日本共産党

2000年9月14日「しんぶん赤旗」

未臨界核実験とは?


<問い> アメリカやロシアの未臨界核実験に批判と抗議の声があがっています。未臨界核実験とは、どういうものなのですか。(茨城・一読者)

 <答え> 核兵器に装着される核弾頭は、核物質のプルトニウムやウランの核分裂の連鎖反応を急激に起こさせ、一挙にエネルギーを放出(核爆発)させることで、強烈な破壊力を生み出します。核分裂の連鎖反応が継続的に起きる状態になることを臨界といい、昨年の東海村の原子力施設の事故は、臨界事故として大問題になりました。

 未臨界核実験は、核爆発の起きない、臨界状態の手前の段階で核爆弾の性能を調べる実験だと当事者は説明しています。一九九七年七月におこなわれたアメリカの第一回の実験は、ネバダ州の実験場の地下三百メートルの実験室で、核弾頭の「引き金」になる高性能の爆薬を起爆剤に使い、その衝撃波をプルトニウムに当て、反応を確かめるというものでした。

 以後、アメリカの実験は、十二回に及び、最近は、八月十八日におこなわれました。ロシアも八月末から九月初めにかけて三回実験をするなどたびたび実施しています。

 一九九六年、国連で採択された包括的核実験禁止条約(CTBT)は、核爆発をともなう核兵器実験を全面的に禁止しています。アメリカは、未臨界核実験は核爆発を起こさないからCTBTに反しないと弁明してきました。しかし、同実験は、新たな核兵器開発を含め、核兵器の独占体制を維持・強化しようとするための核実験です。これが核軍縮と核兵器廃絶をめざすことをうたっているCTBTの精神に反することは明らかです。

 アメリカ、ロシアの未臨界核実験は、核兵器廃絶と核軍縮を願う国際世論に挑戦し、核戦力維持・開発競争の悪循環をもたらすものです。(豊)

〔2000・9・14〕


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