日本共産党

2002年3月14日(木)「しんぶん赤旗」

ワークシェアリングで賃下げなの?


 〈問い〉 最近、ワークシェアリングのためだといって賃下げを主張する経営者がいますが、そういうものなのですか。(奈良・一読者)

 〈答え〉 ワークシェアリングはもともと、労働時間の短縮で仕事を分かち合い、雇用を拡大することです。ところが最近、財界団体の日経連(日本経営者団体連盟)などは、「雇用の維持」の名目で、労働時間短縮が賃下げに直結する「ワークシェアリング」を主張し職場に持ち込もうとしています。

 日経連は一月に発表した報告書で、今後、雇用の維持・創出には「雇用形態の多様化・柔軟なワークシェアリングの導入」が必要で、当面は「労働時間を短縮して雇用を維持し、賃金・賞与など、総額人件費を縮減」するべきだと主張しています。

 すでに大企業では、ワークシェアリングを理由に労働時間短縮と抱き合わせ、最大20%の賃下げを迫る三洋電機のような動きが広がっています。

 また「雇用形態の多様化」の名で正規雇用を削減し、低賃金で雇用調整しやすいパート、派遣など、不安定雇用への置き換えを大規模に進める方向です。

 しかしこのような動きは世界でも特異なものです。財界系の調査研究機関、社会経済生産性本部によるワークシェアリングの研究報告でも▽ドイツでは労働協約で時短し原則賃金カットなし、フランスでは労働法によって、90%が賃下げなしの時短で雇用を拡大▽オランダでは賃金の時間比例原則などフルタイムとパートタイムの労働条件格差をなくし均等待遇を進め、短時間勤務希望者が増えて雇用が拡大した―とされています。

 そもそも財界・大企業が進めてきた乱暴なリストラが大量の失業を生み出し、国民の所得と消費を減らし、日本の経済を危機に陥らせているのです。

 人権も無視した解雇やリストラをやめさせ、サービス残業の横行や年次有給休暇も取らせない違法状態を正し、賃下げなしの労働時間短縮で雇用を拡大することが、経済危機打開のためにも必要です。(水)〔2002・3・14(木)〕

 


もどる

機能しない場合は、ブラウザの「戻る」ボタンを利用してください。


著作権:日本共産党中央委員会 
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp