日本共産党

2001年10月20日(土)「しんぶん赤旗」

 小泉内閣の育英奨学金「改革」をどう考える?


 〈問い〉 小泉内閣が育英会の奨学金の「改革」を打ち出していますが、これをどう考えますか。(東京・一読者)

 〈答え〉 日本育英会は、日本育英会法に基づき設立され、国の奨学金事業を担ってきました。日本は欧米に先んじて、「公的な奨学金制度」を発足させましたが、現在では、給付制度が大勢で、授業料も低い欧米諸国に量・質とも大きく立ち遅れています。現状でも不十分な育英会奨学金を、いっそうひどい制度にするのが、小泉内閣の「特殊法人改革」のプランです。

 育英会については、(1)無利子奨学生の数をしぼる(2)利子付き奨学金は、国民生活金融公庫(特殊法人)の教育ローンと統合(3)大学院生の返還免除制度を廃止(4)高校生向けは地方に移管、の四点があげられています。

 無利子奨学生の数をしぼることや大学院生の返還免除を廃止するなど、あからさまな制度改悪に加え、利子付き奨学金を国民生活金融公庫(特殊法人)の教育ローンとの統合も大きな問題です。

 収入や担保を持たない学生本人が貸りる育英会奨学金と違い、親が借りる銀行の教育ローンは、収入や担保などが必要となります。国民生活金融公庫の教育ローンでも、親が失業したら「返済能力なし」と、融資が受けられません。一番、奨学金が必要な人たちが、奨学金制度からはじき出されてしまうことになります。

 日本共産党は特殊法人改革を考えるさい、「無駄なものは思い切ってメスを入れ、国民にとって必要な事業は拡充する」ことが必要だと考えています。奨学金制度は、「国民にとって必要な事業」です。いま、最悪の失業率のもとで、家計の困窮度に応じて優先的に採用される育英会奨学金の役割がますます大きくなってきています。国民が利用しにくい奨学金制度ではなく、奨学金の給与制の導入をふくめ抜本的な拡充など、国民的な立場にたった改善に足をふみだすことこそが求められています。(市)

 〔2001・10・20(土)〕


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