複層ガラスか合わせガラスとし、外側は二階以上は熱線反射ガラスとしました。

 次に大事なのは、建築の長寿命化の課題です。

 建築廃材は、産業廃棄物の約四〇%を占めるといわれています。

 本部ビルの主構造は地上部分が純鉄骨造で何百年単位でもつように、無論、耐震性をふくめ計画していますが、内外装材および機器の劣化は避けられない以上、その更新が課題になります。機能的な耐用も改変の自由度にかかわります。工事の難易に違いはありますが、内外装とも主構造と一体化している部材は地上部にはなく、原理的には着脱、改変可能です。維持管理をていねいにおこない、劣化した部品の交換をしていけば百年はゆうに持つ造りにしています。

 三番目は、使用材料から人体・環境に有害な材料を排除し、できるかぎり、リサイクル可能な材料を使うことです。経済性と照らし合わせ、最後の吟味を現在すすめているところです。

 「障害者に配慮」についてですが、長年の関係者の運動の結果、ほとんどの都道府県が「福祉のまちづくり条例」による建築上の指導書を発行していますし、この規模の建築では着工前の手続きで行政との確認を義務付けています。

 人は病にかかり、年老いていきます。だれでもが使いやすく、バリア(障壁)を設けないように建物を造るのは今や当然で、車いすで外部から出入りでき、内部は全館移動可能に計画していることはいうまでもありません。目が不自由な人のための入り口周りから受付までの誘導ブロックは無論、埋め込みます。車いす対応のトイレは全館で四カ所設けます。

 ――外から工事の状況が見られる鉄骨の建ち上がりはいつごろになりますか?

 地上部の鉄骨の建て方の開始は十月中旬です。今年末には最上階の鉄骨が組み上がる予定です。来年のいまごろには、外観はほぼ完成に近い状態にする工程です。十月までは地下部分の工事になります。とにかく地上に出るまでが大変です。われわれ設計監理者は現在、一番忙しい時期に入ってきています。担当者一同チームワークをよくして仕事に打ち込みたいと考えています。

 とにかく、よい建築に仕上げたい。その一念でまい進しているところです。建築、電気、機械設備施工三社とも張り切っています。


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(2001/04/22「しんぶん赤旗」より)


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