1999年12月18日(土)

 商工ローンを規制するには?



 〈問い〉 商工ローンによる被害が拡大し、ひどいやり方が問題になっていますが、規制するには、どうすればよいのでしょうか。(埼玉・一読者)

 〈答え〉 商工ローン問題が自殺者を出すまでに深刻化したのは、罰則を科せられる出資法の上限の四〇%に迫る高金利、借り手の返済能力を無視した過剰融資に加え、詐欺的手法による根保証契約、暴力や裁判制度を悪用した無法な取り立てが、借り手・保証人を追いつめているからです。

 商工ローン・サラ金などを規制する貸金業規制法は、例えば借り主への過剰融資は禁止されているものの、処罰や行政指導はできず、根保証の規制もないなど非常に不十分なものです。しかも政府・与党が高金利の是正に消極的だったこと、金融監督庁が貸金業規制法違反の明らかな「じん臓を売れ」といった暴力的取り立てさえ放置してきたことが問題を深刻化させました。

 国会では、日本共産党、民主党、自民・自由・公明の与党三党がそれぞれ規制法案を提案しました。

 日本共産党の提案は、(1)出資法の上限金利を二〇%以下の水準に引き下げる(2)借り手・保証人の能力を超えた過剰融資を禁止し、処罰・行政指導をおこなえるようにする(3)借り手・保証人の保護のため八日間以内なら契約を破棄できるクーリングオフ制度の創設(4)貸金業者に保証契約の説明義務を課し、これに違反した場合の保証契約の中途取消権の創設(5)保証人に追加融資拒否権を付与し、根保証契約を実質的に禁止(6)違法取り立ての罰則強化(7)監督権限の強化などが内容で、商工ローン問題の根本的解決をはかるものです。

 与党三党案は、上限金利の引き下げを、三〇%前後で貸し出ししている日栄・商工ファンドの金利とほとんど同じ二九・二%にとどめ、問題の過剰融資や根保証契約の規制もまったく不十分なものです。

 残念ながら日本共産党の提案は否決され、与党案が成立しました。日本共産党は、深刻な商工ローン被害・多重債務問題の解決のため、ひきつづき金利引き下げ、根保証などの規制強化のために奮闘します。(岩)

〔1999・12・18(土)〕


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