日本共産党

2003年2月23日(日)「しんぶん赤旗」

自治体と文化 削減か充実か(5)

“けいこ場がほしい”

自治体設置など新しい流れ


 「練習場確保は、事務局の一番の仕事」(合唱団)――芸術・文化団体が、もっとも苦労している問題は、練習場・けいこ場をどう確保するかということです。これは、プロ・アマを問いません。

どこも一苦労

 もともと文化活動の専用の練習場は少なく、公民館などを利用している団体が圧倒的で、会場をおさえるのはどこも一苦労です。アマチュア音楽団体の場合、月十回の練習場を確保するため、「団体名を変えて申し込む」こともあるといいます。しかも、公立の社会教育会館で有料化がすすみ、その経費が活動費を圧迫しています。

 ふつう舞台芸術の場合、発表の期間以上に、練習に長い時間が費やされるのは当然のことです。しかし、これまで日本の文化行政は、文化施設の建設はすすめたものの、芸術・文化団体の活動には光をあててきませんでした。そのため、活動で本当に必要とされる練習場・けいこ場が後回しとされてきたのです。

 これにたいして、地方自治体のなかには芸術・文化団体の活動基盤を支援するとして、練習場・けいこ場を保障する新しい流れが生まれています。ここでは、活動の条件に合わせた柔軟な運営や工夫がされているのが特徴で、若者の参加をはじめ活況を呈しています。

公設や廃校利用

 一つは、金沢の芸術村や福岡のパピオビールーム(音楽・演劇練習場)などから始まった公設の練習場を新たにつくる動きです。パピオビールームの場合、ピアノなどを備えた小練習場や百席の簡単な公演もできる大練習場があり、安定した機会を確保するため団体が一年間、練習場を使用できるように運営を工夫しています。

 仙台市が昨年設置した「せんだい演劇工房10BOX」は、演劇の創造空間として構想され、立ちげいこやワークショップに使うような練習場のほか、照明、客席もついた公演を想定した練習場や、大道具の製作ができる設備もあります。利用者の立場にたって夜間十時以降も利用できるような運営規定をもうけています。

 もう一つは、廃校となった学校の校舎を利用して、演劇などの練習に開放する動きです。京都市の芸術センターのように、本格的な改修を行ったところもありますが、NPO(非営利法人)や芸術団体に運営を任せることで、自主的な活動をサポートするところも増えています。まだこうした学校廃校の利用にたいして、地方自治体の支援は十分ではありませんが、新しい試みとして注目されるものです。

つづく


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp