日本共産党

2003年2月21日(金)「しんぶん赤旗」

自治体と文化 削減か充実か(3)

利用者に負担増強いる

「弾力的」の名で値上げ


 「弾力的な料金制」――昨年、東京都美術館などに導入された利用料金制について、都が説明した言葉です。運営者の都合で自由に値上げが申請できるようになり、都美術館は18%の料金値上げを実施しました。

 この背景には、自治体が施設維持・改修などの費用を削減するため、利用者に負担を求める「受益者負担」の考え方があります。都美術館の場合、「施設使用料等の歳入が事業費の四分の一程度である状態は、利用団体に対し受益に見合った負担を求めていないということ」(東京都「事務事業評価」)であるとして、利用者への負担を求めています。

活動に影響が

 都美術館の公募棟の利用率は100%。日本アンデパンダン展や二科展など幅広い美術団体が自らの作品を公募する場としてなくてはならない施設となっています。それだけに値上げは芸術・文化活動に深刻な影響を与えます。アンデパンダン展を主催する日本美術会の場合、会場使用料が二〇〇二年の二百二十万円から二〇〇四年には二百六十万円に値上げされ、出品者の負担を増やすことを検討せざるをえないといいます。

 文化ホールやレッスンスタジオを備えた大阪府立青少年会館は、演劇などの公演・練習場として利用され、稼働率は90%近くなっています。利用者のアンケートでも、「利用した理由」の第一は「安い」で35・1%。府も「青少年の文化活動や相互交流の場として、ニーズが非常に高い」と記しています。

 ところが、「運営コスト」に占める府の負担を下げるため、管理運営費の三分の一以上を使用料収入等でまかなうことが目標とされました。そのため、「利用料金制」の導入や、駐車場料金の値上げなど、利用者に負担が押しつけられています。その結果、九八年度には、維持管理費のうち28・7%だった使用料金等の比率が二〇〇一年度には35・7%まで上昇しています。

逆行に歯止めを

 そもそも専門家や愛好者が作品を自由に発表し、鑑賞できるような環境を整備することが自治体本来の仕事のはずです。ここでも自治体独自の仕事を投げ捨てる自民党、公明党などのオール与党による地方政治の逆行ぶりが浮き彫りになっています。

 日本共産党国会議員団は、昨年二月に開いた芸術・文化団体との懇談会で、国政における日本芸術文化振興会の切り捨てなどとともに、地方自治体における文化予算の切り捨ての逆行に歯止めをかけることを提起しました。地方議会でも、芸術・文化団体と党議員団が反対しています。

 都美術館の利用料金値上げについても、日本美術会をはじめ、日本美術家連盟など幅広い団体が反対の要請を繰り返し、都議会でも審議されないうちに値上げを通告するという乱暴なやり方は撤回させました。「利用料金制」は強行されましたが、引き続き値上げを許さない運動と、党議員団の役割はいっそう大事になっているといえます。

つづく


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