日本共産党

2001年12月19日(水)「しんぶん赤旗」

 低金利でマル優はいらないか?


 〈問い〉 政府はいま金利が低いから、マル優を廃止しても影響は少ないといいますが、これをどう考えたらよいのでしょうか。(北海道・一読者)

 〈答え〉 与党三党と政府が十四日に決定した税制「改正」案は、高齢者のマル優を、二〇〇三年から〇五年末までに段階的に廃止していくとしています。

 マル優(少額貯蓄非課税制度)は、三百五十万円までの元本の、利子所得を非課税とする制度です。銀行預金、公債、郵便貯金で利用でき、合計すると千五十万円までの元本の利子が非課税となります。

 いまの税制では、利子所得に対して所得税15%、住民税5%の計20%が源泉徴収されています。高齢者のマル優廃止で、いまの超低金利でさえ約千五百億円の増税となることが、政府資料からわかります。わずかの金利の上昇でも、増税額はずっと大きなものになります。

 年金とならんで利子所得は、高齢者の家計にとって重要な柱となっています。不況と消費税増税、医療・社会保障改悪に苦しめられている高齢者の、預貯金金利を非課税にすることは、政治の最低限の配慮です。

 一九九一年、預金金利は約6%(一年もの定期預金、都市銀行平均)でしたが、いまは1%を大きく下回る事態が何年も続いています。九〇年代の相次ぐ公定歩合引き下げなど、政府・日銀の政策によるものです。政府税調は「高齢者世帯の所得に占める利子所得の平均割合は総じて1%前後」などと影響を小さく見せようとしますが、超低金利で利子所得を奪っているのは、政府・日銀です。

 マル優は、以前は国民だれもが利用できましたが、八八年四月から、六十五歳以上の高齢者、障害者、母子家庭に制限されました。当時で一兆六千億円の大増税でした。

 小泉内閣は「骨太方針」で「貯蓄優遇から投資優遇へ」金融のあり方を切り替えるといっています。高齢者の貯蓄をリスクの高い株式投資などに向かわせることも、マル優廃止のねらいです。(

 〔2001・12・19(水)〕


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