日本共産党

2001年9月13日(木)「しんぶん赤旗」

ミサイル防衛(MD)構想が核軍拡競争を招く?


 〈問い〉 ブッシュ米政権のミサイル防衛(MD)構想で核軍拡競争を招くと批判されるのはどうしてですか。 (秋田・一読者)

 〈答え〉 ブッシュ米大統領は、ミサイル防衛構想は「核兵器のいっそうの削減に道を開く」としbていますが、この構想は、アメリカの核戦力の絶対的優位を確保し続けることに目的があります。

 ブッシュ政権は、以前のようなロシアからの核攻撃の脅威はなくなり、戦略核兵器を減らせるようになったとしていますが、核兵器を廃絶するとはいっていません。アメリカの判断で「必要」とする分の核兵器は残すとしており、戦術核兵器については削減構想にも含まれていません。

 ミサイル防衛構想で米国に飛んでくる核兵器ミサイルは防ぐが、いざという場合には米国が持っている核兵器を使うという立場を続け、「核兵器による抑止」という考え方はまったく変えていないのです。

 アメリカは、核兵器をなくせという国際世論を背景に国連で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准しないばかりか、その棚上げを狙ってきました。使いやすい核兵器として、小型核兵器の研究・開発をすすめ、研究室内の核実験を続けています。

 ロシアの核兵器は心配ないといいますが、一方で北朝鮮やイラクなどからは核攻撃の危険があると勝手にきめつけ、とくに中国の核兵器をあげて「注意すべきだ」としています。米軍が、ロシアにたいする核攻撃の目標を解除し、中国国内の数千カ所をいざという場合の核攻撃の目標に設定しているとの情報もあります。

 いま、世界に核兵器保有国、潜在保有国は十カ国以上あります。盾(たて)を強くするとそれを破る矛(ほこ)を持とうとする、との例えもあります。

 防衛といいながら、自国の核戦力の絶対的優位を確保しようとするアメリカの身勝手なミサイル防衛構想は、新たな核軍拡への呼び水となり、核軍拡競争への道を開くものです。(三)

 〔2001・9・13(木)〕


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