日本共産党

2002年3月6日(水)「しんぶん赤旗」

いまの国民年金 基礎年金といえる水準か?


 〈問い〉 全国民が国民年金(基礎年金)に加入する制度になってから十数年年たちましたが、欧州などでみられる基礎年金制度に比べ遅れていると聞きました。どういう点が違うのでしょうか。(千葉・一読者)

 〈答え〉 一九八六年四月から、二十歳から五十九歳までのすべての国民が国民年金(基礎年金)に加入し、老齢基礎年金を受給する制度となりました。サラリーマンの厚生年金などは、第二号被保険者として給与から保険料が天引きされ、定額部分(基礎年金)に報酬比例部分を上積みする形になります。

 一階部分は全国民共通の基礎年金、二階部分は所得比例年金という、欧州など十数か国にみられる「二階建て」の年金制度に似ています。しかし日本の場合は▽国民年金の加入者は低所得者も高所得者と同一の定額保険料である▽最低保障の考えがなく、「負担なければ給付なし」の制度になっている▽受給資格を得るまでの期間が長い―という、他国ではみられない状況があります。

 保険料の点でいえば、イギリスやオランダなどは、基礎年金が日本と同様の社会保険方式をとっていますが、定額ではなく保険料は所得に応じて違い、税といっしょに税務署におさめます。また、基礎年金を実施している国の多くは、保険でなく税で支えています。そのため、その国に一定期間居住し一定年齢になれば受給できます。

 また、基礎年金制度は本来、保険料が負担できない低所得者にも最低限度の年金を保障するものです。イギリスの場合でも決められた最低所得額未満の人は保険料を免除されます。ところが日本の場合は未納・滞納が続くと受給資格を失う一方、免除制度を利用すれば給付額が減額されます。

 さらに、年金受給資格を得るのに少なくとも二十五年間、保険料を払い続けなければならないのも日本だけです。欧米ではそのような国はなく、数年から長くても十年前後で受給資格を得ることができます。

〔2002・3・6(水)〕


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