1997年9月26日

日本共産党第21回大会決議

第1章 日本共産党の歴史的躍進と、21世紀にむけた展望


(1)日本共産党の躍進と“自共対決”の時代

 第二十回党大会いらいの三年あまりのたたかいは、日本共産党の新しい躍進の時代をきりひらくものとなった。

 国政選挙では、一九九五年の参議院選挙で改選五議席から八議席に躍進したのにつづいて、一九九六年の総選挙で十五議席から二十六議席への躍進をかちとった。総選挙で獲得した七百二十六万票、一三・〇八%の得票率は、わが党が一九七〇年代に到達した峰をはるかにこえる、史上最高の峰への歴史的躍進である。衆院への小選挙区制の導入は、日本共産党を政界からしめだそうとするファッショ的なくわだてだったが、改悪された制度のもとでもそれを突破する躍進をかちとったことは、どんな悪法によってもわが党と国民とのむすびつきのひろがりをおしとどめることはできないことをしめすものであった。

 地方選挙でも、わが党の地方議員総数は、一九九五年におこなわれたいっせい地方選挙で、自民党をぬいて地方議会第一党に前進し、その後も議席を着実に拡大して四千五十一人となった(党大会時)。とりわけこの七月におこなわれた東京都議会議員選挙で、十三議席から二十六議席へと議席を倍増させ、自民党につぐ都議会第二党の地歩をしめたことは、都政の未来にとってのみならず、国政にも衝撃的影響をあたえる、すばらしい成果であった。それは総選挙につづく日本共産党への期待と共感の新たな波のひろがりを実証するものだった。

 革新・民主の地方自治体の新しいひろがりもつくられた。なかでも、わが党が単独与党の自治体が六十六自治体にまでひろがり、住民本位の新しい施策をつぎつぎと前進させていることは、二十一世紀にむけた日本の地方自治の大きな希望ある変化である。他のすべての党が“住民福祉のための機関”という自治体ほんらいの仕事をすすめる立場を投げすてているもとで、憲法と地方自治法にきざまれた地方自治の精神にたった行政をうちたてようとすれば、これまでの政治的な立場のちがいをこえて、日本共産党との共同にすすむほかないという状況が、全国どこでも生まれている。

 これらの一連の成果は、政党間の力関係を、大きく前むきに変えつつある。とくに、政権党である自民党にたいするわが党の得票比が、総選挙で約四割になり、都議選では約七割にまでたっしたことは、こんごの躍進いかんでは政権の問題を現実に展望できるまでに、日本共産党の政治的比重がましつつあるという点で重要である。これらは、自民党と日本共産党との対決――“自共対決”こそ、日本の政治対決の主軸であること、それが政治路線のうえでの対決だけではなしに、現実の政治的力量のうえでの対決にもなりつつあることをしめしている。

(2)“総自民党化”政治のもとでの日本共産党への共感のひろがり

 この新しい躍進の流れは、一時的なものでも、偶然のものでもない。国政でも地方政治でも、日本共産党以外のすべての党が自民党政治に吸収され、“総自民党化”政治ともいうべき政界の構造がつくられていることに根ざした変化である。

 “総自民党化”政治のもとで、自民党一党政権の時代にはできなかった悪政がつぎつぎに強行された。この数年間でも、小選挙区制・政党助成導入、消費税増税、コメ輸入自由化、年金制度改悪、住専処理への血税投入、医療保険改悪、米軍用地特別措置法改悪など、これまでならいくつもの国会にわたって紛糾するような悪法が、国民多数の反対をおしきって連続的に強行された。国会の外での密室談合で合意ができたら、国会での本格審議なしに強行されるという、議会制民主主義の形がい化・空洞化がすすんだ。国民への公約はふみにじられ、政党と政治家は離合集散をくりかえし、無節操さは目をおおうばかりとなった。そのあまりの異常さにたいして、それをすすめる当事者たちからも、「戦前の大政翼賛会を思わせる」との危機感と不安が語られている。

 “総自民党化”の土俵のなかで、にせの「対立軸」、にせの「受け皿」をつくる試みがくりかえされた。しかし、あれこれの新党づくりや、看板のかけかえが、どんな意味でも新しい政治を生みださず、自民党による悪政の推進を助ける役割しかもたないことは、新進党、民主党、社民党などの現状によって、実証されつつある。これらの党にたいして、都議選で都民のきびしい審判がくだされたことは、こうした小手先細工には未来がないことを、はっきりとしめした。

 無党派層の増大は、“総自民党化”した政治にたいする、国民の幻滅と拒否を背景にしたものである。これらの人びとのむいている方向は、さまざまな模索をともないながらも、全体として日本共産党と立場を共有しうるものである。わが党は、広大な無党派層の人びととの対話、交流、共同のために力をつくしてきたが、都議選では投票した無党派層の約四人に一人が日本共産党を選択したという調査結果も報道されるなど、共同の輪は選挙のたびごとにひろがりつつある。

 “総自民党化”した諸党との対比で、いま、日本共産党の存在意義が、あざやかにうきぼりにされている。国民の立場で筋をとおす政治的一貫性が、広い人びとのなかに新鮮な共感をよびおこしている。日本共産党の存在と活動は、“総自民党化”の政治のもとで、みずからの暮らしをまもり、希望ある未来をねがう人びとの、かけがえのないよりどころとなっている。

(3)反動・反共攻勢とのたたかい??党の政治路線の成果

 一九七〇年代の党の躍進以降の約二十年間は、反動・反共攻勢にたいするきびしい闘争の二十年だった。今日の日本共産党の新しい上げ潮は、この不屈の闘争によってきりひらかれたものである。

 戦前から日本では、日本共産党員とその支持者を「国賊」「非国民」と攻撃するような、他の資本主義国ではみられない独特の反共的土壌がつくられてきたが、それにくわえて七〇年代から「戦後第二の反動攻勢」が本格的にはじまった。「自由社会をまもれ」という反共キャンペーンが開始され、政治戦線でも、労働戦線でも、「日本共産党をのぞく」という体制がつくられた。八〇年代の終わりから九〇年代のはじめにかけてのソ連・東欧の旧体制崩壊を最大限に利用した「体制選択論」攻撃は、わが党を日本の政界の極小勢力に転落させ、あわよくば抹殺しようとするきわめて激烈なものだった。

 この反共の逆風にたちむかい、党の全体像――歴史と路線を誇りをもって語り、党の陣地を維持してきたことが、今日の躍進に結実した。反共の嵐(あらし)によって、わが党は鍛えられ、党と国民とのむすびつきも質的につよまった。いまおこっている躍進の流れは、六〇年代から七〇年代前半の躍進とくらべても、いっそう強固な基盤のうえにたったものである。

 もちろん、今後の道程は平坦(へいたん)なものではないだろう。党の躍進にたいして、反動側は警戒感をつよめている。新たな逆風のくわだてもくりかえされることを、けっして過小評価してはならない。しかし、どんな逆風のくわだてにたいしても、わが党はそれをうちやぶる路線、歴史をもっているだけでなく、げんに逆風をうちやぶってきた理論的・実践的経験をもっている。この経験は、今後のたたかいのなかでも生きる貴重な財産である。

 日本共産党の躍進に、多くの海外のマスコミも注目をよせたが、「どうして日本では共産党がこんなに元気なのか」という分析のなかで、彼らが共通して指摘したのは、旧ソ連などの横暴とたたかいぬいた自主独立の伝統、侵略戦争と専制政治にいのちがけで反対をつらぬいた歴史、資本主義の枠内での民主的改革をつうじて社会進歩の道をきりひらく綱領路線、企業・団体献金とも金権政治とも無縁な清潔さなど、わが党の七十五年の歴史と路線がもつ生命力だった。この生命力は、党創立いらいの多くの先達(せんだつ)たちの苦闘によってきずかれ、うけつがれてきたものである。

 今日の躍進の流れを、わが党の政治路線、それにもとづく不屈の闘争の成果として、全党が確信をもってつかみ、いっそうの前進をかちとることがもとめられている。

(4)国民との新たな関係、国民の新たな期待にこたえる活動を

 総選挙と都議選での躍進は、国民の党にたいする見方を、さらに大きく変えつつある。これまで党を拒否したり、無関心だった人びともふくめ、広範な人びとが党に注目し、関心をもち、期待をよせつつある。党と国民との関係が質的に新しい段階に入ったことをふまえて、それにふさわしい活動がもとめられている。

 これまで党と国民をへだててきた垣根――“誤解と偏見の壁”がくずれつつある。多くの国民が、日本共産党を、誤解や偏見にとらわれず、その政策と活動の事実をみて評価するようになってきている。このことについて、自民党や財界関係者のなかからも「共産党が有権者に普通の政党として受け入れられていることが何よりの驚異だ」という声があげられた。視野を思いきってひろげて、すべての国民を対象にした対話と共同を追求することが大切である。

 わが党に一票を投じた有権者のなかには、“総自民党化政治への批判票”として日本共産党をえらんだ人も少なくない。重要なことは、それらの人びとが、政治の現状への批判の気持ちを、日本共産党に託してくれた、ということである。同時に、わが党に、“現実政治を動かす政党”、“政権をになう政党”という期待をよせてくれている少なくない人びとがいる。そうした期待にこたえた活動を、国政でも地方政治でもすすめることが、つよくもとめられている。国民に「この党に政治をまかせても安心」という信頼感をもってもらえるように、現実政治の場での行動と実績で、国民の信頼をえる活動をすすめる必要がある。躍進した国会とともに、第二党となった都議会で、それにふさわしい存在感と実行力を発揮することは、有権者にたいする重大な責任である。

 わが党がかちとった到達点は、政治革新の目標からみれば、まだごく初歩的なものである。二十一世紀の早い時期に政権をにないうる党へ成長することをめざし、国政でも地方政治でも、いっそうの躍進の波をつくりだすために全力をあげる。日本共産党がめざす新しい民主主義日本の目標と内容を鮮明にしめし、民主的改革の国民的合意をつくりあげていくために力をつくす。


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