日本共産党

2002年3月21日(木)「しんぶん赤旗」

春闘 賃上げゼロ回答や賃下げ提案をどう見る?


 〈問い〉 春闘で賃上げゼロの回答や賃下げの逆提案などが続出していますがどう考えたらよいのでしょうか。(茨城・一読者)

 〈答え〉 二〇〇二年春闘は、経営側から賃上げゼロ回答や賃下げの逆提案が続出しています。しかしその理由とする「日本経済の高コスト構造」は事実に反し、「大幅赤字」もリストラ費用前倒しなど人為的につくりだされたものです。

 三月中旬に回答した自動車、鉄鋼、電機など大手は、史上最高の一兆円の経常利益(連結)を見込むトヨタ自動車をはじめ軒なみ賃金ベースアップ(ベア=引き上げ)ゼロ回答です。「賃金体系の維持」などを回答した電機大手は直後に、「業績悪化」などと、春闘回答とは切り離し賃下げや定期昇給の延期・凍結を逆提案してきました。

 財界は日本の賃金を為替相場で比較して「日本の人件費は高すぎる」とし、「日本経済の高コスト構造を是正する観点から考えればベースアップは必要ない」(三月十三日、奥田日経連会長)などと主張しています。

 しかし賃金で維持される生活水準が比較できる購買力平価でみれば、日本の賃金はアメリカの七割、ドイツの六割の低さです。サービス残業などの長時間過密労働もあります。製造業の国際競争力では世界第二位、実質労働生産性では第一位という財界系研究機関の調査もあり、「高賃金」「高コスト」は事実に反します。

 賃下げ提案の電機大手は、六社の三月期決算予測で一兆九千億円の最終損益「赤字」としますが、この「赤字」には早期退職などの特別退職金加算金や工場・営業所統廃合など、リストラ費用一兆七千億円を含み、来期分の前倒しまであります。前もって赤字を計上し、次期に大幅黒字をめざすための「つくられた赤字」といえます。

 労働者にリストラも賃下げも押し付け、高収益体制を作るのがねらいです。大手六社だけでもため込み利益・内部留保は十二兆八千億円に達し、賃下げの必要などありません。

(水)

〔2002・3・21(木)〕

 


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