■第四章 多数派結集をめざす国民運動の発展のために

◆(13)労働組合運動が、本来の役割を発揮し、新たな前進を

 (1) 自民党と民主党が憲法改定と庶民大増税を競い合い、労働者の生活と権利への攻撃を競うように強めているもとで、わが国の労働組合運動は、歴史的な転機ともいうべき新しい重要な局面をむかえている。

 「構造改革」路線は、「労働組合の既得権の打破」をスローガンにしているように、従来の労資協調主義の労働運動ですら、攻撃と切り捨ての対象としている。このもとで、民主党支持をおしつけられている連合系労組の要求と、民主党の立場との矛盾が激化している。憲法改定問題、教育基本法問題、庶民増税問題、公務員攻撃などを焦点として、矛盾が噴出している。民主党が「脱労組」宣言をおこなうなかで、特定政党支持に固執する路線は、深刻な矛盾におちいっている。

 こうした矛盾の激化は、労働組合が、労働者の要求実現という本来の役割を発揮し、前進をかちとる新たな条件をつくりだしている。「要求での団結」「資本からの独立」「政党からの独立」という労働組合運動の基本的な民主的原則にもとづいてこそ、労働組合は発展するということを大きな流れにしていくことが必要である。

 こうした情勢のもとで、全労連が、労働者、国民の利益をまもり、平和と民主主義をまもる運動を強め、労働運動の前進のためにいっそう積極的な役割を発揮することが、つよく期待される。

 (2) 新しい条件を生かして、労働運動の前進をはかるため、つぎの諸点に力をそそぐことがもとめられる。

 イ、要求にもとづく共同行動……労働組合間で、所属する全国組織の違いをこえて、一致する要求にもとづく共同行動を思い切って強める。県段階では、すでに憲法改悪反対、教育基本法改悪反対などの課題をかかげ、労働組合の共同行動がさまざまな形で広がっている。これを多面的に広げ、中央段階での共同行動の機運へと発展させることが期待される。このなかで労働組合運動の「政党からの独立」という方向への前進をうながす努力をはかる。

 ロ、未組織労働者の組織化……正社員の削減、非正規雇用労働者への置き換えが大規模にすすむなかで、労働組合の組織率は19・2%にまで下がっている。すでに全労連は、人間らしい労働とはほど遠い、無法と無権利状態のもとで苦しむ未組織労働者の組織化にとりくんでいるが、あらゆる可能性をくみつくして本格的なとりくみに発展させていくことが重要である。

 この点で、一人でも加盟できる「個人加盟ユニオン」が元気に活動し、非正規雇用労働者の待遇改善に大きな役割を発揮していることは注目される。組合員数二百人のフリーターを中心とする組合「首都圏青年ユニオン」が、米国企業の日本法人による違法派遣や無法な残業代不払いを告発し、勝利をかちとったことは、「たった200人のフリーター組合がグローバル企業を追い込んだ」と経済誌も大きく報じた。こうしたとりくみを励まし、発展させることがもとめられる。

 ハ、公務員攻撃をはねかえす……自民党と民主党が、競い合うように公務員の大幅削減、賃下げを打ち出していることは、公務員労働者と労働組合にとってのみならず、日本の労働運動全体にとって重大である。

 わが党は、すでに一九七〇年代、八〇年代に自治体労働者論、民主的公務員労働者論を発表してきた。そのなかで、行政機構を住民奉仕の立場にたって効率的に改革するとともに、公務員労働者・自治体労働者が、「全体の奉仕者」として国民・住民への奉仕という職務をはたすことと、労働者としての生活と権利をまもるたたかいを、統一的に追求することが大切であることを主張してきた。

 今日の公務員攻撃にたいして、この立場にたって、国民・住民との連帯をつよめ、攻勢的な反撃をおこなうことがもとめられる。公務員労働組合のなかで、保育所の改善、学校給食の改善など、地域住民の切実な要求を掲げ、その実現のための共同の運動を前進させるなかで、不当な攻撃をはねかえして組織を前進させている経験が生まれていることは教訓的である。

次へ→

[大会決議目次]
[24回大会ページ]
[トップページ]
c日本共産党中央委員会
お問い合わせ・メール