2001年5月26日(土)「しんぶん赤旗」

 米国・カリフォルニア州の停電はなぜ?


 〈問い〉 世界一の経済大国アメリカのカリフォルニア州で停電が続いています。なぜこんなことが起きているのですか。(大阪 S・I)

 〈答え〉 カリフォルニア州では、今年から断続的に停電が起き、五月には州全土に広がって交通、商業、日常生活などに深刻な影響が出ています。夏場になり電力需要が急増すれば、事態はさらに深刻になるとみられています。

 停電は、電力需要が膨らむ一方で供給が間に合わず、配電会社が電力供給を計画的に停止させることで起こっています。

 電力供給不足の背景には、一九九〇年代の情報技術関連産業の発展や人口増による電力需要の急増、新たな発電施設の建設の遅れなどがありますが、不足の直接的な要因は、九八年から実施された同州の電力事業の規制緩和政策です。カリフォルニア州議会は、九六年、電気代を下げるなどの名目のもとに電力事業の規制緩和を決定。州議会が決めていた電力料金は市場にまかせるとしました。そして、事業主体を発電側と電力供給側に分離させることにし、州内の民間大手三社に発電所の売却を命じました。その結果、半分以上の発電所が他州の資本などに売却されました。一方、電力の値段を決める取引市場と送電を管理する独立の電力管理公社を設立し、大手三社の電力小売り値段を二〇〇二年三月まで据え置きました。

 電力の値段を市場で決めるシステムは、発電側の売り渋り等の市場操作を生み、市場での電力代は高騰。一方、供給側の大手会社は小売り値段が凍結されているため値上げできず、損失を出しながら供給するという逆ざやを出す事態に陥りました。結局、供給大手の一社は倒産、さらに州内の電力料金は大幅値上げになりました。供給側から発電側への支払いの滞り、発電側から供給側への電力供給渋りが恒常化し、消費者への供給は不安定になっています。

 公共性の高い電力事業の規制緩和は、電力を安定的に州民に送るという課題で大きな問題を投げかけています。(西)

 〔2001・5・26(土)〕


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