日本共産党

2001年12月8日(土)「しんぶん赤旗」

 ホームレスでも生活保護を受ける道はある?


  〈問い〉 リストラ・倒産などで住む家をなくした人が増えていますが、生活保護などの道はないのでしょうか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 不況やリストラの影響でホームレス(野宿生活者)が、東京など大都市部ばかりか地方都市にまで拡大し、全国で三万人といわれていますが、その実態は十分解明されているとはいえません。

 東京都が今年三月に発表した白書『東京のホームレス』によると、ホームレスになる直前の職を失った理由は倒産、失業、病気が七割を占め、最後の住居を失った理由は失職と同時に社宅などから退去せざるをえなかったり、家賃を払えなくなったからとなっています。十月の完全失業率は史上最悪の5・4%、ホームレス問題の深刻化が懸念されます。

 生活保護法は、憲法二五条の理念に基づき「生活に困窮するすべての国民に…必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」とし、最低限度の生活とは「健康で文化的な生活水準を維持する」ものとしています。生活保護の適切な運用は、ホームレスの救済だけでなく、ホームレスにならないための施策としてきわめて重要です。

 政府は、この間、生活保護の「適正実施」を理由に保護の適用を抑制し、ホームレスについても“稼働能力があるから、高齢でないから”と実際上排除してきました。

 しかし、厚生労働省は深刻な事態が進む中で今年三月、生活保護関係全国係長会議文書「ホームレスに対する基本的な生活保護の適用について」(通知)で、「居住地がないことや稼働能力があること」は「保護の要件に欠けるものではない」として、ホームレスを生活保護から排除しないことを明確にしました。

 この「通知」では、ホームレス状態でも「真に生活に困窮する」とはいえないケースもあるとするなど、すべてに生活保護が適用されるとは限らないと読みとれる個所もあり、自治体での適用を求める運動を進めていく必要があります。(

 〔2001・12・8(土)〕


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