日本共産党

2001年10月25日(木)「しんぶん赤旗」

 国立大学への競争原理導入をどう見る?


 〈問い〉 大学に「競争原理」を導入し、大学の評価によって予算配分に差をつけるような考え方が提案されています。日本共産党はこの考え方をどう見ますか。 (岩手・一読者)

 〈答え〉 小泉内閣は、大学に「競争原理」を導入するとして、国立大学を独立行政法人化するとともに、大学への補助金も国公私立「トップ三十」大学に優先配分するなど、文部科学省が定める目標や基準によって、文科省が各大学の業績評価を行い、その結果に応じて予算配分するしくみをつくろうとしています。

 このようなやり方では、文科省の行う評価にそわない教育研究は切り捨てられることになり、大学をいっそう序列化するとともに、大学の自主性を弱め、自由な教育研究の発展を阻害することになります。

 この「競争原理」は、もともと市場経済で利潤を追求する企業経営の原理です。財界団体が、「大学の活性化に必要だ」として政府に強く求めていますが、真理の探究が求められ、教育研究を担う大学とは相いれないものです。

 憲法第二三条が「学問の自由」を定めているのは、「研究に対する価値判断は学問によってのみなされるべきものであって、権力や外的権威に委ねられるべきではない」(清宮四郎編『憲法事典』)からです。これを脅かすことになりかねません。

 教育研究の評価は、大学が自主的に取り組む「自己評価」を基礎にすべきであり、教育研究の発展の芽をのばす見地から、それぞれの学術分野の専門家によってなされるべきです。外部評価についても、ユネスコの九八年十月の高等教育世界会議が採択した宣言で、「国際的な専門知識をもつ独立した専門家によって公開的に行われる」べきとしたことを尊重すべきです。

 何より必要なことは、欧米諸国の半分以下である高等教育予算を抜本的に引き上げ、自由で豊かな教育研究を保障する基盤的条件の整備をすすめることです。それが、大学の学問研究を大きく励まし、自主的改革を促すことになります。(改)

 〔2001・10・25(木)〕


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