2001年1月31日「しんぶん赤旗」

 女性国際戦犯法廷とは?


 〈問い〉 昨年暮れに日本で従軍慰安婦の問題で女性国際戦犯法廷が開かれましたが、どういうものだったのですか。(茨城・一読者)

 〈答え〉 女性国際戦犯法廷は、従軍慰安婦問題を始めとする日本軍による性暴力を裁くことを目的とした民衆法廷です(十二月八日〜十二日、東京)。韓国、北朝鮮、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、日本の人権七団体が国際実行委員会を構成。アメリカ、イギリスなどの四人の国際法学者が裁判官となり、アメリカ、オーストラリアから首席検事を迎え、被害各国と日本の法学者が検事団を構成しました。

 検事団は国別に起訴状を作成。いつどのように慰安所が作られ、何人くらいの女性がどのように徴集され性的強制が行われたかを、被害女性(アジア各国から六十四人参加)や専門家の証言、文献上の証拠をもとに立証。日本政府と昭和天皇、日本軍幹部(計二十五人以上、故人)を有罪として起訴しました。日本政府は出廷要請を無視しましたが、理由は明らかにされていません。

 「法廷憲章」にもとづき最終日に判決と日本政府などへの九項目の勧告が出されました(判決全文は今年三月発表予定)。判決は、日本軍の慰安所制度は日本の「戦略の不可欠な一部」であり、「当局によるまたは当局の容認に基づく徴集」があり、女性たちは「反復的強姦(ごうかん)、身体損傷その他の拷問」により「奴隷化」されていたとのべました。戦争当時の国際法に違反するもので、日本国家と昭和天皇を有罪としました。

 第二次大戦の戦犯裁判・東京裁判では、慰安婦問題は取り上げられず、昭和天皇の責任は不問にされました。日本の裁判所も山口地裁下関支部判決を除いては国家責任を認定していません。今回の法廷は判決の強制力はありませんが、従軍慰安婦問題での責任追及は、国連人権委員会からも求められてきた国際的課題でもあり、日本政府はその趣旨を受けとめ、被害者に謝罪と補償をすべきです。

 このような民衆法廷には、ベトナム戦争でのアメリカの戦争犯罪を裁いたラッセル法廷があります。(絹)

 〔2001・1・31〕


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