2001年1月7日「しんぶん赤旗」

 日本のオーケストラの実情は?


 <問い> 日本のオーケストラは、外国と比べ、維持・運営が苦しいと聞きます。実情を知りたいと思います。(東京・一読者)

 <答え> オーケストラを維持・運営するには、多額の経費を要します。それをすべて入場料など事業収入でまかなうことは難しく、ヨーロッパでは国や自治体からの公的助成、アメリカでは民間からの寄付によって維持されています。

 日本のオーケストラにたいする公的支援は、外国と比べ、きわめて弱いのが実情です。日本音楽家ユニオンの調べによると、新日本フィルハーモニー交響楽団は、総経費十六億八千万円、事業収入十二億一千万円、助成七千五百万円、新星日本交響楽団は、総経費八億五千万円、事業収入六億八千万円、助成六千二百万円等々(九八年度)で、公的助成率は数%にすぎません。そのため、自治体の支援を受ける東京都交響楽団、京都市交響楽団や、NHK、新聞社の支援を得るNHK交響楽団、読売日本交響楽団などいくつかを除くと、オーケストラの経営はきわめて苦しく、楽団員の給与にしわ寄せされています。

 ドイツ、オランダ、フランスをはじめ、ヨーロッパの諸国が、八割前後という高い比率で助成をしているのと比べると、日本の公的助成がいかに少ないかが、明りょうです。

 石原東京都知事のもとで、東京都響にたいする都の支出を大幅カットしようという動きが進んでいるのも、事態をさらに悪化させるものとして見過ごせません。

 オーケストラは、音楽文化の中で重要な位置を占めています。日本共産党は、「文化提言」(九五年)などで、国は、芸術創造団体の運営が赤字なら助成するという助成方式を改め、ヨーロッパで確立しているように、日常的に運営費用を公的に支える方式(運営助成)にすべきだと提案してきましたが、そうした支援方式をさらに広げる必要があると考えます。(靖)

〔2001・1・7〕


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