日本共産党

2001年7月4日(水)「しんぶん赤旗」

 アメリカの雇用年齢差別禁止法とは?


 〈問い〉 アメリカには雇用における年齢差別を禁止する法律があるそうですが、どんな法律なのですか。(大阪・一読者)

 〈答え〉 アメリカでは一九六七年、連邦法として「雇用における年齢差別禁止法」が制定され、その後数回の改正を経て現在に至っています。

 アメリカでは、六〇年代の黒人差別撤廃運動に代表される公民権運動が展開され、六四年、包括的な差別禁止法である公民権法が成立。雇用分野では、人種、肌の色、宗教、出身国、性を理由とする不利益取り扱いを違法な差別として禁止しました。当時、法制定に当たり、違法な差別に「年齢」を加える修正案が出されましたが異論もあって盛り込まれず、結局、連邦議会が雇用上の年齢差別を禁止する別の法律を制定するという経過をたどりました。

 同法は、二十人以上の被用者を雇用する企業、公共団体、労働組合などに適用され、雇用の全ステージ(募集・採用から賃金・昇格、解雇に至るまで)で、四十歳以上の労働者に対する雇用面での異なる取り扱いを禁止しています。八六年、連邦議会は、七十歳という年齢上限を撤廃し、文字通り年齢による差別が禁止されています。

 差別を受けた者は、連邦行政機関である「雇用機会均等委員会」(EEOC)に救済申し立てができることになっています。EEOCによる自主的解決ができない場合、裁判所に訴訟を提起し、差別行為の中止、バック・ペイ(差別賃金遡及〔そきゅう〕支払い)の付いた復職や「付加損害賠償金」の支払いも請求できます。

 日本では、五十五歳になったら全員転籍にさせるといった年齢を理由としたリストラが広がる一方、職業安定所への求人にも「四十五歳まで」といった年齢条件をつけるケースが多いのが実際です。先の通常国会では、雇用対策法に、事業主は「労働者の募集及び採用について、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えるように努めなければならない」という努力義務規定が設けられました。こうした規定も活用しながら、雇用の年齢差別をなくすルールをつくることが急がれます。(平)

 〔2001・7・4(水)〕


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