日本共産党

2001年8月30日(木)「しんぶん赤旗」

ダムだけに頼らない欧米の流れとは?


 〈問い〉 ダムだけに頼らないという治水、利水対策が欧米などの流れになっていると聞きます。どういう対策がとられているのですか。 (愛知・一読者)

 〈答え〉 欧米では、九〇年代初めからダムだけに頼らない利水・治水対策への切り替えが進み、改修した河川をふたたび自然に戻すなど、河川の自然環境としての価値を大切にする方向に踏み出しています。

 アメリカでは、「川の再生」を主題に、五百を超えるダムを撤去した上、グラインスキャニオンなど大規模なダムを取り壊し、生態系と漁業の回復や観光振興をはかろうとしています。

 日本弁護士連合会公害対策・環境保全委員会主催のフォーラム「川と開発を考える」(一九九五年)で講演した米国開墾局総裁のダニエル・ビアード氏は、本国で進む変化の背景には、大規模な水資源開発事業にかかるばく大なコスト、河川の自然と文化的特性を重視する価値観と環境保護への世論、ダム建設に頼らない新たな方策・資源管理方法への認識などがあると指摘。「合衆国ではダム建設の時代は終わった」とのべています。

 ヨーロッパでも、川の直線化、連続した堤防作り、ダムによる水の受け止めといったコンクリートによる大型構造物に頼った河川工法からの転換が進んでいます。「川の再自然化計画」にもとづくダムに頼らない遊水池計画(ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州)等々。ライン川、ドナウ川など、多くの川の再生計画があります。

 いま日本では、利水、発電、治水という目的自身が破たんしているのに清流を破壊するダム建設にしがみつく(熊本・川辺川ダム)など、むだと環境破壊の大型ダム事業が全国で問題になっています。日本共産党は、コンクリートダムからの脱却の流れにも逆らう、小泉内閣の姿勢を批判し、事業の抜本的な見直しを求めています(ダム事業への六つの提言、七月十九日)。(豊)

 〔2001・8・30(木)〕


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